2008年11月28日金曜日

美浦トレセン厩舎を改築/乗馬センター移築,2010年以降着手/JRA

 日本中央競馬会(JRA)は、茨城県美浦村にある美浦トレーニング・センターの厩(きゅう)舎の改築を2010年以降に着手する。09年度に乗馬センターの移設工事に入り、空いた敷地を活用して厩舎の整備に乗り出す考えだ。今後、改築に向けたスケジュールや施工計画などの検討を具体化させる見通し。JRAは、他の調教施設で厩舎の改築を複数の工期に分けて発注しており、改築が始まれば長期間にわたるプロジェクトが始動することにになりそうだ。
 美浦トレーニング・センター(茨城県美浦村大字美駒2500)は、1978年に開設した調教施設で、厩舎や馬場のほか、関係者の宿舎や競走馬診療所などがある。東京競馬場(東京都府中市)や中山競馬場(千葉県船橋市)への競走馬の輸送拠点としての機能も担う。敷地面積は約223.4haで、このうち、約85.7haに調教馬場が2カ所整備されているほか、関係者の住居スペース(1500世帯分)などに約82ha、厩舎に約55.7haが充てられている。
 厩舎は、敷地の中央から西側にかけて配置されており、123棟が立地している。競走馬の収容可能頭数は2304頭。建設後30年が経過し、老朽化している。JRAは、同センターのほかの施設とともに計画的な改築や改善が必要と認識している。
 厩舎の改築は、まず用地の確保に向けて、北調教馬場の北側にある乗馬センターを南調教馬場の東側に移設する予定だ。09年中に着工する。ただ、跡地は厩舎から北調教馬場をはさんだ位置で離れていることもあり、跡地を厩舎の改築用地に充てるかは未定。別の施設を跡地に整備した上で厩舎に近い敷地を空け、その敷地を活用して厩舎の改築を進める可能性もある。整備手法は、今後の検討課題となる。
 JRAは03年から、栗東トレーニング・センター(滋賀県栗東市)で厩舎の改築工事を進めている。毎年15棟前後の改築を進めており、09年も15棟の改築工事(第6期工事)を完成させて第7期工事に着手する予定(施工=6・7期とも安藤建設)。美浦でも、同様な手法で整備することも見込まれる。(建設ニュース)

麻生首相、労働者賃金の引き上げを要請

  麻生首相が日本財界の代表者らに「来年の労働者の賃金引き上げを要請する」と発表した。 共同通信は27日、「首相が賃金交渉の本格化する春闘を前に、財界に賃金引き上げを要請するのは異例のこと」だと伝えた。日本政府は10月末、27兆円規模の景気浮揚策を出した際にも家計を支援するために、財界の賃金引き上げを促した。 麻生首相は12月1日に財界トップとの会合の席で賃金引き上げを貫徹すると、発表された。しかし展望は不透明のままだ。福田康夫前首相らも「企業が賃金引き上げを行ってほしい」と要請したが、一度も実現しなかった。首相官邸の関係者は「2002年から昨年にかけて企業実績が改善されただけに、企業は利益を家計に還元して消費促進を率先していくべきだ」と話している。 労働組合側はこれを歓迎している。労働組合体は「2000年から9年間にわたり、賃金は横ばいを続けてきた」とし「今年に入り物価も大幅に上昇したことから、賃金を物価に合わせて引き上げる必要がある」と主張している。日本は先月まで12カ月連続で物価が上昇している。 しかし財界は経営環境の悪化を挙げて難色を示している。財界は景気の低迷により、非正規職以外に正規職も削減しようとしている状況だけに、‘賃金アップよりも雇用の安定が先決’の立場にある。大企業は2002年以降、毎年約1%ずつ増やして支給してきた年末の賞与金も、今年は支給額を削減する予定だ。 来月の会議には日本経済団体連合会の御手洗冨士夫会長や日本商工会議所の岡村正会頭らが出席し、春闘や雇用状況などについて閣僚と意見交換する。財界は人員削減を最大限に自制するものの、賃金引き上げの要求は慎重に処理する立場を伝えることが明らかになった。 (中央日報)

2008年11月26日水曜日

原告の訴え取り下げ相次ぐ 笠松競馬場訴訟

◆一審勝訴も足並み乱れ
 笠松競馬場(岐阜県笠松町)をめぐって一部の地主が土地の明け渡しなどを求めた訴訟で、11月に入って11人の原告が相次いで訴えの取り下げ申請をしていたことが分かった。被告の県地方競馬組合による名古屋高裁への控訴後、取り下げた原告は計14人に上っており、足並みが大きく乱れてきた。
 訴訟は一部地主が2006年6月に岐阜地裁に提訴した。今年5月の地裁判決時点での原告は86人。このうち8月に2人が、9月には1人が一審で勝訴しながら、提訴を取り下げた。
 11月11日には、一部の原告を含む地主約80人が、請求棄却を求める要望書を名高裁に提出。同時期に競馬関係者が原告の説得を始め、17日に4人が一度に取り下げて以降、連日のように取り下げ申請が名高裁に届いている状態だ。
 新たに訴えを取り下げた原告の1人は「原告代表者の説明では、地代を上げる訴訟だったはず。しかし、岐阜地裁の判決や報道で、明け渡し請求と知り、取り下げを決めた」と話す。
 原告代理人の異相武憲弁護士は「取り下げによって大勢に影響はない。原告には説明しており、提訴から何年もたって(訴訟の趣旨を)知らないと言うのは大人げない」としている。
 【笠松競馬場訴訟】 岐阜地裁は5月、土地の明け渡しと賃料の増額を命じ、6月に競馬組合側が控訴。名古屋高裁は9月、和解を勧告し、協議が続くがめどは立っていない。敷地28・9ヘクタールの競馬場のうち訴訟対象は走路を含む約30%。大部分が開発の規制された市街化調整区域のため、廃止となれば跡地利用は難しい。訴訟に参加していない地主や競馬関係者の生活を破たんさせるとして、土地明け渡し請求が権利の乱用かどうかが争点の一つとなっている。(中日新聞)

2008年11月23日日曜日

福山競馬の再生探り議論

 福山市は22日、福山競馬の健全化対策推進委員会を福山市役所で開いた。2005年9月のサラブレッド導入時以来、開催は約3年ぶりになる。福山競馬は売り上げ減に歯止めが掛からず、今回は具体的な競馬振興策を探る一方で、1949年から続く競馬事業の廃止も視野に入れた議論をする。
 この日の会合には、八木徹・広島県馬主会会長や小嶺英喜・県調騎会会長、福山商工会議所の石井耕二専務理事など13委員が出席。開原算彦副市長が「競馬事業の継続が窮地に陥っている。市民の理解と支援を得られる振興策と方向性を議論してほしい」と述べた後、会長に早川佳行・市議会競馬事業特別委員長を選んだ。
 委員からは「競馬場内にサッカー場などを設け、幅広い活用を図る」などの意見も出たが「単独開催では大赤字。巻き返すのは非常に厳しいのでは」という指摘もあった。対策委は年内をめどに意見をとりまとめる。(中国新聞)
【写真説明】福山競馬のあり方を話し合う委員会で「市民の理解を得られる振興策を期待したい」とあいさつする開原副市長(左)

2008年11月22日土曜日

道営競馬閉幕、前年より売り上げ減

 道営ホッカイドウ競馬は20日、門別開催が閉幕し、今年度の全日程(82日間)を終えた。年間の売り上げは目標の92・9%、前年比95・6%の約113億9150万円にとどまった。道は10年度までに収支均衡を達成しなければ道営競馬を廃止する「改革ビジョン」を本年度からスタート。2年目となる来年度は旭川開催をやめて経費節減を図るほか、門別競馬場のナイター化やミニ場外馬券売り場の新設などを進めてファン獲得と売り上げ増を目指す。(毎日新聞)

馬券売り上げ好調 赤字幅を2億円縮小--07年度競馬決算

 県競馬組合(管理者・坂井浩毅副知事)の07年度決算が発表された。馬券の売り上げは06年度を6・9%上回る好調ぶりだった。06年度に2億3000万円だった単年度収支の赤字は、2億500万円縮小して2500万円となった。一方、08年度をみると、原油価格上昇や米国発の経済危機などの影響が出ており、先行きは不透明だ。
 組合によると、歳入総額は133億8000万円で、歳出総額は134億3500万円。累積赤字は5490万円となった。
 売り上げが伸びたのは、インターネット投票を含めた佐賀競馬場以外での委託発売分が32・9%増と大きく伸びたことが影響した。
 特に、馬券の発売システムを共同化した荒尾競馬場(熊本県荒尾市)での売り上げは、10億5400万円から21億5500万円に倍増した。
 組合は「発売する所を増やすことで売り上げを伸ばせた」と07年度決算を総括。今年度についても「他競馬の受託発売日を増やすなどして増収を図り、何とか収支均衡は取れそうだ」とみる。
 だが、ガソリン価格高騰などが影響し、10月までの売り上げが前年同期比で4・8%減と苦戦中。世界的な景気減速も相まって、組合の皮算用通りとなるかどうかは不透明だ。(毎日新聞)

2008年11月17日月曜日

高知競馬に今度は「おじさんの星」

 高知競馬の今度の目玉は「鉄人おじさん」。16日の高知競馬場2Rに出走したダイナブロス(牡12、田中守)がデビューからの通算出走数を「267」に伸ばし、NAR(地方競馬全国協会)の成績書が整備された69年以降の国内最多出走記録を樹立した。
 1着は11回。これまでの記録は同競馬場に所属していたヒカルサザンクロス(08年3月引退)。レースの合計走破距離だけで、東京-仙台間にあたる約360キロを走り抜けたことになる。ちなみに中央競馬のサラブレッド最多出走記録はハートランドヒリュの127戦。
 高知競馬といえば連戦連敗のハルウララが「負け組の星」としてブームを起こし、武豊騎手がまたがった04年3月22日は高知競馬史上最多の1万3000人が来場した。この日の来場者は通常とほぼ変わらない1000人程度で、全国的な知名度はいまひとつ。同競馬場広報は「これからは走るたびに新記録。いろんな人に知ってもらって、ぜひ見に来てもらいたい」とPRした。守るべき場所のために頑張り続ける同馬が、同じ境遇のおじさんの心をつかむか。(日刊スポーツ)

2008年11月14日金曜日

36年ぶり美浦で元日調教復活

 09年の中央競馬は1973年以来36年ぶりに、1月4日から開幕する。それに伴い、日本調教師会関東本部(尾形充弘本部長)は各労組に元日の馬場開場を提案。13日、最大の関東労は執行代議員会を開き提案への同意を議決、元日調教の復活が決まった。
 佐藤全弘副本部長は「関東が地盤沈下している中、労組の方も積極的に動き、我々の提案に同意してくれた。労使間のいい関係ができてうれしい。馬主さんにもご理解いただきたい」と話した。元日が全休だと、馬のチェックができないまま2日に出馬投票。競馬の公正に反するという声があった。その問題はクリアできることになった。
 中央競馬は68年まで1月3日、69~73年は4日開幕で、当時は元日調教が行われていた。5日開幕が定着した74年から元日は全休日となっていた。一方、栗東は元日調教への反対意見が強く、東西の足並みがそろわない可能性も出てきた。(中日スポーツ)

2008年11月13日木曜日

笠松競馬存続を要望 訴訟不参加の地主80人

 笠松競馬場(羽島郡笠松町)の土地明け渡し訴訟(控訴審)で、訴訟に参加していない地主80人が12日までに、連名で名古屋高裁に笠松競馬存続の要望書を提出した。提訴している地主(83人)とほぼ同数で、「訴えは一部地主による権利の乱用」という県地方競馬組合の主張を裏付ける証拠として署名を取りまとめた。
 控訴審の和解協議は賃料の隔たりで事実上決裂。要望書は高裁で組合が敗訴した場合、競馬場廃止に直結し、原告以外の地主にも土地が返還されることを想定し、「他の用途に使えず、賃料収入がなくなり、固定資産税を支払っていかねばならなくなり大問題」と憂慮。
 その上で、「賃料交渉は原告を含む全地主組合が共同で合意形成して進めてきた経緯があるのに、全地主(249人)の3割ほどの原告がほかの地主の意見を聞かずに廃止に結び付く訴訟を起こしたのは遺憾」と存続への配慮を求めている。
 要望書の取りまとめには、存続を望む調教師や厩務(きゅうむ)員も協力した。(岐阜新聞)

2008年11月12日水曜日

ホッカイドウ競馬場外馬券所がウインズ室蘭から撤退

 室蘭市本輪西町のJRA・ウインズ室蘭内に開設しているホッカイドウ競馬室蘭場外馬券所が、来年3月末で撤退することが10日までに明らかになった。発売額が年々減少し、採算が悪化していることから道が判断したとみられる。来年度以降は室蘭地区内にミニ場外馬券所を開設し、発売機能を移転する方向で検討を進めている。JRAによる中央競馬馬券発売は継続する。
 同発売所は平成元年4月、ウインズ室蘭のオープンと同時に施設内の一角、28カ所の窓口をJRAから借りて開設。発売額はピークの平成3年度に1日当たり3000万円を超えていたが、その後年々減少し続け、19年度は約400万円に落ち込んでいた。 JRAは、土地、建物を所有する栗林商会と、元年度から本年度までの20年間の賃貸契約を締結。ホッカイドウ競馬は、契約更新期の本年度末に合わせて撤退する形となる。 ホッカイドウ競馬全体でも平成4年度から赤字が続いており、今年3月には道が22年度までの赤字脱却を掲げた北海道競馬改革ビジョンを策定。場外馬券所18カ所のうち、現在までに11カ所を窓口数が10以下の「ミニ場外」に移行させるなどスリム化を進めている。 新たなミニ場外馬券所について、道は室蘭近郊に開設する方向で検討している。(室蘭民法)

2008年11月11日火曜日

アジア会議が東京で開幕

 20の国と地域の競馬統括団体で構成したアジア競馬連盟の機関会議「第32回アジア競馬会議」の部門会議が10日、東京・千代田区のホテルニューオータニで開幕した。日本での開催は23年ぶり4度目。開会式ではJRA土川健之理事長が「競馬の価値を高め、ファンにアピールできるものにするため積極的に国際協調をしていきましょう」と開会を宣言した。同会議は13日まで行われ、国内外850人の競馬関係者がさまざまなテーマで討論する。(スポニチ)

2008年11月8日土曜日

ネット発売好調 黒字見通し 岩手県競馬

 岩手県競馬組合は6日、盛岡競馬場(盛岡市)であった運営協議会で、本年度の収支見通しについて「計画通りに進めば、4200万円の黒字になる」との見通しを明らかにした。組合によると、3日までの売り上げは162億7600万円で、計画を1.5%上回った。好調なインターネット発売(17.4%増の13億5600万円)に加え、これまで計画を割り込んでいた自場発売も0.1%増の111億4500万円に達した。 10月27日の第3期終了時点でみると、第1期(5月26日まで)に4600万円の赤字となった収支実績は、コスト削減効果もあり、1500万円の赤字まで回復。残りの第4、5期分の利益見通し(計5700万円)を加えると、「黒字達成は確実」という。 運営協議会では民間委託拡大を見送ったことに伴い、来年度は組合直営の現行方式で行うことになったことも説明。会長の高前田寿幸県農林水産部長は「来年度も厳しい状況になるが、競馬事業の存続に全力で取り組みたい」と話した。 12月下旬までに農林水産省に報告する来年度の開催日数については、組合の千葉英寛副管理者が「日数が多い方が(施設など)固定費をまかなえる」と述べ、大幅な削減は考えていないことを明らかにした。(河北新報)

高知のダイナブロスが国内最多出走タイ記録へ

 デビューからこれまで265戦に出走しているダイナブロス(牡12、高知・田中守厩舎)が、9日(日)の高知7Rに森井美香騎手騎乗で出走予定。同じく高知競馬に所属し、今年3月に引退したヒカルサザンクロスが打ち立てた266戦の最多出走記録に並ぶことになる。 ダイナブロスは、父エブロス、母ユウワニート(その父パーソナリティ)という血統。アドマイヤベガ、テイエムオペラオー、ナリタトップロードらと同世代で、98年6月に公営・新潟でデビュー。その後、岩手や上山などを経て03年12月に高知へ転入した。これまでに長期の休養はほとんどなく、総レース走行距離は高知~新大阪間のJR営業キロ数とほぼ同じ360.350kmに達する。(Netkeiba.com)

騎手合格者に高校ボクシング王者原隆二も

 09年度の競馬学校騎手課程(28期生)合格者が7日、決まった。JRAが発表した。合格者の中には、高校ボクシング軽量級王者の原隆二(18、飛龍高=静岡)がいる。JOCからロンドン五輪のユースエリート指定を受けるホープで、10月3日に大分国体の少年男子ライトフライ級で優勝したばかり。高校総体モスキート級(45キロ以下)2連覇など、リングでは無敵。連勝を25まで伸ばしていた。高卒の入学者は93年細江純子以来。
 ほかに8年ぶりの女性合格者・小沢桃子(16、埼玉)、高野舜(15、滋賀)、中井裕二(15、京都)、長岡禎仁(15、和歌山)、原田和真(14、大阪)、山崎亮誠(14、高知)の計7人が合格。順調に3年で卒業すれば12年にデビューする。(日刊スポーツ)

2008年11月7日金曜日

収支均衡、確実な情勢 岩手競馬第3期

 県競馬組合運営協議会は6日、盛岡市新庄の盛岡競馬場で開かれ、第3期(7月26日-10月27日)の実績を報告した。4月の開幕から第3期終了までの発売額は158億4500万円(前年比8・6%減)で、下方修正後の計画比1億9500万円、1・2%プラス。売り上げの落ち幅が小さくなってきた傾向もあり、組合は「年間の収支均衡が確実と見込まれる」との見通しを示した。
 競馬組合によると、第3期の発売額は75億3900万円で下方修正後の計画比7800万円、1・0%プラス。6月に4億3千万円のコスト削減を行ったことで累計発売額も計画値を上回った。
 今季の発売動向を対前年比でみると、開幕当初は85%前後だったが、8月ごろから88-91%前後で推移。競馬組合は「売り上げの落ち幅がやや小さくなっている」と説明した。
 この理由として▽開催時間を1時間遅らせる薄暮競馬の実施▽3連単発売レースの拡大▽CMキャラクター東幹久さんの来場-などの振興策が効果を挙げたと分析。10月中旬の南部杯も計画値を4千万円上回る6億2千万円の売り上げだった。
 こうした状況から、競馬組合は今季に見込む経常損益を1200万円増の4200万円に見直した。
 組合の宮一夫事務局長は「このまま行けば年間の収支均衡を達成できる」と述べた。(岩手日報)

2008年11月5日水曜日

JRA、1月4日スタートに元日出勤問題

 来年の中央競馬は例年より1日早く、1月4日からスタートする予定だ。70年以来実に39年ぶりのこととあって、サークル内でもまだ調整が必要なことが多い。ひとつは元日の仕事をどうするか。基本的に元日はトレセン全休日だが、関東調教師会は調教実施の方向で調整にあたっている。
 元日を休んだ場合は(1)有馬記念翌日の12月29日(月)と元日(木)の週2日休むローテで馬のコンディション維持は? (2)出馬投票は1月2日午前中、つまり調教時間中に行われる予定。元日、2日と丸2日間も馬の状態を確認できないまま出馬投票しなければならないケースが出てくる、などの弊害が予想される。
 関東調教師会の幹部は「元旦に馬を動かした方が調整しやすいし、4日の出馬投票に責任を負う意味でも、馬場を開けたい。東西で足並みがそろわなければ関東だけでもやる方向で進めたい」と、元日出勤に前向きな姿勢を見せる。一方で、関西では「元旦は特別な休日だから休ませたい」という意見も根強いという。
 結論が出るまで、まだ話し合いは続きそうだが、各馬が開幕日をベストの状態で迎えられる方法が求められる。(日刊スポーツ)

2008年11月4日火曜日

駒の里、望月で草競馬大会 県内外から50頭余が出走


 「佐久市望月駒の里草競馬大会」が3日、同市望月の望月総合グラウンドであった。県内外から競走馬や農耕馬など計50頭余が出走。大勢の観衆が詰め掛け、色づいた木々に囲まれたコースでのレースを楽しんだ。 決勝は馬の種類などで分けた全13レース。白旗の合図に合わせてスタートし、1周400メートルのダートコースを最大8周して競った。 砂煙を上げて激しく競り合う競走馬に対し、ポニーのレースでは騎手が必死にむちを打っても、お構いなしに悠然と走る馬も。コースの外側に設けた柵には観客がずらりと並び、身を乗り出しながら「頑張れー」と声援を送ったり、雄姿を写真に収めたりした。同市内山の男性(52)は「間近で見ると迫力がありますね」と楽しんでいた。 一部のレースでは、優勝馬を予想して抽選で賞品が当たる「勝ち馬当てクイズ」もあり、人気を集めていた。 大会は地元の畜産関係者らでつくる「望月駒の里愛馬会」が主催。かつて周辺に朝廷直轄の馬の牧場があった歴史にちなんで開いており、旧北佐久郡望月町時代から数えると20回目になる。(信濃毎日新聞)

<写真>砂煙を上げてコーナーを疾走する草競馬大会の出走馬

2008年11月3日月曜日

決裂の波紋:岩手競馬の行方/2 「負」押しつけ、民間に重く /岩手

◇組合「リスク取れぬ」
 「民間と組合の最大の違いはリスクを取るところだと思う。ある程度の損は覚悟で、うまくやれば利益が得られる時に我々はリスクを取れない」
 達増拓也知事は1日の県競馬組合議会で、民間企業と組合との考え方の違いを述べた。この見解が企業の参入ハードルを高くしているとの見方もある。
 組合は負債を整理するために構成団体である県や奥州、盛岡両市から融資を受けた330億円を返済する義務がある。そのため包括的な民間委託に向けて公募した際、売り上げに応じて組合に支払う「収益保証率」を委託条件に盛り込んだ。組合が作った借金を委託先企業に「肩代わり」させようというのだ。
 日本ユニシスは公募時に収益保証率を0・25%とした。構成団体への返済は利益が1億円を超えた場合、超えた分の半分を充てる取り決めがある。ユニシスの案だと、1億円の利益を出すには、今季の売り上げ見込みの1・8倍に当たる400億円の売り上げが必要になる。組合はユニシスの設定が低いと難色。達増知事は9月県議会で「少なくとも07年度より売り上げが伸びた場合は、返済してもらいたい」との考えを示した。当の組合は昨年度4900万円の黒字だったが、元本返済はしていない。
 委託条件には、他にも岩手競馬の負の部分を民間に背負わせようという考え方がみられる。「先取り方式」もその一つだ。
 全体の事業予算からあらかじめ組合の費用を確保するこの方式は、売り上げが低迷しても赤字を背負うのは委託先企業で、組合は黒字を確保できる。
 ばんえい競馬は対照的な方法で民間委託を行った。委託にあたって62億円の累積赤字や職員の退職金などの精算金を、当時の構成団体がすべて負担。さらに単年度で赤字が出ても、まずは主催者の北海道帯広市の積立金を取り崩すという方法で、委託先企業に負担をかけさせないようにした。
 業務受託するソフトバンク系列の関連会社、オッズパーク・ばんえい・マネジメントの広報は「岩手のような状況ではないため、判断できる立場にない」としながらも「累積赤字を清算し、まっさらな状態から始めるということもあって参入を判断した」と説明する。帯広市は「委託なしにばんえいの将来はないという危機感があった。収益保証などは民間企業にとって厳しいと思う。岩手競馬は、委託できなくても組合の運営でできると考えているのでは」と推測する。
 ノーリスクの組合とハイリスクの民間という考え方がある限り、民間委託には困難が伴いそうだ。(毎日新聞)

2008年11月2日日曜日

決裂の波紋:岩手競馬の行方/1 築けなかった信頼 /岩手

◇守秘義務で平行線
 盛岡競馬場内の県競馬組合事務所に10月14日夕、宅配便が届いた。組合が民間委託交渉の相手である日本ユニシス(東京)に求めていた、競走体系や収支計画など3項目の回答だった。だが、届いた文書はA4判1枚のみ。枚数もさることながら収支計画が示されていない内容に、組合幹部は「これしか出してくれなかったか」とつぶやいた。5月下旬から協議を開始して以降、最初で最後の文書。信頼関係を築けなかった両者を物語っていた。
 両者で協議を始めた直後の5月末に秘密保持(守秘義務)契約が問題になった。ユニシスは民間のノウハウが漏れることを防ぐため、構成団体である県や盛岡、奥州両市へ開示する場合は、ユニシスへの事前の承諾を得るよう求めた。しかし、組合は構成団体の議会などへの説明責任を理由に拒否。この問題が尾を引き、具体的な協議にはほとんど入れなかった。
 全国の競馬で初めて運営に民間会社が参加したばんえい競馬。主催者の北海道帯広市とソフトバンク系列の関連会社との間で守秘義務契約を結んだ。それを巡り協議が難航することはなかった。同市ばんえい振興室は「存続のために相手の意向に合わせる形で進めた」と市が歩み寄ったことを明かす。
 両者はわずか3カ月間で民間委託を締結。初の試みにもかかわらず、短期間で締結できた背景には、同市や旭川市など4市などによるプロジェクトチームが、競馬事業の規模縮小による体制の見直しなどをあらかじめ検討したことが大きいという。その「青写真」を基に民間委託に向けて協議をしていった。
 岩手競馬では、両者に歩み寄りはみられなかった。9月末には県競馬組合議会から組合に対し、知事によるトップ交渉などを行うよう要請文を出したが実現せず、委託への気持ちがあるのか不信を強めた。一方で、守秘義務にこだわって具体案を出さなかったり、一部報道に出た内容を会議の場で否定するユニシスの姿勢に、厩舎(きゅうしゃ)関係者らは「発言が信用できない」(熊谷昇・県調騎会会長)などと不信を募らせ、そのままタイムリミットを迎えた。
 ある競馬関係者は冷ややかだ。「最終期限が近づいてからは、互いに決裂した場合の責任のなすり合い。岩手競馬のことを本当に考えているのか疑いたくなる」=つづく
    ◇
 「来年度からの民間委託は実施しない」。県競馬組合は日本ユニシスへの包括的な民間委託を見送り、来季は現行方式で実施することを決めた。1月の公募に始まり、有識者らによる選定委員会を経て5月下旬から半年間協議したが、不完全燃焼のまま幕を閉じた。約10カ月に及ぶ“民間委託騒動”で浮き彫りとなった民間委託の課題や競馬再生への可能性などを探った。(毎日新聞)

2008年11月1日土曜日

民間委託拡大見送りで八方ふさがり 岩手競馬

 岩手競馬の民間委託拡大が31日、岩手県競馬組合の管理者・副管理者会議で見送られ、来季も単年度収支均衡を図る現行方式を続けることになった。数字の上では決して赤字にならないやり方だが、不況で売り上げが落ち込む中、再生への道のりは依然として厳しい状況にある。競馬関係者からは「今のままではいずれ廃止だ」との声も上がる。
<コスト削減限界>
 奥州市の水沢競馬場で働く厩務員の男性(58)は、落ち着かない日々を送っている。「現行方式と民間委託のどちらがいいのかは分からない」。最大の関心事は競馬が存続できるかどうかだ。
 今季、岩手競馬は売り上げに応じてコスト削減するやり方を昨年度に続いて実施した。競馬組合は2年連続の黒字達成に自信を見せるが、現場は限界に近づいてきていると感じている。
 コスト削減に伴い、500万円以上あった男性の年収は今、300万円にも届かない。辞める人も多く、担当する馬は3頭から5頭になり、収入は減っても仕事が増える悪循環に。 「できるのはレースを面白くする良い馬を育てることだ」と自分に言い聞かせるように話す男性。「自分の馬が勝つと賞金を手に飲みに行くのが楽しみだった。もうそんな余裕はない」 現場の苦悩は競馬組合も承知している。幹部は「売り上げが下がり続ければ、あと5年も持つかどうか」と現行方式の限界を認めた上で「だからこそ、民間委託拡大が必要だった」と話す。 委託交渉先にソフトウエア大手日本ユニシス(東京)が決まる前、競馬組合は大手情報技術(IT)企業に委託を打診した。相手側は乗り気だったが、「現場スタッフを確保できない」との理由で立ち消えになった。 赤字覚悟で200億円以上の競馬事業を引き受ける企業は多くない。競馬組合管理者の達増拓也知事も最終判断直前の23日の記者会見で「企業が赤字でも取り組むというのは甘い考え。事業参入は有名企業でも難しい」と漏らしている。
 ユニシスは今回、最終判断直前に提出した事業計画で、売り上げが伸びない土曜日の開催に見切りをつけ、出走手当を減らして1着賞金を上げる方針を掲げた。
 組合幹部は「出走手当引き下げで馬が集まらず、開催そのものが危ぶまれる」と実現性を疑問視するが、「岩手競馬に欠けている発想だ」とその攻めの姿勢を評価する競馬関係者もいる。
<冒険はできない>
 岩手競馬は単年度で黒字を維持し続けることが存続条件。賞金配分などを大きく見直し、攻めた結果が赤字であればその時点で廃止になる。かといって、現行方式で守りの経営を続けても、レースを続けられる保証はない。そこに岩手競馬の経営の難しさがある。 ある競馬組合の男性職員は「冒険することはできないが、もっと自分たちでアイデアを出す必要がある」と話す。
 存廃騒ぎなどに揺れた昨季と違い、今季の岩手競馬には明るい話題もある。有名タレントのイメージキャラクターへの起用や帰宅途中の会社員をターゲットにした薄暮開催などの取り組みは、まだまだ増収の余地があることを示した。 民間委託について競馬組合は今後、すべての業務内容などを検証し、包括的な委託拡大にこだわらず、最善の方策を協議していくとみられる。
 31日、達増知事は「県民に信頼され、ファンの期待に応えられる岩手競馬を経営していきたい」と意気込みを語った。 (河北新報)