2014年7月31日木曜日

地方競馬の奇跡

 インターネットが地方競馬を救ったようだ。JRA(日本中央競馬会)ネット投票システムの本格利用が可能になった昨年度、佐賀競馬は2億円を超える黒字を生み出し累積赤字解消も視野に入った◆バブル崩壊の頃から凋落(ちょうらく)が続いてきただけに、うれしいニュースである。関係者からは「奇跡的に生き返った」と弾んだ声が聞かれた。ネットで馬券を買えるようになって競馬ファンの行動は一変した。赤鉛筆を耳に挟んで、といったイメージはもう古い◆今は自宅で情報端末を駆使してデータを分析する姿が浮かぶ。競馬場にとって全国のファンを顧客にできるメリットは大きい。ネット投票による売り上げは全体の6割近くを占めるまでになった。全国の地方競馬の全てが黒字になったのも、そのおかげである◆ここまでの間に廃止されるところが増え、佐賀競馬は公営で九州唯一になった。長いトンネルの時代をコスト削減で乗り切るのは、並大抵の苦労ではなかったろう。ただ、売り上げはピーク時の4割に満たない。さらにレースやイベントなどの魅力を高める工夫がいる◆8月は10日間の開催が予定され、お盆すぎには中央・地方交流レースのサマーチャンピオンもある。この猛暑に勝つ馬こそ真の王者。砂のコースを力強く駆け抜ける馬の姿に、地方経済の復活を重ねたい。(佐賀新聞)

2014年7月29日火曜日

昨年度黒字2億1900万円 佐賀競馬 九州唯一の地方競馬


「佐賀競馬」の2013年度収支は、好調なインターネット販売に支えられて2億1900万円の黒字となったことが28日の県競馬組合議会で報告された。売り上げ増による黒字は1996年度以来、17年ぶり。前年度8100万円の赤字により2億9500万円まで膨らんでいた累積赤字は、一気に7600万円に圧縮した。同組合は「本年度中の累積赤字解消を目指したい」としている。
 決算概要によると、13年度の売上額は前年度比25・6%増の131億9700万円。日本中央競馬会(JRA)の投票システム「I-PAT(アイパット)」を中心にネット販売が前年度比1・9倍増となるなど大きく貢献した。
 佐賀競馬はピーク時の1991年度に年間360億円を売り上げていたが、バブル崩壊後の景気低迷などで売り上げが急減した。2006年度以降は累積赤字に陥り、経費削減で経営健全化に努めてきた。

 この日は14年度第1四半期(4~6月)の売上額が前年度比7・8%増の30億2200万円と好調を持続していることも報告された。同組合は「長年続いた低落傾向が上向きになることが期待される」とし、ネット販売と対照的に苦戦している本場のてこ入れとしては、エレベーター設置やトイレの洋式化などに取り組むことを説明した。(佐賀新聞)

2014年7月24日木曜日

高知競馬の売上高がV字回復 通年ナイター奏功

 高知競馬が全国唯一の通年ナイター「夜さ恋(よさこい)ナイター」を導入して24日で丸5年となる。売り上げの減少に悩んできた高知県競馬組合が打ち出した“起死回生の一策”。導入直前の2008年度に38億8100万円だった売り上げは、13年度に3倍超の118億円へV字回復し、関係者は廃止の危機に直面した一時の苦境は「乗り越えた」との認識で一致している。(高知新聞)

2014年7月19日土曜日

第1期発売額は計画比111% 岩手競馬、ネット販売堅調

 県競馬組合運営協議会(会長・小原敏文県農林水産部長、委員7人)は18日、盛岡市新庄の盛岡競馬場で本年度第2回会合を開き、第1期(4月5日~6月9日)の発売額が計画比111・8%の50億8300万円だったことを報告した。本年度は岩手競馬50周年の節目で、11月に行われる地方競馬最高峰レース「JBC競走」に向け機運を高める。
 委員全員が出席。発売額の内訳は自場発売22億500万円(計画比106・7%、前年度比96・2%)、広域委託発売11億6800万円(同110・5%、94・6%)、インターネット発売17億1千万円(同120・4%、114・3%)。前年度比は全体で101・2%で、インターネット発売が堅調で自場などの減少分を補った。(岩手日報)

地方競馬がますます厳しく、馬券への新たな課税案が検討中


馬券への新たな税金が検討されていることが明らかになった。
●25%に上乗せ
現在、馬券の売り上げからは25%が控除され、残った75%が当たり馬券への払戻金となっている。25%の内、10%が税金で、15%が収益金となる。産経新聞によると、この10%を引き上げようとする案が検討されているそうだ。
仮に5%引き上げられたとすれば、控除は30%となり、払戻金は70%になる。もちろん当たり馬券への還元が減ることになる。
きっかけは外れ馬券訴訟
新たな馬券課税へのきっかけになったのは、「2審も57千万円から5200万円に課税額を減額、大阪の外れ馬券訴訟(59日)」でも記事にした大阪の外れ馬券訴訟だ。
この訴訟では、改良した競馬ソフトを使って恒常的に馬券を購入していた男性への課税方法が焦点になり、大阪高等裁判所の判決では、従来の一時所得ではなく雑所得と認定している。
現在も訴訟が続いているため、最終的な結論は出ていないものの、こうした大量購入者の申告がなされていない現状が問題になったそうだ。
負けた人は泣きっ面に蜂
つまり申告漏れが多いため、大元(購入時)に課税してしまおうとの考えだ。これは4月にアップした消費税同様に、漏れの多い直接税から、取りこぼしの少ない間接税へシフトすることと似ている。
ただし消費税が所得の多寡に関係なく課税されるように、この馬券税が実行されれば当たり外れに関係なく課税されるようになる。と言うより、勝った人の税金を負けた人も負担することになる。
関係者の努力が水の泡に
先ほど「25%が控除され、残った75%が当たり馬券」と書いたが、厳密には異なっている。競馬法の改正により、控除率が若干変更されているのを知っている人も多いだろう。
特に地方競馬では控除率を下げることで払戻金をアップさせ、競馬ファンの増加に生き残りをかけているところも多い。

そんな関係者の努力だが、もし新たな課税が決まれば、一発で帳消しになってしまう。昭和の末から平成にかけて、地方の競馬場がどんどん減っている。中央競馬だけになるのも遠いことではないかもしれない。(IRORIO)

2014年7月17日木曜日

競走馬の試練見詰め続け 大病経験「力もらった」 平野さん調教風景スケッチを川崎競馬場に寄贈

 競走馬の調教風景に魅了され、スケッチを続ける男性がいる。雨の日も、冬の寒い日も−。川崎競馬の小向練習馬場(川崎市幸区)へ通い、描きためること約8千枚。このほど、水彩画に仕上げた作品が競馬場に寄贈され、観覧席に展示されることになった。薄明かりの早朝、トレーニングセンターを疾走する馬の姿に、かつて大病を患った男性は「力をもらい、救われた」と話す。
 時速約60キロ。砂の走路を駆け抜ける一瞬を切り取り、脳裏に焼き付ける。五感を研ぎ澄ませ、大型馬で500キロ超の重量感や、ひづめで砂をかく力強さを記憶し、紙の上へと落とし込んでいく。
 「描いている時が一番無心になれるし、安らげるんです」
 平野幸一郎さん、67歳。練習馬場の近くに住むアマチュア画家はほぼ毎朝、1周約1200メートルのコースを望む土手に腰を下ろす。調教風景に向き合って6年。きっかけは、自身の病にあった。
 大腸がん。そう診断されたのは、定年を2年余り残して役所勤めを終えた直後だった。20代で専門学校に学び、仕事の合間には京浜工業地帯など地元の風景画を描き続けてきた。早期退職後、さあ本格的に、と考えた矢先である。
 がんは肺に転移し、一時は「延命治療しかできない」ほど、瀬戸際まで追い込まれたという。その後、病状は回復したが、「家にいると病気のことで落ち込む。それを忘れられる時間だった」。自宅から直線距離で約100メートル。練習馬場へ足を運ぶのを一日の始まりとした。
 およそ600頭。早朝3時から9時すぎまで、入れ替わりで馬場を踏みしめる。放牧期を除き、毎日の調教が不可欠な厳しい世界だ。1時間半ほどでスケッチは30枚ほど進む。「馬が暴れたり、調教を嫌がったりという面白さが練習馬場にはある」。印象的な場面があれば、水彩画へと仕立てていく。
 そのうちの一点が、知人らを通じて競馬場に寄贈された。「雨の中の調教」(縦47センチ、横60センチ)と題した4年前の作品だ。馬体の黒と調教助手の帽子の赤、雨がっぱの紺。わずか3色で「主役」を鮮明に浮かび上がらせた。
 「競馬場が晴れの舞台ならば、それは馬にとって1パーセントくらいのもの。残りの99パーセントは風雪の中、砂(すな)埃(ぼこり)舞う中で調教されている」。一握りの勝者と、無数の敗者が混在する練習馬場で繰り広げられる、地道な鍛錬の日々。人間の営みにも似ているのでは、と平野さん。退職後、海外を回る夢もあったが、現在の心境は違う。「一生、追い掛けたいと思えるものが、こんな近くにあったとは。病気になって初めて分かった」(神奈川新聞)【写真】川崎競馬場に寄贈された水彩画「雨の中の調教」。右は作者の平野さん

2014年7月16日水曜日

いざ勝利!FC岐阜“アシスト” コラボバッグ笠松

 笠松町はサッカーJ2のFC岐阜とコラボレーションして、トートバッグを製作した。同町のホームタウンデーとして行われる20日の横浜FC戦の長良川競技場で180個を限定販売する。
 チームの練習拠点の一つ「県フットボールセンター」が町内にあることから、同町がチームを応援し、盛り上げようと企画した。
 トートバッグは岐阜工業高校デザイン工学科3年幸脇唯華さんがデザイン。チームカラーの緑の生地に、FC岐阜のロゴと、サッカーを楽しむ同町のマスコットキャラクター「かさまるくん」「かさまるちゃん」などが描かれている。
 180個のうち70個には、笠松競馬場の競走馬が調教で使ったゼッケンの番号部分を切り取り、選手の背番号に見立てて張り付けた。商品の製作は笠松刑務所に委託した。
 15日、同センターで練習していたチームの元を広江正明町長や幸脇さんらが訪れ、完成したバッグを恩田聖敬社長、主将の川口能活選手、岐阜工業高校卒業生の益山司選手にお披露目。益山選手は「とてもかわいいデザイン」、川口選手は「普段から使いたい」などと話した。
 トートバッグは1個千円(税込み)。競技場入り口の屋台村の一角に特設ブースを設けて販売する。

 問い合わせは同町企画課、電話058(388)1113。(岐阜新聞)
【写真】町が製作コラボで製作されたトートバッグを持つ選手ら=笠松町江川、県フットボールセンター