2011年12月31日土曜日

名古屋けいば廃止も検討 愛知県など、13年度に結論


 愛知県、同県豊明市、名古屋市でつくる愛知県競馬組合(管理者・大村秀章知事)は、経営不振が続く名古屋けいば(名古屋市港区)に関し、廃止も含め検討する方針を固めた。2012年度に有識者で組織する経営改革委員会(仮称)を設置し、13年度半ばまでに結論を出す。大村知事は年明けにも組合議会に意向を伝えるが、議員らの反発も予想される。
 経営改革委は学識経験者や経済人、報道関係者、経営コンサルタントらで構成する。組合議会でも議員らが「あり方検討会」を既に設置しているが、これとは別に第三者の視点で今後の事業運営を議論する。
 名古屋けいばは、1949(昭和24)年に事業を開始。ピークの74年度には売り上げが735億円あったが、レジャーの多様化などで入場者数が年々減少。10年度は160億円と、4分の1以下に落ち込んだ。採算ベースでも92年度から04年度まで13年連続して赤字を計上した。
 組合では保有する駐車場を売却して施設の改修費にあてるなど節約した結果、05年度以降は黒字に転換。しかし、10年度に再び赤字となり、11年度も東日本大震災の影響による個人消費の落ち込みなどで、2年連続の赤字が予想される。
 組合の抱える累積赤字は40億円で、競馬場の耐震化や厩務(きゅうむ)員宿舎の改築費用など今後も支出は増大する見込み。経営環境が一段と厳しさを増す中、大村知事は県を中心に関係する自治体財政の悪化につながりかねないとして、存廃を検討することにした。
 名古屋けいばでは競馬組合の職員、調教師、厩務員、馬券販売所や食堂の従業員など、約700人が働く。廃止になれば、雇用問題が発生するのは必至だ。
 関係者によると、名古屋競馬場の土地20ヘクタールや建物、弥富トレーニングセンター(愛知県弥富市)の土地77ヘクタールなどは組合の所有で、時価は計400億円ほどとみられる。累積赤字がさらに膨らむ前に清算すれば、関係者に補償費を払っても、自治体からの持ち出しなしに済ませられるとの見方が出ている。(中日新聞)
【写真】廃止も含め検討される名古屋競馬場=名古屋市港区で、本社ヘリ「あさづる」から

2011年12月27日火曜日

荒尾競馬:組合、騎手と見舞金合意 1人平均274万円で

荒尾競馬組合(管理者=前畑淳治荒尾市長)は26日、競馬事業廃止に伴う協力見舞金の支給額で合意した騎手部会(13人)と確認書に調印した。妥結額は総額約3560万円(1人平均約274万円)。

 調印式には騎手8人が出席し、前畑市長が「皆さんのご協力のお陰で、23日の最終レースが無事できました」とあいさつした。吉田隆二部会長(46)は「気が抜けた状態で23日以降、厩舎(きゅうしゃ)にも行っていない。(馬がいなくなった)がらがらの厩舎は見たくない」と話した。

 他の競馬場に移籍が決まったのは4人で、騎手を断念する人も多いという。牧野孝光さん(47)ら6人は北海道の同じ牧場に就職が決定。牧野さんは家族3人を残し、単身赴任する。「馬に関わる仕事しかできないので熊本を離れることは仕方ない。中央競馬のG1レースに出られるような馬を育てたい。そういう夢もできた」と話した。(毎日新聞)

2011年12月26日月曜日

金沢競馬 来年度収支均衡の見込み

金沢競馬の経営改善について話し合う経営評価委員会は、26日、来年度は赤字穴埋めのための税金の投入には至らないとの見解を示しました。施設の補修費用や賞金などのコストカットを進めるとともに、来年10月には金沢競馬の馬券をJRAの会員が携帯電話で購入できるシステムが導入されることから、収益が改善するとして600万円の黒字を見込んでいます。(北陸朝日放送)

競馬売り上げが見込み上回る

福山市が運営する福山競馬は25日、本年度第1~3四半期(4~12月)のレースを終えた。1日当たりの売り上げは8327万円となり、当初予算で見込んだ8234万円を約1・1%上回った。

 72日間開催し、総売り上げは59億9573万円だった。63日間だった前年度同期に比べて約16・6%増えた。1日当たりでは約2・0%の増加となった。入場者数は計11万3258人で、前年度同期比約3・7%の減。1日当たりは1573人で約15・7%減った。

 市は実質単年度収支の黒字を事業継続の条件とする。1日の市議会本会議では「現行水準の発売収入なら収支確保できる」と説明。来年度の継続は「収支バランスを慎重に見極めて判断したい」としている。(中国新聞)

2011年12月24日土曜日

荒尾 歓声とため息



 23日にフィナーレを迎えた荒尾競馬。ファンや関係者の様々な思いが交錯するなかで、83年の歴史に幕を閉じた。
 約9千人が詰めかけたスタンドから、大きな歓声と悲鳴が響いた。荒尾競馬最後のこの日の第9レース。12番のサマービーチが、スタートから先頭を切り、そのまま逃げ切った。
  騎手は荒尾に30年在籍した牧野孝光さん(47)。1981年のデビュー以来、ずっと荒尾で走ってきた。9年ほど前に鎖骨を粉砕する大けがを負ったが、現役を続行。だが、今年9月、荒尾市が年度内での競馬場の廃止を表明した。
  「やっぱり悔しかったですよ」と牧野さん。その分、このレースにかけた思いは強かった。「最後を勝利で飾れて、悔いはありません。ただ、終えてみると、こみ上げてくるものがありますね」。今後は、北海道の牧場で競走馬を育てるという。
   ◇   ◇
  最終日を迎えたファンや関係者の思いは様々だ。スタンドでレースを見守った常連の西村和孝さん(58)は「鼻差で1着を争うような、あの瞬間が何とも言えないんだよ」と話す。三井三池炭鉱で働いていたと言い、「閉山後は別の仕事に就いたけど、ここにくれば、かつての仲間にも会えた。廃止されるのはさびしかね」とこぼした。
  食堂で40年近く働いてきた福島征子さん(74)は「今日は本当に人がいっぱい。だけど、炭鉱があったころはいつもお祭りのようでしたよ」と懐かしんだ。
  厩務(きゅうむ)員の渡辺賢一さん(47)は最終レースを終え、「関係者みんなで一つの村みたいだった。またいつかみんなで会いたいな」と目を潤ませた。最終日までは再就職については考えられなかったと言い、「明日から探し始めます」と話した。
  01年廃止の中津競馬(大分県中津市)から移籍してきた騎手の杉村一樹さん(33)は川崎競馬(川崎市)に移る予定。地方競馬全体が落ち込んできているが、「自分にはこれしかないんで。また向こうに行ったら、新人みたいな気持ちで頑張りたい」と口元を引き締めた。
   ◇   ◇
  レース後のセレモニーでは、組合の管理者である前畑淳治・荒尾市長が「心の中の大切な思い出として荒尾競馬を残してほしい」とあいさつ。調教師と騎手でつくる県調騎会の平山良一会長(63)は「まだまだ続けたかったが、世の流れかなとも思う。いままで応援していただき、本当に幸せでした」とファンにお礼を述べた。
(塩入彩)
  荒尾競馬 1928年開設。55年から荒尾市と県が構成する一部事務組合が運営し、総額約91億円の収益金が市と県に分配された。だが、三井三池炭鉱の閉山やレジャーの多様化で98年度以降、赤字経営に転落。97年度に約57万人いた客は2010年度に約8万人にまで減少。売り上げもピーク時の約159億円(92年度)が約49億円(10年度)に落ち込み、10年度末時点の累積赤字は約13億6千万円に上っていた。 (朝日新聞)
【写真】(上)最終レースを走り終えた競走馬と騎手に観客が拍手を送った=いずれも荒尾競馬場。(下)最終レース後、着用していたゴーグルを観客にプレゼントする騎手

響く惜別ファンファーレ 荒尾競馬“終幕”ドキュメント





 83年の歴史を刻んだ荒尾競馬20+ 件場(荒尾市)は23日夕、静けさに包まれた。未明の調教、スタンドの人波、ざわめき、食堂のにおい、馬の息遣い、笑顔と涙…。そして「さようなら」の声が最後に響き渡った。
 4時00分 有明海に臨む馬場は星空に覆われている。東には細い三日月。静寂の中、競走馬がクーンと鳴いた。
 4持52分 パカッ、パカッ…。この日のレースに出場せず、他の競馬20+ 件場に移籍する馬の調教が始まる。
 5時30分 ニット帽にダウンジャケット姿で調教に見入る福岡県筑紫野市の会社員男性(36)の手にはカメラとメモ帳。「競馬20+ 件の魅力はレースだけじゃないんです」
 8時50分 入場門前でイベントや出店の準備が進む。毎週朝市を開き、ミカンやキュウリを売ってきた荒尾市の農業河島チヨコさん(80)は「いろんな人と会って話をするのが楽しみだった。今日は最後だから頑張って売らないと」。
 8時55分 入場門そばには厩務(きゅうむ)員会のグッズ販売会場も。準備に追われていた渡辺賢一会長(47)は「(最終日が)夢であってほしい。きょうはお客さんがびっしりと入った昔の荒尾競馬の姿を見たい」。
 9時10分 開場。行列をつくっていた300人以上のファンが次々に門をくぐる。先頭で入場したのは山鹿市の会社員、中島良二さん(55)。「いつもは一人で来ていますが、夫婦で6時から並びました。荒尾は海の近い、本当にいい競馬場だと思う」
 9時15分 厩務員の子供たちが「馬のたてがみのキーホルダーを買ってくださーい」と元気に呼びかけ。厩務員会は「84」と入ったきょうのためにつくったジャンパー姿。数字は「来年2月で荒尾競馬は84周年だから」(渡辺会長)。
 9時20分 開店時間を前倒しして、騎手のグッズなどのチャリティー販売が始まる。京都府宇治市の会社員、佐古田高志さん(35)は荒尾の紅一点騎手で佐賀競馬に移籍する岩永千明さん(29)のゼッケンを手に入れた。「男性に見劣りしない、腕っぷしにほれています」と笑顔。
 9時35分 入場者の波が途切れない。ファンを出迎えていた竹原孝昭馬主会長(64)は「始まりがあれば、終わりもある。やっぱり残念だね。3月に会長になったばかりで、何とか立て直そうと皆で話し合っていたんだが…」。
 10時20分 第1レース発走前。発券所に長蛇の列ができる。40年間、荒尾競馬に通っているという福岡県大牟田市の男性(71)は「見慣れない顔が多いなー」とつぶやいた。
 10時32分 第1レースが始まる。スタンドには多くのファン、家族連れの姿も目立つ。荒尾所属のジーエスイワンコフが1着となった。
 10時59分 第2レース直前、40年以上、立ち売りスタイルで予想屋を続けてきた田中勝喜さん(76)は「こんなににぎわうのは20年ぶりかな。正月みたいだ。みんな、別れを惜しんでいるんだろう」と言い残し、レースを見に行った。
 12時25分 出走ゲートそばの児童公園は体験乗馬コーナーが設けられた。馬に揺られる子供たちの歓声が響く。
 12時45分 第5レースが始まる直前の検量所前に、調教師と騎手でつくる「調騎(ちょうき)会」会長の調教師平山良一さん(63)の姿が。「残念という気持ちと、無事に終われそうだという思い、まだ行く先が決まっていない人たちを案ずる気持ち、いろいろな思いが重なっている」
 13時45分 3階特別観覧席は680全席が埋まり、入場制限。ジュースの自動販売機に「売り切れ」の文字が並ぶ。
 14時20分 スタンド上段で、焼酎の入ったコップを片手に馬場を見つめていた荒尾市の男性(63)は「悲しい。35年くらい前は毎日(観客がいっぱいの)こんな状態だったのに。(廃止が)何とかならないかなあ、と思うよ」。
 15時15分 最終第9レース「さよなら・感謝・荒尾競馬」を走る12頭が、移籍先の佐賀競馬20+ 件でデビューを目指す騎手の卵、小山紗知伽(さちか)さんの馬に先導されて、出走ゲートに向かう。最後のファンファーレが鳴り響き、満員のスタンドから大きな拍手が湧き起こる。
 15時18分 牧野孝光騎手(47)が乗るサマービーチが最後にゲートに入った。実況の北本誠アナウンサー(35)は「千秋楽結びの一番、態勢完了!」とアナウンス。
 15時19分 最終レースがスタート。サマービーチが抜け出し、スタンドに馬券の紙吹雪が舞う中、独走で有終の美を飾った。「マ・キ・ノ、マ・キ・ノ!」「ありがとう!」とスタンドから歓声が上がる。牧野騎手は「最後を締めくくれて良かった。30年間、悔いはない」と笑顔。
 15時39分 騎手たちが中央のステージにあがり、表彰式が始まる。観客にレースで使ったムチを投げ、プレゼントするシーンも。
 15時43分 ステージ上の騎手たちをスタンドで見つめる荒尾市の会社員、矢ケ部徹さん(50)。荒尾で騎手としてデビューし、調教師を経て、5年前に引退した。「将来の展望が見えず、辞めた。ただ、できれば荒尾は自分が死んでから終わってほしかった」
 15時53分 競馬20+ 件場そばの厩舎団地はひっそりと静まり返っていた。厩務員の野田孝昌さん(35)が、最終レースを走り終えた馬の体を丁寧に洗う。「けがをせず、無事に終わることができたのは良かったです」。同僚の石松進一朗さん(42)は「馬も3分の1くらいに減った。寂しいね」。
 16時00分 ステージ上で騎手たちが調教師に花束を贈呈。記念撮影も始まった。
 16時14分 岩永騎手が「私は荒尾競馬が大好きです」と言葉をつまらせながらあいさつ。
 16時20分 馬場を一般開放。ファンが薄暮の馬場に入り記念撮影などを楽しむ。東京都練馬区の自営業、田島聡博さん(47)は息子の広志君(12)と一緒に入り、砂をペットボトルに詰めた。田島さんは「観客との距離感の近い公営競馬20+ 件が好きだった」と話した。
 16時32分 厩舎団地の入り口近くにある馬の守り神「馬(ば)頭(とう)観音」を矢ケ部さんが訪れた。「辞めて以来だから5年ぶり。競馬で生活してる人間は、なかなか離れづらいんだよね…」と今後に不安を抱える元同僚たちを気遣った。
 17時13分 スタンドの人影がまばらになり、場内放送の「蛍の光」のメロディーが海沿いの馬場を包んだ。(西日本新聞)
【写真】 (上)大勢の観客が詰め掛けた荒尾競馬。最終レースには拍手が送られた。(中)最終レースに勝利、観客に手を振り応える牧野孝光騎手。(下)レース後、開放された夕暮れの馬場を歩く観客

響く惜別ファンファーレ 荒尾競馬“終幕”ドキュメント




 83年の歴史を刻んだ荒尾競馬20+ 件場(荒尾市)は23日夕、静けさに包まれた。未明の調教、スタンドの人波、ざわめき、食堂のにおい、馬の息遣い、笑顔と涙…。そして「さようなら」の声が最後に響き渡った。
 4時00分 有明海に臨む馬場は星空に覆われている。東には細い三日月。静寂の中、競走馬がクーンと鳴いた。
 4持52分 パカッ、パカッ…。この日のレースに出場せず、他の競馬20+ 件場に移籍する馬の調教が始まる。
 5時30分 ニット帽にダウンジャケット姿で調教に見入る福岡県筑紫野市の会社員男性(36)の手にはカメラとメモ帳。「競馬20+ 件の魅力はレースだけじゃないんです」
 8時50分 入場門前でイベントや出店の準備が進む。毎週朝市を開き、ミカンやキュウリを売ってきた荒尾市の農業河島チヨコさん(80)は「いろんな人と会って話をするのが楽しみだった。今日は最後だから頑張って売らないと」。
 8時55分 入場門そばには厩務(きゅうむ)員会のグッズ販売会場も。準備に追われていた渡辺賢一会長(47)は「(最終日が)夢であってほしい。きょうはお客さんがびっしりと入った昔の荒尾競馬の姿を見たい」。
 9時10分 開場。行列をつくっていた300人以上のファンが次々に門をくぐる。先頭で入場したのは山鹿市の会社員、中島良二さん(55)。「いつもは一人で来ていますが、夫婦で6時から並びました。荒尾は海の近い、本当にいい競馬場だと思う」
 9時15分 厩務員の子供たちが「馬のたてがみのキーホルダーを買ってくださーい」と元気に呼びかけ。厩務員会は「84」と入ったきょうのためにつくったジャンパー姿。数字は「来年2月で荒尾競馬は84周年だから」(渡辺会長)。
 9時20分 開店時間を前倒しして、騎手のグッズなどのチャリティー販売が始まる。京都府宇治市の会社員、佐古田高志さん(35)は荒尾の紅一点騎手で佐賀競馬に移籍する岩永千明さん(29)のゼッケンを手に入れた。「男性に見劣りしない、腕っぷしにほれています」と笑顔。
 9時35分 入場者の波が途切れない。ファンを出迎えていた竹原孝昭馬主会長(64)は「始まりがあれば、終わりもある。やっぱり残念だね。3月に会長になったばかりで、何とか立て直そうと皆で話し合っていたんだが…」。
 10時20分 第1レース発走前。発券所に長蛇の列ができる。40年間、荒尾競馬に通っているという福岡県大牟田市の男性(71)は「見慣れない顔が多いなー」とつぶやいた。
 10時32分 第1レースが始まる。スタンドには多くのファン、家族連れの姿も目立つ。荒尾所属のジーエスイワンコフが1着となった。
 10時59分 第2レース直前、40年以上、立ち売りスタイルで予想屋を続けてきた田中勝喜さん(76)は「こんなににぎわうのは20年ぶりかな。正月みたいだ。みんな、別れを惜しんでいるんだろう」と言い残し、レースを見に行った。
 12時25分 出走ゲートそばの児童公園は体験乗馬コーナーが設けられた。馬に揺られる子供たちの歓声が響く。
 12時45分 第5レースが始まる直前の検量所前に、調教師と騎手でつくる「調騎(ちょうき)会」会長の調教師平山良一さん(63)の姿が。「残念という気持ちと、無事に終われそうだという思い、まだ行く先が決まっていない人たちを案ずる気持ち、いろいろな思いが重なっている」
 13時45分 3階特別観覧席は680全席が埋まり、入場制限。ジュースの自動販売機に「売り切れ」の文字が並ぶ。
 14時20分 スタンド上段で、焼酎の入ったコップを片手に馬場を見つめていた荒尾市の男性(63)は「悲しい。35年くらい前は毎日(観客がいっぱいの)こんな状態だったのに。(廃止が)何とかならないかなあ、と思うよ」。
 15時15分 最終第9レース「さよなら・感謝・荒尾競馬」を走る12頭が、移籍先の佐賀競馬20+ 件でデビューを目指す騎手の卵、小山紗知伽(さちか)さんの馬に先導されて、出走ゲートに向かう。最後のファンファーレが鳴り響き、満員のスタンドから大きな拍手が湧き起こる。
 15時18分 牧野孝光騎手(47)が乗るサマービーチが最後にゲートに入った。実況の北本誠アナウンサー(35)は「千秋楽結びの一番、態勢完了!」とアナウンス。
 15時19分 最終レースがスタート。サマービーチが抜け出し、スタンドに馬券の紙吹雪が舞う中、独走で有終の美を飾った。「マ・キ・ノ、マ・キ・ノ!」「ありがとう!」とスタンドから歓声が上がる。牧野騎手は「最後を締めくくれて良かった。30年間、悔いはない」と笑顔。
 15時39分 騎手たちが中央のステージにあがり、表彰式が始まる。観客にレースで使ったムチを投げ、プレゼントするシーンも。
 15時43分 ステージ上の騎手たちをスタンドで見つめる荒尾市の会社員、矢ケ部徹さん(50)。荒尾で騎手としてデビューし、調教師を経て、5年前に引退した。「将来の展望が見えず、辞めた。ただ、できれば荒尾は自分が死んでから終わってほしかった」
 15時53分 競馬20+ 件場そばの厩舎団地はひっそりと静まり返っていた。厩務員の野田孝昌さん(35)が、最終レースを走り終えた馬の体を丁寧に洗う。「けがをせず、無事に終わることができたのは良かったです」。同僚の石松進一朗さん(42)は「馬も3分の1くらいに減った。寂しいね」。
 16時00分 ステージ上で騎手たちが調教師に花束を贈呈。記念撮影も始まった。
 16時14分 岩永騎手が「私は荒尾競馬が大好きです」と言葉をつまらせながらあいさつ。
 16時20分 馬場を一般開放。ファンが薄暮の馬場に入り記念撮影などを楽しむ。東京都練馬区の自営業、田島聡博さん(47)は息子の広志君(12)と一緒に入り、砂をペットボトルに詰めた。田島さんは「観客との距離感の近い公営競馬20+ 件が好きだった」と話した。
 16時32分 厩舎団地の入り口近くにある馬の守り神「馬(ば)頭(とう)観音」を矢ケ部さんが訪れた。「辞めて以来だから5年ぶり。競馬で生活してる人間は、なかなか離れづらいんだよね…」と今後に不安を抱える元同僚たちを気遣った。
 17時13分 スタンドの人影がまばらになり、場内放送の「蛍の光」のメロディーが海沿いの馬場を包んだ。(西日本新聞)
【写真】 (上)大勢の観客が詰め掛けた荒尾競馬。最終レースには拍手が送られた。(中)最終レースに勝利、観客に手を振り応える牧野孝光騎手。(下)レース後、開放された夕暮れの馬場を歩く観客

荒尾競馬、83年の歴史に幕…最古の地方競馬


 現存する地方競馬としては国内最古の歴史を持つ熊本県の荒尾競馬が23日、83年の歴史に幕を下ろした。
 スタンドには近年で最多の約8900人が詰めかけ、海沿いの本馬場特有の潮風の中を疾走する競走馬に最後の声援を送った。本馬場を一般開放するなどのサービスもあり、ファンたちは過去のレースを振り返るようにコースを踏みしめていた。
◆最終レース
 最終レースは騎手を目指して訓練してきた小山紗知伽さんの先導で所属騎手12人が入場した。
 午後3時17分、ファンファーレが鳴り響くと、約8900人で埋まったスタンドがざわめいた。同18分、スタート。歓声の中、1着で駆け抜けたのは、ベテランの牧野孝光騎手が騎乗する「サマービーチ」。笑顔で手を振る牧野騎手に「ありがとう」「お疲れさま」という声が飛んだ。
 これに続いてセレモニーがあり、騎手や調教師、馬主、厩務員ら関係者がスタンドの前に整列。荒尾市の前畑淳治市長は「心の中に、荒尾競馬を大切な思い出として残していただきたい」とファンに呼び掛け、牧野騎手は「最後のレースで勝てた。悔いはありません」と震える声で話した。
◆ファン
 競馬場入り口には早朝からファンが列を作り、午前9時10分の開場とともに流れ込んだ。スタンドではレースを写真に収めようとカメラを構え、騎手や出走前の馬を間近で見られるパドックにも人垣ができた。
 ファンの一人で、荒尾市の馬場賢晋さん(35)は、馬主だった父の影響で小学生の頃から通い、厩務員として働いたこともあった。「廃止だなんて信じられない」と目を潤ませ、「これだけのファンがいるのだから、継続もできたのでは」と惜しんだ。
 神戸市の会社員男性(50)は「海のそばで眺めもよく、馬との距離が近くて好きだった。なくなってしまうのは寂しい」と肩を落とした。
 レース終了後、一般開放された本馬場には多くのファンがスタンドから降り立ち、幾多の競走馬が駆け抜けたコースを名残惜しそうに踏みしめた。騎手にサインを求める姿も見られた。
◆引退
 この日を最後に引退する関係者も多い。荒尾競馬の代表的な調教師平山良一さん(63)もその一人。廃止が決まって他競馬場に移籍を求めたが、年齢のハンデから断念し、引退を決めた。
 調教師生活33年。育てた馬、騎手は数知れない。この日最後の重賞レースでも自らの厩舎の馬が勝利し、有終の美を飾った。
 「好きな道だったから苦労を感じなかった。気分良くフィナーレを迎えられてありがたい」。レース終了後、騎手一人ひとりを「お疲れさんでした」と温かく迎え、労をねぎらっていた。
 吉田隆二騎手(46)も27年間の騎手生活を終えた。「数々の大きなレースを走り、プレッシャーをはねのけて勝てたことが思い出。これをバネに次の人生に挑戦したい」と話し、家族との記念写真に収まっていた。(読売新聞)
【写真】騎手からサインをもらう競馬ファンたち

12歳アラブ馬、地方競馬最多勝記録ねらい奮闘中


 日本の競馬を支え、最盛期には約1万頭いた競走用のアラブ馬が、馬場から消えつつある。現役は福山競馬(広島県福山市)などの6頭。競走馬としては6~12歳と高齢だが、サラブレッドに交じって出走し、地方競馬の最多勝記録の更新を目指す馬もいる。スピードはそこそこでも力強く走る“泥臭い姿”にファンらは声援を送っている。
 純粋のアラブ馬はアラビア半島原産。日本では、サラブレッドとの交配種「アングロ・アラブ」が持久力に優れるとして戦前は軍馬として多く育てられた。
 地方競馬全国協会によると、戦後は各地の競馬場で活躍。地方競馬での登録数は1986年に9938頭に達したが、高速レースを展開するサラブレッドが主流になり、日本中央競馬会はアラブ馬だけのレースを95年に廃止、地方競馬も2009年に取りやめた。
 国内のアラブ馬は、乗馬用などに年10頭前後が生産されるが、競走馬は08年10月のデビューが最後。今年11月末の登録数は24頭だが、現役は福山競馬の4頭と門別競馬(北海道日高町)の1頭、荒尾競馬(熊本県荒尾市)の3頭のみだった。このうち廃止が決まり、23日に最後のレースが行われた荒尾競馬では2頭が引退、1頭が移籍を検討中だ。
 勝てなくなった馬も多い中、福山競馬では牡馬「モナクカバキチ」が奮闘する。12歳で人間なら50歳近いが、7月に2勝して通算54勝とし、地方競馬最多勝の新記録(55勝)を目指す。 現在は勝利から遠ざかっているが、走る意欲は旺盛だ。元厩務員、加藤隆由さん(37)(岡山市)が開設するブログ「モナクカバキチ最多勝への道」には「アラブの心意気を見せて」「壮年パワーに元気をもらっている」などのメッセージも届く。加藤さんは「地道に勝利を重ねた姿に多くの人が勇気づけられている。少しでも長く、元気に走って」と願っている。
 「厩舎物語」の著者で、荒尾競馬の2頭の馬主でもある大月隆寛・札幌国際大教授(民俗学)は「負けん気が強く、走りに味があるアラブ馬に、日本の競馬界がどれだけ世話になったことか。最後の馬主になってもアラブの灯を消さないよう頑張る」と語る。(読売新聞)

2011年12月23日金曜日

荒尾競馬:地方最古、23日に83年の歴史に幕 再就職困難、関係者の思いは

現存する地方競馬場では最も古い荒尾競馬(熊本県荒尾市)が23日の最終レースで83年の歴史に幕を下ろす。荒尾市の前畑淳治市長が廃止を正式表明してから3カ月。その歩みは炭鉱の盛衰と重なり、再就職先が決まらない人も多い。関係者はやるせない思いで最終日を迎える。

 ■炭鉱と共に

 今月16日の開催日。最終日を1週間後に控え、いつもより4割多い約1400人が来場した。倍率が表示されたモニター画面をにらみ、競馬新聞を握りしめてレースに入れ込むファン。プレハブ建ての食堂から外を眺める女性店員(74)は「今日はそこそこにぎわっとるねえ」とつぶやいた。ここで働き始めて二十数年。平成の初めごろ店員は8人いたが、今は2人で切り盛りしているという。「昔はすごかったんよ」と懐かしそうに語る。

 荒尾競馬が始まったのは1928年3月。旧三井三池炭鉱の労働者らにとって最大の娯楽だった。80年度には約152億円を売り上げたが97年3月の炭鉱閉山を機に状況は一変。「あれが一番痛かった。あの時からいつかこうなるのではと、みんな思っていたんじゃないですか」と関係者。昨年度の売り上げは約48億円とピーク時の3分の1にまで落ち込んだ。

 競馬組合や市も手をこまねいていたわけではない。02年度から組合の職員削減、騎乗手当カット、さらにネット投票導入や場外馬券発売の受託日数増など改善に乗り出したが、好転しなかった。金曜日の開催だが、8年前から厩務(きゅうむ)員会長を務めている渡辺賢一さん(47)は「他競馬との絡みもあってだが、客商売ならやはり土日に開催しないで人が集まるわけがない」。

 ■困難な再就職

 荒尾市は廃止に伴い、調教師会、厩務員会、装蹄(そうてい)師会などと1人平均94万~780万円の協力見舞金を支給する調印をした。調教師や厩務員、騎手ら現場関係者は102人。12月1日時点で市が把握している再就職先が決定または内定者は40人にとどまる。2人は引退。43人は未定で、中には引退や別の職種を考える人もいるという。ただ残る17人は、市の支援を希望しておらず実態をつかめていない。

 渡辺さんも未定だ。高校卒業後にこの世界に入り、妻と小学生の娘2人の計4人家族。最終レースを見届けない限り、落ち着いて今後を見据える気になれないという。厩舎ごと佐賀競馬に移籍する幣旗吉昭調教師(58)は「他の人はどうするのか」と気にかける。

 九州では01年の中津競馬(大分県中津市)に次ぐ廃止で、地方競馬は佐賀競馬だけになる。佐賀県競馬組合の渕上忠博次長は「一緒に頑張ってきたパートナーを失い、かなり厳しい。佐賀が九州唯一となるので何とか盛り上げたい」と話している。

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 ◆荒尾競馬を巡る主な出来事◆

1928年 3月 熊本県畜産連合会などによる第1回レースが開催され144頭が出走

  55年10月 熊本県と荒尾市による「荒尾競馬組合」発足

69年度     売り上げ10億円を突破

75年度     売り上げ100億円を突破

  94年 5月 園田競馬(兵庫県)と荒尾競馬所属の競走馬が入れ違って出走していた問題が発覚

  95年10月 JRA場外発売所開設

  97年 3月 旧三井三池炭鉱閉山

98年度     単年度赤字に転落

99年度     赤字により荒尾市への繰り入れゼロに

  00年 6月 荒尾・佐賀・中津(大分県中津市)3場で九州競馬スタート

  01年 3月 中津競馬廃止

06年度     累積赤字が10億円を突破

  09年10月 検討会が「11年度までに経営改善困難なら存続断念」を提言

  11年 9月 前畑淳治市長が年内廃止を表明

     12月 最終レース(23日)

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 ■ことば

 ◇荒尾競馬
 熊本県畜産連合会や地元有志が、1928年に第1回となるレースを開催。55年、県と荒尾市による一部事務組合「荒尾競馬組合」が運営を始めた。ピークの80年度には約152億円を売り上げた。これまで市に約87億円を繰り入れ財政を支えてきたが、98年度からは単年度赤字が続き、翌99年度以降の繰り入れはゼロ。約26万平方メートルの跡地活用策は決まっていない。13億6000万円を超える累積赤字の処理も課題。(毎日新聞)

2011年12月19日月曜日

23日廃止の荒尾競馬、関係者の半数が再就職未定

荒尾市の荒尾競馬は23日のレースを最後に83年の歴史に幕を下ろす。最盛期には市の財政に多大な貢献をしたが、レジャーの多様化とともに衰退し、逆に財政的な“お荷物”となってしまった。年度末の廃止へ向けた手続きが進むが、従事者の再雇用問題など課題は山積している。

<雇用>
 市競馬対策課によると、競馬場で働く関係者は102人。競馬組合(主催団体)管理者を務める前畑淳治市長が9月に廃止を表明して以降、市は再就職を支援してきた。
 11月30日現在、調教師14人中4人、騎手13人中10人、厩務員63人中27人、装蹄師9人中1人の再就職が決定・内定(獣医師3人は未定)。だが、半数以上の残る60人は未定で、うち7人は高齢などを理由に引退を予定しているという。
 未定者が最も多い厩務員は年配の人が多く、引き受け先が少ない。別の仕事を探すのも難しく、この道40年という男性(63)は「(23日の)最終レース後に本格的に再就職先を探すが、最悪のケースを想定しなければならないかもしれない」と不安を口にする。
 装蹄師の波多野忠さん(51)は「我々のような特殊な職種は仕事場が限られ、他の競馬場にも容易には入れない。廃業しかないのかな」とポツリ。市の担当者は「全力を挙げ、年度末には再就職率100%に近づけたい」と言うが、現実は厳しい。

<補償>
 市と競馬場に携わる人たちとの間には直接の雇用関係がなく、退職金を払うことはできない。一方で、収益金を市の一般会計に繰り出しており、関係は深い。このため、退職金に代わる形で「協力見舞金」を出すことにしている。
 ただ、他の廃止競馬場の例と比べると金額的に少ない。市と各職種代表との交渉は調教師、厩務員、装蹄師会、予想紙関係者の組合とは決着したが、騎手、馬主などとは交渉中。
 特に、馬主会との交渉はハードルが高い。組合側は昨年8月、競走馬の出走手当を引き下げており、馬主側は引き下げ分の総額約9400万円の補償も求めているからだ。行き場のない馬の処分も始まっていることもあり、対立は根深い。
 このほか、場内の食堂で働く従業員も職場を追われることになる。市は当初、見舞金の支払い対象にしていなかったが、窮状を訴えられ、交渉を進めている。

<市の責任>
 組合管理者の前畑市長は、廃止決断の理由をこう述べた。
 「1997年の三池炭鉱閉山を契機とし、レジャーの多様化もあって売り上げ、入場客とも年々減少した。将来も累積赤字を解消する見込みが立たない」
 現在3期目。2003年1月の市長就任以来、「あらゆる手段を尽くして経営改善に努めてきた」と言う。だが、就任当初の累積赤字約6億円は現在、13億4000万円に倍増した。
 競馬法は、地方競馬の存在理由の一つに地方財政への寄与を挙げている。荒尾競馬では、これまで、収益の中から同市に87億5000万円、県に3億8000万円を繰り出してきた。1998年度まで、赤字の年でも繰り出しは続いた。
 馬主たちは「(繰出金のうち)少しでも競馬場改修費などに回してファンを増やしたり、場内の民有地を買収して借地料負担を無くしたりしていれば、経営は相当違っていたはず。市の無策が今日を招いた」と指摘する。
 前畑市長は「責任は感じている。私が競馬組合議長をしていた県議時代も(馬主たちと)同様に主張してきた。当時の市は財政窮乏を理由に(設備投資などへの出費を)受け入れなかった」と釈明している。
 競馬場は有明海に面した約25万7000平方メートル。市は来年1月、跡地の活用検討委員会を設置する。有明海湾岸道路用地、公園化、さらには発電所などの企業立地など早くも様々な意見が出始めている。過ちを繰り返さないため、徹底した総括と市民挙げての議論が必要だろう。(読売新聞)

【荒尾】最高齢騎手 48歳の尾林幸彦が引退

荒尾競馬(熊本県荒尾市)の最年長騎手・尾林幸彦(48)が、同競馬が23日に経営難のため廃止されるのを機に引退する。10年前に廃止された中津競馬(大分県中津市)から移籍した通算2665勝のベテランは、2度目の廃止を迎えて決断した。

 尾林は16歳でデビュー。中津競馬で2度最多勝となるなど中心騎手として活躍した。2001年3月に同競馬が廃止された際、知人の調教師の誘いで荒尾競馬に移籍。同競馬が存続する限り現役を続けるつもりだったが「この年齢で移籍してまた一から苦労はできない」と引退を決意。次の進路は年が明けてから考えるという。(スポニチ)

2011年12月17日土曜日

市民団体、園田・姫路競馬の廃止申し入れ…「地方競馬の落ち込みは顕著」

市民団体「市民オンブズ尼崎」は23日、尼崎市の園田競馬場と姫路市の姫路競馬場について、廃止を求める申し入れ書を尼崎市の稲村和美市長に提出し、知事と姫路市長にも郵送した。「両競馬場を運営する兵庫県競馬組合の売り上げが減っているうえ、改善策として計画中のナイターレースが実施されると、治安が悪化する」などと訴えている。
 兵庫県競馬組合は県と尼崎、姫路の両市で構成。同組合によると、客層の高齢化などで来場者の減少が続き、売り上げも年々減少。10年度の単年度収支は約5億5100万円の赤字となる見込みだ。同組合は収益改善策として、園田競馬場に約6億円の設備投資を行い、金曜日夜のナイターレースを検討。
 組合の11年度当初予算に設計費約2000万円を計上している。
 市民オンブズ尼崎の梅沢康弘代表世話人(63)は「景気低迷、レジャーの多様化で 地方競馬の落ち込みは顕著。ナイターで収益が改善される可能性は低く、周辺住民から治安の悪化を懸念する声があがっている」と話す。
 一方、同組合は毎日新聞の取材に「園田競馬場は大阪、神戸に近く、ナイターであれば平日昼に競馬場に来ることができない新たな客層の獲得も期待できる」とし、「事業廃止の訴えは時期尚早。治安悪化への懸念については、警備員を増員するなど対策を取る予定で、住民説明会を開き理解を求めている」としている。(毎日新聞:2011年8月25日版)

騎手との別れ惜しむファン 荒尾競馬でサイン会


 23日がラストレースとなる荒尾市の荒尾競馬場で16日、所属騎手のサイン会が開かれた。競馬ファン約120人の長い列ができ、新天地へと向かう騎手たちと別れを惜しんだ。

 渡韓中の西村栄喜騎手(36)を除く12人が色紙にサインを寄せ書き。村島俊策騎手(29)が「ありがとうございました。23日も必ず来てください」と手渡した。

 岩永千明騎手(29)のファンという合志市の飯島博さん(76)は「今度は佐賀競馬に応援に行きたい。廃止に負けず活躍してほしい」とエールを送る。一方で「荒尾競馬場は娘を連れて遊びに来ていた思い出の場所。寂しくなりますね」と名残惜しげだった。

 ずっと通っていたという福岡県筑紫野市の河室美帆さん(38)は「騎手には新しい道でも頑張ってほしい。今までありがとうございました」。

 16日は荒尾競馬の情景を見たいと、通常の1・5倍、1400人が来場。名馬の写真を使ったカレンダーや競馬場の砂を詰めた小瓶も配布された。(熊本日日新聞)
【写真】サインを寄せ書きした色紙を手渡す荒尾競馬所属騎手。別れを惜しむファンの長い列ができた=荒尾市の荒尾競馬場

2011年12月16日金曜日

荒尾競馬「見舞金」で確認書 調教師、厩務員

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 荒尾競馬組合は15日、事業廃止に伴う協力見舞金交渉で妥結した調教師(14人)、厩務(きゅうむ)員(61人)と確認書を交わした。支給は調教師が所属する県調騎会に対して計約1億900万円、厩務員会について計1億3千万円。個別の金額は「混乱の恐れがある」(市幹部)として公表していない。来年3月の定例市議会に補正予算案を提案する予定で、可決されれば同月末までに支給する。
 見舞金は、過去3年のそれぞれの平均年収や勤務期間などを加味した「生活再建支援金」と、再就職支援金(1人当たり18万円)を合算した額。厩務員会については解散にかかる経費50万円も含まれる。退去に伴う交通費は別途支払う。
 残る交渉中の対象者は馬主(約120人)、騎手(13人)、獣医師(3人)、食堂経営者(10人)。(西日本新聞)

2011年12月15日木曜日

荒尾競馬 見舞金合意確認書締結


 荒尾市は、来週で廃止となる荒尾競馬場の調教師と厩務員の協力見舞金について合意に至り、確認書の調印式をきょう行いました。きょうの調印式では、協力見舞金の合意に至った調教師14人と厩務員61人のそれぞれの代表者が、書面に調印しました。協力見舞金の総額は、調教師はおよそ1億1000万円、厩務員はおよそ1億3000万円。1人当たりの平均は調教師はおよそ780万円、厩務員がおよそ210万円ということです。荒尾市は、議会の承認を得た上で、今年度中にも支払うことにしています。一方、騎手や馬主などおよそ150人がまだ合意に至っておらず、荒尾市は、引き続き話し合いを重ねるなどして、今年度中に全ての関係者への協力見舞金の支払いを目指しています。(テレビ熊本)

プロスポーツ大賞地方競馬部門 山中騎手に功労賞


62歳 最年長記録を評価 金沢競馬で初
 国内プロスポーツ界の成績優秀者に与えられる「第44回日本プロスポーツ大賞」の地方競馬部門功労賞に、金沢競馬の山中利夫騎手(62)が選出された。地方競馬全国協会が13日発表した。金沢競馬で功労賞受賞は初めて。
 山中騎手は1967(昭和42)年に大阪の春木競馬場(現在は廃止)でデビューし、その後和歌山県の紀三井寺競馬場(同)などを経て、1980年から金沢競馬場で騎乗している。今なお現役で、これまで2811勝(13日現在)を挙げている。今回は今年六月に国内の最年長騎乗記録を更新したことが評価された。
 受賞を知った山中騎手は「長いこと頑張ってきたご褒美だと思う。また一日一日頑張りたい」と話した。表彰式は20日に東京都内のホテルで行われる。(中日新聞)

大村愛知知事:県競馬組合の議員報酬ゼロを提案へ

愛知県と名古屋市、豊明市で構成する一部事務組合「愛知県競馬組合」議会の組合管理者を務める大村秀章知事は、議員報酬をゼロにする条例改正案を27日開会の12月定例議会に提出する方針を決めた。15日に開かれる「議会あり方検討会」で説明する。

 名古屋競馬を運営する組合の累積赤字は昨年決算で約40億円に上り、経費削減に向けて報酬見直しが不可欠と判断した。

 組合議会は▽県議8人▽名古屋市議8人▽豊明市議2人--で構成され、条例に基づき各議員に月額3万1000円が支給されている。

 改正案では、現議員の任期が終わる来年5月まで無報酬とし、それ以降は改めて議論するとしている。

 県競馬組合や名古屋港管理組合など一部事務組合議会の議員報酬について、河村たかし名古屋市長も「報酬の二重取り」と批判。県競馬組合議会は報酬を月1万円、議会開催時の日当1万円の年15万円程度にする正副議長案を軸に報酬削減を調整していた。(毎日新聞)

2011年12月13日火曜日

養老牧場:引退馬に幸せな余生を 八重樫美織さん、賛同者協力受け那須に/栃木

◇殺処分知り「救いたい」
 年老いた競走馬の多くが殺処分される運命にあるのを知った女性が、馬を引き取る「功労馬の余生牧場」を那須町に開いた。八重樫美織さん(37)。23日には熊本県荒尾市の地方競馬・荒尾競馬場が最終レースを迎え廃止される。「走るだけ走らせて殺されるなんて」と、できるだけたくさんの馬を引き取ろうと努めている。【中村藍】
 「ほら、食べなよ」。青草を詰め込んだバケツを置き、元競走馬のフジサイレンスを優しくなでた。東日本大震災で被災した福島県南相馬市の馬主から引き取った馬だ。約6万平方メートルの牧場には馬5頭が身を寄せる。牧場名は好きだった競走馬からもらって「ブレーヴ・ステイブル」にした。
 今年で開設12年目になる埼玉県ときがわ町の養老牧場「ときがわホースケアガーデン」によると、引退馬を引き取る牧場は全国に20カ所ほどあるが、生産される馬の頭数に対してまだまだ足りないのが現状だという。
 八重樫さんは幼いころ、両親に連れられ訪れた牧場で馬と触れ合い、それから馬が好きになった。短大卒業後、さいたま市で歯科助手になったが、休日には早起きして東京都内の競馬場に出かけ、パドックを最前列で眺めていた。ある日、ひいきの馬を見なくなった。後で殺処分されたと知った。胸が締め付けられた。同時に、引退馬の余生をみる牧場の運営に思いが募った。
 仕事の傍ら、埼玉県内の牧場で研修を始めた。昨年、「スエヒロコマンダーを助けて」というファンが来た。通算4億円以上の賞金を獲得した名馬だが、すでに引退が決まり、殺処分の可能性があるという。「私が引き取る」と即決し、まず岩手県の牧場へ移した。歯科助手の仕事は辞めた。知人から那須町の牧場を借り、この夏、養老牧場の開設にこぎつけた。賛同者がボランティアやスタッフとなり、今は10人で馬や他の動物を世話している。
 今、心配なのは荒尾競馬場の約280頭の競走馬の行方だ。同競馬場の関係者は「馬のレベルが低く、他の競馬場に移って十分に走れる可能性は少ない。馬主も経済的なゆとりがなく、大部分が殺処分になるのでは」と話す。八重樫さんは馬主や関係者と交渉し、2頭の引き取りが決まった。今後も牧場のスペースが許す限り受け入れに努めるという。「命を大事にする手本となるような牧場に育てたい」と八重樫さん。もちろん、スエヒロコマンダーもここで幸せな余生を送っている。(Yahooニュース)

2011年12月11日日曜日

荒尾競馬、忘れないで 16、23日に感謝イベント




 荒尾市の荒尾競馬2 件は16日と23日でレースの開催を終える。両日は来場者向けにファン感謝イベントを実施予定。荒尾で活躍した名馬の写真を使ったカレンダーや馬場の砂を詰めた小瓶の配布、騎手サイン会などがある。厩務[きゅうむ]員らも「荒尾の思い出を忘れないで」と手作りのオリジナルグッズを準備している。
 カレンダーには第1回サラブレッド大賞典(1990年)で勝利したコーナンオーマ、第32回楠賞(93年)のダイメイゴッツと同39回(2000年)のコウザンハヤヒデ、開設83周年記念大阿蘇大賞典(11年)のテットウテツビなどが登場。満員のスタンドやモノクロームの馬場なども、83年の歴史を伝える。
 製作した日本レーシングサービス(東京)の古橋永祐さん(26)は「ファンとの距離の近さが荒尾の魅力だった。来年1年間、記憶を手元に置いてほしい」と話す。馬場の砂とともに、16、23日の来場者に無料配布する(先着順)。
 厩務員会は「記念グッズがほしい」というファンの声を受け、馬のたてがみを使ったストラップと金銀の蹄鉄[ていてつ]を製作している。23日に販売する予定。
 16日は午後4時50分から騎手サイン会も。最終日の23日は入場無料。所属騎手全員によるレースがあるほか、最終9レース終了後は馬場を開放する。荒尾競馬2 件婦人会や装蹄師会などによるプレゼント、体験乗馬も実施予定。競馬組合TEL0968(62)2210。(熊本日日新聞)
【写真】厩務員会が家族で手作りしている馬のたてがみを使ったストラップと金銀の蹄鉄
【写真】荒尾の馬場を駆けた名馬の写真を使った2012年カレンダー

2001年廃止の中津競馬は今 整備進まず・・・大半更地 「荒尾競馬」23日最終レース



 最終レースまで残りわずかとなった荒尾競馬。23日の最終日は、ファンにとっては馬が駆け抜ける姿を見られる「終わりの日」だが、ここを生活の場としてきた厩舎(きゅうしゃ)関係者にすれば新たな生活へと踏み出す「始まりの日」でもある。廃止に伴う見舞金交渉は難航し、再就職先が決まらない人も多い。跡地をどうするのかという問題も白紙のまま。荒尾競馬の行く末は-。2001年3月に廃止された中津競馬(大分県中津市)の跡地を訪ねた。
 「ここに来ると馬が走る音と歓声が聞こえる。やっぱり、悲しいな」
 競走馬の世話をする厩務(きゅうむ)員として、中津競馬で30年間働いた古梶(こかじ)好則さん(56)は廃止後、初めて馬場の跡地に立った。
 約12ヘクタールの広大な土地は大半が民有地で、一部に道路ができ、片隅にスーパーとホームセンターが建った以外はほとんど跡地利用は進んでいない。更地にわずかに残る砂だけが、かつてここがダートコースだったことを証明していた。
 隣接する厩舎団地跡(約11ヘクタール)へ向かう。入り口には「中津競馬組合厩舎団地」のプレートが忘れ物のように残っていた。馬小屋と住宅が一体化した厩舎こそ残ってないものの、道路や生け垣はそのまま。馬場と違い、往時の様子が見て取れた。「同僚の顔が浮かぶ。母校に来たようで懐かしい」。古梶さんの表情が少し晴れた。
 中津市によると、駐車場などを含む跡地(計約26ヘクタール)は市有地が4割、競馬組合所有地と民有地が3割ずつ。廃止後、市が全額出資する土地開発公社が民有地以外を約17億円で購入。当初、厩舎団地跡は、敷地内にある池を生かして公園にするはずだった。
 しかし、03年11月の市長選で現職が敗れ、計画は白紙に。市民代表が1年近く話し合った結果、スポーツ広場とする活用案がまとまった。ようやく来年4月から野球場の建設など本格的な整備に取り掛かるという。
   ◇   ◇
 古梶さんは今、跡地近くの新聞販売店で店主をしている。配達や集金で跡地そばを通る時は、車のアクセルを強く踏むという。「無理やり(競馬場での時間を)断ち切って、生きるためだけに費やした10年だった。立ち止まったら時間が一気に戻ってしまう気がした」からだ。
 記者とともに再びこの地を訪れる気になったのは「今の仕事が軌道に乗ったから」。古梶さんによると、約300人いた厩舎の仲間のうち、廃止後も競走馬に関われたのは1、2割。引退したある騎手は、ファンに気付かれないために「遠くの町の工事現場」へ行ったと聞いた。
 馬も同じ。市は把握していないが「最後までいた約200頭の大半が殺処分されたはず」と古梶さんは話す。
   ◇   ◇
 荒尾も当時の中津と似た状況にある。調教師や騎手など厩舎で働く102人のうち、再就職先が見つかったのは40人。引退が9人。残る53人はまだ決まっていない。約230頭の馬もほかの競馬場へ移籍できるのは3分の1程度にとどまるとみられている。
 荒尾市は、跡地(約26ヘクタール)について、市民を交えた検討チームを近く発足させ、来年度中に活用策を示す方針だ。自治体財政に計約91億円を繰り入れてきた荒尾競馬はかつて地域を潤す源泉だった。そんな「功労者」にむくい、地域再生につながる次の一手を急ぎたい。(西日本新聞)
【写真】10年ぶりに中津競馬の馬場跡に立ち、当時の様子を語る古梶さん。楕円形のコースを分断するように道路が敷かれていた。

岩手競馬:売り上げ好調、宮古は1.5倍に 沿岸部の行楽施設は被災

沿岸部で岩手競馬の馬券の売り上げが好調だ。宮古、種市(洋野町)の両場外馬券売り場では、販売額がそろって昨年を上回っており、関係者は震災による影響を指摘している。

 県競馬改革推進室によると、5月14日~今月5日までのレース開催日90日間の馬券売上金額は宮古の場外馬券売り場で2億7800万円、種市では4億8800万円。宮古では昨年同期の1・5倍、種市では約1・1倍となる好調ぶりだ。

 県競馬組合の平野直・経営管理部長は「震災により沿岸部の行楽施設が被災し、競馬が身近な娯楽として親しまれているのではないか」と分析。宮古に限っては、隣接する釜石の場外売り場が被災して、営業を休止していることも影響しているという。

 一方、県内全体の売り上げは前年比で約10%減少した。(毎日新聞)

2011年12月10日土曜日

岩手競馬:昨年度の収支均衡は維持 存続条件クリア

県競馬組合議会がこのほど、盛岡市内で開かれ、岩手競馬の今年度一般会計補正予算や10年度決算などを承認した。
 補正予算は、馬券発売機などの更新に伴い、2億3221万3000円を計上。維持コストや人件費の削減につながり、全国の地方競馬発売所で払い戻しができ、利便性も上がるという。
 10年度の発売額は184億3600万円。東日本大震災により3月の特別開催を中止したため、計画額を11%下回ったが、日本中央競馬会(JRA)からの寄付金などにより、経常損益を0とし、存続条件の収支均衡を保った。入場者数は前年度比14・5%減の30万5667人だった。
 また、管理者の達増拓也知事は来年度の予算編成にあたり、賞金や出走手当など賞典費の引き上げを前向きに検討する考えを示した。岩手競馬の賞金は経費削減のため06年以降毎年引き下げられ、全国最低水準となっている。(毎日新聞)

2011年12月9日金曜日

水沢競馬 きょう再開 来月9日まで14日間


 東日本大震災のために開催が見送られていた水沢競馬が10日から、奥州市水沢区の水沢競馬場で再開する。スタンドが損傷し、競馬場の存続さえ危ぶまれたが、地方競馬全国協会から補助金を受け復旧工事を終えた。年間約80日間のレースは、14日間に減るが、騎手や厩務(きゅうむ)員らは「ようやく地元の期待に応えられる」と出走のファンファーレを心待ちにしている。
 8日早朝。同競馬場では薄暗いうちから何頭もの馬が白い息を吐きながら、馬場を駆けていた。菅原俊吏騎手(30)は「開催を待っていたファンに、いつも以上に良いレースを見せたい」と声を弾ませた。
 震災後は馬の飼育費支給や厩務員の給与も減った。県調騎会(奥州市水沢区)の村上昌幸副会長(57)は、「不安のない環境で調教することすら難しいが、馬主やファンのために最高のレースを目指したい」と話す。
 水沢開催は来年1月9日まで。同競馬場は12日まで、入場料を無料とする。10日は先着1050人に畜産加工品をプレゼント。昨年に「岩手ダービー」など岩手三冠馬となったロックハンドスターの記念展も開かれる。(読売新聞)
【写真】10日のレースに向けて調教する騎手ら(8日、奥州市の水沢競馬場で)

2011年12月3日土曜日

荒尾の岩永騎手、佐賀競馬へ 通算200勝達成


  荒尾競馬組合は2日、人気女性ジョッキー岩永千明騎手(29)の佐賀競馬(鳥栖市)移籍が決まったと発表した。来年1月1日付。先に佐賀移籍が決定した幣旗吉昭調教師(58)の厩舎[きゅうしゃ]に所属。騎手候補生小山紗知伽さん(17)と共に新天地へ挑む。

 岩永騎手は佐賀県出身。2004年4月にデビューし、04、05年の全日本レディース招待競走で2連覇。07年には落馬で大けがを負ったが復帰を果たし、昨年のレディースジョッキーズシリーズでも初の女王に輝いた。

 2日の第6レースで「今年の目標」としていた通算200勝を達成。「絶対に荒尾で200勝したいと思っていた。これまで支えて下さった方々に感謝したい」と話した。

 一方、荒尾市競馬20+ 件対策課は、11月末現在で競馬関係者102人のうち進路決定者は42人にとどまり、半数以上が未定であることを明らかにした。このうち36人は再就職支援を希望しているという。

 前畑淳治市長は「満足のいく数字ではない。新年度から新しい生活に入ってもらえるよう、県やハローワークとも協力して支援にあたりたい」としている。(熊本日日新聞)
【写真】2日の第6レースで通算200勝を達成した岩永千明騎手。来年1月からは佐賀競馬で騎乗する=荒尾市の荒尾競馬場

2011年12月2日金曜日

荒尾競馬:武豊騎手来場に沸く--年内廃止

日本中央競馬会(JRA)の人気騎手、武豊騎手(42)が1日、荒尾市の荒尾競馬に出場、騎乗後のトークショーでも会場を沸かせた。大勢のファンらが駆けつけ、来場者は2018人と通常の平日開催の約2倍だった。

 荒尾競馬は今月23日の最終レースで競馬開催を終了する。武騎手はそれを知り、一肌脱ぎたいと廃止前の来場を希望したという。荒尾競馬での騎乗は今回が3回目。騎乗した第7レースで惜しくも2着に。トークショーでは「荒尾での最後のレースなので勝ちたかった」と残念がった。荒尾競馬について「中央の競馬場と比べ、ファンとの距離が近い。こんなに海が近い競馬場も他にない。コースも乗りやすい」と話し、廃止を惜しんだ。

 最後に「こうやってたくさん来ていただいて、我々にとっては一番うれしい。僕自身も頑張っていこうと思っていますので、皆さんも競馬を応援してください」と呼びかけた。

 ◇23日お別れイベント--馬場開放、プレゼント用意
 荒尾競馬組合は1日、最後の開催となる23日にファイナルイベントを開くと発表した。通常大人100円の入場料を無料にし、レース終了後は馬場を開放する。通常11レース行うところを全9レースとし、午後3時半ごろに終了。前畑淳治市長がファンにあいさつして、馬場への立ち入りを自由にする。(毎日新聞)

 来場した先着4000人に2012年のオリジナルカレンダー、同5000人に馬場の砂を入れた小瓶をプレゼントする。カレンダー作製は今年が最後となるため、荒尾競馬に所属した往年の名馬が写真で紹介されるという。

 この他、体験乗馬やくまもと赤牛焼き肉の試食会などがある。

競馬継続の最大条件クリアへ

存廃の岐路に立つ福山競馬が、現在の発売収入が維持できれば本年度の実質単年度収支が黒字となり、事業継続の最大条件をクリアする見通しとなった。福山市の羽田皓市長が1日、市議会で明らかにした。来年度の予算編成ができるか、どうかが残る条件となる。

 市競馬事務局によると、計64日間開催した11月27日までの売り上げは1日平均8358万円。当初予算の8234万円に比べ101・5%を維持した。4~12月の計63日間で91・0%だった昨年度と比べ、約10ポイント上回っている。東日本大震災の影響で東北地方などのレース中止が相次ぎ、インターネット投票が大幅に増えた。

 1~3月の第4四半期は例年、売り上げが伸びる傾向にある。昨年度の同期は、当初予算に比べ125%を達成した。羽田市長は、市議会で「現行水準の発売収入なら本年度は収支を確保できる」と説明した。

 福山競馬は約20億円の累積赤字を抱える。来年度の予算編成は、震災の影響が収まり、減少することが予測される収入と、振興策などの出費のバランスが課題となる。(中国新聞)

2011年12月1日木曜日

特区で7重勝馬券ができる佐賀競馬

内閣府は11月28日、特定地域で国の規制を緩和する「構造改革特区」として、佐賀競馬(佐賀県鳥栖市)を運営する県競馬組合が、法律で認められてない「7重勝単勝式」の馬券を販売することを認定した。
 組合は、2年連続の赤字決算で、収入増が喫緊の課題となっており、収益増に結びつくことを期待している。
 7重勝単勝式は、指定した7レースの1着馬をすべて予想する馬券。現行の競馬法では、「5重勝」までと定められているが、組合は、新しいタイプの馬券がファンの獲得につながるとして、特区申請していた。来年度からインターネットで販売する予定で、年間の売り上げ目標額は約2億6400万円。
 「7重勝」の発売は全国初で、組合の江崎保夫事務局長は「配当が高くなるのが魅力。ネット販売を通じて、全国の競馬ファンに佐賀競馬の魅力を伝えたい」と話している。
 県競馬組合の昨年度の決算は、馬券売り上げ減少が響いて2年連続の赤字で、累積赤字額は2億4800万円に膨らんでいる。
 歳入は114億3100万円で、馬券売り上げは前年度比4・8%減の104億2200万円。入場者数(専用場外発売所を含む)は9・4%減の48万9900人で、競馬場での売り上げが11・5%ダウンの51億6800万円にとどまった。
 歳出は116億8000万円。1着賞金を削減し、賞金・奨励費を1・4%減の12億5600万円に抑え、職員の人件費も13・8%減の1億6400万円まで下がった。
 日本中央競馬会(JRA)や荒尾競馬(熊本県)との交流などによるレースの多様化を図ったが、収入減に歯止めがかからなかった。11月25日に開かれた組合の定例議会では、馬券の売り上げが前年度比で約2割落ち込んだ田野場外発売所(宮崎市)について、早急な廃止を求める意見などが出た。(読売新聞)

2011年11月29日火曜日

賞典費引き上げ検討 県競馬組合議会で知事

県競馬組合議会(及川幸子議長、議員10人)は28日、盛岡市の盛岡競馬場で開かれた。2010年度一般会計決算を認定し、事業運営費を増額する11年度の補正予算案を可決。管理者の達増知事は全国最低水準の賞典費に関し、来年度以降に引き上げを検討する考えを示した。
 10年度決算は、震災による6日間の特別開催中止などで発売収入184億3600万円(最終計画比96・7%)。地方競馬全国協会や日本中央競馬会からの1億200万円分の支援金や交付金支払い猶予などがあり収支均衡を保った。
 11年度補正予算は発売収入を12億1千万円上方修正し、勝ち馬投票券発売機の導入・更新などを行う事業運営費を3億6700万円増額。当期利益は8400万円となる見込みだ。(岩手日報)

荒尾市:競馬の見舞金を計上 一般会計補正予算案を発表

荒尾市は28日、市議会定例会(12月5日開会)に提案する議案を発表した。12月に廃止する競馬事業で、関係者に支払う協力見舞金の一部5365万円を今年度一般会計補正予算案に計上した。

 市によると、9月から職種ごとに続けてきた金額交渉で、装蹄(そうてい)師(9人)と予想業者(2人と3社)との交渉が妥結。妥結は初めてで、この2職種とは近く調印式をする。見舞金の支払いは、馬主を除いた専門職で100人を超すが、調教師や騎手、厩務(きゅうむ)員らほとんどの職種で交渉は越年する見込み。

 今回の妥結額は、装蹄師1人当たり百数十万円、予想業者1人当たり数十万円、同1社当たり百数十万円。正確な額は調印式で明らかにするという。

 計上した金額には、厩務員62人に支払う一時金なども含まれている。市は、競馬廃止までに妥結できない職種に、当面の生活資金として一時金の支払いを提案した。これを厩務員組合以外は拒んだという。(毎日新聞)

2011年11月21日月曜日

道営ホッカイドウ競馬:馬券7年ぶりに計画額を上回る--今年度

道営ホッカイドウ競馬の今年度の馬券発売額は115億7138万円で、前年度よりも2・5%増加した。道が2013年度からの黒字化を目指して設定している計画額を2・7%上回り、7年ぶりに目標をクリアした。

 道競馬事業室によると、小年度の道営競馬は17日に80日間の全日程を終了。道内での発売額は前年度より6・5%減ったが、「楽天」などのネット販売が好調で、9・1%伸びた。レース回数も前年より62回多い914レースが実施され、販売増につながった。

 道営競馬の事業全体としては、ばんえい競馬や道外競馬の場外販売収入もあり、最終的な収支は年度末に確定する。(毎日新聞)

2011年11月19日土曜日

福山競馬 ブログで“裏話”

ネット利用ファンに情報発信 馬血統やレースの雑学など
 福山市競馬事務局は、市営競馬のホームページで、競馬をさらに楽しむための“裏話”などを紹介する公式ブログ「福山けいば編集部」を始めた。馬券販売でインターネット利用者の比重が高まっており、積極的な情報発信でファンを取り込むのが狙いだ。

 市営競馬では、2011年度上半期(4~9月)のネットでの馬券販売は約10億円で、前年同期の約5億円から倍増した。右肩上がりが続き、売り上げ全体の約4分の1を占めるまでになった。

 ブログは11日に開設、事務局職員が週1回程度、更新する。競走馬や騎手、重賞レースの結果などを、馬の血統関係、舞台の裏側、市営競馬にまつわるトリビア(雑学)を盛り込んで紹介。ただのお知らせではなく、読んで面白いものを目指すという。

 公式ブログの開設に合わせ、黒川知弘、周藤直樹の両騎手が続けているブログもホームページにリンクを張り、接続しやすくした。

 広安啓治・競馬事務局総務課長は「競馬の一番の売りは馬と騎手。しっかりと前面に出して魅力をPRしていきたい」と話している。(読売新聞)

2011年11月18日金曜日

道営競馬発売額 当初計画上回る

今年度、7年ぶり
 道営ホッカイドウ競馬は17日、今年度の全日程を終え、発売額は2004年度以来7年ぶりに当初計画を上回った。発売額は115億7138万円で、計画の102・7%。前年を上回る出走頭数やレース数を確保したほか、ネット発売が好調だった。
 道競馬事業室によると、今年度は門別競馬場で計80日間開催した。道内での発売額は36億9380万円と計画の97・4%にとどまったが、「楽天競馬」などのネットや電話での発売は60億5122万円で、計画を6・5%上回った。1日あたりの発売額は1億4464万円で、昨年度を2・5%上回る数字となった。(朝日新聞)

2011年11月17日木曜日

福山競馬、上半期6537万円黒字 ネット購入など寄与

福山市は16日、福山競馬の本年度上半期収支が6537万円の黒字だったと発表した。東日本大震災に伴って東北、関東地方のレース中止が相次ぎ、福山競馬の馬券をインターネットで購入する在宅投票が大幅に増えた。

 4~9月に計48日間開催した。費用45億561万円に対し、収益は45億7099万円だった。売り上げは1日平均8701万円で、前年度同期比4・2%の増。うち、ネット販売は2099万円で、前年度同期と比べ76・1%増えた。(中国新聞)

荒尾競馬 武騎手来場へ 12月1日 83年の歴史終幕に花

廃止が決まった荒尾競馬(熊本県荒尾市)を運営する荒尾競馬組合は16日、日本中央競馬会(JRA)を代表する武豊騎手(42)を招き、12月1日にファン感謝イベントを開催することを明らかにした。荒尾競馬は同23日が最終レース。現存する地方競馬では最も古い83年の歴史の終幕に、トップジョッキーが花を添える。
 武騎手が10月中旬、自身の付き人を通じて知人でもある荒尾競馬所属の杉村一樹騎手(33)に「最後に力になれれば」と持ち掛けて実現した。当日、武騎手が騎乗するかは決まっておらず、具体的な内容は今後調整するという。
 荒尾競馬組合は「廃止される競馬場に有名騎手が来てくれるのは異例。大勢のファンに来場してほしい」としている。(西日本新聞)

福山競馬 上半期6537万円黒字

事業継続、収支均衡がカギ
 福山市は、16日の市議会競馬事業特別委員会で、存廃が問題になっている市営競馬の2011年度上半期(4~9月)の収支が6537万円の黒字になったと報告した。下半期(10月~12年3月)を合わせた1年間でも、当初予算以上の売上高となる見通し。ただ、12年度も事業を継続するかどうかは、年明けにかけて本格化する12年度予算の編成作業で、収支均衡を見込めるかが焦点となる。(石原敦之)

 市によると、4242万円の黒字だった第1四半期(4~6月)に続き、第2四半期(7~9月)も2295万円の黒字となった。4月以降に賞金など賞典奨励費を10年度当初に比べて約6%削減したことに加え、インターネットでの馬券販売が前年上半期に比べて約2倍に増えたことなどが要因という。

 委員会で、佐藤彰三・財政局長は、「年度を通じて売上高も予算を上回る見通しで、明るいことだ」と述べたが、12年度の事業存続については、「今後の運営状況や予算編成作業を見極めて判断する」とした。

 12年度の存続について市側が慎重な姿勢をとる背景には、第2四半期の売上高が前年同期より悪化していることがある。入場客数も、上半期は前年同期比16・4%減と減少が続いている。

 さらに、競馬場では施設老朽化が進んでいるが、大型映像装置を更新するだけでも5億円以上が必要で、改修も難しい。馬主は、廃止される可能性がある中で新馬を購入するのをためらうため、開催が可能なだけの競走馬の頭数を維持することが課題となる。

 福山競馬関係団体連合会の徳本慶一会長(54)は「上半期の黒字は、東日本大震災の影響でネット販売が好調だった結果で、ほっとしたというよりこれからが心配。市は早く継続の方針を示し、12年度に向けて頑張れる態勢を整えてほしい」と話していた。(読売新聞)

2011年11月10日木曜日

園田競馬ナイター問題 知事が地元と交渉継続の意向 

 県競馬組合が園田競馬場(尼崎市)で検討しているナイター開催をめぐり、一部地元の反対で導入時期を延期したことについて、井戸敏三知事は9日の会見で「開催を断念すれば競馬20+ 件存続の危機につながる。理解が得られる努力を続ける期間として延ばした」と、交渉を続ける意向を示した。
 同組合は収支改善策として、来年4月からのナイター開催を予定していたが、競馬場の周辺12地区のうち、3地区が治安面の不安などで反対を表明。予定通りの開催は「事実上困難」として延期を発表した。
 井戸知事はナイター開催について「組合の事業は存続できるかどうかという状況に追い込まれており、顧客を増やす狙いがある」と説明した。
 その上で「競馬はすそ野が広く、事業の関係者も非常に多いため、『やめました』で済むような話ではない」と強調。今後の交渉は「反対の理由が合理的なのかということも含めて、十分に議論を尽くす必要がある」との考えを示した。(神戸新聞)

2011年11月8日火曜日

園田競馬:夜間営業計画「住民合意が不十分」 県組合、予算案の提出見送りへ

 ◇来年4月のスタート困難に
 尼崎市の園田競馬場で計画中のナイター営業について、県競馬組合は7日記者会見し、「地域住民の合意が十分ではない」として、22日開催の県競馬組合議会へは、設備工事費などの予算案の提出を見送る方針を明らかにした。このため、当初予定していた来年4月の営業開始は困難となった。

 同組合によると、先月開催した地元自治会の代表者でつくる「周辺改善委員会」では、全12地区のうち6地区が賛成、2地区が反対、4地区が保留していた。7日までに保留地区が態度を明らかにし、9地区が賛成、3地区が反対となった。

 この結果を受けて記者会見した南向明博・組合副管理者は「かなりの地区で賛成してくれたが、ナイター営業の実施に踏み切れるには至ってない」と説明。ただ「(実施を判断する)明確な基準はない。反対地区と調整、話し合いを続ける」としている。

 県競馬組合は尼崎、姫路の両市と県で構成。ナイター問題を巡っては、営業に反対する地元住民らが署名活動をしたり、稲村和美市長に要望書を提出するなどしている。(毎日新聞)

道営競馬、20年ぶり黒字も…ネット販売好調

 道営ホッカイドウ競馬の売り上げが好調を維持している。北海道軽種馬振興公社によると、7日時点の売り上げは約105億7000万円。前年同期比0.8%の微増だが、大幅な収益が見込めるレース「北海道2歳優駿」(10日)が残っており、関係者は黒字化に向けてゴール前の“末脚”に期待している。
 同公社によると、好調の理由はレース数の増加と、ネットでの馬券販売。出走馬が増え、レースは7日までに昨年同期より約60レース多い844レースが開催できた。道営競馬の主催者である道競馬事業室は「全出走頭数の約4割を占める2歳馬のレースで、賞金を増やしたことが影響しているのでは」と分析する。
 ネット販売も前年同期比6.3%増の約54億9600万円と好調。09年から道が提携を結んだインターネット大手「楽天」の運営する馬券購入サイトを通じた販売が伸びているという。
 累積赤字が約242億円まで拡大した道営競馬は、存廃の岐路に立たされた昨年度、約6500万円の赤字となったが、前年度の繰越金を補充して収支を均衡させた。
 今年の開催は残り6日間で、最終日の17日には、人気馬が集まるレース「道営記念」もある。単年度収支で黒字となれば1991年度以来20年ぶりとなるが、ネット販売にかかる経費増などもあるため収支は年度末まで確定できず、同公社総務課は「2大レースでさらなる売り上げ増を達成し、黒字化にこぎつけたい」と意気込んでいる。(読売新聞)

荒尾所属 騎手目指す小山さん 佐賀競馬でデビューへ


 荒尾競馬で騎手を目指し、廃止決定後も研修を続けている小山紗知伽(さちか)さん(17)が佐賀競馬(佐賀県鳥栖市)でデビューすることになった。7日、来年1月の移籍が確定した。「途切れかけた夢がつながった」。荒尾市の廃止表明から2カ月、小山さんに笑顔が戻った。

 「あの日がずっと昔に感じる」。あの日とは荒尾廃止が報じられた8月末のこと。競走馬の調教の途中、朝刊の内容を知らされ、またがっていた馬の背で泣き崩れた。

 大の動物好き。2年前、進路を考える参考のために訪れた荒尾競馬で、紅一点の岩永千明騎手(29)にあこがれを抱いた。熊本市の中学卒業後、栃木県の養成所に入り、馬の世話と騎乗に明け暮れた。午前4時から夜まで、同期生の半数が脱落する厳しい訓練に耐え、今年8月、養成課程を締めくくる荒尾での実地研修にたどり着いた。

 来春、デビューするはずだった夢の舞台は突然奪われた。「しばらく何も考えられなかった」という当時を、「あの日」と穏やかに振り返ることができるのは「馬に助けられた」からだという。

 馬は毎日、小山さんの泣き腫らした目をのぞき込み、慰めるように顔をなめた。「私だけくよくよしていても何も始まらない」。前を向く気持ちが少しずつ生まれた。

 佐賀へは研修先の幣旗(へいはた)吉昭厩舎(きゅうしゃ)の一員として移る。家族同然の幣旗調教師や厩務(きゅうむ)員たち。小山さんは「人見知りの私がすぐにうち解けることができた。荒尾の人たちがいれば大丈夫」と笑顔を浮かべる。荒尾からはほかに二つの厩舎が移籍する。

 古里でデビューするという目標は断たれたが、馬が支えてくれた。「馬の気性に合わせた騎乗ができる“馬と話せるジョッキー”になる」。この2カ月で見つけた新たな目標だ。(西日本新聞)
【写真】佐賀競馬への移籍が決まり、笑顔で騎乗する小山紗知伽さん

2011年11月6日日曜日

県競馬組合 年間収支を上方修正

今年度計画見直し 発売収入12億円増の130億円
 県競馬組合は、2011年度の年間収支計画の見直しを行った。第2期(5月14日~9月26日)までの収支実績を踏まえたもので、収入面では発売収入を12億1000万円増の130億6500万円に上方修正。一方、支出面では、販売費・管理費を3億3700万円増の42億8000万円とした。販売関連機材の更新など、12年度以降に予定していた計画を前倒しするもので、これにより組合側は後年度の運営費を削減するなど収支改善を図りたい考えだ。

 同組合の運営協議会で了承された見直し計画によると、収入の大きな柱となる岩手競馬の発売収入は、変更前の118億5500万円から上積みした。第2期までの実績が計画額を上回るなど顕著に推移したことが要因。ただし、第3期以降の発売額については、今後の降雪などのリスクも勘案しており、これまで通り当初計画額をベースに1日当たりの発売額を前年度比80%とするなど堅く見積もった。

 また、日本中央競馬会(JRA)から岩手競馬に拠出する特別支援金(南部杯発売額の5%)が確定したことに伴い、その他収入を18億700万円から19億1300万円と1億円ほど増やした。

 対する支出の販売費および管理費では、競走関係費が出走頭数の減少により、当初計画の12億700万円から11億7700万円となった半面、事業運営費は27億3600万円から31億300万円と3億6700万円増額した。当初計画より収益の増加が見込まれることを受け、今年8月に策定した同組合の事業収支改善計画に基づく収支改善策を前倒しで実施しようとするもの。

 具体的には勝ち馬投票券発売機の導入や老朽設備の更新を図るほか、支払期限を来年度まで延長する予定だった現行のトータリゼータシステムのリース料を支払うことにより、翌年度以降の事業運営費を削減する。

 この結果、変更前の計画では当期利益を9400万円と見込んでいたが、一連の見直しにより1000万円減額し、8400万円の黒字と修正している。(岩手日日新聞)

2011年11月5日土曜日

園田競馬:ナイター計画 尼崎住民らの会、中止求め市長に要望書と署名

 県競馬組合が園田競馬場(尼崎市)のナイター営業を計画している問題で、地元住民でつくる「園田の未来を考える会」は4日、稲村和美市長に対し、計画の中止を求める要望書を3075人の署名を添えて提出した。

 考える会は先月、計画に反対する地域住民の署名を集めた。森村さやか代表は反対する主な理由として、治安の悪化▽ナイター営業は節電を進める社会の流れに逆行▽経営効果が期待できない--などを挙げた。

 同組合は尼崎、姫路の両市、県で構成。来年4月のナイター営業実現に向け、地元住民との話し合いを続けている。(毎日新聞)

福山競馬、上半期は黒字

 福山市の羽田皓市長は4日の記者会見で、福山競馬の本年度上半期収支が黒字になる見通しを明らかにした。実質単年度収支の黒字を条件にする来年度以降の事業継続については、「もうしばらく慎重に見極めたい」と述べた。

 羽田市長は、年間売り上げについて、本年度当初予算で計上した約79億円を上回る見通しを示した。一方、月曜日開催や東日本大震災で相次いだ東北、関東地方のレース中止に伴いインターネットによる在宅投票が増えたことを説明し、「例年と異なる運営状況がある」と指摘した。事業継続の判断は見送ったが、来年度予算の編成作業は進める。

 市によると、上半期の売り上げは41億7600万円で、前年同期に比べ19%増えた。より詳しい収支の内容は16日の市議会競馬事業特別委員会で報告する。(中国新聞)

2011年11月3日木曜日

県競馬組合運営協:年間で黒字見通し 9月26日まで、計画達成率は116% /岩手

 県競馬組合運営協議会が2日、盛岡市内で開かれ、今年度の開幕から9月末までの発売額と、年間の収支見通しが報告された。発売額は計画額を上回り、年間を通して黒字を確保できる見通しで、岩手競馬存続の条件である「収支均衡ルール」は保てるとしている。

 県競馬組合は、東日本大震災で一部施設が被災し、開催期間も短縮したため、1日あたりの発売額を前年度比20%減と見積もり今年度の計画額を決めた。開幕した5月14日~9月26日の発売額は86億5500万円で、計画額74億4500万円に対する達成率は116・2%。損益は2億8700万円の黒字となった。

 しかし冬に入ると降雪で開催中止となるなどのリスクがあることから、今後も計画額は前年度比20%減を基本とする。さらに勝馬投票券発売機の自動化など、設備投資の支出が増える見込みのため、年間の損益は最終的に8400万円の黒字と予想している。

 今年度の発売額は、前年度の開幕から同じ開催日数分に比べると94・7%。広域委託発売とインターネット発売は前年度並みであるものの、場外発売所が発売を中止したり発売開始時期が遅れたりしたことで10・2%減少した。(毎日新聞)

2011年10月28日金曜日

1日平均7・4%増 笠松競馬2011年度売り上げ


 2011年度上半期(4~9月)の笠松競馬(笠松町)の1日平均の馬券の売り上げが1億2100万円と、昨年度と比べ7・4%増加したことが、分かった。インターネットや場外売り場の販売が好調だったのが要因。東日本大震災で東北、関東地方の競馬が中止となり、ファンの目が笠松に向いたとみられる。昨年度は存廃問題に揺れただけに、関係者は売り上げの推移を注視しながら、施設を整え、黒字化を目指している。
◆ネット、場外販売好調
 県地方競馬組合(管理者 広江正明笠松町長)によると、経費節減に伴い、上半期の開催日を昨年度から7日減の45日としたため、総売り上げは7・1%減の54億6000万円となった。
 上半期の11回開催(3日~6日間)の1日平均の売り上げをみると、第1回(4月4~8日)が昨年度比71・9%増と最も伸び率が大きかった。次いで第2回(4月25~29日)の31・2%増、第5回(6月13~17日)の9・7%増と続いた。
 各回のインターネットと15カ所の場外売り場の1日平均の売り上げは、第1回は107・4%の増。第2回は42・0、第5回は13・6%増えており、競馬場以外の売り上げが全体を押し上げた格好になっている。
 このまま推移すれば、年間売り上げは115億円となり、黒字化の目安である106億円を上回る。だが、東北、関東地方の競馬場が再開するにつれ、昨年度の水準に戻りつつある。前年度上半期は不況の影響で、1日平均の売り上げが09年度比で8・7%減り、存廃問題に発展した。
 組合の宇野秀雄管理者代行は「上半期の数字を見ると、何とか持ちこたえているという印象。景気の不透明感や増税への懸念もあり、下半期も存続に向けて気を引き締める」と語った。
 笠松競馬場では31日までの予定で、走路や券売機の改修が行われている。走路では、馬が走りやすいように土を平均10センチほど削り、コーナーも整える。
 宇野代行は「走る環境が良くなることで、より魅力的なレースになる」とPRする。(中日新聞)

2011年10月19日水曜日

福山競馬 予算編成へ

 経営難の福山市営競馬に関する来年度の予算編成について、羽田皓(あきら)市長は18日の会見で、「懸念はしているが、今年度の黒字確保に向けて関係者と努力する」などとし、予算編成作業を進める考えを示した。
 市によると、市営競馬の今年度上半期の1日あたりの馬券売上額は、前年同期比4・2%増の8700万円。東日本大震災で東北地方の競馬場が被災した影響などで売り上げが伸びた。
 廃止も論議される市営競馬の存続は単年度の実質黒字確保が前提。羽田市長は、実質赤字に転落する見通しが強まった場合は「その時に(存廃を)判断したい」とも付け加えた。
 また、福山駅周辺の活性化策を探るため産官学でつくる検討委員会を21日に設置すると表明。委員は、福山商工会議所や市立大学などから選任。来年1月まで数回話し合い、基本方針をまとめる。羽田市長は「駅前がどうあるべきか中期的なビジョンをつくりたい」と述べた。(毎日新聞)

2011年10月13日木曜日

育成牧場から求人 荒尾競馬で就職説明会


 年内閉鎖が決まった荒尾市の荒尾競馬で働く厩舎[きゅうしゃ]関係者を対象にした就職説明会が17日、同競馬場であり、各地の競走馬育成牧場などからの求人内容が報告された。
 騎手、厩務員ら約50人が出席。組合事務局が、寄せられた北海道の大手育成牧場「ノーザンファーム」や「グランデファーム」など、馬に関係する職場8件約30人の求人内容を説明した。
 ほとんどが競走馬の調教・育成スタッフとしての募集で、騎手か調教ができる厩務員が対象。年齢も40歳までなど、若年層が中心。勤務先は北海道、京都、岡山、大分など全国に点在している。「若くて馬に乗れるという条件があり、該当者は限られる」と同組合。
 佐賀競馬(鳥栖市)とは調騎会を窓口に、厩舎受け入れの話し合いを始めることが報告された。騎手については、調教師の働き掛けで他場への移籍話も進んでいるという。
 市は24日に競馬場内に相談窓口を開設。市職員ら3人態勢で雇用相談や生活支援に応じるほか、現在進めている意向調査を基に個別面談を実施する。(熊本日日新聞)
【写真】組合に寄せられた育成牧場などからの求人について、説明を聞く厩舎関係者=荒尾市の荒尾競馬場

2011年10月7日金曜日

荒尾競馬の馬主会が総会

 荒尾競馬の馬主で作る県馬主会は7日総会を開き、今年年末での競馬事業廃止に向けて荒尾市側が提示した「協力見舞金」の交渉を執行部に一任することを決めた。執行部によると荒尾市から提示された金額は、他の競馬場に移籍する場合22万円。殺処分などの場合は15万円で、直近に廃止となった宇都宮競馬の2割から3割の金額で、多くの馬主から反発の声が上がっている。馬主会は今後は騎手や調教師で組織する調騎会や厩務員会の代表者らと共同で荒尾市との交渉にあたる。(日テレNEWS24)

2011年10月1日土曜日

半期売上高4.2%増、厳しい情勢変わらず 広島・福山競馬

 福山競馬の今年度上半期(4~9月、48日間開催)の売上高は、1日当たり8702万円で前年同期比4・2%増だが、第2四半期(7~9月)は同6・1%減。入場者数も減少率が高まり、存続条件の黒字化へ厳しい情勢が続いている。

 市競馬事務局のまとめでは、上半期の売上高は41億7695万円、入場者数は7万6314人。

 1日当たりの売上高は第1四半期(4~6月)が9512万円で同16・4%増と好調だったが、第2四半期で暗転。これは、東日本大震災で関東地方の競馬が中止され、インターネットなどで福山競馬にシフトしたファンが、他場の再開で離れたとみられる。

 一方、1日当たりの入場者は1590人で同16・4%の大幅減。第1四半期は1655人で同15・2%減だが、第2四半期も同17・2%減とさらに落ち込んだ。(産経新聞)

2011年9月30日金曜日

荒尾市:競馬廃止 協力見舞金を提示 市長「年内の支給を目標」

 12月で競馬事業を廃止する方針を決めた荒尾市は30日、廃止に伴い関係者に支払う協力見舞金について、職種ごとに交渉を始めたことを明らかにした。前畑淳治市長は「できるだけ早く交渉を終え、年内に支給することが目標」と話した。

 市によると、22日と24日、馬主会の会長ら各職の代表者と個別に会い、協力見舞金の額を提示した。いずれも過去に廃止された地方競馬場の例を参考にしたという。

 前畑市長は見舞金の総額について「すべての交渉が妥結したら、予算計上して議会の承認をいただく。公金を使うのだから、その際金額を市民にも明らかにしたい」と話した。

 市は並行して再就職支援も始めている。専門職の102人にアンケートを送付し、70人から回収。現時点で「引き続き競馬関係の仕事に就きたい」と答えたのは▽調教師86%▽騎手33%▽厩務(きゅうむ)員71%--に上るという。

 市は24日、前畑市長名で全国16の地方競馬の主催者に、荒尾競馬関係者の再就職に協力を求める依頼文書を送った。受け入れ可能性の有無などを尋ねており、10月中の返答を待っているという。(毎日新聞)

2011年9月27日火曜日

皇成元師匠・河野師、暴力団交際で追放

 GIシーズン開幕直前に、競馬界に衝撃が走った。JRAは26日午後、東京都港区の六本木事務所で緊急会見を開き、茨城県美浦トレーニングセンター所属の河野通文調教師が、暴力団関係者と交際があったとして、同日付で調教師免許を取り消したことを発表した。

 冒頭、緊急に会見を開いた内容を説明すると、出席した小林善一郎審判担当理事、尾関道春審判部長、菊田淳審判部公正課長が「今回の件で世間をお騒がせしたことについて、ファンの皆様、関係者の皆様に深くお詫びいたします」と深々と頭を下げた。

 JRAによると、今年3月31日の報道(別項)などで河野調教師が指定暴力団山口組系組幹部から1000万円をだまし取られた事件を知り、公判の傍聴、調教師への事情聴取などを重ねてきた。その結果、菊田公正課長は「暴力団関係者と浅からぬつきあいがあったと認めざるを得ない」として裁定委員会、公正審査会議を経て処分を決定したことを明らかにした。

 さらに、小林理事は「河野調教師は暴力団員と認識しながら交際を途絶することはなかった。調教師は少なくとも公正確保の重い責任があり、(暴力団関係者を)排除すべき立場の者で、JRAとして容認できることではない」と話した。

 JRAの調査では、河野調教師が暴力団関係者と知り合ったのは2006年頃。遅くとも09年頃には知人を介して暴力団関係者であることは認識していた。そして、10年7月30日に暴力団関係者から1000万円の借金の申し入れがあり、大阪・伊丹空港まで持参したという。菊田公正課長は「交際の深さを判断するのは難しいですが、即日、大阪まで持参するのは尋常ではない。2人の交際が形式的なものではなく、公正かつ安全な競馬の施行に支障を生じるということで、免許取り消しが相当と判断した」と厳正な処分を科した理由を説明した。

 河野調教師は1991年に厩舎を開業し、05年のGI安田記念をアサクサデンエンで制覇するなどJRA重賞11勝、通算493勝を挙げている名調教師。それと同時に、タレントほしのあきさんと25日に結婚したばかりの三浦皇成騎手の元師匠としても知られている。

 折しも10月1日から暴力団排除条例が東京都で施行する。タレントの島田紳助さんが山口組系組幹部と交際していたことが明るみに出て芸能界を引退するなど、全国的に暴力団との交際に対する目が厳しくなる中での今回の発表だが、条例との関連性について、小林理事は「JRAとしては以前から反社会的分子を排除する努力をしてきたものであり、条例の施行とは関係ない」と否定している。(サンケイスポーツ)

福山競馬存続依然厳しく 上半期売上高4.2%増だが

 福山市営競馬は26日、2011年度上半期(4~9月、48日間)の開催を終えた。1日平均の売上高は8701万円で、10年度上半期(42日間)の8355万円と比べて4・2%増えたものの、第2四半期(7~9月)だけで比べると前年同期より悪化。入場客数は落ち込みが続き、単年度収支の黒字確保が条件となる競馬事業の存続に向けて、下半期も依然として予断を許さない情勢だ。

 市のまとめによると、第2四半期に1日平均の売上高は、前年同期(8537万円)比6・1%減の8016万円。第1四半期(4~6月)が同16・4%増の9512万円と好調だったことから上半期全体では10年度を上回ったが、陰りが鮮明となった。

 3月の東日本大震災で東北や関東の競馬、競輪が休止された影響で、インターネットの馬券販売で市営競馬に利用客が集まっていたが、他場が再開したのが苦戦の原因とみられる。

 ネット販売が勢いを失う一方で、深刻な課題として浮上してきたのが入場客数の減少だ。売上高を前年同期より伸ばした第1四半期でさえ、1日平均の入場客数は1655人で同15・2%も減少。第2四半期はさらに落ち込んで1535人で同17・2%減、上半期全体では1590人で同16・4%減となった。

 市営競馬は4月から、ネット上の顧客を狙い、日本中央競馬会(JRA)が終わった時間帯にレースを行うため開門時間を繰り下げたが、競馬場にはナイター設備がなく、入場客離れに拍車を掛けた可能性がある。日没が早まる10月以降、現在は午前11時としている開門時間を30分~1時間繰り上げる。

 市競馬事務局は、「(収益性の高い競馬場本場の)入場客数が下げ止まらないなど、競馬事業は厳しい状況が続いている」としている。(読売新聞)

2011年9月25日日曜日

「荒尾」本年度限り廃止 佐賀競馬影響を懸念

 荒尾競馬(熊本県荒尾市)が本年度限りで廃止されることになり、佐賀競馬(佐賀県鳥栖市)への余波が懸念されている。荒尾競馬とは交流競走開催や場外馬券発売など経営資源の共有化を進めており、売り上げ減などマイナスの影響は避けられない見通し。佐賀競馬を運営する県競馬組合(管理者・坂井浩毅副知事)は、荒尾廃止後の来年4月以降も場外馬券発売の継続を荒尾市に要請する方針だが実現は不透明で、早急な対応が求められている。
 「荒尾競馬は本当に廃止されるのか」「佐賀競馬にはどのような影響が出るのか」-。8月29日、佐賀競馬で開かれた県競馬組合の定例議会。4日前に本紙が報じた「荒尾競馬廃止へ」を受け、出席者から質問が相次いだ。
 佐賀と荒尾は10年ほど前から、双方のレースを対象とした場外馬券の発売を開始。2010年度、荒尾で発売された佐賀のレースの売り上げは約12億7千万円で、10年度の佐賀競馬全体の売上高(約104億円)の1割超を占めた。
 「荒尾廃止」に動揺を隠せない佐賀の関係者たち。定例議会で、組合事務局の担当者はこう認めるしかなかった。「場外馬券の売り上げがなくなると、影響はかなり出てくる」
 72年に開設された佐賀競馬の売上高は91年度の約359億円がピーク。レジャー多様化や景気低迷を背景に、その後は減少の一途をたどっている。
 減収を受け、県競馬組合は馬主に払う出走手当のカットなどコスト削減を進めてきたが、収益の改善には至らず、過去10年間で黒字運営は02年度と08年度だけ。貯金に当たる「財政調整積立金」は06年に底をつき、累積赤字は約2億4千万円(10年度末)に膨らんだ。
 荒尾での場外馬券発売は貴重な収入源。だが、荒尾市は12月中にレースを終了し、場外販売は来年3月まで続けることを示すにとどまる。同組合の渕上忠博管理課長は「荒尾市には存続を強く働き掛ける」と語る。
   ◇   ◇
 佐賀と荒尾は昨年10月から、互いの競走馬を行き来させる「交流競走」を始めた。「バラエティーに富んだレースに加え、東京や大阪向けの広報活動の強化」(同組合)が奏功し、本年度の佐賀の売り上げ(今月11日まで)は前年同期比6・6%増と好調。とりわけ、インターネット販売が30%近く伸びているという。
 交流競走の成果が目に見える形で出てきた直後に浮上した荒尾の廃止決定。渕上課長も「非常に残念」と頭を抱えるが、荒尾廃止後、さらなる経営改善に加え、佐賀が九州唯一の地方競馬として“脚光”を浴びる可能性に期待したいという。
 「中央競馬、地方競馬との交流競走を充実させて、競馬場で直接レースを見るファンを増やしたい」(西日本新聞朝刊)

「鉄の馬」通算200戦目へ 福山競馬・モナクカバキチ


 地方競馬(平地競走)で歴代最多タイの54勝を挙げている福山市営競馬(同市千代田町)の最年長競走馬モナクカバキチ(アラブ系、牡12歳)が、26日のレースで通算200戦目を迎える。10月にはデビュー10周年となるベテラン馬が走り続ける姿は、まさに鉄人ならぬ「アイアンホース(鉄の馬)」。大きな節目のレースを勝利で飾り、最多勝の記録更新を狙っている。

 モナクカバキチは2001年10月に市営競馬でデビューした。名古屋競馬(名古屋市)や荒尾競馬(熊本県荒尾市)で活躍し、08年に再び古巣に戻った。10歳を超えてから出走数が増え、09年には22回、10年はモナクカバキチにとって過去最多の29回を走った。

 今年も、人間なら40代後半の“中年”にもかかわらず月に1〜4回走り、これまで23回のレースに出走している。デビューから約10年で19人の騎手がまたがり、走行距離は300キロを超える。勝率は27・1%、2着以内の連対率は38・2%。

 26日は第6レース(1250メートル、10頭立て)に登録し、2戦ぶりに松井伸也騎手(26)とコンビを組む。7月24日に54勝目を挙げて以降も、疲れを見せず元気に出走しているが、5戦連続で敗れ、最多勝の記録更新は持ち越されており、ファンもやきもきしている。(山陽新聞)
【写真】通算200戦目の節目を迎えるモナクカバキチ

2011年9月24日土曜日

「目に焼き付けたい」 荒尾競馬休日開催にぎわう


 年内閉鎖が決まった荒尾市の荒尾競馬は23日、最終開催日を除いて“最後”の休日開催となり、大勢の競馬ファンでにぎわった。家族連れや県外からの来場者も多く、「海を臨む荒尾のレースを目に焼き付けたい」と盛んに声援を送っていた。

 荒尾競馬は木、金曜日開催が主流。廃止表明後の休日開催は、最終レース予定日の12月23日を除くとこの日だけ。ポニーの体験乗馬やあか牛試食会などもあり、普段の倍の約1900人が来場した。場内の売り上げは大型連休期間の5月1日に次ぐ2135万円に上った。

 東京都日野市から来た公務員野尻裕一さん(42)は「昭和の雰囲気を醸し出す大好きな競馬場だった。廃止しか方法がなかったのかと残念で仕方がない」。場内で食堂「大吉」を営む女性(70)も「常連さんからは『寂しか』の声ばかりです」と惜しんだ。(熊本日日新聞)
【写真】最終開催予定日を除き〝最後〟の休日開催となり、観客席は家族連れや県外からのファンでにぎわった=荒尾市の荒尾競馬場

2011年9月14日水曜日

荒尾競馬:廃止方針 市議会「反対」の声出ず 跡地の活用策など問う

 荒尾市議会の一般質問が12日あり、前畑淳治市長が12月限りでの廃止方針を表明した競馬事業に質疑が集中した。3市議が競馬関係者の再就職に向け早急な対応を求めたり、競馬場跡地の活用策をただしたりしたが、廃止方針自体に反対の声は出なかった。

 市議らは廃止方針について「予想はしていたが、あっけない幕切れとなり残念だ」「市民からの不要論を払拭(ふっしょく)できない状況だと思う」などと述べ、廃止を前提に今後の展望を問うた。市は跡地活用策や事業の清算費用について「今のところ具体的には言えない」と答えた。

 前畑市長は「跡地利用は県などと協議しながら、市民の要望も聞きたい」と述べた。競馬場の敷地約26ヘクタールの約9ヘクタールを占める民有地に触れ「借地契約を更新しない場合、原状回復した上で返すもの」と述べ、地権者住民との調整が必要になるとの考えを示した。

 清算費用の質問に、市は「試算できていない」と答えたが、財源として財政調整基金の投入のほか「国が13年度までの時限措置で認めた地方債の三セク債(第三セクター等改革推進債)も使える」との見通しを示した。

 市は清算費用の県負担を求める市議の意見に対し「蒲島(郁夫)知事が明確に否定している。これを県と議論するより、離職者対策や地域振興での支援を求めていきたい」と述べた。(毎日新聞)

荒尾市が新規事業一部中止も、競馬廃止の費用確保で

 荒尾競馬の廃止に伴う清算について、荒尾市の山崎史郎総務部長は13日の市議会一般質問で、「市民への行政サービスを制限することになるかもしれない」と述べ、財源確保のため来年度に予定される土木・建築関係の新規事業を一部中止する考えを示唆した。

 市は、これまで、債務返済のため第3セクター等改革推進債(3セク債)を活用することを表明した。しかし、競馬場関係者への協力見舞金は3セク債で賄うことはできず、一般財源や財政調整基金などを充当することになる。その分、市の財政が圧迫されることになる。

 山崎部長は「できるだけ市民に負担をかけたくない。市税増税は考えておらず、補助金や市職員給与カットも極力避けたい」とし、事業の一部中止で対応する姿勢を見せた。

 また、山崎部長は、荒尾競馬場で発売している他競馬場の場外馬券(2010年度実績は約29億4000万円)や、荒尾競馬場に現在48頭が所属する九州産馬の生産者への影響を懸念し、地方競馬全国協会などと調整する意向を明らかにした。(読売新聞)

2011年9月13日火曜日

荒尾競馬清算財源に3セク債検討 市公営企業会計導入で発行可能

 荒尾競馬の廃止問題で数十億円が必要とされる清算費用の財源について、荒尾市は12日の市議会一般質問で、第3セクター等改革推進債(3セク債)の発行を検討していることを明らかにした。今年2月、荒尾競馬に公営企業会計を導入したことで発行が可能になっており、当時から廃止を念頭に置いていたことも認めた。

 3セク債は、公営企業を廃止する際に必要な経費を捻出する手段として地方財政法で認められた2013年度までの特例措置。利息の2分の1を国が特別交付税で負担する。

 同市の山崎史郎総務部長は答弁で、「市民に競馬運営の財政事情を知ってもらうのを目的に企業会計を導入し、その際、(廃止の清算に)3セク債は使えるとの認識はあった」と説明。その上で清算財源について、「(競馬)組合財産、一般財源、財政調整基金のほか3セク債も考えられる」と述べた。

 清算には、累積赤字や運営のための一時借入金の解消、競馬関係者への協力見舞金の支払いなどが必要とみられる。

 このほか、市側は、▽離職者対策として労働局、県なども加わった関係者連絡会議の設置▽在籍馬に対する協力見舞金の支払い――を検討していることも明らかにした。(読売新聞)

2011年9月10日土曜日

荒尾市:競馬対策課を設置 離職者の就労支援など担当

 荒尾市は8日、前畑淳治市長が12月限りで競馬事業を廃止する方針を市議会で表明したことを受け、専任職員1人態勢だった競馬対策室に替わり、専任4人を置く競馬対策課を設置した。廃止で職を失う関係者への就労支援などを担う。
 他に▽関係者への協力見舞金の算定▽競馬場跡地の活用策の検討▽事業清算手続きなどに伴う国など関係団体との連絡、調整--を業務に想定。別の課との兼務職員3人を加えた7人で対応する。
 また、近く荒尾競馬組合内に再就職などの相談窓口を設置予定。競馬対策課とは別に、市職員の派遣を検討している。(毎日新聞)

2011年9月8日木曜日

荒尾競馬の地元市長 年内廃止を佐賀県に説明

 約13億6千万円(2010年度末)の累積赤字を抱える荒尾競馬の年内廃止を正式表明した熊本県荒尾市の前畑淳治市長は8日、佐賀県庁を訪れ、同県の坂井浩毅副知事と会談し、経緯などを説明した。
 佐賀県などが管理する佐賀競馬(同県鳥栖市)は荒尾競馬と交流レースを共催するなど交流が深く、前畑市長は「大変申し訳ない」と陳謝した。
 坂井副知事は「いろいろ検討された上での決断で、われわれが申し上げることはありません」と応じた。
 会談後、前畑市長は荒尾競馬の所属騎手らの再雇用先について「今後検討していきたい」と述べた。(スポニチ)

2011年9月6日火曜日

荒尾競馬の年度内廃止を正式表明 荒尾市長


 荒尾競馬組合管理者の前畑淳治荒尾市長は5日、累積赤字13億6千万円を抱える荒尾競馬を本年度限りで廃止すると正式表明した。レース開催は年内で終える方針。清算費用には、2013年度が発行期限の「第三セクター等改革推進債」(三セク債)などを充てる考えだ。地方競馬の廃止は、2005年の宇都宮競馬(栃木)以来となる。

 前畑市長は同日開会した定例市議会の冒頭、「競馬事業の将来見通しや市財政への影響、市民や競馬関係者の意見・実態などから、断腸の思いではあるが廃止の決断をした」と表明した。

 荒尾競馬の現状については「存続させたいと経営改善に努力してきたが、売り上げ減に歯止めがかからず、市の貸付金で資金繰りしている。今後回復基調に転じて財政貢献を果たすことは困難」と説明。今後のレース開催に関しては「競馬関係者の新しい環境への準備期間などを考慮し、12月をもって閉鎖。離職者対策に全力で取り組みたい」と述べた。

 荒尾競馬は1928年2月に開設。55年からは市と県による一部事務組合が運営している。75~98年度には売得[ばいとく]金が毎年100億円を超え、市と県に累計約91億3200万円を繰り入れたが、三池炭鉱閉山後の98年度以降は12年連続赤字だった。

 10年度決算は13年ぶりに約4300万円の黒字となったが、市は「赤字構造から脱却できず、将来の展望が見えない」として廃止方針を固めていた。

 前畑市長は同日朝、蒲島郁夫知事に電話で廃止の方針を伝えた。市は今後、廃止に伴う予算案などを作成し、組合解散や財産処分についての議案とともに市議会へ提出する。騎手、調教師、厩務[きゅうむ]員らの見舞金や再就職などについての協議にも着手する。(熊日新聞)
【写真】荒尾競馬の廃止を正式表明する前畑淳治市長(中央)=5日午前、荒尾市議会議場

荒尾競馬12月終了 場外馬券は年度末まで 離職者に見舞金 市長正式表明

 熊本県荒尾市の前畑淳治市長は5日開会した定例市議会で、荒尾競馬の本年度限りでの廃止を正式表明した。レースは12月中に終了する。累積赤字は2010年度末現在約13億6千万円。地方競馬の廃止は05年の宇都宮競馬(栃木県)以来。九州では01年に中津競馬(大分県中津市)が廃止され、残るは佐賀競馬(佐賀県鳥栖市)だけとなる。

 前畑市長は市議会で地方競馬について「レジャーの多様化などを背景に、今後、財政に貢献することは困難」との見方を示し「事業の将来見通し、市財政への影響、市民の意見、競馬関係者の意見を総合的に判断した。断腸の思い」と述べた。

 前畑市長は同日早朝、市と競馬組合を構成する県の蒲島郁夫知事に方針を伝達。県にも清算費用の一部負担を求める意向だが、知事は記者団に「考えていない」と述べた。市長は議会後、競馬関係者に経緯を説明し、見舞金を支払う方針を明らかにした。今月中に額などの素案を示す。場外馬券の発売は来年3月まで続けるという。

 荒尾競馬は1928年開設、現存する地方競馬では最も古い。売り上げは92年度には約158億円に上ったが、97年の三池炭鉱閉山などで10年度は約48億5千万円に落ち込んだ。有識者でつくる「荒尾競馬あり方検討会」は09年、11年度までの収支で存廃を判断するよう提言した。(西日本新聞朝刊)

荒尾競馬の廃止正式表明、再就職先の確保は難航必至


 荒尾市の前畑淳治市長が5日、荒尾競馬の廃止を正式表明したことで、約180人の雇用が失われることになった。調教師、騎手、厩務(きゅうむ)員……。市は再就職先を確保する対策チームを設置する方針だが、他の地方競馬も経営は厳しく難航は必至。廃止への最大の障壁となりそうだ。

 競馬組合(主催団体)管理者である前畑市長は、この日開会した市議会の冒頭、経営の悪化と、改善が困難視されることを理由に今年度限りでの廃止を表明。さらに、「競馬関係者の新しい環境への準備期間などを考慮し、今年12月をもって閉鎖する」とし、レースは年内で終了させる考えを明らかにした。

 市長は市議会後、同競馬場の会議室で、馬主、調教師、騎手や厩務員ら競馬関係者に改めて決断の理由を説明した。

 これに対し、出席者からは「存続のため必死に頑張ってきた。絶対、廃止なのか」「馬の行き先、人の再雇用先を確保するのに時間がかかる。レースは来年3月まで続けるべき」「廃止が決まると、馬は急速に他場に流出する。12月までレースはできるのか」などと反発の声が上がった。

 前畑市長ら市側は、再就職などへの対策チームの設置と、5日付の在籍者を対象に「協力見舞金」の支給を検討していくことなどを説明して理解を求めた。

 市長の決断について、渡辺賢一厩務員会長(47)は「私は馬と接する仕事であればどこにでも行くが、妻子は荒尾市を離れたくないという。これからどうするか迷っている」と困惑気味。林田三男・県馬主会副会長は「12月までレースが成立するかどうかも分からない。役員会などで早急に話し合う」と話していた。

 廃止には13億6000万円にのぼる累積赤字の処理、見舞金の準備、借入金の処理などで数十億円の財源が必要とみられる。前畑市長は「5日早朝、蒲島知事に状況を説明して廃止への理解を得た。財源確保についても県の支援を求めていく」と述べた。

 一方、蒲島知事は5日、記者団に対し、「(管理者である)市長が熟慮されたうえでの判断。尊重したい。今後、競馬場関係者の雇用問題などに協力していく」と述べた。ただ、廃止に伴う費用負担については、「(まだ)考えていない」とした。(読売新聞)
【写真】荒尾市側(手前)への反発の声が相次いだ競馬関係者への説明会

2011年9月2日金曜日

苦境続く九州地方競馬、頼みの綱はネット馬券!?~荒尾競馬が廃止へ

 8月24日、荒尾市長は、13億6,000万円の累積赤字を抱える荒尾競馬(熊本県荒尾市)を本年度で廃止する方針を固めた。現存する地方競馬のなかでは最も古い荒尾競馬(1928年2月開設)の廃止に、競馬ファンから惜しむ声も...。今、九州の地方競馬はどのような状況におかれているのか―。
 九州における地方競馬は、荒尾競馬のほかに現存する佐賀競馬(佐賀県鳥栖市)と、2001年に廃止された中津競馬(大分県中津市)があった。地方自治体の貴重な収入源であったのはバブル崩壊前までの話。現在は、バブル崩壊後にともなう不況により、ほとんどが厳しい経営状況にある。
 2000年、荒尾、佐賀、中津の3地方競馬は、生き残りをかけて『九州競馬』として日程を調整し、「九州グレード(KG)」開催のための格付けの統一や人馬交流戦、場外馬券発売などで相互連携を行なった。しかし、01年、中津競馬が21億円以上の累積赤字を理由に廃止。その後は、荒尾と佐賀のみで連携を続け、02年からはインターネットによる馬券の発売を開始。07年からは馬券の購入システムを統合し、システム開発運用経費を削減。馬券の購入・払い戻しを相互に可能とするなどの対策を講じてきた。
 農林水産省HPに掲載されている「地方競馬の概況」によると、1991年度の売上9,862億円、入場者数1,466万人をピークに、全国16の地方競馬は、売上、入場者ともに減少が続いている。2008年度の売上は、1991年度の約40%の3,804億円。入場者数は、同約30%の485万人であった。
 荒尾競馬組合によると、荒尾競馬場への入場者数は2008年度・約11万人、09年度・約11万人弱、10年度・約9万人と減少傾向にあるという。また、単年度収支は、08年度が約8,500万円の赤字、09年度が約4,500万円の赤字、10年度が約4,300万円の黒字を計上。累積赤字は08年度から10年度までで、約13億5,700万円、約14億300万円、約13億6,000万円と推移している。
 一方、佐賀競馬を運営する佐賀県競馬組合によると、佐賀競馬場への入場者数は08年度・約42万人、09年度・約39万人、10年度・約36万人と同じく減少。単年度収支差は08年度が約7,200万円の黒字、09年度が約4,900万円の赤字、10年度は約1億8,000万円の赤字となっている。08年度から10年度までの累積赤字はそれぞれ、約1,900万円、約6,700万円、約2億4,800万円と、ここ数年で大きくふくらんでいる。
 来場者が減少傾向にあるなか、売上を伸ばしているのは、自宅からネットバンクを通じて馬券の購入、払い戻しができる「オッズパーク」、「楽天」などのインターネットによる馬券(以下、ネット馬券)の売上だ。佐賀競馬は、11年度7月開催の第8回競馬までの集計で、ネット馬券の売上は前年度比で約127%と好調であるという。本年度で廃止される荒尾競馬も、11年度1四半期のネット馬券の売上は、前年度同期比約132%であった。
 人馬交流のある荒尾競馬の廃止が、佐賀競馬に影響をもたらすことは必至であるが、その打開策のひとつがネット馬券であることを数値が示していると言える。(NetIBnews)

2011年8月30日火曜日

佐賀競馬累積赤字2億4800万円

馬券売り上げ減
 佐賀競馬(鳥栖市)を運営する県競馬組合の定例議会が29日に鳥栖市で開かれ、馬券売り上げの減少などから昨年度末時点の累積赤字額が約2億4800万円に上ったことが報告された。
 同組合によると、佐賀競馬の2009年度末の累積赤字は約6800万円だったが、10年度は景気低迷による馬券売り上げの大幅減で、約1億8000万円の単年度赤字を計上した。
 しかし、今年度の4~8月の発売実績は、インターネットや電話を利用した馬券売り上げが好調で、前年度同期比7・4%増。同組合は「経費の大幅削減と、中央競馬と連携した馬券発売で累積赤字の解消を目指したい」とした。
 ただ、今年度限りで廃止される見通しとなった荒尾競馬(熊本県荒尾市)の場外発売所で、佐賀競馬分の発売実績は昨年度で約12億7000万円。佐賀競馬全体の約1割を占めており、同組合は「場外発売所が廃止されれば、大きな影響を受ける」として関係団体に存続を働きかける方針。(読売新聞)

2011年8月27日土曜日

廃止方針 馬主らの反対相次ぐ 調教師は再就職懸念

 厳しい運営状況から今年度中に廃止する方針を固めた荒尾市。荒尾競馬組合で25日あった関係者との意見交換会で、前畑淳治市長は存廃の結論を問われても答えず「考えをまとめて県と協議した上で決定する」という考えを強調した。結論は9月5日開会予定の定例市議会で発表するとし、それまでに県と協議する。
 発表を9月としたのは、来年度の競馬開催の認可申請準備に入る10月が期限となるため。前畑市長は09年、学識者ら外部委員による荒尾競馬の「あり方検討会」から「09~11年度の収支を見て存廃を判断するのが妥当」との提言を受け、11年度中に結論を出すと表明していた。
 意見交換会では馬主らから、廃止で出走先が九州では佐賀競馬に限られることなどから、廃止反対の意見が相次いだ。廃止した後の十分な補償を求める声も多く出た。同競馬場所属の調教師は「廃止するなら早くして。今なら別の就職先が探せるが、地方競馬はどこも厳しく荒尾より先に別の地方競馬が廃止されれば、そこの関係者で就職先も埋まってしまう」と訴えた。(毎日新聞)

2011年8月26日金曜日

正式表明「9月市議会で」 荒尾競馬問題で市長


 荒尾市の前畑淳治市長は25日、累積赤字13億6千万円を抱える荒尾競馬19 件について、「9月市議会で経営の方向性を示す」と述べ、廃止方針に関する明言を避けた。
 荒尾競馬組合で開かれた臨時議会と、競馬関係者約100人との懇談会でそれぞれ語った。組合の管理者を務める市長は「いろんな角度から検討し、熟慮している最中」と説明。市と共に組合を構成している県とも協議した上で、9月5日に開会予定の定例市議会で正式表明する考えを示した。
 組合の臨時議会ではこのほか、公営企業会計移行後に初算出した資金不足比率が24・8%に上ったことも報告された。
 健全化基準の0%を上回ったため、事業を継続するためには赤字要因の分析や売得[ばいとく]金増の施策などを盛り込んだ経営健全化計画を本年度中に策定する必要がある。組合事務局は今のところ、策定作業に着手していないという。(熊本日日新聞)
【写真】今後について前畑淳治市長に思いをぶつける競馬関係者

2011年8月25日木曜日

赤字続く荒尾競馬、本年度で廃止 荒尾市が方針


 累積赤字13億6千万円を抱える荒尾市の荒尾競馬について、競馬組合(市と県による一部事務組合)を管理する市が本年度限りで廃止する方針を固めたことが24日、分かった。組合管理者の前畑淳治市長が近く、蒲島郁夫知事に方針を伝える。

 市は2009年、学識者らによる荒尾競馬の「あり方検討会」から「09~11年度の収支状況、将来の見通しをもって判断することが妥当」との提言を受け、11年度中に結論を出すとしていた。

 前畑市長は6月、「10年度決算は13年ぶりに約4300万円の黒字だったが、赤字構造から脱却できていない。出走馬が減り、レース編成にも苦慮。全国的に販売状況は厳しく、将来の展望が見えない」と表明。

 市は6~7月、調教師や騎手、厩務員、馬主の代表からのヒアリングや、住民懇談会も開いたが、事業を継続できる好材料は見いだせなかった。10月には来年度の競馬開催の認可申請準備に入る必要があるため、9月市議会を前に廃止の方針を決断したとみられる。

 荒尾競馬は1928年2月に開設。現存の地方競馬では最も長い歴史を持つ。55年からは市と県による一部事務組合が運営。69~98年度は売得金が100億円を超え、市と県に累計約91億3200万円を繰り入れるなど財政に寄与した。だが、三池炭鉱閉山後の98年度以降は赤字に陥った。

 現在、在厩馬は約270頭。廃止に伴い、所属騎手13人と調教師14人をはじめ、厩務員ら関係者約180人が職を失う。市内への経済波及効果は約9億円と試算されており、地元経済への影響も懸念される。

 全国に16ある地方競馬はいずれも売り上げ低迷で存続の危機にあり、馬券の相互発売などで協力し合っている。荒尾の撤退は「九州競馬」を構成する佐賀競馬(鳥栖市)はじめ全国の競馬場にも打撃を与えそうだ。(熊日新聞)
【写真】レース前、厩務員に引かれパドックを歩く競走馬。スタンド、事務棟など、施設も老朽化している=24日、荒尾市の荒尾競馬場

2011年8月24日水曜日

水沢競馬、12月に再開へ 観客スタンドの復旧早まる

 岩手県競馬組合は23日、東日本大震災で競馬場が被災し、休止していた水沢競馬を12月から再開すると発表した。組合は年度内の再開を目指していたが、損壊した観客スタンドの復旧工事が11月末で完了する見通しになった。
 本年度の水沢競馬は12月10日から来年1月9日まで、週末を中心に14日間開催する。重賞レースも3レース組み込み、売上額は計14億7200万円を見込む。
 組合によると、震災後の当初見通しより再開が早まったのに伴い、全体の売上額は97億4400万円から118億5500万円に増加する見込みで、年間収支の見通しも200万円の黒字から9400万円の黒字に上方修正した。
 県競馬組合は震災で、水沢競馬場のほか、盛岡競馬場、釜石や宮古の場外馬券売り場(テレトラック)が被災。盛岡競馬は1カ月遅れの5月に開幕し、テレトラック宮古も6月に再開したが、テレトラック釜石は復旧の見通しが立っていない。(河北新報)

2011年8月22日月曜日

「荒尾競馬で走りたい」女性騎手の卵、小山さん


 来春のデビューを目指し、女性騎手の卵、小山紗知伽[さちか]さん(17)=熊本市出身=が荒尾市の荒尾競馬で研修を始めた。厩舎[きゅうしゃ]に泊まり込んで実習に励む毎日。「荒尾の馬場でレースをしたい」と夢を膨らませている。
 小山さんは昨年4月、騎手を養成する地方競馬教養センター(栃木)に入所。当初13人いた同期のうち、厳しい練習に耐えて研修までこぎ着けたのは7人。女性は小山さんだけだ。
 17日から、所属予定の幣旗[へいはた]吉昭さん(57)の厩舎で実習中。「馬をきちんとコントロールできるようになりたい。息の入れ方、追い方なども学びたい」。先輩騎手らと共に午前4時から6~7頭を調教し、夕方は運動させる。競馬開催日はレースを見学。空いた時間は騎手免許の試験勉強に忙しい。
 センター入所前から小山さんを指導する幣旗さんは「実戦ではどんな馬も乗りこなす腕が必要。いろんな馬に乗って癖をつかみ、技術を磨いてほしい」と話す。競馬場は存廃論議のさなかにあるが、「荒尾でデビューさせてやりたいね」と“親心”を見せる。
 憧れの存在という岩永千明騎手に「分からないことはどんどん聞いてね」と声を掛けてもらった、と喜ぶ小山さん。「厩舎の人たちも優しく迎えてくれ、何とか頑張れそうです」。研修は来年1月まで続く。(熊日新聞)
【写真】「荒尾競馬で走りたい」女性騎手の卵、小山さん

2011年8月12日金曜日

ダーレー“エリート養成所”に日本人2人目女性合格

 ホースマンの「エリート養成所」ダーレー・フライングスタートに、日本人女性が合格した。競馬界とは縁がない家庭で育った亀井まどかさん(22)だ。兄が遊んでいたテレビゲーム「ダービースタリオン」を見て、競馬に興味を持ち、自らプレーしたり、競馬中継、雑誌を見るうちに、サラブレッドの美しさ、魅力にひかれたという。

 ダーレー・フライングスタートとは、サラブレッド業界のリーダーを志す者のための国際研修プログラム。ドバイ首長で、大馬主として知られるシェイク・モハメドが、設立した。世界中の出願者の中から毎年、12名が選抜され、奨学金制度で競馬の専門知識、ビジネススキルを習得できる。

 日本人の合格者は、一期生(05年卒業)の園部花子氏(現ダーレー・ジャパンレーシングディレクター)以来。園部氏から話を聞き、受験を決意した。都内のダーレーのレーシングオフィスでアシスタント業務を行い、学習院大学在学中の昨年、北海道日高町のダーレー・ジャパン・ファームへ。1年間の牧場経験を積んだ。英語での筆記試験、面接を通過して難関を突破。「知識、技術、学びたいことだらけです」と14日の出国を前に目を輝かせる。

 研修は、アイルランドでスタート。2年間で5か国(ほかにイギリス、アメリカ、オーストラリア、ドバイ)を回りながら“英才教育”が施される。「プログラムを通して、将来の可能性を模索していきたい。いずれは日本に戻って、日本の競馬の発展に貢献したいと持っています。競馬はギャンブルのイメージが強いですが、野球やサッカーのように、スポーツとして認知されるようになれば」。大きな夢を胸に、世界へと飛び立つ。(スポーツ報知)

2011年8月11日木曜日

名古屋競馬の宮下騎手が引退 女性の日本最多勝記録


 女性騎手の日本最多勝記録保持者で地方・名古屋競馬所属の宮下瞳騎手(34)が現役を引退することになった。11日に愛知県競馬組合が発表した。
 鹿児島市出身の宮下騎手は1995年10月にデビュー。2005年7月には益田競馬(島根)で活躍した吉岡牧子元騎手の最多勝記録を更新する351勝をマーク。地方競馬通算7795レースに騎乗し、626勝を挙げている。(NEWS47)

2011年8月9日火曜日

女性調教師、史上初のデビュー星!


 8日の浦和競馬1Rでジュピタービギンが逃げ切り、平山真希調教師(31)=浦和=が初出走で初勝利を挙げた。女性調教師としては現役4人目で、デビュー勝ちは初の快挙。「新馬なので走ってみないと分からないからドキドキしました。勝ててホッとしています」。新馬勝ちは開業前から目標の1つに掲げていたもの。それを初戦で達成したのだから今後が楽しみだ。(デイリースポーツ)
【写真】口取りに収まる平山真希師(右端)

福山競馬、4―6月収支黒字

 福山市は8日、福山競馬の本年度第1四半期(4~6月)の収支が4242万円の黒字だったと発表した。東日本大震災の影響で東北、関東地方でレース中止が相次ぎ、福山競馬の馬券をインターネットで購入するファンが増えたとみている。

 4月10日~6月27日に計22日間、開催した。費用22億4301万円に対して収入が22億8543万円あった。売り上げは1日平均9512万円。うちネット販売分は2768万円で、前年度同期の約2・5倍に急増した。市が収支均衡の目安としている1日平均8234万円を、第1四半期は達成した。

 一方で、入場者数は1日平均1655人と前年度同期と比べて約300人減った。

 福山競馬の累積赤字は約20億円。市は本年度以降、年間収支の赤字が濃厚となった時点で廃止を検討する。(中国新聞)

2011年8月6日土曜日

ボートピア誘致の請願を不採択 事実上不可能に

 岐南町の場外舟券売り場(ボートピア)誘致問題で、町議会特別委員会は5日、採決を行い、誘致への賛成を議会に求める請願を反対多数で不採択とした。特別委は全10町議で構成し、町議会9月定例会で正式に請願を不採択とする。国土交通省の通達で、議会が反対しないことが設置の条件となっており、事実上、誘致は不可能となった。

 特別委では、賛成派の議員から「地域の活性化につながる」、反対派からは「ほかの施設を誘致すべきだ」などの意見が出た。採決では委員長を除く7人が反対、2人が賛成した。

 松原秀安町長は取材に「今はコメントを差し控える。9月定例会で不採択とした際に思いを述べたい」と答えた。

 この問題では今年3月、上印食地区の自治会が「地元活性化のため」と、誘致賛成の請願を提出。町議会は「場外舟券売り場の誘致に関する特別委員会」を設置して是非を審議してきた。

 反対する住民は「教育や交通安全の面で良くない」と主張。計画地は厳しい経営が続く笠松町の笠松競馬から約2・5キロと近く、競馬運営への影響も懸念されていた。

 笠松競馬を運営する県地方競馬組合管理者の広江正明笠松町長は「結果を聞いて安心した。ボートピアは笠松競馬に影響があると反対してきた。良識ある結論が出た」と話した。(中日新聞)

シェア全国トップ級 勝負服の老舗が苦境 福島競馬中止で


 競馬のレースで騎手が着る「勝負服」では、全国でもトップクラスのシェアを誇る「河野テーラー」(福島市)が、東日本大震災と福島第1原発事故に翻弄(ほんろう)されている。日本中央競馬会(JRA)福島競馬場(福島市)の開催中止の打撃を受けたばかりか、心ない風評被害も被った。河野正典社長(39)は「稼ぎ時を失った上、自分が仕立てた勝負服の馬が見られないのは、本当にさみしい」と嘆く。

 河野社長はこれまで福島競馬の開催中、全国から訪れる馬主や調教師を相手に営業活動を行ってきた。
 だが、ことしは震災で福島競馬場の建物が損壊して春と夏のレースが中止になったため、セールスの機会を失い、売り上げは例年の半分に落ち込んだ。
 6月には秋のレースも中止が決まり、年内に予定されていた全レースが取りやめに。河野社長は「秋こそはと思っていたので、大きな痛手。来年の春は何とかレースを行ってほしい」と話す。
 原発事故による風評被害も痛かった。河野テーラーの所在地は福島競馬場のすぐ近く。福島市は県内の主要都市では最も放射線量が高い。「そこで作った勝負服は着られない」と、せっかく受けた注文を取り消されたこともあったという。
 「やれることからやるしかない」と、河野社長はJRA美浦トレーニングセンター(茨城県)の厩舎(きゅうしゃ)まで出向いてセールスをしている。
 河野テーラーは合資会社で、1924年創業の老舗。3代目に当たる河野社長は12年前、旅行会社を辞めて叔父の後を継いだ。社員は4人。
 1着の勝負服を作るのに複数の人の手が関わると縁起が悪いとされることから、「最初から最後まで1人の職人で作る」という競馬界の伝統を守っている。
 「競馬界に活気が戻ることが、福島復興のシンボルになると思う」。河野社長は「勝負服の仕立屋は全国にわずか数軒。その伝統を絶やしたくない」と勝負服の製造とセールスに励んでいる。(河北新報)
【写真】伝統の作り方で、丹念に勝負服を仕立てる河野正典さん=福島市桜木町の河野テーラー

2011年7月26日火曜日

熟年馬カバキチが地方最多勝


 福山競馬場所属のアラブ馬モナクカバキチ(牡、12歳)が24日、同競馬場の第3レースを制し、地方競馬の歴代最多勝に並ぶ54勝目を挙げた。人間ならば50歳近い熟年世代の活躍に、記録の更新や福山競馬の活性化に向けた期待が広がった。

 4歳のサラブレッド馬7頭を相手に1250メートルのレースに臨んだ。序盤から上位を保って最後の直線で突き放し、2馬身余りの差をつける圧勝。2001年10月のデビュー以来、通算194戦54勝となった。

 観戦した建設業柏原光人さん(64)=福山市手城町=は「年を取っても頑張ればできると確信した」と興奮。インターネットブログで成績や応援をつづる元厩務(きゅうむ)員加藤隆由さん(36)=岡山市南区=は「今月まで1年近く勝てず心配したが、見事な復活。福山競馬の起爆剤に」と願う。(中国新聞)
【写真説明】地方競馬の歴代最多勝記録に並ぶ54勝目を挙げたレースで後続を突き放すモナクカバキチ(左)

福山競馬場 滝本さん「達成感」





 洲本市立五色中3年の滝本理菜さん(15)が25日、広島県福山市の市営競馬場で、第8レースの出走馬をパドックから馬場まで先導する誘導馬の騎手を務めた。中学生がこうした役割を果たすのは同市営競馬では初めて。

 滝本さんは白の乗馬服姿で姿勢良く、あし毛の馬にまたがり、9頭の競走馬の先頭で馬場へ入場した。少し緊張した様子ながら、ゆったりとしたペースで約100メートル馬を進め、見守る家族らに手を振る余裕も。誘導後、近くを競走馬が駆け抜け、誘導馬が興奮する場面もあったが、冷静に抑えた。

 大役を終え、「緊張した。競走馬が近付いてきて怖かったけど、広い馬場で馬に乗るのは気持ち良かった。今は達成感でいっぱい」と話した。(読売新聞)
【写真】誘導馬の騎手を務める滝本さん(広島県福山市の市営競馬場で)

2011年7月24日日曜日

地方競馬最多勝目指す 福山

 福山競馬場に所属するアラブ馬モナクカバキチ(牡、12歳)が24日、全国の地方競馬の歴代最多勝タイ記録の54勝目に挑む。16日に約11カ月ぶりに勝ち、あと1勝に迫った。人間ならば50歳近い熟年世代の奮闘に記録更新を願う応援も広がる。

 2001年に福山競馬でデビューし、全国5地方競馬場で通算193戦53勝。16日の福山競馬場でのレースでは、競走馬のピーク期とされる4歳馬を最後の直線で差し切った。

 福山市競馬事務局は2月、ホームページ(HP)に成績や出走予定の紹介欄を開設。インターネット上では応援するブログや書き込みも出てきている。

 24日は午後0時50分からの第3レースに出走。福山競馬のHPを通じてインターネット中継でも見られる。(中国新聞)

復興願い 相馬野馬追


 「相馬野馬追」が23日、3日間の日程で南相馬市と相馬市で開幕した。

 今年は東日本大震災と東京電力福島第一原発事故の影響で、最大の呼び物「甲冑(かっちゅう)競馬」と「神旗争奪戦」が、緊急時避難準備区域内に祭場地があるなどの理由で中止に。馬や武者が被災したため、参加騎馬数も例年の6分の1の約80騎にとどまる。

 午前8時半から相馬市の相馬中村神社で行われた出陣式には、羽織はかまやよろい姿の武者らが胸に黒い喪章を付けて参加。ホラ貝の音が響くなか、震災犠牲者に黙とうをささげた後、総大将の相馬行胤(みちたね)さん(37)が「一人ひとりが相馬野馬追の伝統の力を信じ、一日も早く東日本の復興が実現することを念じながら行軍してほしい」と訓示した。続いて約50人が騎乗し、沿道で大勢の見物客が見守るなか、相馬市や南相馬市北部を行進した。

 今年初めて甲冑姿で馬に乗った相馬市の会社員三品信吾さん(27)は「大変な状況だったが、多くの人の協力で参加できた。忘れられない野馬追になる」と話していた。

 一方、例年なら初日から様々な行事が行われる南相馬市原町区の雲雀ヶ原祭場地には、「来年こそ相馬野馬追を」と書かれた横断幕が掲げられた。

 相馬野馬追で例年、最も多くの騎馬武者が出場してきた中ノ郷騎馬会が、震災と福島第一原発事故の影響で出番が失われたことから、「せめて中ノ郷の気持ちを掲げよう」と製作し、19日に掲示した。同騎馬会の中島三喜会長(63)は「今年はやむを得ないが、三神社と五郷の騎馬会がそろってこその相馬野馬追。早い収束を願い、『来年こそは』の思いを込めた」と語った。

 24日は南相馬市原町区の相馬太田神社で、25日には、例年の相馬小高神社が警戒区域内にあることから多珂神社で、それぞれ例大祭などが行われるが、いずれも騎馬行進は行われない。(読売新聞)
【写真】相馬市内を行く騎馬武者たち(23日午前)=清水敏明撮影

南関2冠牝馬クラーベ薬物反応JDD失格


 13日のジャパンダートダービー(統一G1、ダート2000メートル、大井)で中央勢の牡馬相手に3着と好走したクラーベセクレタ(牝3、船橋・川島正行)に、禁止薬物陽性反応が出た。確認されたのは興奮作用があるとされるカフェイン。レース後に採取された尿を、宇都宮にある競走馬理化学研究所で調べた結果、禁止薬物が検出され、23日午後1時にTCK特別区競馬+組合(大井競馬場)に連絡があった。これを受けて同馬の3着は取り消され失格。賞金は馬主、調教師、騎手、厩務員とも返上。4位入線のタガノロックオン以下が繰り上がる。

 大井競馬では同馬に対して、レース当日からさかのぼって30日間の出走停止処分を科した。過去に禁止薬物が検出された時には、管理調教師に対して30日間の賞典停止(出走手当、ナイター手当等が払われない)が科せられたことがあり、今後、川島正行師にも同様の処分が出る可能性もある。(デイリースポーツ)
【写真】ジャパンダートダービーで3着だったクラーベセクレタ
 川島正行師は「管理はしっかりしていた。厩舎の他の馬も同じ物を食べているし、原因が分からない。地方の代表として、JDDでいいレースを見せたいとやってきた。残念です」と話した。馬主のサンデーレーシングのHP上では「微量のカフェインですのでコーヒーかお茶でしょう。防犯ビデオを撮っていますので、これから確認します」と原因究明に当たることもコメントしている。

 羽田盃、東京ダービーを制した地方競馬の新女王。現在は厩舎で静養中だが、今回の汚名をそそぐためにも、秋にはさらに強い走りを見せてくれることが期待される。

2011年7月9日土曜日

地方競馬初、大井競馬に手術室などの設備を設置

 東京シティ競馬(TCK)は、大井競馬場装鞍所内に地方競馬では初めてとなる二次診療施設を設置しました。
 国際交流競走を実施している国内外の競馬場では、競走馬の骨折や急性腹症などの緊急性な処置を必要とする場合に、24時間体制で応急処置や各種手術が迅速に行われる診療体制が整備されています。現在、大井競馬場内には競走馬に全身麻酔下での応急処置や治療を行える施設がなく、高度医療が行える診療環境の整備は必要不可欠でした。
 今回の二次診療施設の設置により、競走馬に外科的な処置や手術が実施できるようになります。また、各種血液検査機器を導入することで、競走馬の状態を短時間で客観的に把握することが可能となり、科学的な根拠に基づいた有効な治療や、調教進度のデータ採取など診療および調教環境の改善が期待できます。
なお、本施設は当面の間、大井競馬開催時の故障馬の処置等に使用し、本格的な施設の運用については、本年9月1日からになります。

【施設詳細】
(1) 麻酔前処置および回復室
 倒馬用スイングドア、ホイスト式チェーンブロック(2連式)、デマンドバルブ、床面及び壁面はクッション素材を採用

(2)手術室
 大動物用吸入麻酔器、人工呼吸機器、生体情報モニター、競走馬手術台、処置用マット、輸液ポンプ、血液ガス分析装置、移動式無影灯、大型吸引機、結腸台、余剰ガス排出装置、ホイスト式チェーンブロック(単式)など

(3)検査・準備室、薬品消耗品庫
 血液生化学測定機器、自動血球分析器、乳酸測定器、高圧蒸気滅菌器、医療用手洗器など
(Net-Keiba.com)

2011年7月2日土曜日

「ハピネスウェイブ」に決定 荒尾競馬 名前を公募の競走馬


 荒尾競馬組合が名前を公募していた競走馬が「ハピネスウェイブ」号に決まり、30日、同競馬場でお披露目された。名付け親は長崎市の会社員原賀由尚(ゆたか)さん(46)。馬主で生産者の村山光弘さん(49)=大津町=は「荒尾競馬の経営難が続く中、名前の通り、いい波を起こしてほしい」と話した。
 5月12日から31日まで募集したところ、全国から568通が寄せられ、村山さんが中心となって審査した。原賀さんは「馬名に込めた思い、幸せ、喜び、希望が九州から全国へ届いてほしい」とコメントした。
 ハピネスウェイブは2歳の牡馬。10日の佐賀競馬場の新馬レースでデビューする予定。(西日本新聞)
【写真】公募で名前が決まったハピネスウェイブ号と馬主の村山光弘さん(右)

福島競馬、芝コースを張り替え 放射線量を低減


 日本中央競馬会(JRA)は1日、施設内の放射線量を低減するため、福島競馬場(福島市)のコースの芝の張り替えを始めた。
 コースの4か所で測定した、地表から1メートルの高さの放射線量は平均で毎時1.87マイクロ・シーベルト。国の暫定基準値(毎時3.8マイクロ・シーベルト)は下回っているものの、ファンに安心してレースを楽しんでもらうため張り替えることにした。
 コースは全長1600メートルで、競走馬が走る幅約10メートルの部分の芝を厚さ3~4センチ除去。今後、土をならし、7月末までに張り替え作業を完了する予定。ダートコース(全長1444メートル)の砂の入れ替えも11月末までをメドに行う。除去した芝や砂については当面、敷地内に埋めて仮置きする。
 同競馬場は、東日本大震災で、観客席の屋根が落下したり、投票システムが損傷したりしたため、年内のレースは中止した。補修工事を進め、来春の再開を目指している。(読売新聞)
【写真】放射線量を下げるためはがされたコースの芝

笠松競馬 可児に場外馬券場計画


「来年度開業予定」 地元の理解課題に

 可児市中恵土地区で、笠松競馬の場外馬券売り場の建設計画が進んでいることが1日、わかった。建設されれば「シアター恵那」(恵那市)、「早朝前売発売所」(岐南町)に続く、同競馬の3番目の場外馬券売り場となる。経営難にあえぐ同競馬では、数年前に高山市で場外馬券売り場の建設計画が持ち上がったが、地元の反対などで頓挫した。馬券の販売が増えれば経営改善にもつながるが、地元住民の理解をいかに得るかが課題だ。
 可児市建築指導課などによると、建設を計画しているのは名古屋市西区の墓地販売会社「東正」。同競馬が取り扱う全国の地方競馬の馬券を販売、50インチのモニターなどでレースを放映する。売り上げの一部が同競馬の収益となる。
 延べ約2145平方メートルの敷地に「笠松競馬ミニシアター可児」の仮称で建設し、発売窓口を三つ設置する予定だという。年間稼働日は約320日、営業時間は午前10時から午後5時を想定。1日平均の利用者数は100~200人程度、年間売り上げ5億5000万円を見込んでいる。建設予定地はパチンコ店の跡地で、国道21号を挟んで大型ショッピングセンター「ラスパ御嵩」がある。
 同社が今年1月、笠松競馬に建設を打診。2004年1月に競馬法が改正され、民間会社でも場外馬券売り場の運営が可能となっている。
 同社は開設に必要な地元同意を得るため、6月中旬に市に事業概要を説明。現在は住民らと話し合いを続けている。
 同社は「9月中旬頃までに地元の合意を得て、計画から1年程度で建設できれば理想的だ」としており、建設予定の同地区の千賀昂(たかし)自治連合会長は「関係する人たちと協議を進めたい」としている。
 笠松競馬関係者は「経営は日々悪化しており、早く建設されればされるほどありがたい」としている。(読売新聞)

2011年7月1日金曜日

岐南のボートピア 設置計画知事が懸念示す

 岐南町上印食地区で浮上している競艇の場外舟券売り場(ボートピア)の設置計画を巡って、古田肇知事は30日、「笠松競馬の経営にとって致命傷となる恐れも十分あり得る」と懸念を示した。
 県議会一般質問で、渡辺嘉山議員(県民クラブ)の質問に答えた。
 古田知事は、笠松競馬関係者が同競馬存続のために行っている賞金・手当の15%カットについて、「身を削りながら経営改善努力に取り組んでいる」とした上で、同競馬を運営する県地方競馬組合の構成団体の長として「(ボートピアの設置で)馬券発売額の減少は避けられない」と答弁した。
 同組合副管理者の松原秀安・岐南町長は20日の同競馬構成団体首長会議で、「競馬への影響については理解している。町長として民意を的確に把握し、近隣市町との関係にも配慮して判断したい」と結論を留保している。
 29日に閉会した岐南町議会では、ボートピア誘致に関する請願を継続審査扱いとした。(読売新聞)

2011年6月25日土曜日

金沢競馬 基金取り崩し

◆県営分決算3700万円赤字◆

 競馬事業局は24日、金沢競馬の県営分の2010年度決算を発表した。入場者数の減少などで約3700万円の赤字。2年連続の赤字で、4年ぶりに貯金にあたる公営競馬財政調整基金を取り崩して対応した。

 10年度の開催は72日間で、入場者数は約22万1千人(1・6%減)、売上額は約78億6千万(5・4%減)だった。当初予算では、基金の取り崩しが7800万円だったが、冬場の場外馬券の売り上げが伸び、3300万円まで縮小した。基金残高は約21億1千万円。

 同競馬については、経営評価委員会が「経営改善の余地はある」として12年度の収支均衡を目標に設定。廃止時に必要な経費約6億~12億円は確保しつつ、税金は投入しない方針で、収支が改善されなければ「将来、廃止もありうる」との判断も示している。(朝日新聞)

2011年6月24日金曜日

盛岡「南部杯」10・10東京開催で調整

 岩手・盛岡競馬場の交流G1南部杯(10月10日、ダート1600メートル)を同日、東京競馬場で行う方向で調整されていることが23日、分かった。ホクトベガ、メイセイオペラ、アドマイヤドンなど名馬が優勝馬に名を連ねる南部杯は盛岡最大の交流競走だが、盛岡競馬を主催する岩手県競馬組合は東日本大震災で一時休催。5月14日に盛岡で再開したが、興行面で苦境が続いている。そこで盛岡競馬場と業務提携している東京競馬場での開催が浮上。集客、売り上げも多く見込めるJRAなら馬券収入でもアップが見込め、JRA、盛岡競馬を主催する岩手県競馬組合双方にメリットがある。来週行われる経営委員会の審議を経た上、最終決定される。

 当初、毎日王冠(10月9日)の翌日となる祝日の10日は東京開催の予定がなかったが、震災中止分の代替開催で実施予定。東京開幕週は8、9、10日の3日開催となりそうだ。

 ▼10月10日に開催を行う大井競馬場 JRAから(10月10日に東京開催を実施したいとの)相談は受けており、NAR(地方競馬全国協会)を通じて調整を進めています。(スポニチ)

馬でナイター開催検討 赤字で存続危機 


 兵庫県競馬組合が、収支改善策として、尼崎市の園田競馬場でナイター開催の検討に入り、地元への説明を順次始めている。2010年度単年度収支が赤字に転落し、競馬事業の廃止が現実味を増す中、同組合の米沢康隆事務局長は「ナイターは最後の切り札。実施しない限り、存続は難しい」と主張。12年度からの開催を目指しているが、周辺住民からは「塾帰りの子どもが心配」「そこまでして本当に効果はあるのか」などの声が上がっている。
 県と尼崎、姫路市でつくる同組合は1980年に設立され、園田、姫路両競馬場を運営している。売り上げは91年度の1187億円をピークに、景気低迷などで年々減少。99年度にも単年度収支が赤字になった。
 県は2006年度、事業のあり方を検討する委員会を設置。委員会は、単年度収支が赤字になった場合、その年度を含む5年間の収支を基本に「事業の存廃を判断すべき」とする報告書をまとめた。
 ここ数年は黒字だったが、10年度は約5億5千万円の赤字。入場数の慢性的な減少に加え、猛暑による客足の鈍りも影響したという。赤字解消が困難と判断されれば、競馬事業は5年以内に廃止される可能性もあるという。
 経営改善のため同組合は12年度から、園田競馬場で金曜の開場を午後9時までとするナイター営業や、阪神尼崎駅前にミニ場外馬券売り場の設置を検討。ナイターは県外の競馬場での実績などを踏まえ、単年度収支で約2億円の黒字を見込む。
 説明会に出席した周辺住民からは「治安面に不安がある。慎重に進めてほしい」といった意見などが出た。ある住民男性は「反対ありきではないが、安心して住める街を維持できるか。ナイターの問題点と対策をきっちり話し合い、住民が納得できる対策をすることが重要だ」と話す。
 競馬事業で計約1500人が雇用されている側面もあり、組合側は事業存続に全力を挙げる方針。ナイター開催に合わせて、最寄り駅からのファン送迎バスの増発や警備員増員などにより、住民に理解を求めるという。(神戸新聞)

2011年6月22日水曜日

競馬水沢開催、年内追加も

 震災でスタンドが損傷し、開催を見送っている水沢競馬場について、地方競馬全国協会(NAR)が復旧経費の9割を補助すると県競馬組合に内示した。年内の水沢開催を目指し、今月中に補修工事を始める。

 21日、奥州市役所で行われた市議会競馬事業調査特別委で、同組合の佐藤博事務局長が報告した。開催に必要なスタンドの復旧経費は、新たに屋根の破損が見つかったため2億3000万円となった。NARに支援要請したところ、20日に内諾を得た。水沢競馬場の復旧の見通しが立ったことで、12月中旬~1月上旬の追加開催を検討している。(読売新聞)

2011年6月18日土曜日

門別競馬場に屋内坂路コース造成 8月着工3月完成へ


 2歳馬の供給基地として、地方競馬に特異な位置を占めるホッカイドウ競馬が、さらに大きくグレードアップする。HRA北海道軽種馬振興公社(理事長・三輪茂日高町長)は5月31日に開かれた通常総会で、懸案だった屋内坂路コース新設にゴーサインを出した。競馬場北側の空き地と自然林が有する傾斜を利用し、総工費約6億円を投じて800m馬場を造成する。プランが順調に進めば本年8月中に着工し、来年3月の完成を目指す。馬資源供給競馬を掲げる馬産地競馬が坂路新設により、日本競馬全体のレベルアップにさらに大きな役割を果たす。
 国内で初めてシーズン全日ナイター開催を実現したホッカイドウ競馬が、さらに大きく進化を遂げる。計画によると所有する競馬場敷地に加え、造成に必要となる周辺の約5万5000㎡を買収。整地後は幅員10mの空間に7m幅のウッドチップを敷き詰め、傾斜角度0.5%〜5.5%(別図参照)の屋内坂路コースを新設する。
 最大の懸案だった資金面については、6億円の事業費のうち4億円を軽種馬産業活性を目指して創設された緊急対策事業費を利用。残る2億円はホッカイドウ競馬を主催する、道が負担することで決着した。
 屋内坂路造成の意義、メリットは多方面にわたる。そのひとつは、通年調教が滞りなく行えることだろう。北国の冬は厳しい。門別は北海道では温暖で雪の少ない地域だが、冬期間は吹雪や、凍結による馬場閉鎖は珍しくない。メーンコース内側にある600mの追い馬場をウッドチップにするなど最大限の工夫をこらしてはいるが、厳寒には勝てず調教のタイムスケジュールに支障を来す場面もあった。
 ホッカイドウ競馬は11月下旬にシーズンが閉幕。それから1歳馬が入厩し、馴致訓練をスタートする。国内品初の新馬戦が始まる4月まで、与えられた時間は潤沢ではない。その中で4月デビューへ向けて、調整をやり繰りしてきた。しかし、屋内坂路なら吹雪や寒気も怖くない。
 HRA職員は「開幕当初の出走馬不足に、ホッカイドウ競馬は発足当初から悩まされてきました。屋内坂路コースができるとトレーニングがスムーズになり、シーズン幕開けから出走頭数が揃いファンの皆様にも喜んでいただけるでしょう」と期待した。
 ふたつめは、栗東や美浦トレセンで実証されている“強い馬づくり”効果だろう。調教師と騎手で構成する北海道調騎会の若松平会長は「坂路が出来ればうれしい。2歳交流レースは重賞競走を含めて、早く仕上げ、キャリアを積むことで中央勢と互角の成績を残してきました。古馬になるとかなわなくなります。持って生まれた素質もあります。調教の質の差も大きいと感じていました。(HRAの)井村専務が坂路で高い実績を残している、BTC日高事業所長を務められノウハウを熟知しているのも心強い」と歓迎する。
 坂を駆け上ることで大きな負荷がかかり、筋力を増し心肺機能が大きく向上することは科学的なデータからも実証されている。馴致段階の仕上げでは日本有数を自負する厩舎スタッフが、よりハード面をグレードアップすることでさらなる強い馬づくりを推進する環境が整うことになる。
 今年、南関東の羽田盃、東京ダービーの2冠を、ホッカイドウ競馬から移籍したクラーベセクレタが制した。
中央でも過去、ドクタースパートが皐月賞、アローキャリーが桜花賞を制覇。それに止まらず馬産地競馬出身馬の高レベルは、競馬サークルの広く認知するところだ。
 ホッカイドウ競馬は存廃の危機を乗り越え本年、安定的な継続開催へ新たな一歩を踏み出した。存在理由の大きな柱のひとつが、馬資源供給競馬としての役割だった。6月中旬現在で、2歳馬の入厩頭数は全国の地方競馬で約880頭ほど。その内500頭が門別にいる。数字からも供給競馬の陣容を整えていることが実感できる。
 HRAの井村勝昭専務は「多くの方々のご助力で、屋内坂路造成へ踏み切ることができました。冬期間の調教環境を整え、春先のメンバーを充実させる。坂路でトレーニングすることで、強い馬づくりを大きく前進させることができます」。
 続けて「ホッカイドウ競馬の存在意義として、全国の競馬場へ馬資源を供給し、さらに馬産地のショーウインドーとなる役割りがあります。商品に付加価値をつけることで、生産者の皆様のご期待に応えたい」。意気込みを新たにした。
 1年後には、坂路コースで鍛えられた馬たちの力強い蹄音が、門別競馬場から全国の競馬サークルへ発信される。(馬時通信)
【写真】800メートル屋内坂路コース完成図

荒尾と佐賀競走馬共有 全国初、7月から

 荒尾競馬(熊本県荒尾市)と佐賀競馬(佐賀県鳥栖市)が、競走馬の一部を7月から「共有」することが分かった。両競馬とも経営難で所属する馬が減る中、融通しあうことでレースの魅力を高めようという地方競馬として全国初の試み。
 荒尾と佐賀は昨年10月-今年3月、全国のモデル事業として、競走馬を行き来させる「交流競走」を計25レース実施した。今回、最年少クラスの2歳馬について、交流競走の形態を年間を通じて導入。7月9日から12月末まで、両競馬場で計70レース程度開く。
 荒尾では昨年8月、馬主に支払う出走手当を約3割カットした影響で、現在出走できる2歳馬が前年より9頭少ない6頭に減少。2歳馬レースの単独開催が難しい状況になった。佐賀の2歳馬も減少傾向という。
 経営難にあえぐ地方競馬が多い中、地方競馬全国協会(東京)は自治体単位が原則だった競馬運営の地域ブロック化を進め、経営資源の共有とコスト削減を図りたい考え。今回も「将来の“九州競馬”の枠組みを見据えた試み」と位置付け、輸送費など約3千万円を補助する方針。
 荒尾競馬を運営する荒尾競馬組合は「共有化でバラエティーに富んだレースを編成し、ファン獲得につなげたい」としている。(西日本新聞)

福山競馬場 女子中生誘導馬騎手に


 兵庫県洲本市立五色中3年の滝本理菜さん(15)が来月25日、福山市千代田町、市営競馬場で、出走馬をパドックから馬場まで先導する誘導馬の騎手を務める。「将来は馬とかかわる仕事に」と望む理菜さんは、晴れ舞台を楽しみにしている。
 理菜さんは、母が理事長を務める洲本市の五色ホースクラブで、小学1年から乗馬を始めた。クラブには園田競馬場(兵庫県尼崎市)を引退した誘導馬がおり、競走馬を堂々と導く馬の騎手に憧れていた。今回、福山市営競馬の誘導馬業務を受託しているホースクラブから誘いがあり、実現した。地方競馬全国協会(東京)によると、中学生騎手は全国でも珍しいという。
 五色ホースクラブは障害者乗馬やホースセラピーに取り組み、理菜さんは、笑顔でリハビリに取り組む人たちを見るうち、馬と一緒にセラピーに携わる職業に就くことが夢に。「誘導馬に乗って、周りの人たちの笑顔も導き出したい」と話す。(読売新聞)
【写真】福山競馬で誘導馬の騎手を務める滝本理菜さん(兵庫県洲本市で)

岐南に場外舟券売り場


誘致計画再浮上 隣接市町が懸念

 岐南町上印食(かみいんじき)に競艇の場外舟券売り場(ボートピア)を誘致する計画が再浮上し、岐南町と隣接する笠松町や岐阜市を巻き込んだ議論となっている。笠松競馬場を運営する県地方競馬組合は16日に県庁で開かれた臨時議会で、「事業に影響が出る」として設置反対の決議を採択。岐阜市議会でも岐阜競輪場への影響について、市幹部が「競輪ファンの一部が流れる」と答弁するなど、競馬や競輪事業の収益悪化を懸念する声が出ている。
 ボートピアを巡っては、2009年にも今回と同じ場所で計画が持ち上がり、町内の企業が建設を目指したが、同年7月の自治会投票で反対が多数を占め、頓挫した経緯がある。現在は、今年2月に地元の一部住民から「地域活性化を目指す」として町議会に誘致を求める請願書が提出され、議会は特別委員会を設置、誘致の賛否を審議している。
 建設は昨年12月に設立された事業会社「アクアフォルテ」(岐南町)が、笠松競馬場から北約2・5キロの岐南インターチェンジ北東付近で行う予定。計画によると、施設は2000~3000平方メートルの敷地に約15の発売窓口を想定している。
 1日平均1500人の利用客と年間約70億円の売り上げを見込み、同社は「売り上げの1%を環境整備の協力金として町に提供する。防犯対策などでも地域と協議したい」としている。だが、町によると、具体的な設置時期や詳細な建設場所は未定。予定地には廃業したパチンコ施設や畑などがあり、誘致を呼び掛ける看板なども見当たらない。
 町議会では特別委員会が開かれ、「防犯や教育の点から住環境が悪化する」とする反対意見も出ている。広江正明・笠松町長も近隣にボートピアがある全国の4競馬場で、売り上げが平均4・5%減ったとして「競馬関係者は一丸となって笠松競馬の経営再建に取り組んでいる。建設は認められない」と強調する。
 16日開かれた岐阜市議会でも、大見富美雄・行政部長が「競輪ファンの約17%は競艇との重複ファンという調査結果もある。競輪事業に影響が出ることは避けられない」と懸念した。
 一方、地元の松原秀安・岐南町長は賛否を明らかにしていない。県地方競馬組合の臨時議会に出席した3人の岐南町議も異議を唱えなかった。町議会は22日に6回目の特別委員会を開き、誘致の是非を検討する。(読売新聞)
【写真】建設予定地とされる岐南町上印食地区の一角

2011年6月17日金曜日

浜松の場外馬券場が8月13日オープン JRAが発表


 日本中央競馬会(JRA)は16日、浜松市中区の「かじ町プラザ」4階に建設を進めている有料定員制場外馬券売り場「エクセル浜松」を、8月13日にオープンすると発表した。設備やスペースに応じて3種類の指定席を設け、幅広い利用者に対応。年間7万1000人の利用と、44億5000万円の売り上げを目指す。
 指定席は、大型机にパソコンを装備したS(2500円、122席)のほか、1人用のA(1500円、333席)、4人掛けテーブル仕様のB(1000円、330席)。
 天皇賞(春・秋)や有馬記念など、多くの利用が見込まれるG1(ローマ数字の1)競走7レースの開催日のみ、SとAは1000円、Bは500円、それぞれ料金が上乗せされる。
 3種類の指定席を備えたエクセルは全国で初めて。特にB席は、友人グループなどでの利用を想定した「新しい試み」(JRA)という。S席は、自席のパソコンで最新オッズ情報など見ることができる。
 施設の運営は、JRA職員5人のほか、馬券販売事務を手掛ける子会社スタッフ、警備や清掃の委託先関係者ら約60人で行う。
 エクセル浜松の村田秀俊所長は「浜松の周辺60キロ以内に電話やインターネットで馬券を購入しているファンが約3万人おり、来場を呼び掛けたい」と話した。空きが目立つかじ町プラザのテナントについては「飲食など利用者に便利な店が入ればありがたい」と今後に期待を示した。
 土・日曜日を中心とした中央競馬の開催日のみの営業。当日先着順に指定席券を販売する。20歳未満や子ども連れの入場は不可。(中日新聞)
【写真】グループでの利用を想定したB指定席の完成予想図

2011年6月16日木曜日

場外馬券売り場来場者数 当初目標の2倍 八代市日奈久

 八代市日奈久で4月に開業した日本中央競馬会(JRA)の場外馬券売り場「ウインズ八代」の来場者が当初目標の2倍に上っている。ただ地元温泉街の人出に大きな変化はなく、関係者は「工夫しながら温泉街の活性化につなげたい」と今後の展開に期待を込める。
 市によると、ウインズは土日ごとに営業し、4月24日-6月5日の営業日計14日間の来場は延べ約7万9千人。開業前の目標(1日平均2800人)の2倍となった。
 湯の里日奈久振興会は、営業日ごとに玄関前で名産のちくわなどを販売する「湧くわく市」を開催。日奈久温泉旅館組合は、温泉街との間に無料シャトルバスを走らせ、当日の外れ馬券持参で宿泊料1割引きのサービスを展開してきた。
 しかし温泉街中心部にある市立温泉センター「ばんぺい湯」の4-5月の利用者数は2万9955人と前年同期比7%増で、土日だけでみても同6%増にとどまった。
 日奈久温泉旅館組合の伊藤輝充組合長(57)は「鹿児島県などから競馬と温泉を楽しみに訪れるお客さんもボチボチ増えてきている。季節ごとに新しい企画を考えるなど長期的な視点で取り組みたい」と話している。(西日本新聞)

2011年6月14日火曜日

最年長騎乗山中さん 金沢競馬場で記念セレモニー


 今月5日に61歳10か月25日で騎乗し国内最年長騎乗記録を塗り替えた、金沢競馬の山中利夫騎手の記念セレモニーが12日、同競馬場で行われた。騎手生活44年での快挙に、壇上の山中騎手は「ファンの皆さんのおかげ」と涙声を上げた。

 山中騎手は約3000人の観客の前で記念品や花束を受け取った。特設ステージでマイクを握ると感情が高ぶった様子で、「これからも頑張りますんで、よろしくお願いします」と声を震わせ、集まったファンから大きな拍手を浴びた。

 この日は4レースに騎乗し、記録を61歳11か月2日まで伸ばした。また、第10レースでは単勝11番人気で3着に食い込み、3連単で454万6380円の同競馬場歴代最高配当に貢献、衰えない手綱さばきを印象づけた。

 山中騎手は大阪府岸和田市出身。1967年に同市の春木競馬場でデビューし、80年から金沢で活躍している。5日は通算1万7000騎乗目で、津曲照男騎手(福山競馬)の61歳10か月21日を超えた。通算記録は2811勝。(読売新聞)
【写真】国内最年長記録を更新した山中利夫騎手(12日、金沢競馬場で)

2011年6月9日木曜日

福山競馬の1日売り上げ増加

 福山競馬の4、5月の1日当たりの売り上げが1億297万円となり、前年度同期比で24%増えた。福山市が8日の市議会競馬事業特別委員会で報告した。東日本大震災の影響を受け、関東、東北地方の競馬場でレース中止や節電に伴う時間変更があり、福山競馬の馬券をインターネットで買うファンが増えたとみている。

 4月10日~5月23日に計14日間開催した。1日当たりの実績は、売り上げが前年度同期の8299万円を約2千万円上回った。うち、ネット販売は2602万円で約2・4倍に上った。入場者数は1694人と前年度同期比で約83%だった。

 市は、1日当たり8234万円を売り上げれば、収支が均衡するとみている。4、5月はそのラインをクリアしたが、特別委で佐藤彰三財政局長は「再開した競馬場もあり、楽観視はできない」と説明。入場者の減少にも危機感を示した。(中国新聞)

福山市の競馬事業、10年度は実質2900万円の赤字に

 広島県福山市は8日、2010年度の市営競馬事業について、基金の繰り入れを除いた実質単年度収支が2900万円の赤字の見込みであることを明らかにした。事業存続に向けて経費節減を進めた結果、09年度(約1億円の赤字)に比べて赤字幅は縮小した。

 1日当たりの売上高は8900万円で、09年度に比べて約3%減少した。2度にわたり賞金や関係者の手当を引き下げるなど経費を削減し、赤字幅縮小に努めた。

 中国地方で唯一の公営競馬事業である福山市営競馬事業は約20億円の累積赤字を抱えるなど経営が悪化し、存廃が焦点になっていた。羽田皓市長は今年1月、実質単年度収支の黒字確保を条件に11年度の事業継続の方針を表明した。

 景気低迷やレジャーの多様化傾向により、市は11年度も厳しい事業運営が続くと想定。実質単年度収支の黒字確保に向けて、魅力あるレースの企画などの振興策に取り組むとしている。(日本経済新聞)

2011年6月8日水曜日

馬のゼッケン再利用 障害者らがかばん作り、販売


 県内の障害者施設の作業所で、日本中央競馬会(JRA)栗東トレーニングセンター(トレセン)で使った馬のゼッケンを再利用したかばんが作られ、販売されている。ブランド名は「優駿(ゆうしゅん)」という意味の「steed(スティード)」。革製品専門店とカバン専門店に技術的サポートを受けながら、リュックなどの新しいデザインの製品開発に挑戦している。

 障害者の雇用を生み出し、所得のアップを目的に2009年から県社会就労事業振興センターが中心となり、県内4カ所の作業所が共同で作っている。

 ゼッケンは、調教用で1年間使用した物を無償で譲り受け、手作業で洗い、裁断し縫製する。商品は、ゼッケンの番号を生かして作られたトートバッグやショルダーバッグなど全6種類で、緑、黒、白の3色ある。ゼッケンの番号は全て異なっており、1歳馬用の緑色のゼッケンは栗東トレセンだけで使われているのも特徴。

 裁断、縫製を担当している守山市水保町の聴覚障害者施設びわこみみの里によると、かばんの販売を始め約2年だが、伸び悩んでいるのが現状。そのため新商品の開発に着手。完成品は今後百貨店などのカバン店店頭での販売も検討している。

 縫製を担当している栗東市の西城明美さん(50)は「布が丈夫で使い勝手がいい。若い人にも合うデザインになっている」と呼び掛けた。

 販売はインターネットで受け付けている。問い合わせはメール=info@steed.jp=まで。(中日新聞)
【写真】ゼッケンを再利用したかばん=守山市水保町の聴覚障害者施設びわこみみの里で。