2010年12月29日水曜日

金沢競馬厳しい再出発

 金沢競馬の当面2年間の存続が決まった。税金を投入しないとの条件付きで、基金を取り崩しながらの綱渡りの経営が続く。来年度からは総額9億円の 大規模な施設改修も始まる。厳しい条件下の“再出発”で、関係者に喜びの声はなく、県の経営に対する不安や不満も渦巻いている。

 「まるでお荷物扱い。競馬がどれだけ県財政に貢献してきたと思っているんだ」。金沢競馬の調教師の1人は、存続決定の知らせにも厳しい表情を崩さなかった。

 地方競馬は地方財政を潤す「打ち出の小づち」だった。金沢競馬も記録が残る1973年度以降、計約620億円を県と金沢市の一般会計に繰り入れてきた。

 しかし、バブル崩壊後に経営が悪化、99年からは積み立て基金を取り崩し、赤字補填(ほてん)が続く。その基金も24億円にまで減った。経営評価委員会は、基金が枯渇する前に事業廃止すべきと結論づけたが、現場関係者には「切り捨て」と映る。

 経営逼迫(ひっぱく)の中、県競馬事務局は2011年度から7年かけて、耐用年数を大幅に過ぎた着順表示盤や空調設備などの改修を計画。総額9億 円で毎年の負担は1億2900万円だ。調教師は「基金の底が見えてからやるのは自殺行為。なぜ、余裕がある時に改修しなかったのか」と憤る。

 事務局の経営に対する現場の不信は大きい。事務局は07〜09年度、広告会社と共同で、初心者に馬券の買い方を教える窓口の設置や婚活イベントなど64項目の新規プロジェクトを実施。しかし、芸能人の招致など安直な施策も多く来場者や収益は増えなかった。

 明るい話題もあった。中央競馬から金沢競馬に“降格”したジャングルスマイルと、高崎競馬の廃止で金沢に移籍した調教師がタッグを組んで12連勝 し、今秋、G1出場を果たした。関係者は「ダブルでリストラの星だ」と金沢競馬の人気復活に期待を寄せたが、事務局はPRの機会を逃してしまった。

 事務局の運営はすべて県職員。在勤15年のベテランもいるが、競馬関係者の間には「経営も競馬も素人では、ファンや潜在的愛好者の心をつかめない」との意見もあり、調教師と騎手で作る県調騎会は、専門職員の養成や経営プロの外部採用を求めている。

 金沢競馬には調教師32人、騎手23人、きゅう務員121人が所属。相次ぎ廃止される地方競馬からの雇用の受け皿としての役割も大きい。

 県調騎会副会長の佐藤茂調教師(51)も、03年に廃止された山形県上山競馬場からの移籍組だ。佐藤調教師は、全国の地方競馬17場の半数が経営 不振に陥っていることから、金沢競馬が廃止となると、調教師の9割は廃業に追い込まれると予測。「我々もいいレースを見せるのに全力を尽くすが、県も周囲 にレストランやレジャー施設を誘致するなど、経営感覚を磨いて事業を再生させてほしい」と注文を付けている。(読売新聞)

存廃で揺れる笠松競馬、手作りイルミで明るく年越し


◆地元NPOがイベント

 羽島郡笠松町の笠松競馬場一帯で28日、地元のNPO法人「元気きそがわ」による手作りのイルミネーションと竹キャンドルが点灯した。町民有志ら による衣料品や野菜、正月飾りの即売会、ライブもあり、存廃問題に揺れたことしの笠松競馬の締めくくりを温かなイベントで盛り上げた。

 この日は、年末・年始特別シリーズ(1月1日まで)の初日。場内に4体の光る馬のオブジェを置き、正門や鉄塔を電飾で飾った。同町本町通りの商店街でも、竹筒に入れたろうそく1200本をともした。

 場内特設ステージでは、午後4時の点灯に合わせて、地元の松枝小学校児童がハンドベルを演奏したり、岐阜市などで活動するアマチュアグループがラ イブを披露。来年3月に同競馬場で開催される子どもたちによるポニーレース「じゃじゃ馬ホースショー」のエキシビションレースもあり、ちびっ子ジョッキー がポニーの競走で来場者を楽しませた。

 同NPOの青井克樹理事は「来場者が増えるよう、これからも定期的にイベントを企画したい」と話している。イルミネーションの一部は、来年1月いっぱいまでレース開催日に点灯する。(岐阜新聞)
【写真】年末の競馬場を温かな光で包んだイルミネーションと竹キャンドル=羽島郡笠松町若葉町、笠松競馬場

2010年12月28日火曜日

金沢競馬、税投入せず継続 経営評価委、存廃判断先送り

 金沢競馬の経営状況を検証する経営評価委員会(委員長=丸山利輔・元県立大学長)が27日、県庁で開かれ、存続に向けた最終報告をまとめた。赤字の拡大が予想されるが、経営改善の余地は残っていると結論付け、2012年度の収支均衡を目標に設定。ただし、今後も厳しい収支状況が続けば「将来、廃止の判断もあり得る」とした。近く谷本正憲知事や山野之義・金沢市長に提出され、最終的に存廃が判断される。

 最終報告では、廃止時に必要な経費約6億〜12億円は確保しつつ、これまで積み立てた約25億円の基金を活用し、税金は投入せず事業を継続するのが適当と判断した。収支については、売り上げ下落が続いた場合、13年度には赤字が約6億円となって基金が底をつくと予測。12年度までの収支均衡を目標に経費を節減する努力が必要とした。

 同競馬をめぐっては06年12月、存廃を議論した検討委が『3年間で黒字化のめどが立たなければ廃止を検討すべきだ』と結論付けたが、09年度は赤字。1年先送りした今年度も赤字の見通しだが、今回の最終報告でも存廃の判断は先送りに。丸山委員長は「税金投入をしないという基準は決めた。県民に迷惑が掛からないよう、今後も収支状況を見ながら判断していきたい」と述べた。(朝日新聞)

荒尾競馬、09年度4500万円赤字 12年連続

 荒尾競馬組合議会の定例会が27日あり、約4500万円の赤字となる2009年度決算が可決された。08年度の赤字額(8500万円)から改善されたものの12年連続の単年度赤字で、累積の赤字額は約14億円にのぼる。

 一方、今年度は全国的に売り上げが落ち込んでいる中で、荒尾競馬は11月現在で28億9100万円を売り上げるなど好調なことも報告された。(朝日新聞)

川崎競馬のナイター開催売上が5.8%減、景気の落ち込み響く/神奈川

 県川崎競馬組合は、2010年のナイター開催(3~12月)の開催実績を公表した。前年と同じ50日間の開催で、総入場者数は26万7548人(前年比20・2%減)、総売り上げは333億2879万7600円(同5・8%減)だった。

 1日当たりの入場者数は5351人、売り上げは6億6657万5952円。同組合は「景気の落ち込みに加え、猛暑やサッカーのワールドカップ(W杯)開 催などもあって入場者、売り上げともに減少した」と分析。今月には横浜市中区に会員制の場外発売所「ジョイホース横浜」もオープンしており、「効果に期待 するとともに今後もファンサービスを充実させていきたい」と話している。(カナコロ)

2010年12月23日木曜日

佐賀競馬の廃品活用 馬ふん肥料 好評


 鳥栖市の住民グループ「ベネッセの会」(永友恵子代表)が、佐賀競馬場(同市江島町)の厩舎(きゅうしゃ)から出る馬ふんを原料にした肥料づくりに取り組んでいる。栄養を付けてコースを駆け回る競走馬たちだけに健康状態は申し分なし。利用者の評判も上々で、肥料づくりは“快走中”だ。

 県競馬組合によると、同競馬場には現在539頭の競走馬がおり、出るふんは年間4トントラック約1400台分。JAを通じて処理を委託しているという。

 肥料づくりは、同会が県の地球温暖化防止の取り組み「緑のカーテン」に参加し、環境に関心を持ったのがきっかけ。永友さんの夫が同競馬場で働いていたこともあり、馬ふんを利用した肥料づくりを思い付いたという。競馬場厩舎が、無料でふんを提供してくれることになり、厩舎の一角で2年前から取り組み始めた。

 集めたふんは、9月末からシートをかぶせ自然乾燥。時折、重機などを使ってかき混ぜながら約3カ月間置き「におわなくなってきたら完成の目安」という。

 これまで年間約6トンを製造。現在は、出来た肥料を競馬場周辺の約35の個人や団体に無料で配っているが、「馬ふんに含まれたわらで土がふっくらになった」「雑草が生えにくく、ミミズがよく繁殖して作物の育ちがいい」と好評。

 評判を聞き付けた周辺の人たちからも配布の依頼があり、今年は製造量を約10トンに増やす。間もなく完成予定だ。永友さんは「鍛えられた馬たちだけに肥料として予想外に適していた。環境改善にもつながる上に、皆さんに喜んでもらえてやりがいがある」と話す。(西日本新聞朝刊)
【写真】馬ふんにシートをかぶせ肥料づくりに取り組む「ベネッセの会」のメンバーたち

競馬場視察し 増収策を協議 経営検討会議

 岩手県などが設置した有識者会議「岩手競馬経営の将来方向検討会議」は22日、奥州市の水沢競馬場を視察し、市江刺総合支所でファン拡大策などを話し合った。
 会議のメンバーは藤井克己座長(岩手大学長)ら10人。2012年度をめどに日本中央競馬会(JRA)の電話投票システムで地方競馬の馬券が購入できるようになるため、会合では「JRAとの連携を密にしたレース時間の設定が好ましい」「薄暮レースの拡大やナイターレースの開催に取り組むべきだ」などの意見が出た。
 会議は来年5月まで計8回の会合を持ち、提言をまとめる。
 岩手競馬の開幕から今月20日まで114日間の売上額は170億9600万円で、売り上げの減少に伴い9月に修正した計画を1億5100万円(0.9%)下回っている。(河北新報)

2010年12月17日金曜日

全国女性ジョッキー戦、荒尾競馬所属の岩永騎手初V


 全国の中央、地方競馬の女性騎手が覇を競うレディースジョッキーシリーズ2010の最終ラウンドが16日、荒尾市の荒尾競馬場で行われ、荒尾競馬所属の岩永千明騎手(28)が逆転で初の総合優勝を飾った。

 競馬人気の盛り上げと女性騎手育成を目的に始まり、5年目。女性騎手9人が11月6日の金沢競馬場から名古屋、荒尾と転戦し、最終日のこの日は2戦して総合ポイントを争った。

 岩永騎手は名古屋が終わった時点で総合6位だったが、荒尾競馬場で2戦続けて1位になった。「地元なので落ち着いて乗れたのが良かった。荒尾のファン、調教師の先生のおかげです」と涙ながらに喜びを語った。

 競馬場によると、荒尾競馬のこの日の売り上げは1億円強と、いつもの約1・5倍に上り、存廃の危機もこの日だけは遠のいたかのように、関係者の表情は明るかった。(読売新聞)
【写真】初の総合優勝を喜ぶ岩永騎手(荒尾競馬場で)

笠松競馬存続へ役立てて 賞金基金100万円寄付


 今月設立が決定した笠松競馬の賞金基金に、笠松町商工会の2人が16日、計100万円を贈った。基金は、経営難のため削減されるレース賞金を補うのが目的で、今回が寄付第1号。

 寄付をしたのは松原登士弘名誉会長(83)と山下定良会長(67)。松原名誉会長から70万円、山下会長から30万円が笠松町の広江正明町長に手渡され、町長からは感謝状が贈られた。

 松原さんは「競馬場は小さいころから見に行った思い出の場所。新聞で基金の存在を知り、存続のために役立ててほしいと思った」と話し、広江町長は「大変ありがたい。他の方にもご賛同いただければ」と感謝していた。

 基金設立は6日の県地方競馬組合議会で決まり、本年度の目標は100万円としていた。(中日新聞)

2010年12月16日木曜日

笠松競馬のてい鉄でリースやしめ縄 ご利益あり?


 【岐阜】笠松競馬(笠松町)で働く調教師の家族らで作る「愛馬会」(後藤美千代代表)が、てい鉄を使ったクリスマス用リースや正月のしめ縄を作り、レース開催日に競馬場内の売店で販売している。

 てい鉄はいずれも実際にレースに使われたもので、一つ一つすり減り方などが違う。これらを使って、愛馬会の会員が手作業でオリジナルグッズに仕立てた。グッズの収益は、レースの協賛金として賞金の一部に充てられる。

 馬車が走っていた時代には、馬が落としたてい鉄を拾って玄関に飾る風習があったらしい。欧米でも魔よけや幸運を呼ぶお守りとされたといい、後藤代表は「ぜひ一度手にとって見てほしい。レース前に買うと『御利益』があるかも」と話している。(毎日新聞)
【写真】てい鉄を飾り付けたオリジナルグッズ

2010年12月12日日曜日

名古屋競馬、6年ぶり赤字転落へ 廃止論、再浮上の恐れ

 名古屋競馬(名古屋市港区)が今年度、6年ぶりに赤字に転落する見通しになった。馬券収入で地方財政に貢献したのは昔の姿。近年は経営難にあえぐ。日本中央競馬会(JRA)との馬券相互販売や親子向けイベントで「すそ野拡大」を目指す。

■不況直撃 入場者数も減少

 名古屋競馬を運営する県競馬組合によると、今年度の入場者数は10月末までに52万1212人(前年度同期比94.1%)、馬券販売額は74億4957万円(同84.2%)。わずか200万円の黒字だった2009年度の収入を下回るのは避けられない状況だ。

 名古屋競馬は1948年に公営競馬として始まり、これまでに600億円以上を県や名古屋市などに「献上」してきた。しかし、バブル崩壊後の92年度に赤字になり、04年度には累積赤字が40億円超にふくらみ、一時は廃止も取りざたされた。

 人件費を抑えたり、駐車場用地を売却したりした結果、05年度に単年度黒字に転換した。馬券売り場の設置基準を緩和する構造改革特区を国に申請し、名古屋市中区の繁華街に「ミニ場外馬券売り場」を設置。売り上げが伸びた。同年度からわずかながら黒字が続き、累積赤字は約37億円まで縮んでいた。

 再び赤字に転落する危機に、組合の担当者は「リーマンショックによる不況が一番の要因だ」と話す。入場者も、1人当たりの売上金も減った。過去最低だった09年度の1日1万6600円を、今年度はさらに1割以上下回り、同1万4600円にとどまっているという。

 東海地方では笠松競馬(岐阜県笠松町)が赤字で存廃の岐路に立つ。名古屋競馬も赤字転落で廃止論が再び浮上する可能性がある。

■集客へ、子ども乗馬体験も

 経営改善に向け、関係者が期待を寄せるのが、JRAと地方競馬全国協会の馬券相互販売だ。現在はネット上の別々のサイトからしか馬券を買えないが、JRAのサイトから地方競馬の馬券も購入できるようにする。

 名古屋競馬は02年に馬券のネット販売を開始。販売額の割合は、06年度の11%から10年度(10月末現在)の25%へと急伸した。JRAとの連携で馬券の販売チャネルが広がり、売り上げに貢献しそうだ。ただ、システム整備の都合で、相互販売が実現するのは早くても12年からという。

 何とか競馬ファンを増やせないかと、今年度は新たな試みも続けている。今月1日には女性騎手の日本一を決める「レディースジョッキーシリーズ」を開催。レースがない日には、子どもが誘導馬やミニチュアホースに体験乗馬できるイベントも開いている。担当者は「理想を言えば、競馬場に直接、足を運んでほしい。『古い』『年寄りばかり』といったイメージを根本的に変えたい」と話している。(朝日新聞)

2010年12月11日土曜日

蹄鉄グッズ、県庁で販売 笠松競馬、調教師の妻ら


 財政難にあえぐ笠松競馬(羽島郡笠松町)の盛り上げに一役買おうと、調教師の妻らでつくる「愛馬会」のメンバーらが10日、競走馬の蹄鉄を使って手作りした正月飾りやクリスマスリースを県庁で販売した。

 蹄鉄グッズは、レース開催日に競馬場内の愛馬会売店で販売しているが、競馬場のPRを兼ねて、昨年に続いて出張販売を企画した。収益は、レースの協賛金に役立てる。

 販売したのは、競走馬がレースや調教で使用した蹄鉄や、花もちなどをあしらったしめ飾りや熊手、クリスマスリースなど約60個。調教師の妻が一つ一つ手作りし、蹄鉄は、馬頭観音をまつる山県市の甘南美寺で厄よけの祈とうも受けた。

 笠松競馬は当面の存続が決まったものの、経営をめぐる環境は厳しさを増している。この日は、愛馬会のメンバー4人と県地方競馬組合、県笠松競馬支援室の職員らがチラシを配り「競馬場に足を運んで」と呼び掛けた。愛馬会の柳江さつきさん(49)は「一人でも多くの人に競馬場に関心を持ってもらいたい」と話した。(岐阜新聞)
【写真】蹄鉄を使って手作りした正月飾りをPRする愛馬会のメンバー=県庁

2010年12月7日火曜日

騎手や調教師の給与削減

 福山市は6日、福山競馬の調教師や騎手たちの給与に当たる賞典奨励費を2011年3月までに約2千万円削減すると発表した。市は既に10年度下半期の賞典奨励費を約1100万円減らしており、今回の削減で通年の収支が黒字化する見通しという。

 11日〜11年3月28日の開催28日間で、(1)1着賞金を約1200万円(2)出走奨励金を約350万円(3)馬主会への奨励金を約400万円—それぞれ削減する。

 福山競馬の10年度上半期収支は、市施設整備等基金からの繰り入れを含め1864万円の赤字。今回の減額に加え、下半期に前年度並みの収入を確保できれば、赤字は全額相殺できる見通しという。

 ただし、市営競馬検討委員会は9月、基金からの繰り入れを除いた「実質収支の黒字」を継続条件として答申している。(中国新聞)

競馬で5重賞単勝式馬券を発売

 JRAは6日、5重賞単勝式発売に関する詳細を発表した。あらかじめ指定された5レースの1着馬すべてを当てる馬券で、名称は「WIN5」(ウインファイブ)。11年4月24日の開催(発売は23日)からスタートする。発売単位は1口100円からで、最高払戻金は100円につき2億円となる。インターネット投票のみの購入可能で、購入者が予想する「完全セレクト」、コンピューターが選ぶ「ランダム」、この2方式を利用する「一部セレクト」の3種類で、発売票数を合算して払戻金を算出する。(デイリースポーツ)

福山競馬 今年度黒字

 約20億円の累積赤字を抱えて存廃の岐路に立たされている福山市営競馬について、羽田皓市長は6日の市議会代表質疑で、施設整備などのために設けた基金からの繰り入れで2010年度収支は黒字を確保できるとの見通しを明らかにした。しかし、有識者らの検討委が11年度以降に事業を継続する条件とした、基金繰り入れを除く実質収支での黒字確保には至っておらず、羽田市長は今後の運営方針については明言せず、存廃の結論は年明けに持ち越される見通しとなった。

 市は経費削減のために10月、騎手や調教師、馬主らの収入となる賞典奨励費のうち、騎乗手当や調教師奨励費を5〜10%減らすなど合理化を図った。今月11日以降は、一部のレースを除いて1着の賞金を一律3万円減額するなど、賞金、出走奨励費を中心に見直しを行う。節減額は10年度末までに計約3100万円となる。羽田市長は「基金繰り入れが前提となるものの、これらの対策で、単年度収支の均衡が図れると思う」と述べた。

 ただ、存続の条件となる実質収支での黒字確保は、厳しい状況が続く。10年度上半期(4〜9月)の赤字額は6448万円に上った。4〜11月の馬券収入は前年度比約5%減で推移しており、11年度予算編成の段階で検討委の示した継続の条件を満たすためには、さらなる経費削減が避けられない。

 市は、実質収支での黒字確保のために、どんな対策が必要か、競馬関係者と協議を重ねているという。羽田市長は、競馬の運営方針について「実質収支の黒字確保が客観的に可能か、諸条件を検討、検証して総合的に判断したい」と述べるにとどめた。

 市営競馬の調教師や騎手でつくる県調騎会の渡辺貞夫会長は「私たちにも生活があり、削減額に限りはあるが、競馬の存続は関係者の一致した思い。市にも事務的な経費削減などで痛みを分かち合ってもらい、振興策を話し合いたい」と語った。(読売新聞)

笠松競馬、賞金確保へ「基金」創設 ファンの寄付金募る

 笠松競馬(羽島郡笠松町)の存廃問題で、本年度の赤字補てん策として賞金・手当総額の15%カットを決めた県地方競馬組合は6日、レースの魅力確保のために賞金・手当向けの寄付金を積み立てる「賞金基金」を創設した。本年度の寄付目標額は100万円。全国の競馬ファンや企業、地域住民らの協力を期待しており、近く募金を始める。

 地方競馬全国協会(東京)によると、全国に16ある地方競馬の主催者のうち、高知競馬(高知県)を運営する同県競馬組合が2007(平成19)年に重賞レースの賞金に充てる支援金を募った例はあるが、基金を設けて継続的に募金活動を行うのは笠松が初めて。

 同日の組合議会で賞金基金を新設する条例改正案が可決された。組合の朝倉芳夫管理者代行は「ファンや県民の募金で少しでも増額したい」と説明。寄付者名をホームページで公表したり、入場招待券を配る特典を検討する。

 賞金・手当総額は03年度は19億2000万円あったが、05年度は10億8000万円に減少、その後も回復していない。本年度は当初予算に10億7000万円を計上していたが、組合議会で15%カットを盛り込んだ補正を正式決定した。(岐阜新聞)

2010年12月3日金曜日

蹄鉄クッキー 笠松売り込め


 地方競馬の大井競馬場(東京都品川区)で2日、笠松競馬の厩務(きゅうむ)員6人が、笠松町にちなんだ「蹄鉄(ていてつ)クッキー」800個を配る。

 「蹄鉄クッキー」は、笠松中学校の生徒のアイデアを元にして作られたお菓子。蹄鉄の形をしており、町内の菓子店が製造し販売している。

 笠松競馬の厩務員十数人でつくる「厩務員クラブ」が、大井競馬の厩務員と交流している縁で企画した。大井競馬ファンへのサービスと笠松競馬のPRのほか、笠松町の地元企業からクッキーを購入することで地元への貢献と「一石二鳥」ならぬ「三鳥」を狙うという。 (朝日新聞)
【写真】蹄鉄クッキー

馬券の相互発売、2年後めどに拡大 中央・地方競馬

 日本中央競馬会(JRA)、地方競馬全国協会(NAR)、全国公営競馬主催者協議会は2日、東京都内で記者会見を開き、2年後をめどに中央・地方で馬券の相互発売を拡大させると発表した。

 パソコンなどを使って投票するJRAのPAT会員が、地方競馬のダートグレードレース(地方・中央の交流戦)を中心にした主要レースの馬券を買えるようになる一方、地方の競馬場ではJRAのレースの馬券を現金で購入する場が増える。

 JRAのPAT会員は約300万人おり、売り上げが低迷する地方競馬にとっては人気回復の起爆剤になる可能性を秘める。

 これまで地方競馬の各主催者は個別に馬券の発売システムをつくっていたが、地方競馬側が同一の共同システムを導入するため相互発売が拡大できるようになった。どのレースを発売するか、どの地方競馬場がJRAの馬券を発売するかなどの細部はこれから決めていく。(朝日新聞)

中央・地方競馬 相互発売を拡大へ

 全国公営競馬主催者協議会、JRA、NARは2日、都内で会見を開き、中央・地方競馬相互発売の拡大策を発表した。双方の売り上げ増加、地方競馬の収益改善、競馬界全体の活性化などが目的。

 JRAは電話投票会員を対象に地方開催のダートグレードや主要重賞などを発売。地方が新たに予定している共同トータリゼータシステムに接続するためのシステム改修が必要で、12年度内の発売開始を目標としている。発売日、発売競走などは年度ごとの委託契約によって決定される。

 一方、地方は競馬場や場外の発売施設を活用。現在はJRAが地方施設7カ所の一部に発売機器を設置、職員を出張させ発売しているが、今後はJRAと地方競馬各主催者が委託契約を結び、両者のシステムを接続しての発売が可能となる。地方主催者は今後、個別にJRAと折衝するため現段階では発売内容などは白紙。また、施設ごとに地元調整や映像などのインフラ整備、農水相の承認が必要。11年度内をメドに個別契約や諸条件をクリアしたいと考えている。 (スポニチ)

2010年12月1日水曜日

県地方競馬組合:賞金・出走手当、15%削減で大筋合意 笠松競馬、当面存続

 笠松競馬(笠松町)を運営する県地方競馬組合は30日、収支均衡策について馬主や調教師ら現場関係者と協議し、賞金・出走手当の削減幅を当初示していた40%から15%に抑えることで大筋で合意した。馬券の売り上げ減少による財政難で存廃が再び議論されていたが、これで当面の存続が決まった。

 同競馬は今年度、3億1500万円の単年度赤字を出す恐れがある。収支改善のため組合は今年度残り4カ月の賞金と手当の4割、約1億4600万円を削る案を示したが、関係者が反発していた。

 そこで、組合は現在6600万円ある財政調整基金を全額取り崩すのに加え、施設整備の借金返済などのため別に積み立てた基金も一部取り崩し、賞金と手当からの削減額を5400万円にまで抑えることにした。

 この合意内容を基に組合は12月、組合の議会に補正予算案を提出する。各賞金・手当の削減幅については今後、馬主や調教師、騎手らが協議し、実際の削減は来年1月から始まる見込み。

 組合管理者の広江正明・笠松町長は「競馬を続けるという大義の下、受け入れてもらった。これでファンが安心して、笠松競馬を応援してくれるとありがたい」と話した。

  ◇  ◇

 当面存続が決まった笠松競馬だが、環境は厳しい。11月末時点の1日当たりの売り上げは前年同期比92%の1億1100万円。05~09年度の5年間猶予されていた地方競馬全国協会への交付金支払いも今年度から再開し、今年度の支払額は6000万円と見込まれる。猶予額3億1800万円も13年度から10年間で払わないといけない。組合の最大構成団体の県の担当者は「良いレースを他の競馬場での開催が少ない曜日に開くなど、売り上げ増加のため工夫していきたい」と話している。(毎日新聞)

笠松競馬:当面の存続決まる…騎手ら賞金15%減で合意

 笠松競馬(岐阜県笠松町)を運営する岐阜県地方競馬組合は1日、騎手や馬主、調教師ら現場関係者や地元関係者、識者を集めた運営推進協議会を開き、レースの賞金・出走手当の削減幅を当初提案していた40%から15%に抑えた収支均衡案を示した。現場関係者は事前協議でこの案を受け入れており、笠松競馬の当面の存続が決まった。

 組合によると、笠松競馬は今年度、最悪で3億1500万円の単年度赤字を出す恐れがある。このため賞金と出走手当を今年度残り4カ月で約5400万円削減する一方、自由に使える財政調整基金の6600万円と、施設整備の借金返済などのため別に積み立てた基金を約7000万円取り崩す。

 出席した騎手や馬主、調教師からは「不満だが、存続のために受け入れた」「組合は削減だけでなく、売り上げ改善に取り組んでほしい」との意見が出た。(毎日新聞)

笠松競馬、当面は存続 組合と馬主ら賞金15%減で合意

 岐阜県笠松町の笠松競馬存廃問題で、赤字補填(ほてん)のため本年度の賞金・手当の40%削減を提示していた主催者の県地方競馬組合は30日、同競馬場で馬主ら競馬関係者と会合を開き、削減率を約15%に引き下げ、基金も取り崩す再建案で合意した。これにより、同競馬場の当面の存続が確実になった。

 合意を受け組合は再建案を基に補正予算案を編成。12月1日の笠松競馬運営推進協議会に提示する。予算案が6日の同組合議会で可決されれば、正式に存続が決まる。

 再建案では、本年度の賞金・手当の14・8%に当たる5400万円を削減。残りの不足分は赤字補填に使える財政調整基金6600万円をすべて投入、場外馬券売り場「シアター恵那」(同県恵那市)の借金返済のための基金なども一部取り崩す。

 本年度の売り上げを108億円と想定し、それ以上の売り上げが出れば、競馬関係者に還元する方針。笠松競馬は急激な売り上げ減を受け、本年度1億円を超える赤字の見通し。組合は賞金・手当を40%削減する案を提示したが、関係者は基金の取り崩しを求め調整が続いていた。

 組合は財政調整基金の全額投入を前提に、シアター恵那の資産価値を算出。新たな税金投入にならない範囲で基金の取り崩しを認めた。組合管理者の広江正明笠松町長は「競馬関係者の『血を流しても存続する』という決意を感じた」と話した。(中日新聞)

2010年11月30日火曜日

金沢競馬 直ちに廃止はないものの将来廃止判断も

 金沢競馬の経営状況や改善策を検証する委員会が開かれ、ただちに廃止することは適当ではないとしたものの存続期間については定まりませんでした。県庁で開かれた委員会では金沢競馬の存廃についての骨子案が議論されました。案では、存廃の見通しについて、ただちに事業を廃止することは適当でないものの将来、廃止判断もありえる。判断基準については税金を投入しないことが適切だとされ委員からも異論は出ませんでした。一方で、存続期間については「期間を決めるべき」という意見が出ました。現在、金沢競馬には24億円もの基金がありますが、委員は、廃止が決まった場合の競馬関係者への協力金や、災害など不測の事態が起きた場合の試算を含めて、基金が底を打つ期間設定が必要だとしています。次回の委員会は来月中に開かれ、最終的な結論を出す見込みです。(北陸朝日新聞)

金沢競馬、存続年限を明記へ 経営評価委最終報告案

 金沢競馬の存廃問題について議論する有識者らの委員会の最終報告に、同競馬の存続年限が明記される見通しになった。年限までに収支均衡や黒字転換を果たせない場合は事業を廃止する方向だ。石川県の谷本正憲知事は競馬事業への税金投入に否定的な見解を示しており、過去の利益で積み上げた基金の残高もにらみつつ、存廃問題の結論を出す。
 29日開催した金沢競馬経営評価委員会(丸山利輔委員長)は、来年度以降の存続年限を年内に策定する予定の同委の最終報告書に明記する方針で一致した。具体的な年限は、約24億円ある基金で競馬関係者への補償金やリース残高の一括償還といった事業廃止の費用を捻出できるよう定める考えだ。
 金沢競馬は2007年度から3年間で存廃を判断する計画だったが、リーマン・ショックで判断を1年延期した経緯がある。10年度も収支は赤字の見通しで、同委は先行きの見通しが厳しい以上、存続年限を明確にすべきだと判断した。
 石川県の競馬事業局が公表している事業廃止のシミュレーションでは、失職する競馬関係者への補償金額が6億~12億円と幅があり、税金投入のリスクを回避しつつ存続できる年限は試算しにくい。
 同県は経営改善に向けたコスト削減策や廃止の場合の補償条件などを競馬関係者と交渉する会議の設定も検討する。
 谷本知事は25日の記者会見で金沢競馬について「税金を投入してまで維持するのは理解が得られるか、よく考えなくてはならない」と述べていた。(日本経済新聞)

祝儀、アラブ懐かしく


 「あの馬、元気だろ。毛のつやも足運びも良い。今日はやってくれるよ」。福山市営競馬場1階の馬券売り場近くの専用ブースで、勝ち馬の予想を販売する「予想屋・友ちゃん」こと友滝慧(さとし)(68)は少し笑いながら、「友ちゃん予想」と書かれた縦3センチ、横5センチの白い紙を半分に折り曲げ、取り囲む常連客に手渡していった。料金は1レース100円。紙を受け取った客は、中に書かれた1〜3着予想の馬番を確認すると、馬券売り場に急ぐ。レース開始間際になると、友滝は落ち着いた様子で、ゲートが開くのを待った。

      ◇

 市競馬事務局から、場内で予想の販売が認められている「予想屋」4人の中の1人。元は騎手だった。3年ほど馬の背にまたがったが、減量が難しくなったこともあり、20歳代で引退。ほかの仕事を始めたが、「馬を見続けたい」と休日や祝日になると競馬場に足を運び、予想屋を始めるようになった。

 騎手の経験を持つだけに、客からも注目され、1980年代後半のバブル経済華やかなりし頃には、ブースの前に長蛇の列ができ、面白いほど予想が売れたという。

 配当の大きな、万馬券を当てた時には、予想料以外に、数万円の“ご祝儀”が振る舞われたことも懐かしい思い出だ。だから重賞レースになると、自然と気合が入った。

      ◇

 別の仕事も続けていたが、当時は予想屋だけで十分食べていけた。しかし、2005年のサラブレッド導入以降、予想は格段に難しくなったという。

 福山市営競馬は1949年の開設当初からアラブ馬が主役だった。80年代には700頭以上が在籍し、「アラブ王国」とまで呼ばれていたが、日本中央競馬会(JRA)のアラブ馬撤退などで生産数が減少したことを受け、レースを維持するために、サラブレッドを出場させることになった。

 「思いもよらないレース展開で、1番人気が最下位、大穴が1着ということもよくある」と友滝は困惑気味に話す。サラブレッドは気分屋の面もあり、出走前に登場するパドックで調子良く見えても、コースに出ると全くスピードが出ず、大味なレース展開になることも多いという。アラブ馬で長年培ってきた経験と勘がなかなか通用しにくくなったと感じている。

 「実力伯仲の駆け引きや攻防は、アラブ馬だけの時のほうが面白かった」。アラブ全盛期を振り返りながら、ため息をもらす。

      ◇

 客もそれぞれ。「自分で予想しないと、勝ってもうれしくない」と語る20歳代の男性客のように、予想屋の姿を横目に、馬券売り場に向かうファンは多い。

 一方で、「友ちゃん、頼むわ」「友ちゃん、次はどんなかの」と、予想をあてにしてやってくる客もまだまだ多い。

 レース出走前に下見しようと、パドックのそばに立つと、自然になじみの顔が周囲に集まってきた。「毎レース、毎レース、生で見ているから、馬のことが分かる」。真剣なまなざしをパドックに向けた。(読売新聞)
【写真】予想を求める常連客らに囲まれる友滝(福山市営競馬場で)

 <馬券> 正式名称は勝ち馬投票券。1着を予想する単勝、3着までに入る馬を当てる複勝(出走馬が7頭以下の場合は2着以内)、上位3着を着順通りに予想する3連単、上位3着を着順に限らず当てる3連複などの方式がある。JR福山駅前など福山市内3か所に設置する専用場外発売所やインターネットでの投票も可能。

菅原勲騎手が4千勝達成 岩手競馬初、地方では6人目

 岩手競馬の菅原勲騎手(47)が29日、水沢競馬場での第11レースでスズモンスター号に騎乗して勝ち、通算4千勝を達成した。岩手競馬では初で、地方競馬では通算6人目。現役騎手では4人目。
 通算3998勝で迎えたこの日、第3レースで勝つと、最終レースで偉業を達成した。県競馬組合によると、騎手29年目のベテランは「2千勝まで頑張って達成しようと目標にしていたが、ここまで現役を続けてこられたことが驚きです」と喜んだという。
 今後の目標については、「記録は記録として、レースを一つひとつ頑張っていくしかない。これで終わりじゃないので、これからも全国レベルで活躍できるよう応援してください」とした。
 菅原騎手は、1981年10月17日に初騎乗し、2日後に初勝利。1999年2月には地方競馬所属で初めて日本中央競馬会(JRA)のG1レース(フェブラリーステークス)を勝った。岩手競馬所属だったメイセイオペラで勝ったもので、人馬ともに地方所属でJRAのG1を勝ったのは、今もこの1例だけだ。
 地方競馬の通算最多勝利は佐々木竹見騎手(川崎)の7151勝。JRAの最多勝は武豊騎手の3370勝だ。(朝日新聞)

2010年11月28日日曜日

笠松競馬、賞金減緩和へ 基金取り崩し視野

 岐阜県笠松町の笠松競馬の存廃問題で、経費削減のために賞金・手当の4割カットを提示していた主催者の県地方競馬組合が27日、カット率を緩和する方針を固め、馬主や調教師らを集めた会合で伝えた。具体的なカット率は近く示す。県が慎重な姿勢を示している関連基金の取り崩しも検討する。
 笠松競馬は本年度、上半期の売り上げ減が響き赤字になる見通しで、組合は8日に経費削減を柱とする再建案を提示。賞金・手当を12月から4カ月間、4割削減し、1億4千万円を捻出するとしていた。
 再建案は、同県恵那市の場外馬券売り場「シアター恵那」の建設費返済の積立基金など約4億5千万円を赤字補てんに充てないことが前提だった。だが、馬主らは「生活できない」と訴え、基金の取り崩しを求めていた。
 会合後、組合管理者の広江正明笠松町長は「方針は理解してもらえたはず。基金をどの程度崩せるか、できる範囲で対応を考えたい」、県馬主会の安田敏雄会長は「競馬を続けていく組合側の思いを感じた。これで折り合いがつくだろう」と話した。(中日新聞)

2010年11月27日土曜日

笠松競馬:高崎競馬の調教師、岩手で挫折の騎手 再起の夢


 笠松競馬(岐阜県笠松町)に、廃止された群馬県の高崎競馬から移ってきた調教師と、岩手競馬で一度は挫折し再起をかけて再デビューした騎手がいる。しかし、「第二の人生」の舞台となった笠松競馬は、財政難で存続の危機に直面している。失いかけた夢を追う2人は、笠松競馬の存続を願っている。
 「馬券の売り上げが落ちて財政が悪化してと、高崎の時と似た雰囲気だ。良い馬の出る競馬場なのに」。調教師の法理勝弘さん(54)が笠松競馬の行く末に気をもむ。
 法理さんは、高崎競馬で調教師として約20年間勤務した。だが、04年9月、県知事が県議会で廃止を表明。議会傍聴席にいた法理さんは「『何でだ』とため息が出た」と振り返る。
 高崎競馬にとって最後のレース日となった同年の大みそか。予定されていた大きなレースは大雪で中止になった。「その日に限って降った。『なみだ雪』だったのかな」
 その後は牧場で働いていたが、「競馬は勝ち負けがあって楽しい。手をかけた馬が勝つのはうれしい」という思いを捨てきれず、知人のつてを頼って笠松競馬で調教師の仕事を再開した。
 だが、笠松競馬も存続が楽観できる状況ではない。法理さんは「騎手や調教師など競馬にはかかわる人が多いので、経営の効率は悪いかもしれない」としながらも、「その分、たくさんの思いが込められている」と笠松競馬で働く約800人の思いを代弁する。
 吉井友彦騎手(27)は01年、岩手競馬でデビューした。しかし、乗馬機会に恵まれず、辞職して会社勤めや焼き肉店の店員をした。
 だが、テレビで競馬を見ると「馬上からの風景は違った」と、レースへの思いが募った。笠松競馬で厩務員を1年務め、騎手免許を取得し直して08年1月再デビュー。今年10月に重賞で初勝利し、今月22日には岩手時代を含めて通算100勝を果たすなど、順調に勝ち鞍(くら)を重ねている。
 「チャンスを与えてくれた笠松で馬に乗り続けたい」。吉井さんは笠松競馬の運営継続を望む。
 赤字転落が懸念される笠松競馬を運営する県地方競馬組合の最大構成団体・岐阜県は、税金投入に否定的。状況が改善しなければ廃止もやむなしとの立場を崩していない。(毎日新聞)
【写真】馬の頭をなでながら「手をかけた馬が勝つのはうれしい」と話す法理さん

経営検討会議が初会合 岩手競馬

 学識経験者らで組織する「岩手競馬経営の将来方向検討会議」の初会合が26日、盛岡市の盛岡競馬場で開かれた。現状説明に続く意見交換では、多くの委員が新たなファンを開拓していくことの重要性を指摘。これらを踏まえ、次回の会議から具体的な方策について検討していく。
 同日は大学や企業関係者ら委員11人のうち9人が出席。県から達増拓也知事、奥州市から小沢昌記市長らが顔をそろえた。会議の冒頭、達増知事は岩手競馬について、地域に根差した産業であり、雇用の場の提供や本県固有の馬事文化の継承と振興に寄与していることを強調。「地域の資源としての価値も含め幅広い意見、提言を寄せてほしい」と語った。会議の座長に藤井克己岩手大学長を選んだ。
 この後、岩手競馬を取り巻く現状や課題を踏まえ出席者が意見交換。このうち藤井座長や佐々木岳氏(水沢青年会議所理事長)は、レジャーの多様化によるファンの競馬離れや高齢化などを取り上げ「競馬に何を求めるかを含め、次世代のリサーチを行うべき」(佐々木氏)と指摘した。加藤久智氏(IBC岩手放送ラジオ放送部専任部長)は「スターホースも出てきた。これからは常に全国を意識した取り組みが重要」と提言。雨宮敬徳氏(地方競馬全国協会理事)は「長い歴史と伝統からも分かる通り、岩手競馬は『地方競馬の中の地方競馬』。岩手がぐらつくと地方競馬全体がぐらつく」と述べ、存続に向けエールを送った。
 同会議は、中長期的な視点の下で岩手競馬の事業運営の方向を検討するため、県競馬組合を構成する県と奥州、盛岡両市が共同で設置した。12月に開催する次回は課題など論点を整理し、3回目以降は発売額や入場者数の確保をはじめ、低コスト化の構築など将来にわたる経営の安定化に向けた方策について具体的な検討に入る。(岩手日日新聞)

2010年11月26日金曜日

佐賀競馬、2年ぶり単年度赤字に

 佐賀競馬の2009年度決算は、6795万円の赤字となった。08年度は6年ぶりの黒字だったが、公営ギャンブルの不振と景気悪化で発売額が大幅に減少。再び単年度赤字に陥った。積立金は既に底をついており、赤字分は10年度歳入からの繰り上げ充用で補った。
 25日に鳥栖市の佐賀競馬場で開いた県競馬組合(管理者・坂井浩毅副知事)の定例議会で認定した。
 歳入は119億605万円(前年度比7・4%減)、歳出は119億7400万円(同比7%減)。差し引き約6795万円の赤字になった。歳出に前年度繰り上げ充用額1945万円が含まれているため、単年度収支は4850万円の赤字となる。
 勝ち馬投票券の発売額から返還金を除いた売上額は109億5044万円で、前年度に比べ8億3579万円減った。場外発売所を含めた入場者は54万589人で前年から4万2780人減った。(佐賀新聞)

 

 監査報告では06年度に設置した宮崎県の田野場外発売所が、発売額と利用者数とも計画を大幅に下回っていることに触れ、「(田野場外の)廃止を含めて対応策を早急に検討する必要がある」と指摘している。
2010年11月25日更新

佐賀競馬:4850万円の赤字決算を認定--県競馬組合

 佐賀競馬を運営する県競馬組合の定例議会が25日、鳥栖市江島町の同組合で開かれ、約4850万円の赤字となった09年度決算を認定した。08年度は02年度以来6年ぶりの黒字決算だったが、1年で再び赤字に転落した。累積赤字は約6800万円になった。

 09年度の売り上げは約109億5000万円で、前年度の約93%にとどまった。

 直営売り場での売り上げは前年度比約13%減。他の競馬場での売り上げも約1~3割減の一方、インターネットや電話など在宅での馬券販売は前年度比約1・4倍増と好調だった。(毎日新聞)

2010年11月24日水曜日

国産競走馬、中国人の買い付けが急増

 ことし中国の富裕層が買い付けた日本の競争馬は96頭に上っていると、日本軽種馬登録協会(Japan Race Horse Registry)関係者が22日、語った。
 中国人による買い付けがゼロ頭だった前年と比べると大きく伸びている。これらの競走馬は種馬飼育場から販売された。関係者によると、ある中国人は3月に 50頭、10月に28頭を購入した。また、別の中国人ビジネスマンも前月、18頭を合計4700万円で買い付けたという。
 北海道の日高軽種馬農業協同組合の関係者によると、中国の富裕層の間でプライベート競馬がステータスシンボルになっており、友人に競走馬を見せて自慢し、私有地で競馬を楽しんでいるのだという。
 同農協関係者は、馬を買ってくれる中国の顧客には感謝の気持ちがある一方、日本国内の競馬に出場して勝利し、血統の価値を上げる機会が無くなるのは残念だと、複雑な気持ちを語った。
 中国では2008年から競馬が許可されたが、賭博として競馬を行うことは禁じられている。しかし、ドバイのメイダン(Meydan)と上海レースクラブ(Shanghai Race Club)が40億ドル(約3300億円)をかけて建設中の天津ホース・シティ(Tianjin Horse City)など、賭博解禁を期待するデベロッパーによって中国国内の複数の都市で競馬場の建設が着手されている。(AFPBBニュース)

2010年11月19日金曜日

天下り体質を厳しく追及=事業仕分け、最後に面目保つ

 過去の事業仕分け結果を検証する「再仕分け」の最終日では競輪、競馬など公営ギャンブル関連事業で関連団体への天下りの「全廃」を求める厳しい判定が下された。政権交代から1年余りが経過し、今回の仕分けでは政務三役が自らの府省の「省益」を守るため仕分け人に猛然と反発する場面が目立った。しかし、公営ギャンブルによる巨額の収益を天下り法人が牛耳る利権構造には仕分け人も追及の姿勢を示した。
 対象となったのは、農林水産省所管の日本中央競馬会(JRA)と、競輪、競艇関係の補助事業を扱う経済産業省所管のJKA、国土交通省所管の日本船舶振興会。所管府省出身の役員がいるこの3団体から、さらにOBが天下っている別の関連団体にギャンブルの収益を原資とした補助金が流れる構造が「役所の財布」と批判され、過去の仕分けなどで改善を求められていた。
 いずれの団体も役員削減など改善策を実施したが、JRAの場合は役員14人のうち4人が依然として農水省OB。また、今年度に助成した10団体のうち9団体にOBがいるため、仕分け人から「不十分」の声が上がった。
 さらに、仕分け人はJRAの補助事業である映像番組の制作を請け負った団体が破産宣告を受けていたことも指摘した。昨年から始まった事業仕分けには存在意義を問う声も出ているが、最終日で役所の天下り構造を厳しく批判し、一応の面目は保った格好だ。(時事通信)

道営競馬 今季のレース終了 売り上げ、計画の94% 収支均衡の見通し

 【日高】本年度の道営ホッカイドウ競馬141件が18日、門別競馬場(日高管内日高町)で全80日間の日程を終え、閉幕した。総売り上げは前年を2億5300万円下回る112億9200万円で、計画比94・4%にとどまった。

 道は2008年度から10年度まで3カ年で収支均衡の見通しが立たなければ道営競馬の廃止を基本とする方針を打ち出すとともに、今年は門別競馬場の単独開催とするなどコスト削減に努めてきた。

 最終的な収支は、南関東など他レースの馬券販売手数料などを加え確定。道は赤字は出ないと試算しており、高橋はるみ知事は存続を表明している。道は来年度以降に向け新ビジョンを策定中だ。

 道営競馬141件を運営する道軽種馬振興公社理事長の三輪茂日高町長は「景気低迷で地方競馬の売り上げが減少する中で頑張った。来年度も気を引き締めていきたい」と話し、道競馬事業室は「今後、中央競馬との馬券の相互販売などで売り上げ増を図る予定で、引き続き収支改善に努めたい」としている。 (北海道新聞)

2010年11月18日木曜日

特定目的基金取り崩しに知事「慎重」 笠松競馬赤字補てん

 経営難の笠松競馬(羽島郡笠松町)の本年度の赤字補てん策として県地方競馬組合が提示した賞金・手当総額の40%削減案に県馬主会などが反発している問題で、古田肇知事は17日の定例会見で、馬主会などが代替手段として求めた特定目的基金取り崩しについて「現時点では慎重だ」と述べ、あらためて否定的な考えを示した。
 古田知事は、直近の今月12日までの累計でも1日当たりの馬券発売額は前年同期の91・5%にとどまっていることを踏まえ、「いろんな可能性を検討しているが、厳しい状況は続いている。12月13日からの競馬開催前までには補正予算を固めたい」と述べた。
 同基金の残高は4億2千万円あるが、使途を場外馬券発売所シアター恵那整備の借金償還と地方競馬全国協会への上納金に限定、赤字補てんに充てるには基金条例の改正を組合議会に諮る必要がある。古田知事は10月、「赤字補てんに使い切って残った借金は競馬廃止となった場合、税金で負担することになるため、(取り崩しには)慎重にならざるを得ない」と県議会で答弁した。(岐阜新聞)

交流レースで魅力アップへ=さがけいばと荒尾競馬

 「さがけいば」と「荒尾競馬」をそれぞれ運営する佐賀県競馬組合(佐賀県鳥栖市)と荒尾競馬組合(熊本県荒尾市)がタッグを組み、10月末から交流レースを始めた。展開を読みにくくするなど工夫し、レース名に方言を入れる趣向も。厳しい経営を脱すべく、地方競馬の魅力アップを図っている。
 交流レースは「九州スーパースプリントシリーズ」と銘打ち、年度末までに佐賀競馬場で13回、荒尾競馬場で12回開催される。出走馬10頭のうち地元馬は7頭で、3頭が遠征してくる。
 ネックだった馬の輸送費は、地方競馬全国協会が援助することになった。佐賀県競馬組合は「両競馬場はファンを共有している。新しい組み合わせのレースで、展開の分からない面白いものになる」と集客を願う。
 「佐賀やーらしか(かわいい)スプリント」「荒尾とつけむにゃ(とんでもない)スプリント」…。レース名には両地域の方言を入れ、地方競馬らしさを醸し出す。
 馬ごとの能力差を抑え、予想が付きにくくなるように距離は佐賀が900メートル、荒尾が950メートルと短めに設定。10月30日の「佐賀がばいスプリント」では8番人気の馬が優勝した。
 景気低迷などにより、地方競馬の経営は厳しさを増す一方だ。累計赤字は佐賀で6800万円、荒尾は14億円に上る。両組合は「ここで何とか収益アップを」と、交流レースが起爆剤となることを期待している。(時事ドットコム)

2010年11月17日水曜日

岩手競馬、来季も存続 達増知事認識示す

 達増知事は15日の定例会見で、今季の岩手競馬について「コスト調整は順調だ。将来を見て地に足の着いた議論ができる環境にある」と述べ、収支均衡を達成し来季も事業継続できるとの認識を示した。

 今季の発売額(4月3日〜11月8日)は148億5800万円で計画を0・8%上回っている。しかし、前年度比は6・5%減少しており、ぎりぎりの経営が続いている。

 岩手競馬は2007年度から、赤字なら廃止の存廃基準を設け毎年、発売額が減少するたびにコスト調整で黒字化を図ってきた。

 達増知事は「過去3年間と比べ、特にうまく進んでいないことはない」と黒字化の見通しを述べた。

 また、26日に初会合を開く外部の有識者会議については「存廃の極端な議論ではなく、競馬経営をよりよく行うための議論をしてほしい」と安定経営に向けた検討を期待した。

 一方、同日の県議会議案等説明会では、有識者会議について「競馬に精通した人選ではなく、目的が不明確だ」などの意見が出た。

 県などの構成団体は、有識者会議を来年5月まで開催し、発売額の確保策や低コスト構造策などの提言を受ける方針。(岩手日報)

荒尾競馬の会計手法改善 官庁型から企業型へ

 荒尾市は15日、約14億円の累積赤字を抱え、存廃問題が浮上している荒尾競馬の経営状況をより正確に把握するため、会計手法を従来の官庁型から企業型の「公営企業会計」に切り替える方針を明らかにした。正確なコストの把握による採算管理や、現金以外の資産・負債を個別に評価できる点に特徴がある。仮に競馬が廃止になった場合は破産処理に必要な資金調達面でメリットがあり、危機管理の側面もある。22日開会の市議会12月定例会に競馬組合の規約変更案を提案する。

 市によると、官庁会計では歳入と歳出でしか経営状況を把握できないが、公営企業会計では土地・建物や場内の大型モニターなども査定され、実態を総合的に知ることができるという。

 また県市町村総室によると、公営企業会計を採用していれば、仮に競馬事業が行き詰まった場合、10年償還の地方債「第三セクター等改革推進債」(三セク債)を活用できる可能性があるという。三セク債は2013年度までの時限措置だが、低金利で資金を調達できるため市の財政への影響を小さくできる可能性があるという。

 市は、有識者でつくる「荒尾競馬あり方検討会」が昨年10月にまとめた提言書に基づき、経営の透明性を高める目的で、会計方式の切り替えの準備を進めてきた。競馬組合の構成員である県も、同様の議案を30日開会の県議会定例会に提案する予定。

 両議会の議決を経て、総務省が許可すれば、来年2月ごろ切り替えが完了、同8月には新たな会計手法による財務状況を公表するという。

 荒尾市は「経営状況の透明化を図り、改善点をはっきりさせた上で立て直しに向けた取り組みを強化するのが第一の狙い。万一の場合に備えての危機管理の側面はあるが、荒尾競馬の廃止を見据えて適用を決めた訳では決してない」としている。(西日本新聞)

荒尾競馬 12月議会に規約改正案

 荒尾市は、多額の累積赤字を抱える荒尾競馬組合の会計方式を、従来の官庁会計から公営企業会計に切り替える方針を決め、22日開会の12月定例議会に競馬組合規約の改正案を提案する。経営状況の透明化を図り、資産、負債を明確化することで市民への説明責任を果たす考え。

  この一部事務組合を市と構成している県も、同じ議案を県議会に提案する見込み。市は議案が可決されれば、総務省の認可を経て来年2月から適用したいという。

  市によると、官庁会計は単年度収支は把握できるものの、中長期的な財政状況が見えにくい。公営企業会計に移行すれば、貸借対照表や損益計算書を作り、土地・建物などの資産や負債などの評価も加えることになる。

  また公営企業会計によって、競馬事業を廃止・整理する際に第三セクター等改革推進債(三セク債)の発行が可能になるという。「荒尾競馬あり方検討会」は昨秋、約14億円の累積赤字がある同競馬の存廃について、2011年度までの収支状況を勘案して判断するのが妥当との提言書を出している。

  市の山崎史郎総務部長は「公営企業会計への切り替えは財政を透明化し、市民に資産公開するもので、廃止を見据えたものではない」と話している。(朝日新聞)

2010年11月13日土曜日

「賞金・手当削減応じず」 笠松競馬、馬主会が要望書

◆県組合の提示案、協議難航
 存廃が議論されている笠松競馬49件(羽島郡笠松町)の本年度の赤字を埋め合わせるため、県地方競馬組合が賞金と手当の4割削減を関係者に提示している問題で、県馬主会は12日、削減には応じられないなどとする内容の要望書を同組合に提出した。削減案をめぐり同組合は、県調騎会、県厩務(きゅうむ)員共済会などとも協議しているが、反発は大きく、調整は難航している。
 県馬主会は同日理事会を開き、要望をまとめた。要望は、賞金・手当は既に最低ラインまで削減されており、場外馬券場「シアター恵那」整備費償還の基金などを取り崩して、赤字補てんに充てるよう求める内容。安田敏雄会長は「関係者は現状でも苦しい生活を強いられており、削減の割合の問題ではない。緊急対策として、基金を崩すほかはない」と話している。
 同組合は、8日に開いた運営推進協議会で、本年度の収支均衡策として、レース賞金や出走手当を12月から来年3月まで、4割削減する案を提示。関係者と協議し、今月末以降に開かれる競馬49件組合議会に補正予算案を提出する方針。関係団体は11日以降、会合や説明会を開いているが「レースが成立しなくなる」「基金を崩して危機を乗り越え、振興策を考えるべき」などの声が上がっている。
 古田肇知事は、税金による赤字補てんや、財政調整基金以外の基金の取り崩しには否定的な考えを示している。(岐阜新聞)

笠松競馬:存廃を巡って揺れる 行政と現場にすれ違い

 名馬オグリキャップを生んだ「笠松競馬」(岐阜県笠松町)が財政難に陥り、存廃を巡って揺れている。運営する岐阜県地方競馬組合は、赤字転落回避のため、賞金・出走手当の最大4割カットを含む支出削減案を示したが、調教師ら現場関係者は猛反発している。公営ギャンブルは「自治体の財源」でしかないのか、それとも「スポーツ・文化」なのか--。行政と現場のすれ違いが根底に横たわっている。
 「のめる数字ではない」。今月8日の会議で、県地方競馬組合が示した支出削減案に県厩務(きゅうむ)員共済会の中村弘会長が大きな不満を示した。県調騎会の後藤保会長も「これ以上賞金・手当を削られたら、馬主が馬を置いてくれなくなる」と難色を示した。
 財政難にあえぐ笠松競馬は、過去に累積赤字を出したことはない。しかし、今年度は売上額が過去最低の108億円まで落ち込む可能性があり、組合の財政調整基金がついに底をつく状況に追い込まれている。
 組合の最大構成団体である岐阜県は、施設整備の借金返済用に積み立てた基金の取り崩しや県予算の投入には否定的だ。古田肇知事は「笠松競馬の廃止ありきではなく、存続の道を探りたい」と言う。だが、県幹部は「公営ギャンブルは本来、自治体の財政を助けるための存在。県費で維持するのは本末転倒だ」と漏らす。
 一方、後藤・県調騎会会長の妻で、調教師らの家族で作る「愛馬会」代表の後藤美千代さん(56)は「競馬は生き物を通じて感動を見せてくれるスポーツ。文化でもある」と訴える。笠松競馬には多数の名馬、名騎手を生んだ歴史と知名度がある。美千代さんは「財政に貢献できなくなったから、手も差し伸べないなんて」と嘆く。
 組合は今月から、競馬場周辺の住民を招待する体験イベントを始めた。10日のイベントで初めて馬券を買った岐阜市の主婦(56)は、予想した馬が追い上げると歓声を上げた。「追い上げる馬がかっこよかった」「当たると楽しい」と友人(54)と興奮気味に話していた。
 元県職員でかつては競馬と無縁だった朝倉芳夫・組合管理者代行は「笠松競馬の娯楽としての魅力や、観光・地域資源としての価値を広く伝えることが存続のカギを握る。きっかけがないと競馬の面白さは分からない。皆が残したいと思うようにするしかない」と話している。(毎日新聞)

2010年11月11日木曜日

笠松競馬収支改善案、知事が意欲

 古田肇知事は10日の定例記者会見で、笠松競馬の運営推進協議会で提案したレース賞金や騎手らの手当ての4割削減を柱とした収支改善案について、「12月の(レース)開催に間に合わせるためには、今月いっぱいには補正予算案としてまとめたい」と意欲を示した。

 賞金などの4割削減案については、8日開かれた同協議会で、馬主や調教師、きゅう務員らから「到底、受け入れられる額でない」などと反発の声が上がっている。

 古田知事は、馬主らと個々に協議を進め、妥結を急ぐ考えで、「対策が遅れれば遅れるほど、事態は厳しくなる」と説明した。(読売新聞)

金沢競馬 存続へ “本命”の振興策なし


止まらぬ入場者減 評価委 『長い目で判断』

 二〇一一年度以降も存続される見通しが濃厚となった金沢競馬。しかし、このまま売り上げの減少が続けば、競馬事業の赤字に補てんできる基金が枯渇するなど問題は山積している。金沢競馬の関係者は、具体的な振興策がないまま事業が継続できるのかと、不安をのぞかせた。

 県庁で十日開かれた第四回金沢競馬経営評価委員会。県競馬事業局は、一〇年度現在で県と金沢市合わせて約二十四億円の基金があることを報告した。一方、毎年7%の収益減が続いている現状で、事業を廃止した場合に競馬関係者に支払う補償金六億〜十二億円を見込めば、三年後の一三年度に基金が枯渇することも明らかにした。

 委員会ではまた、同競馬の関係者らに対する意見聴取も行われた。席上、調教師や騎手でつくる「県調騎会」は、県に対して競馬専門の職員を養成することや、競馬開催を現在の四月から三月に早めるなどの振興策を提案した。
写真

 委員会に出席した同会の田嶋弘幸会長は存続の可能性が見えたことに「具体的な振興策が何もない。素直には喜べない」と複雑な心境をのぞかせた。

 県競馬事業局は、経営改善計画期間だった〇七〜〇九年度の三カ年で人件費や経費の削減などに取り組み、最初の二年間は黒字化とした。一方で、自場での馬券発売額の落ち込みには歯止めがかからず、入場者も年々減少している。

 新たな振興策として、現在開発が進んでいる日本中央競馬会(JRA)との共同馬券新システムや南関東地区の在宅投票システム「SPAT4」へ参入する計画もあるが、実現は早くて二年後。こういった取り組みを含め、委員会は「経営改善の余地はある」とし、今後は「(存廃判断は)五〜六年の長い期間で見た方が良いのでは」といった声もあった。(中日新聞)

2010年11月10日水曜日

のぼりを手に街頭PR ホッカイドウ競馬 日高で商工業者

【日高】町内の商工業者らでつくる「ホッカイドウ競馬を応援する会」(半田邦雄会長)は8日、国道235号と237号の交差点(富川北1)で街頭PRを行った。
 18日に本年度の最終日を迎える同競馬の宣伝などが目的。同会や町内の各種団体から合わせて約40人が集まった。参加者は赤と黄で遠目にも目立つ、同競馬ののぼりを手にして交差点の沿道に一列に並び、ドライバーにアピールした。
 半田会長は「ホッカイドウ競馬の存続が決まったのは多くの人のおかげ。感謝の気持ちも込めて街頭に立った。最後まで、盛り上げていきたい」と話した。(北海道新聞)

240勝 年間最多勝 新記録 佐賀競馬の山口騎手


 佐賀競馬(鳥栖市江島町)所属の山口勲騎手(40)=山下清厩舎、佐賀市出身=が6日、同競馬場で開かれた第4レース(ダート、1400メートル)で1着となり、今年の勝利数を240とした。鮫島克也騎手が2000年に記録した239勝を超え、年間最多勝記録を更新した。
 山口騎手は1987年10月、ヒロインヒゴ号に初騎乗。同年11月の8戦目で初勝利を挙げた。2006年に初の同競馬リーディングジョッキーに輝くと、09年まで4年連続でタイトルを保持。今年も(10月31日現在)2位に161勝差をつけて、最多勝利数を挙げている。8月28日にはアサフジセント号に騎乗し通算2500勝を達成した。
 記録更新したレースは、1番人気のマイコハン号に騎乗。スタート直後に先頭に立つと、ゴール前直線で他馬の激しい追い上げをかわした。山口騎手は「昨年も記録更新のチャンスがあったができなかったので、今年更新ができてよかった。今後も無事に一つ一つを大事に騎乗していきたい」と話した。(西日本新聞)
【写真】年間最多勝記録を更新した山口勲騎手

2010年11月9日火曜日

岐阜・笠松競馬:組合が賞金4割減を提案 馬主らは反発 

 財政難で存廃が議論されている笠松競馬(岐阜県笠松町)を運営する県地方競馬組合は8日、調教師や馬主ら関係者が集まる運営推進協議会で、今年度末までに支出を最大約2億5000万円削減する案を示した。賞金と出走手当の最大4割カットを提案したが、調教師や馬主の収入減に直結し、レースの質低下につながる恐れもあるとして、出席者からは反対意見も出た。
 組合によると、猛暑の影響などで、10月末までの今年度の1日当たりの馬券販売額は前年度比91.7%まで落ち込み、年間売り上げは最悪で過去最低の108億円となる恐れがある。
 レースの経費が年度当初の見込みより膨らんでおり、今年度の赤字は最大3億1500万円に及ぶと試算した。
 一方、県は県費や借金返済のための組合の基金の投入には否定的で、現時点で赤字補てんに使えるのは組合の財政調整基金の約6600万円しかない。そこで組合は、12月から4カ月間、現在1レース当たり計約104万円の賞金と出走手当を最大で4割減らすことを提案した。
 2011年度も賞金・出走手当を1~3割カットし、開催日数を6日削るなどして最大3億8600万円の支出を削り、収支を均衡させる考えを示した。
 出席した馬主らからは「賞金や出走手当以外から削減する方法を考えてほしい」などの反論が出た。
 この日は結論は出ず、近く協議会を改めて開いて話し合う予定

笠松競馬の賞金「来月から削減」 運営推進協に再建案提示

 存廃問題で揺れる岐阜県笠松町の笠松競馬を運営する県地方競馬組合は8日、上位の馬へのレース賞金や、出走馬などに支払われる手当を12月から4カ月間、最大で4割削減することを柱とする再建案を、有識者を交えた運営推進協議会に提示した。

 再建案は売り上げを2010年度は2通り、11年度は3通り想定し、それぞれの赤字額を試算。補てんに必要な対策を提案した。

 10年度は売り上げが108億円となった場合を最悪と想定し、3億1500万円の赤字が出ると試算。12月からの4カ月間、350レースを対象に4割の賞金・手当を削減すると、1億4600万円を補てんに充てられるとする。

 事務事業の見直しによる歳出削減と、新たな場外発売による売り上げ向上を組み合わせて1億1800万円を捻出(ねんしゅつ)する緊急対策も提示。不足分4900万円は財政調整基金で埋める。

 11年度は、馬券発売額がさらに1割減った場合に4億6000万円の赤字が出ることを最悪と想定。年間レース数(1025レース)はそのままで、開催日を6日削減することで経費を2400万円削減するほか、賞金減を継続することなどで乗り切るとした。

 また、古田肇知事は場外馬券場の「シアター恵那」(同県恵那市)を売却する意向を明らかにした。

 再建案は今後、競馬場関係者との協議を経て内容を詰め、予算化した上で、11月末以降に開かれる県議や地元町議でつくる競馬組合議会で決定される。

 協議会の委員からは賞金削減への懸念や歳入拡大に向けた対策を求める声が相次ぎ、古田知事は「最悪のシナリオを考えて乗り越えないといけない。やれることは全部やる」と述べ、競馬議会までに協議会を再度開き、改善策を説明する考えを示した。(中日新聞)

笠松競馬「賞金・手当4割削減」 廃止回避へ県組合提案


◆本年度赤字は想定の3倍、3億円前後見込む

 県地方競馬組合は8日、笠松競馬(羽島郡笠松町)の上半期の収支実績に基づく本年度の決算見通しは、これまでの想定の3倍近い3億円前後の赤字で、競馬廃止を回避するにはレースの賞金と馬主や騎手らへの手当の総額を12月から来年3月までの4カ月間、40%削減することが必要だ、と関係者に提案した。
 同日の笠松競馬運営推進協議会で示した。古田肇知事は赤字の補てんに税金を投入しない考えを表明しており、組合は補てんに使える財政調整基金6600万円の範囲内で収支を保つには大幅な経費削減が必要と判断した。
 協議会に出席した古田知事は「急速に馬券販売が落ち込む中、競馬を守るために最悪のシナリオを考えてどう乗り越えるか、ぎりぎりのシナリオを検討する必要がある」と理解を求め、関係者と調整できれば今月末にも開く組合議会に提出する補正予算案に反映する考えを明らかにした。
 これまでは馬券発売額をもとに、本年度収支を1億円〜1億1700万円の赤字と見込んでいたが、ほかの競馬場の馬券を発売することで入る受託収入が予算より7900万円(13%)落ち込む見通しであるなど、ほかの要素も加味して試算。
 その結果、馬券発売額が10月末までの1日当たり前年同期比8.3%減のまま推移すると赤字は2億8500万円に、最悪のケースの同10%減だと赤字は3億1500万円に膨らむと見通した。
 賞金・手当の総額は本年度予算で10億7000万円を占め、開催経費の中では馬券の払戻金に次ぐ規模。4カ月間、40%削減することで1億4600万円をねん出できるという。
 組合は、馬券発売額が本年度を下回ると想定した場合、来年度も収支は3億500万円〜4億6600万円の赤字が見込まれるとして、賞金・手当は12〜28%のカットを続けることが必要と指摘。経費削減のためレース数は維持しつつ、競馬の開催日数を本年度の101日から来年度は95日に減らすことも提案した。
 賞金・手当の総額(決算ベース)は、2003(平成15)年度は19億2000万円あったが、存廃論議が浮上したことで05年度は10億8000万円に減少するなど、すでに4割以上削っていた。その後も回復していない。
 県は同日、笠松競馬の地域貢献度として10月時点で、952人の雇用と年間99億4300万円の経済波及効果がある、とする試算も示した。(岐阜新聞)
写真:笠松競馬運営推進協議会の冒頭、あいさつする古田肇知事=8日午後、羽島郡笠松町役場

2010年11月6日土曜日

笠松競馬、4割賞金削減案 8日提出

 岐阜県笠松町の笠松競馬の存廃問題で、競馬を主催する県地方競馬組合は、赤字を埋めるため、売り上げに応じて来年1月から3カ月間、レース賞金を最大で4割削減する再建案を固めた。8日に馬主や調教師らで組織する運営推進協議会に、ほかの案とともに提出する。内容が厳しいだけに反発も予想される。

 再建案では2010、11年度の売り上げを3段階で想定、それぞれ赤字額を試算。補てんに使える基金(09年度末現在で6600万円)以外は充てない条件で、収支均衡の方策を検討した。

 10年度の場合、最低の売り上げを前年度比9%減の108億円と想定。その場合、1〜3月の賞金の4割削減が必要と判断した。11年度は開催日数を減らし、経費を削ることなどを提案する。

 同競馬場の10年度の開催日は101日で、平均で1日10レースを実施。賞金はレースによって異なるが、1位から4、5位までに500万円から1万2千円が支払われている。

 8日の協議会では組合の提案のほか、経費削減案を募る。その後、再建案を競馬関係者と調整し、12月ごろに開催予定の組合議会に提出する。

 組合は9月の協議会で10年度は1億1700万円の赤字になる見通しを示している。岐阜県の古田肇知事は税金投入を否定し、廃止も視野に検討する考えを示している。(中日新聞)

金沢競馬収支予測 現状なら赤字拡大 経営評価委

 赤字経営が続く金沢競馬の存廃を協議する「金沢競馬経営評価委員会」が4日、県庁で開かれ、2011年度から13年度までの収支予測が示された。

 現状で推移した場合、11年度の単年度収支は3億2200万円の赤字となり、赤字額は12年度には4億7600万円、13年度には6億1600万円に拡大する。開催経費を切り詰め、収支均衡を目指した場合、11年度は5900万円の赤字となるが、12年度は1900万円の黒字、13年度は200万円の黒字になるという。会合では、11年度から17年度にかけて競馬場施設の大規模改修が行われるため、単年度平均1億2900万円の歳出が見込まれることも報告された。(読売新聞)

2010年11月5日金曜日

金沢競馬の収入、今後も落ち込み続く 経営評価委が予測

 金沢競馬の経営状況を検証する経営評価委員会が4日、県庁で開かれた。大規模な施設改修費として2017年までに計9億円が必要な一方、今後も収入の落ち込みが続く見込みが示された。

 委員会では収入減少が現状のまま推移した場合や、下落幅が小さくなる場合など3パターンの収支予測を作成。単年度収支の赤字は、今年度の約6千万円から11年度で最大約3億2千万円、13年度には約6億1千万円まで膨らむ可能性もあるとした。一方、収益の減少幅が少なく、約2億5500万円の経費削減を見込めば、13年度には200万円の黒字に転換できると予測したが、具体的な節減項目は示さなかった。

 委員会は今後、調教師など競馬関係者を招いて意見聴取し、金沢競馬の存廃の議論を進める予定。(朝日新聞)

2010年11月4日木曜日

厩舎見学し馬と触れ合い


 福山競馬の調教師と騎手でつくる広島県調騎会は3日、福山市千代田町の福山競馬場で、厩舎(きゅうしゃ)を案内する見学会を開いた。

 公募で選ばれた競馬ファンら12人が、馬用の小屋や運動場を見学した。案内を務めた徳本慶一調教師は「レース1週間前から飼料を減らす。馬は飼料の量でレースが近いことを理解する」などと説明した。参加者はバナナを与え、触って馬との交流を楽しんでいた。

 騎手と馬との記念撮影などもあった。競馬場を初めて訪れた尾道市門田町、尾道大4年市場隆介君(22)は「筋肉の硬さに驚いた。次は走る姿を見に来たい」と話していた。

 厩舎内の一般公開は初めて。福山競馬場は累積赤字が約20億円に上り、存続の危機にある。競馬場への関心を高め、来場者増につなげるために企画した。(中国新聞)

【写真説明】競走馬と触れ合う参加者

2010年11月3日水曜日

福山競馬 改善厳しく 上半期赤字6448万円 広島

 福山競馬の今年度上半期決算(4〜9月)は基金の繰り入れを除く実質的な収支が6448万円の赤字だったことが2日、同市会競馬事業特別委員会で明らかになった。前年同期比では大幅に改善されたものの依然、厳しい経営状況が続いている。

 市競馬事務局によると、第2四半期(7月3日〜9月26日の21日間開催)決算は収益20億1570万円、費用20億2942万円で、差し引き1372万円の赤字。基金からの繰り入れ1912万円を除いた実質赤字は3284万円だった。

 第1四半期(4〜6月)決算が実質3164万円の赤字だったため、上半期の実質的な赤字は6448万円に膨らんだ。ただ、前年度上半期(実質1億2683万円の赤字)に比べると大幅に改善されている。

 これは、騎手らの手当や賞金などの「賞典奨励費」の見直しが要因。10月からさらに5〜10%(総額約1100万円)削減しているが、下半期の見通しについて市は「状況は非常に厳しい」としている。(産経新聞)

岩手競馬の支援検討 県調査特別委

 県競馬組合調査特別委員会(委員長・千葉伝県議)は2日、県議会で開かれた。地方競馬全国協会の雨宮敬徳理事が講演し、2011、12年度に岩手競馬を含む地方競馬への新たな財政支援策を検討していることを明らかにした。約70億円の基金を活用する方向で、経営難に苦しむ地方競馬を後押しする。

 県議と盛岡、奥州市議の委員10人が出席。雨宮氏は地方競馬の収支状況などを説明した。09年度は主催者別で5団体が黒字、11団体が赤字を計上するなど多くが存廃の危機に立たされている。

 雨宮氏は「来年、再来年が存廃判断の年になる。地方競馬継続のために、できる限りの支援を考えている」と明言。競走馬の薬物検査料やシステム費など、競馬事業に必要な経費の補助などを検討する。

 12年度から始まる日本中央競馬会(JRA)と地方競馬の馬券相互発売については「地方競馬の6倍の会員がおり、商圏が広がる」と増収に期待感を示した。

 委員からは地方競馬の将来見通しや、地方競馬全国協会と地方競馬の連携強化などを求める意見が出た。(岩手日報)

2010年10月26日火曜日

つい来ちゃう」温かさ


 福山市営競馬場のパドック北にある食堂「お食事処 多幸」の店内に、甘辛いソースの香りが漂ってきた。「おまちどおさま」。店主の石井幸一(49)が、素早い手付きで3人分の焼きそばを仕上げ、声を上げた。

 30人ほどが入れる店内の壁には、「うどん」「そば」「牛丼」など、数十種類のメニューが並ぶ。競馬新聞片手に次のレースの予想に忙しい赤ら顔の男性客もいれば、おでんの皿を囲みながら、「調子はどう」「今日は外れてばっかり」と言葉を交わす常連客の姿も。石井は、額に汗を浮かべながら、再びスタンドに戻ろうと店を出る客に、「ありがとう」と声を掛けた。



 店は父・幹祐(故人)が始めて、半世紀以上になる。1960年代後半、石井は小学生の頃から、皿洗いや仕込みを手伝うようになった。

 高度経済成長のまっただ中。「いらっしゃいませ」と声を掛ける間もなく、客はどんどん押し寄せ、店内は身動きがとれないほどの盛況ぶり。羽振りのいい客は、レースに勝てば、店中の客におごって回り、数千円もの小遣いをくれたという。



 高校卒業後は福山市を離れ、大阪府内の料亭旅館で料理長を務めるなど、調理師として働いたが、13年前、父の死をきっかけに跡を継いだ。

 「とにかく忙しいから、大変だろう」。幼少時の記憶のまま、そう思って調理場に立ったが、競馬場の入場者数は、子どもの頃に比べて三分の一程度にまで落ち込み、商売は思うように行かず、「こんなはずじゃない」と頭を抱える日々が続いた。



 黙っていても、客が来る時代は終わっていたことを実感した。「温かみのある店にはまた来たくなるはず」。そう思い、一緒に店を切り盛りする妻の洋子(46)と、出来るだけ客と言葉を交わすようにした。世間話、家族の話、時には恋愛相談も。何度も繰り返して来たい、と思ってもらえるよう、家庭的な雰囲気づくりを心掛けると、次第にリピーターも増えていった。東京から毎年来る客もおり、休日に家族で訪ねていったこともある。

 幼少時からの石井を知る常連客の岩本繁則(63)は、「ついつい来ちゃうんだよ」と笑う。家族ぐるみの付き合いという尾道市因島三庄町の土木業阿部秀樹(57)、香織(51)夫婦も「競馬場で出会うまで、全く知らなかった人たちが、食堂で意気投合して、親友のように仲良くなっちゃう。そんな雰囲気がこの店にはあるんだよ」とうなずく。

 石井は厨房(ちゅうぼう)から客を見渡しながら、「年齢も、職業も、全く違う人たちが集まるこの食堂が、人間関係の素晴らしさを教えてくれた。商売は大変だけど、お客さんという財産は消えない宝」と目尻を下げた。(読売新聞)

【写真】焼きそばを作る石井。妻の洋子(中)と一緒に作り出す家庭的な雰囲気に引かれて来る客も多い(「お食事処 多幸」で)

騎手「ずっと心の中に不安」 存廃問題に揺れる福山競馬


 61周年を迎えた中国地方唯一の福山市営競馬(福山競馬)が存廃を巡って揺れている。有識者の検討委員会が先月末「速やかな廃止」を羽田皓(あきら)市長に答申。施設は老朽化し、経営改善の見通しも立たない。地方競馬は全国的に苦境が続く。福山競馬の現状と、不安の中でレースを続ける騎手を追った。

 福山競馬に所属する騎手は17人。中堅のさこ畑(さこはた、〈さこは、土へんに谷〉)雄一郎騎手(29)は、かつて「日本一小さな競馬場」と呼ばれた益田競馬場(島根県益田市)で馬を駆っていた。

 島根県出身。1998年4月、デビュー戦を勝利で飾った。「無我夢中だった。他の騎手たちに『よかったなあ』と声をかけてもらい、『勝ったんだ』と実感した」

 ロッカーが並ぶ福山競馬場の調整ルームで、さこ畑騎手は思い出の一戦を振り返る。

 だが、デビュー5年目の2002年、益田競馬場の存廃問題が浮上。有識者の検討会議では15億円を超える累積赤字の解消策が見いだせず、市長は廃止を表明。55年の歴史に幕が下ろされた。約10人の騎手の多くは関東や北陸の競馬場へ移籍。さこ畑騎手は、世話になっていた調教師の紹介で福山競馬へ移った。

 「まさか廃止になるとは思わなかったが、益田よりも規模の大きい福山に移籍できて、希望も持てた」

 だが、福山競馬の経営もすでに下り坂だった。

■年収300万円に減

 レジャーの多様化に伴う入場者数の減少、バブル景気の崩壊——。馬券の売上額はピークだった91年度の345億円から、02年度には半分にも満たない133億円に低落。累積赤字も膨らみ、移籍2年後の04年度には20億円を突破した。

 60〜80年代に整備されたスタンドや厩舎(きゅうしゃ)などの老朽化が進む。改修に充てる施設整備基金は96年度末には28億円あったが、09年度末には6億円まで減少。市の推計では今後3、4年で枯渇する見通しで、大規模な改修は困難な状況だ。

 市は累積赤字を増やすまいと、98年度で約580人いた競馬事務局の職員や臨時職員らを10年間で半減。騎手や調教師らに支払う賞金や手当などの賞典奨励費も段階的に引き下げた。移籍時は600万円ほどあったさこ畑騎手の年収も、今では300万円ほどだ。数年前から妻がパートに通い、家計をやり繰りしているという。

 「痛みを伴ってでもレースを続けたい」。競馬関係者の強い希望を尊重し、2月から議論を重ねた検討委は答申で、実質黒字を確保という条件つきでレース継続の可能性を残す一方、賞典奨励費のさらなる削減を条件に加えた。

■先細りの移籍先

 地方競馬の衰退は激しく、もし福山競馬が廃止になれば、次の移籍先を探すのは容易ではないという。

 「答申が出て以来、ずっと心の中に不安がある。だけど、朝から晩までそんなことを考えていたらレースにならない」。競馬を楽しみに来るファンのため、さこ畑騎手はそう自分に言い聞かせ、毎朝の馬の調教と自身のトレーニングに専念する。

 今月15日には長女が生まれた。「いつまで走れるか分からないが、できることなら、自分が馬に乗っている姿を娘にも見てほしい」

 今月初め、騎手や調教師らでつくる「福山競馬関係団体連合会」の代表らが、福山競馬の存続を求める約1万4千人分の署名を市に提出。「我々には競馬しかない。市長には存続を判断してほしい」と要望した。羽田市長は答申や今年度の収支状況を踏まえ、年度内にも存廃を判断すると表明している。 (朝日新聞)
【写真】早朝、馬場へ調教に出るさこ畑雄一郎騎手=福山市千代田町1丁目の福山競馬場

2010年10月23日土曜日

荒尾、佐賀競馬がレース共催 来春まで25回

 荒尾競馬(熊本県荒尾市)と佐賀競馬(佐賀県鳥栖市)は21日、双方の所属馬や騎手が参加する超短距離の交流レース「九州スーパースプリントシリーズ」を29日の荒尾競馬を皮切りに開催する、と発表した。

 地方競馬の経営悪化に伴い単独でのレース開催が困難になる中、運営する自治体が異なる複数の競馬場で常時開催の交流レースを新設する初めての試み。赤字を抱える荒尾、佐賀両競馬は経営効率化に向けて、将来の競走馬や騎手の共有化も目指す。

 レースは来年3月19日までに、両競馬場で計25回開催予定。通常よりも距離が短い900~950メートルの「超短距離走」となる。

 地方競馬全国協会(東京)は、佐賀競馬場と荒尾競馬場を往復する競走馬の輸送費を全額負担し、地域ブロック単位での交流レースを全国展開できるかを検証。来春以降に超短距離走の全国王者を決めるレースも開催したい考えだ。

 荒尾競馬組合は「超短距離走は勝敗が読みづらいのが魅力。全国の注目を集めるレースになれば」と期待を寄せている。(NEWS47)

福山競馬に新馬15頭

 存廃の岐路に立つ福山市営競馬(福山市千代田町)の競走馬オーナーでつくる県馬主会(八木徹会長)は、2011年度のレース開催を前提に、サラブレッドの1歳馬15頭を購入した。先行きが不透明な中、新馬の購入をためらう馬主もいるといい、関係者からは市に対して早期に存廃の結論を出すよう求める声も出ている。

 市競馬事務局によると、同競馬の競走馬は10月22日現在344頭で、1日11レースを3日単位で開催するためには、ぎりぎりの頭数。魅力あるレースを組むためには、新馬を毎年、50〜60頭購入するのが理想という。

 県馬主会では、会員が18〜21日、北海道浦河町の日高軽種馬農協で行われた競りに参加し、競走馬計15頭を各80万〜250万円で購入した。

 しかし、馬主の中には、「競馬がいつ廃止されるか分からない状況で無理もできない」と購入を控える意見も根強いといい、11年度に向けて競走馬をさらに購入するかは不透明だ。

 八木会長は「レース開催を維持するために新馬の購入は必要だが、市の方針が見えにくく、判断ができない。具体的な計画を早く示してほしい」と話している。

 福山市営競馬事業については、有識者らによる検討委が9月末、「速やかに廃止すべき」としながらも、黒字化の条件付きでの存続を認める答申を羽田皓市長に提出。羽田市長は「答申を尊重する」とし、11年度の予算編成までに一定の方向性を出す意向を示している。(読売新聞)

2010年10月20日水曜日

馬券販売の変化視野に 笠松競馬存廃で議論

 厳しい経営が続く笠松競馬(笠松町)について、県の古田肇知事は19日の定例会見で、地方競馬と日本中央競馬会(JRA)の馬券相互発売など馬券の販売環境の変化に関して「(存続を探る)シナリオの中で議論していく」との考えを示した。

 馬券の販売をめぐっては地方競馬と中央競馬が相互販売を検討している。各地の地方競馬では来年度から共同で販売システムを運用することで経費を削減。加えて中央競馬との相互販売で収益増を期待している。

 累積赤字を抱え、存廃が問題になっていた北海道営ホッカイドウ競馬は相互販売に伴う収支改善を1つの根拠に、来年度以降の存続を決めている。

 古田知事は「六千数百万円の赤字補てん財源の範囲内で(存廃を)議論する」と述べ、あくまで単年度収支を判断の基本とする考えを改めて説明。11月8日に開く笠松競馬推進協議会で販売促進や経費削減のシナリオを示すといい、「道はかなり険しいが、意見を出し合って乗り越えていければ」と述べた。

 その上で、2010年度を乗り切った場合に、馬券販売システムの変化を視野に入れた来年度以降の道筋を検討する考えを表明。「どの時点でどの程度、収入に反映されるか。確固たるスケジュールがあるわけではなく、どの程度期待できるか丁寧に詰めないといけない」と話した。(中日新聞)

2010年10月15日金曜日

浜松に場外馬券場開設 来年4月 駅周辺、にぎわい創出 静岡

 日本中央競馬会(JRA)が来年4月に場外馬券売り場を浜松市中区の商業ビルに開設することが14日分かった。地元関係者によると、市や浜松中央署、地元自治会とほぼ合意に至ったという。浜松市は郊外の大規模商業施設に客足を奪われ、中心部が空洞化するドーナツ化減少が顕著で、駅周辺の“にぎわい創出”が急務となっている。

 JRAが浜松市に開設する場外馬券場は「エクセル」と呼ばれ、利用者を先着順に限定する有料定員制の売り場。土曜と日曜の両日のみ開かれ、座りながらレースの様子をモニターでみることができるのが特徴だ。

 JRAは浜松駅から徒歩5分程度の商業ビル「かじ町プラザ」の4階に売り場を設けることで地権者と合意。定員を800人とし、払い戻し機械は入り口の外に設けることで設計に入ったという。

 地元、鍛冶(かじ)町の関係者は「JRAは来年5月の日本ダービーに間に合わせたいと話している」といい、来年4月下旬にはオープンの予定だ。地元周辺も「人が集まるなら」と歓迎しているという。

 かじ町プラザでは、イトーヨーカドーが平成19年に撤退。パレマルシェも21年にわずか7カ月で撤退し、広大な空きスペースが残った。周辺も13年に閉店した老舗百貨店「松菱」の跡地に大丸が23年秋開業で出店の予定だったが、投資に見合う収益が見込めないとして断念、跡地はそのままになっている。

 「エクセル」誘致は消費低迷が続く衣料や雑貨ではない「新たな試み」と評価される半面、「風紀上、問題」「土日開催のため、集客効果は限定的」との声もある。場外馬券売り場に集まる人をどう地域の活性化に結びつけるか。地元と周辺を巻き込んだ議論がさらに必要になりそうだ。JRAは「検討中。具体的な案件の状況についてはコメントを控える」と話している。()

2010年10月10日日曜日

佐賀競馬、荒尾と交流レース 出走馬増やし短距離戦

 人気低迷と売り上げの減少で経営難にある佐賀競馬(鳥栖市江島町)と荒尾競馬(熊本県荒尾市)が、10月末の開催日から定期的な交流レースを開始することで基本合意した。所属の競走馬が減っているため、「九州競馬」の連携で出走頭数を確保し生き残りを図る。
 地方競馬では、南関東の4競馬場が増収策として交流レースを続けているが、経営難から連携するのは初めて。地方競馬全国協会(東京)は今回の交流レースにかかる馬の輸送費相当分を補助金で支援する。
 佐賀競馬は9月末現在、515頭の競走馬を持つが、ピーク時の約700頭からすると3割減。荒尾は291頭で、ともに出走馬が似たような顔ぶれになって、レースの魅力が薄れる原因にもなっている。
 交流レースは29日の荒尾、30日の佐賀で1レースずつ実施。11月以降来年の3月まで合計25レースを予定している。通常より短い千メートル未満の「スーパースプリントシリーズ」と銘打って実施。トップスピードの迫力あるレースを演出する。
 荒尾は約14億円の累積赤字を抱え、出走手当の削減などで経営の立て直しを模索中。佐賀は昨年度約6800万円の赤字になり、本年度予算から繰り上げ充当をした。累積赤字には陥っていないものの、本年度も売り上げ、入場者数が減少している。
 佐賀競馬組合は「これまで荒尾と交流できる状況にありながら実施してこなかった。コスト削減と資源の共有効果を狙う」と話し、荒尾競馬組合は「新たな視点のレースがファンに受け入れてもらえれば、全国発売の売り上げ増につながる」と期待する。 (佐賀新聞)

荒尾競馬の存廃 正念場…出走手当引き下げ 出走手当問題で存廃の岐路に立つ荒尾競馬


 荒尾競馬組合(管理者・前畑淳治荒尾市長)が8月、経営立て直し策の一つとして、馬主側に支払う出走手当を一律1万5000円引き下げた問題は、反発した馬主側が近く、玉名簡裁に調停を申し立てる事態となった。競馬場の存廃にかかわるだけに、推移が注目される。(村田和夫)

 荒尾競馬は、1997年の三池炭鉱の閉山に伴い、入場者、売り上げとも減少に転じ、98年度から赤字に転落。昨年度までの累積赤字は約14億円に達した。荒尾市からの貸付金は年々膨らみ、今年度は11億円。市の財政運営を圧迫する要因となり、「荒尾競馬あり方検討会」(会長・荒井勝彦熊本学園大教授)は昨年10月、「収支改善の見込みが困難と判断した場合は2011年度を待たずに存続断念を視野に入れるべきだ」と提言した。

 だが昨年度は約4500万円の赤字、存廃を判断する正念場となった今年度も毎月1000万円、年間で1億円強の赤字の見通しとなった。

 組合は、出走手当の引き下げで約5800万円の削減効果を見込み、他の経費を抑えれば今年度分の赤字を回避できると判断。7月に開かれた馬主への説明会で、前畑市長は「競馬を続けていくためには今年度の収支均衡が大命題だ」と理解を求めた。

 出走手当は8月21日開幕の第7回大会から引き下げられた。組合は昨年4月にも一律5000円を減額したが今回はその3倍に当たる。このため、馬主186人で組織する県馬主会側は「我々に負担を押しつける前に、組合側が人件費削減など運営努力をすべきだ。施設を改善したり、職員の教育を徹底して入場者数、売り上げ増を図れ」と反発した。林田三男副会長は「我々は現状でも1頭につき60万〜70万円の赤字だ。それでも出走させているのは馬が好きで、厩務員(きゅうむいん)や騎手らの生活もかかっているからだ」と言う。

 荒尾競馬場では採算が見込めないとして、佐賀など他の競馬場に所属を替える馬主も出てきている。

 荒尾競馬場の16厩舎に所属する馬は9月現在、283頭。ここ数年350頭前後で推移していたが、8月に300頭を割り込んだ。馬の数が減れば、世話する調教師、厩務員の手当にも影響する。今は1レース5〜8頭立てで、1日10レースを組んでいるが、200頭を割り込むようなことになれば、レースそのものが成り立たなくなる恐れも出てくる。

 組合は、場外売り場の運営システムや場内管理委託を見直して経費削減を進めたり、売り上げを増やすための工夫に取り組んだりしている。一方、馬主会側には出走回数を増やすことで手当が減った分を補ってもらおうと提案しているという。ただ、今のところ、議論は平行線をたどったままだ。

 荒尾競馬が始まって今年で82年。その収益から市、県の予算に繰り入れられた額は約91億3000万円に上る。競馬に関心がない市民にとっても、その存廃は決して人ごとではない。(読売新聞)

2010年10月8日金曜日

高知競馬:本場の売り上げ減 出走馬も減、課題山積--運営状況

 ◇生き残りへ ナイター、交流レースも

 生き残りをかけ、経費削減やナイター開催を打ち出してきた高知競馬(高知市長浜宮田)。県は6日、県議会産業経済委員会で、今年度(9月26日まで)の運営状況から年間約2600万円の黒字となる見通しを報告した。しかし、本場発売所の売り上げ減など課題は山積。集客数アップへの対策を迫られている。
 県競馬対策課によると、1日当たりの平均入場者数は、今年度666人。「夜さ恋ナイター」が始まった昨年7月以降、1日当たりの売り上げなどに順調な伸びが見られたが、昨年度の平均入場者数814人を下回っている(08年度959人)。自場開催96日のうち92日がナイターで、比較的多かった昼間の利用者が来なくなったことも影響しているとみられる。
 一方、急増しているのがインターネット・電話投票だ。売り上げのうち、ネット・電話が2割、本場(パルス高知など場外販売所含む)が7割だった08年度に対し、今年度はネット・電話6割、本場3割。ネット・電話の場合、委託先2社への委託料(売り上げの11~13%)がかかり、「収益は伸びた見かけほど良くない」(同課)という。
 競走馬の確保も急務となっている。07年度に累積赤字を出したことを受け、県は08年度、2億5000万円の経費を削減した。出走手当も1割カットの2万7000円とし、賞金も減額したことなどから出走馬数が激減。今年のレース数は10レースと昨年度から1減し、5頭だて、6頭だてが頻発した。厳しい経営が予想される中、今年7月、県は出走手当を今年3万2700円に増額した。
 削りに削った結果黒字となったものの「この状況が続くとしんどい」と同課。全国唯一ナイターを通年開催することから冬場の売り上げ増が期待され、今後も正月開催でのイベントやJRA(日本中央競馬会)との交流競走「黒船賞」などを予定する。西岡幸生課長は「競馬場で見るのが競馬のだいご味。にぎわえば騎手らの励みにもなる」と話す。(毎日新聞)

荒尾、佐賀が交流競馬 馬、騎手共有 定期レース 10月末から

 地方自治体が手掛ける各地の地方競馬が経営難で存続の危機にある中、荒尾競馬(熊本県荒尾市)と佐賀競馬(佐賀県鳥栖市)が、10月末から毎月5レース程度、競走馬を行き来させて「交流レース」を開催することが7日分かった。「自治体単位」が原則だった地方競馬の「地域ブロック化」により、人や馬といった経営資源を共有しコスト削減を図る生き残り策。地方競馬全国協会(東京)によると、定期的な交流レースの形で経営効率化を図るのは全国初の試みという。

 地方競馬は長年、主催する自治体の貴重な収入源だったが、近年はレジャーの多様化などで採算性が悪化。大分県の中津競馬の撤退(2001年度)など各地で閉鎖が相次いでいる。協会は今回の“九州競馬”をモデル事業として、両競馬場間の馬の輸送費を全額負担して支援する。今回の試みが好評なら、11年度以降、ブロック化を全国展開したい考えだ。

 09年度現在、地方競馬の主催者は全国に16あるが、9主催者が累積赤字を抱える。荒尾競馬の累積赤字は約14億円、佐賀も約6800万円に上る。協会によると、ブロック化は出走馬や施設の共同利用によるコスト削減のほか、互いのレースへの出走頭数が増える分、バラエティーに富んだレース編成が可能になり、ファン層拡大や収益アップが期待できるという。

 レースは通常の3分の2にあたる千メートルの超短距離となる見通し。両競馬場の出走馬に多少の力の差があっても、勝敗を読みにくくするためだ。荒尾、佐賀の両競馬組合は「“九州競馬”が先進例になって地方競馬の活性化の流れをつくりたい」としている。

■地方競馬

 1948年施行の競馬法に基づき、地方自治体が一部事務組合を設立するなどして運営する。監督官庁は農林水産省。地方競馬全国協会が、競走馬の登録業務などを担当する。売り上げの約75%が馬券購入者への配当金で、残りが主催者側の収入。政府が資本金全額を出資する日本中央競馬会(JRA)による中央競馬に比べ、経営基盤が弱い分、賞金水準は低く優秀な馬は集まりにくい。(西日本新聞朝刊)

笠松競馬、赤字1億円に縮小 県が本年度収支見通し

 県は7日、笠松競馬(羽島郡笠松町)の本年度の収支見通しは約1億円の赤字になるとする上半期終了時点での経営シミュレーション結果を明らかにした。8月時点で見込んだ1億1700万円の赤字よりは縮小したが、赤字補てんに使える財政調整基金6600万円の全額を取り崩してもなお、3400万円の赤字が残る。

 県地方競馬組合は11月初旬に開く笠松競馬運営推進協議会に経費削減を含めた追加対策の選択肢を示す方針。

 古田知事は同日の県議会定例会で、「税金で赤字を補てんしないという前提からすると年度末を待たずにぎりぎりの判断をしなければならない」と述べ、現状のままでは廃止もあり得るとの可能性をあらためて示す一方、「財政調整基金の範囲内でいかに乗り切れるかを吟味する必要がある」として、存続策を探る考えを強調した。

 上半期の馬券発売額は約54億円で、1日当たりは前年同期比7.5%減少。下半期も同じマイナス率で推移すると年間発売額は前年比8億円減の111億円になると推計した。

 4億2000万円の特定目的基金を取り崩して競馬存続の財源とすることについては「借金の合計は6億8000万円で、すでに2億6000万円の債務超過。特定目的基金を赤字補てんに使い切って残った借金は競馬廃止となった場合、税金で負担することになるため、慎重にならざるを得ない」と述べた。田中勝士議員(県民ク)の質問に答えた。(岐阜新聞)

笠松競馬:経営状況「極めて危機的」 知事、厳しい見方示す

 存廃問題が再浮上している笠松競馬(笠松町)の経営状況について、古田肇知事は7日の県議会で「本年度末を待たずしてぎりぎりの決断をしなければならない極めて危機的な状況」と、厳しい見方を示した。
 今後の運営方針については、「決して廃止に向けた手続きではない」と廃止ありきで検討する考えは否定。だが、同時に施設整備の借金返済に充てる基金約4億2000万円の切り崩しには「極めて慎重にならざるをえない」と述べた。
 さらに、「(経営改善のためには)どのような対策をいつまでに追加実施しないといけないか、早急に議論しないといけない」と、存続にはさらなる経営努力が必要だとの考えを強調した。
 笠松競馬は、馬券売上額が上半期と同じペースで下半期も推移すると、年間では過去最低の111億円となり、約1億円の赤字計上が見込まれる。一方で、現在確実に赤字補てんに使える基金は6600万円しかないという。(毎日新聞)

2010年10月7日木曜日

存続か廃止か…金沢競馬の議論が本格化

 金沢競馬の経営状態を検討する委員会が6日、開かれ、委員が競馬場を視察しました。金沢競馬は2007年度からの3年間で経営を黒字化できなければ、廃止が検討されることになっていました。最初の2年間は黒字でしたが昨年度は赤字に落ち込みました。しかし、昨年度についてはリーマンショックなどの影響が大きかった要因もあるとして存続か廃止かの判断は今年度に先送りされています。この日は、金沢競馬の経営状態を検討する委員会が競馬場を視察し、一部、老朽化した施設の実態を確認しました。今年度は県営開催レースの中間収支が3000万円の赤字となるなど、厳しい経営が続く金沢競馬。視察後の会議では委員から、老朽化した施設を改修するとしてどれだけの費用が必要になるのか、県に回答を求める場面もありました。(北陸朝日放送)

第三者機関新設へ 県と2市、経営安定化策探る 岩手競馬

 岩手競馬の経営安定化へ向け、関係自治体の県と盛岡、奥州両市は近く、弁護士や会社経営者ら約10人による第三者機関を新たに設置する。達増拓也知事が県議会の一般質問で明らかにした。
 岩手競馬の経営状況を問われた達増知事は「有識者らによる客観的な視点と専門的な検証で、安定経営に向けた方策を考えたい」と述べた。
 第三者機関の名称や権限、メンバーは今後、県などの構成団体が詰める。民間の知恵を生かし、売り上げの減少を踏まえて新たな増収策を探ってもらう。
 県には既に、2007年度に設置した第三者機関「県競馬組合事業運営監視委員会」がある。大学教授、公認会計士、弁護士ら委員4人が経営状況のチェック作業に当たっているが、今回設置する機関とどう役割分担を図るかが課題となる。
 岩手競馬は本年度、2度の計画変更によるコスト削減を実施。今月4日までの81日間の開催で、発売額は前年度同期比7.0%減の123億6600万円、入場者数は14.8%減の80万3720人と苦戦が続く。(河北新報)

経営評価委員 金沢競馬場を視察


 この日は委員6人が同競馬場を視察した。県の職員から施設の概要などの説明を受け、実際に馬券売り場やスタンド付近を確認。さびや地盤沈下など老朽化が進む施設について、委員から「修繕にはどれくらいの予算が必要なのか」などの質問も出た。

 その後、開かれた会議では「活気があってファンサービスも進み、いい印象を受けた」という声が出る一方、「今後の施設維持やファン層などを考えると、将来は厳しい」という悲観論もあった。(朝日新聞)
【写真】金沢競馬(金沢市八田町)の経営状況を検証する2回目の経営評価委員会が6日、同競馬場で開かれた。

高橋はるみ知事が事業の存続表明、年度内に長期ビジョンを策定


 昨年度まで242億円の累積赤字を抱え、事業廃止の危機に瀕していた「道営ホッカイドウ競馬」が、来年度以降も存続することが正式に決まった。

 高橋はるみ知事は、6日に開かれた道議会予算特別委員会で、今年度の収支が赤字だった場合、廃止する見込みだった競馬事業を、収支均衡の公算が大きいことなどから存続させる意向を表明した。

 道は、ホッカイドウ競馬を赤字体質から脱却させるため、2008年3月に「北海道競馬改革ビジョン」を策定、さまざまなコスト削減や発売拡大策を講じてきた。改革ビジョンに示した単年度赤字の解消期限は3年間。最終年となる今年度は、札幌開催を休止、全レースを門別競馬場(計80日間)に集約し、収支均衡を目指している。

 収支均衡のために必要な今年度の目標(発売計画額)は119億5000万円。9月末時点(計59日間)の発売額は、前年同期比98.8%の79億9400万円にとどまっている。

 ただ、総収入には南関東競馬などの馬券販売で得られる業務協力金や昨年度の繰越金などがわる。また計画よりも発売が少ないため、払戻金や場外発売所使用料などの支出が減少する見込みで、今年度の収支はほぼ均衡する見通しだ。

 道競馬事業室は「改革ビジョンに基づいた取り組みによって赤字体質の転換が進み、収支均衡が見通せる段階まできた。また全国的な動きとして、来年度から全国16の地方競馬主催者が共同で馬券を販売する新システムを導入することが検討されており、ホッカイドウ競馬とJRA(中央競馬会)の相互販売に向けた協議も進んでいる。ホッカイドウ競馬の重要性と収支均衡、発売環境の強化などを総合的に判断して来年度以降の存続が決まった」と説明する。

 競走馬の生産は日高・胆振管内の基幹産業として、地域の経済や雇用に寄与している。またホッカイドウ競馬からは多くの馬が中央・地方競馬に移籍しており、日高・胆振の馬産地は競走馬の供給基地としての役割を果たしている。

 高橋知事の存続表明を受け、三輪茂日高町長は「日高、胆振の経済、雇用、観光が守られ、馬産地の人が救われたことに安堵している。来年度以降については、道が期限や条件を設けずに安定的、継続的に競馬事業を運営していく方針を示すことが大事だ」と語った。

 道は来月、知事の付属機関で専門家らが道営競馬のあり方を考える「北海道地方競馬運営委員会」を開き、来年度以降の事業内容を検討する。「単年度ではなく長期的な視点から競馬事業の新たなビジョンを年度内に策定する」(道競馬事業室)方針だ。(北海道365)
【写真】昨年4月に増設された門別競馬場のスタンド(通称「ポラリス☆ドーム」)

福山競馬の歩みパネルで紹介


 福山競馬で活躍した歴代の名馬などを紹介する「福山競馬の歴史パネル展」が、福山市緑町の天満屋ハピータウンみどり町店で開かれている。31日まで。無料。

 過去30年間の優勝馬などA3判の写真約200枚を並べた。1980年代に圧倒的な強さを誇ったローゼンホーマの力強い走りや、91年に福山競馬に出場した武豊騎手の写真もある。

 競走馬の顔を覆う面子(めんこ)や蹄鉄(ていてつ)、騎手が使うステッキ、ブーツも展示している。

 存廃が議論されている福山競馬に関心を高めてもらおうと同店が企画した。23日午前11時〜午後3時には、同店駐車場でポニーと無料で記念撮影できる。

【写真説明】歴代の名馬の活躍を紹介する写真パネルに見入る来店者

2010年10月2日土曜日

署名簿添え競馬存続を要望 広島

 福山市営競馬検討委員会が「条件付き廃止」を答申したことを受け、同競馬関係団体連合会(渡辺貞夫会長)は1日、1万4236人の署名を添えて存続を求める要望書を羽田皓市長あてに提出した。

 要望書では「現在の仕事に誇りと愛着を持っており、伝統ある福山競馬を守っていきたい」としている。

 この日は代表5人が市役所を訪れ、市議会の徳山威雄議長にも同様の要望書を手渡した。渡辺会長は「署名はファンが存続を後押ししてくれるメッセージ。一致団結して難局に当たりたい」と話した。(産経ニュース)
 

「夢、目標へ頑張って」大津の小学校 落馬で障害 福留さん講演


 落馬事故で下半身不随の障害を負いながらも、障害者乗馬の普及活動に取り組んでいる元調教助手の福留健一さん(40)=栗東市川辺=の講演会が1日、大津市立仰木の里東小(堤三枝子校長)で開かれ、6年生123人が聞き入った。

 福留さんは2008年9月、調教中に落馬し、車いすの生活に。一時は自殺も考えたが、家族や友人に支えられてリハビリに励んだ。

 今年4月には、再び馬に乗れるまでになった。現在は、障害のある人が乗馬でリハビリ効果や心の安らぎなどを得ることを目指す「障害者乗馬」の普及を行う団体「レインズ」の代表として、馬の育成などを行っている。

 講演で、福留さんは「事故に遭ったからこそ、人の優しさ、温かさを知ることができた。馬に携わる仕事と、障害者に役立つ仕事ができている私は恵まれている」と語った。

 また、乗馬でパラリンピックに出場するのが夢といい、「障害があっても、出来ることがある。みんなには可能性がもっとある。夢や目標に向かって精いっぱい頑張って」と呼びかけた。

 仲程潤弥君(11)は「家族、友達への感謝の気持ちを大切にしないといけないと感じた」と言い、吉川愛真(あみ)さん(12)は「あきらめない挑戦心に勇気づけられた」と話していた。(読売新聞)
【写真】児童たちの前で経験を話す福留さん(大津市立仰木の里東小で)

2010年9月30日木曜日

「速やかな廃止を」/福山競馬


 福山市営競馬の存廃を議論してきた市営競馬検討委員会(吉原龍介委員長)は29日、競馬事業の「速やかな廃止」を求める一方、実質単年度黒字が確保できる間は継続を認める答申を決め、市役所で羽田皓(あきら)市長に提出した。羽田市長は「答申を尊重し、今年度の収支状況も踏まえて総合判断する」と述べた。

 答申では、市財政に寄与するだけの収益確保が1998年度以降困難になっている現状や、約20億円の累積赤字などを理由に「速やかな廃止」を主張。一方で競馬関係者の雇用に配慮し、条件つきで事業継続も容認した。継続の場合、来年度の賞典奨励費を削減し、売り上げ増加策にも取り組むよう提言している。

 検討委終了後、羽田市長は報道陣に対し、存廃の判断時期について「来年度の予算編成などの時期も考え、検討する」と述べた。(朝日新聞)
【写真】羽田皓市長(左)に答申を渡す吉原龍介委員長=福山市役所

福山市営競馬「廃止」を答申

 福山市営競馬(福山市千代田町)の存廃を議論する有識者の検討委員会(委員長=吉原龍介・前福山大副学長、14人)は29日、「速やかに廃止すべき」を基本とする答申を羽田皓市長に提出した。答申では実質単年度収支の黒字確保という条件付きで事業継続も認めているが、収支の抜本的な改善が見込めない状況で、競馬関係者に厳しい課題を突き付ける内容となっている。羽田市長は、2011年度の予算編成までに一定の判断を下す意向を示した。

 検討委は2月に設置され、この日で8回目。騎手や調教師ら33人が傍聴する中、出席した12人の委員は、前回の委員会でまとめた答申案を了承した。

 終了後、吉原委員長が羽田市長に答申書を手渡し、「速やかな廃止が本旨。継続も盛り込んでいるが、厳しい条件を付けている」と説明。羽田市長は「(現在は)実質単年度収支の黒字確保が出来ていない厳しい状況。今後の方向性は、答申の内容を尊重しながら、今年度の収支なども踏まえて総合的に検討したい」と応じた。(読売新聞)

 羽田市長は取材に対し、「継続となれば、来年度予算にかかわる。しかるべき時期に(方向性は)考えていく」と述べた。

 検討委の委員を務めた県馬主会の八木徹会長は「廃止が前提とはいえ、当面は継続できる方向で答申を提出できたことを評価したい。単年度収支の黒字化を実現する具体策を現場でも考えるので、市も協力してほしい」と求めた。

2010年9月28日火曜日

川崎競馬組合が横浜に場外馬券場を12月オープン

川崎競馬組合は27日、横浜市中区桜木町の「桜木町ゴールデンセンター」(ぴおシティ)7階に場外発売所「ジョイホース横浜」を設置し、12月13日にオープンする、と発表した。発売日数は年間270日程度で、南関東4競馬場(川崎、浦和、船橋、大井)の全レースのほか、全国の地方競馬で開催される一部のレースも発売する。

 同組合によると、地方競馬の場外馬券場は県内唯一。利便性を高め、横浜などの勤め人にも仕事帰りに気軽に楽しんでもらおうという狙い。同組合の2008年度の売上総額は約493億円で、売上高の向上も図っていく。

 施設の面積は約950平方メートルで、収容人員は約900人。自動発売機10窓、有人払戻機2窓などを備える。映像設備は52型モニター5台、40型モニター36台。会員制(入会金1千円、年会費1千円)で運営していく。会員の申し込みや問い合わせは、フリーダイヤル電話0120(846)089。(神奈川新聞)

赤字の金沢競馬 改善計画を検証

 金沢競馬(金沢市八田町)の経営状況を検証するため、有識者による経営評価委員会が27日、県庁で開かれた。

 県営、市営を含む金沢競馬は、入場者数の減少などで慢性的に赤字が続き、2007年3月に経営改善計画を策定。インターネットによる馬券販売、職員削減や業務の外部委託など、3カ年での黒字達成を目指していた。初年度、次年度は黒字となったが、09年度は両開催分を合わせて約6500万円の赤字で、今年上半期の県営収支も約3千万円の赤字となった。

 経営評価委は3カ年計画の検証をし、今後数回の会合を重ねながら金沢競馬の開催のあり方について県と市に提言する方針。(朝日新聞)

2010年9月27日月曜日

福山競馬継続に向け報告会


 騎手や調教師、馬主などの8団体でつくる福山競馬関係団体連合会は26日、福山市千代田町の広島県馬主会館で、競馬事業の継続に向けた報告会を開いた。福山市営競馬検討委が事業の条件付きの継続を認める答申をまとめたことを受け、今後の振興策や経費節減について意見を交わした。

 約50人が参加した。県馬主会の八木徹会長が、競馬関係者の事実上の給与に当たる賞典奨励費を削減して競馬事業を継続し、黒字確保が見通せなくなった時点で速やかに廃止する—との答申を説明した。

 出席者からは「調教師が馬主に働きかけて魅力ある馬を招く努力が必要」と集客アップに向けた提案が出る一方、「主催者の市もコスト削減に取り組むべきだ」と答申にくぎを刺す意見も出た。

 検討委は29日、羽田皓市長に答申する。連合会は、市が来年度の事業継続を決めた場合、コスト節減の方法や事業の振興策について、市に要望書を提出することを決めた。

 渡辺貞夫会長は「来年度の存続の決定が第一。その後、各団体から黒字確保に向けた具体策を募り、市に提案したい」と話している。(中国新聞)

【写真説明】県馬主会の八木会長(右端)から答申の説明を聞く参加者

2010年9月25日土曜日

荒尾競馬、見に来て 「サポータークラブ」発足


 荒尾競馬組合は、競馬を身近に感じてもらい、競馬場に足を運んでもらおうと「荒尾競馬サポータークラブ」を発足させた。会員になると騎手との交流会参加や、無料入場クーポン配布などの特典がある。
 累積赤字約14億円を抱える同競馬。開催日の入場者数も昨年度の1100~1200人から1~2割減少していることから、来場者増と売り上げ増を目指す。携帯電話でメール登録すると、開催日程や場内のイベント情報などが定期的に届く仕組み。
 受け付け開始の23日には、阿蘇あか牛ステーキ肉などが当たる抽選会があった。競馬場に来てもらうよう商品引き換えは競馬場で行い、午後3時以降に場内にいる人は再度抽選できるなど滞留への工夫も。同組合は「競馬場で生のレースを見てもらうことで、地元ファン拡大につなげたい」と話す。(熊本日日新聞)
【写真】馬券売り場に張られた、サポーター会員を募集するポスター=荒尾競馬場

「笠松競馬の負担軽減を」 古田知事が農相に要請

 古田肇知事は24日、農林水産省に鹿野道彦農相を訪ね、笠松競馬(羽島郡笠松町)を運営する県地方競馬組合が加盟する地方競馬全国協会に対し、馬券売り上げの一定割合を納めることが義務付けられている交付金について、経営難であることに配慮して負担を軽減するよう要請した。
 同組合は競馬法に基づき、収支が赤字か否かにかかわらず、畜産振興の原資として同協会に馬券発売額の0・55%を納めなければならない。2009(平成21)年度までの5年間は特例で計約3億2千万円の納付が猶予されたが、本年度から再び納付が始まり、単年度分だけで6千万円を見込む。支払いを先送りした猶予分も13年度から10年間で上乗せして納める必要があるため、さらなる経営圧迫が見込まれている。
 古田知事は面談後、交付金軽減には法改正が要るとの認識を示した上で、「生き延びる上でもう一段、特段の配慮がいただけないか」などと支援を求めたことを明らかにした。鹿野氏は制度論には踏み込まなかったものの「笠松競馬が地域にとっていかに大事な存在かはよく分かった」と理解は示し、担当部局に橋渡しする考えを示したという。
 古田知事は、組合としても最大限のコストカットに取り組む決意も付言した。
 同組合は8月までの開催実績に基づく本年度収支は1億1700万円の赤字と見込んでいる。(岐阜新聞)

笠松競馬、売り上げ若干持ち直す

 厳しい経営が続く笠松競馬(笠松町)の9月末時点の売り上げが、前年度同期比3・4%減の54億100万円(速報値)であることが分かった。1日当たりの売り上げは7・5%減で、危機的状況が示された8月末までの8・9%減から若干の回復を見せた。
 古田肇知事は9月末までの収支結果をみて存廃を議論する方針を明らかにしている。笠松競馬を運営する県地方競馬組合は、他の競馬場の馬券販売手数料なども加味し、11月にも経営方針のシミュレーションを示す。
 同組合によると、第9回開催(9月6~10日)の1日当たりの売り上げは1・7%増と初めて前年度を上回った。第10回(9月21~24日)は1・7%減だったが、夏場の第6回(7月6~9日)と第7回(7月19~23日)がそれぞれ11・1%減、20・5%減だったのに比べると、急落傾向に歯止めがかかっている。
 朝倉芳夫管理者代行は「経営が厳しいことを知ったファンの支援や、猛暑が過ぎて競馬ファンが戻りつつあるのかもしれない」と推測。「売り上げ増への特効薬がなく、依然、厳しい状況は変わらない。経費削減と組み合わせて黒字を目指したい」と話している。
 同組合は今月6日の協議会で、このままの状況が続くと年間売り上げが109億円と、1970年以降で最低になる見通しを示した。古田知事は会見であらためて税金投入を否定した。(中日新聞)

2010年9月23日木曜日

条件付き競馬継続に賛否の声


 福山市営競馬検討委は福山競馬の条件付き継続を認める答申をまとめ、来年度は事業実施となる公算が大きくなった。利用者増などの改善策は見いだせないまま、競馬場従事者の給与に当たる賞典奨励費を削る延命策に、賛否さまざまな声が上がっている。

 答申は、賞典奨励費を削減して事業を継続し、黒字確保が見通せなくなったら年度途中でも速やかに廃止すべきだ—との内容だ。

 広島県調騎会の渡辺貞夫会長は継続の道を残した答申を評価する一方、賞典奨励費の減額幅の拡大を懸念する。26日に従事者団体の会合を開き、振興策を考える。渡辺会長は「市にも経費節減の具体策を求めたい」と話す。

 県馬主会は先行きの見えない現状に、新馬の購入を控え、答申を受ける羽田皓市長の判断を見守っている。八木徹会長は「継続するなら、事業主としての手腕がこれまで以上に求められる」とみる。

 従事者の間には、収入減を心配する声が目立つ。調教師男性(64)は「これ以上賞典奨励費が減れば、生活が立ち行かなくなる」と訴える。(中国新聞)

【写真説明】条件付きで事業継続する見通しとなった福山競馬

「速やかに廃止」求める 福山競馬で答申案まとめ 広島

 ■「収支確保」条件に事業継続 

 約20億円の累積赤字を抱える福山市営競馬について、同市競馬検討委員会(吉原龍介委員長)は21日夜の会合で、「速やかに廃止」としたものの、実質単年度収支が確保できる間は「事業継続」との答申案をまとめた。29日に羽田皓市長に答申される予定。

 終了後の会見で、吉原委員長は「現状のままだと、2〜3年後には廃止される」との厳しい見通しを表明。廃止される場合は関係者の生活補償や雇用問題について、時間をかけて対応策を検討するよう求めた。

 会合では、答申案の策定部会で出された4案について協議。この結果、「できるだけ速やかに廃止」だが、「実質単年度収支の確保」を最低条件に、来年度以降も事業継続を容認する案に賛成が集まった。

 事業継続を望む競馬関係者の意向を反映したものだが、収支確保のために、賞金や手当など「賞典奨励費」の削減が条件となっている。このため、来年度以降、継続されても関係者に厳しい状況は続く。

 市は多額の赤字を抱える同競馬の存廃を審議するため、今年2月に同検討委を設置。7回にわたって会合を開き、基金を繰り入れなくても収支が赤字とならない「実質単年度収支の均衡」を事業継続の基本方針として論議を重ねた。

 しかし、今年度第1四半期(4〜6月)でも実質3千万円超の赤字を計上。「廃止」をベースとする議論の流れの中で、存続を訴える関係者に一定の配慮を示した結論となった。(産経ニュース)

2010年9月22日水曜日

福山市営競馬「速やかに廃止を」 検討委が答申案


 約20億円の累積赤字を抱える福山市営競馬の存廃を議論する市営競馬検討委員会(吉原龍介委員長)は21日夜、市役所で第7回会合を開き、羽田皓(あきら)市長への答申案を決めた。競馬事業を「速やかに廃止すべきだ」とする一方、競馬従事者らの雇用に配慮し、来年度分の賞典奨励費を削減した上で実質単年度黒字が確保できる間は継続を認める内容。29日の会合で正式決定し、提出する。羽田市長が答申を踏まえて存廃を最終決断する。

 この日の検討委では、答申案策定部会がまとめた素案について議論。(1)今年度末で事業廃止(2)賞典奨励費の削減による黒字確保を条件に2011年度まで継続し廃止(3)速やかに廃止すべきだが、賞典奨励費の削減で黒字が確保できる間は継続(4)競馬関係者の同意が得られる限り賞典奨励費の削減を続け、黒字が保てる間は継続——の四案について、賛否を述べ合った。

 有識者からは(2)案について「黒字なら継続と言いながら、来年度末で廃止というのは分かりにくい」との意見が出された。競馬関係者からも「痛みを伴っても継続して」「際限のない賞典奨励費の削減は不可能」と(1)や(4)の案に反対する声が上がり、(3)案を支持することで一致した。

 ただし、賞典奨励費の削減は2011年度当初予算までで、その水準からさらに引き下げが必要な事態になれば、年度途中の廃止もあり得ることが答申案に盛り込まれた。

 終了後、会見した吉原委員長は「廃止に向けた答申案だが、継続を求める競馬関係者の声にも配慮した。市には今後、雇用対策などについて真剣な検討を求めたい」と総括。委員の一人で、競馬従事者らでつくる「福山競馬関係団体連合会」の渡辺貞夫会長は取材に対し、「賞典奨励費を下げ続けては現場が持たない。今回の答申案は妥当だと思う」と述べた。

 経営不振が続く市営競馬をめぐっては、05年に羽田市長が「単年度収支の均衡」を事業継続の条件とする考えを表明。有識者でつくる福山地方競馬健全化対策推進委員会が08年、馬券の売り上げなどの収入増をめざす振興策を市に提言したが、景気悪化で減収が止まらず、今年2月に市営競馬検討委が設けられた。

 検討委は約8カ月かけて、中期的な収支見通しの分析や老朽設備が目立つ競馬場内の視察、騎手や調教師ら競馬関係者からの意見聴取を重ね、答申案の検討を進めてきた。(朝日新聞)

福山競馬を条件付き継続へ

 福山市営競馬検討委(吉原龍介委員長、14人)は21日、福山競馬の存廃について、騎手や調教師たち関係者への事実上の給与に当たる賞典奨励費を削減して事業を継続し、黒字確保が見通せなくなった時点で速やかに廃止する—との答申をまとめた。関係者が収入減を覚悟で事業継続を訴えた点を重視し、条件付きで事業継続を認めた。

 答申では、市が本年度競馬事業特別会計に9億2200万円を盛り込んだ賞典奨励費について、来年度は一定額を削減して赤字を補てんするよう条件を付けた。それでも、赤字が補てんしきれない見通しとなった段階で、年度途中でも速やかに廃止する—とした。

 検討委は同日夜、市役所で会合を開いた。採用した案と、「本年度末に廃止」など3案の計4案を一本化する方針で協議。これまでの会合で、関係者から「収入を減らしてでも続ける覚悟はある」などといった要望があったことを踏まえて決めた。

 29日に羽田皓市長に答申する。吉原委員長は「関係者の要望に配慮した。現場にはいっそうの努力を、市には将来の廃止を視野に入れた準備をそれぞれ求めたい」と述べた。(中国新聞)

2010年9月18日土曜日

福山競馬、4案一本化答申へ

 福山競馬の存廃を議論する福山市営競馬検討委(吉原龍介委員長)の最終会合が21日、市役所である。8月下旬の答申案策定部会で決めた4案を一本化する方向で協議し、今月末までに羽田皓市長に答申する。

 4案は、(1)2010年度末に廃止(2)競馬関係者への賞金や手当(賞典奨励費)を削減し、11年度に限り継続(3)賞典奨励費をいったん削減し、黒字確保のためにさらなる削減が必要となったら廃止(4)賞典奨励費の削減により赤字を相殺し続けられる限り継続—との内容。

 最終会合では、競馬事業の業績見通しや競馬関係者からの聞き取り結果などを踏まえて議論する。吉原委員長は答申について「存廃の両論併記はしない」と明言しており、最終会合では1案に絞り込むとみられる。(中国新聞)

2010年9月17日金曜日

8400万円のコスト調整了承 県競馬組合運営協

 県競馬組合運営協議会は14日、盛岡市内で開かれ、県競馬組合(管理者・達増知事)が提案した8400万円のコスト調整を盛り込んだ年間収支計画の見直し案を了承した。計画見直しは今季2度目。1着賞金と出走手当の一律カットにも踏み込み、存続条件の「収支均衡」を図る厳しい経営が続いている。

 第2期まで(4月3日〜8月16日)の累計発売額は計画比1・4%減の93億4100万円。これを基に総利益の見通しを試算した結果、年間の収支不足額は8400万円となった。

 計画見直しでは、発売日数やレース数の追加で3千万円を確保。1着賞金(10%程度削減)と出走手当(出走ごと1〜2千円削減)の一律カットで2700万円を工面する。

 そのほかのコスト削減は▽投票従事員の配置見直し1100万円▽光熱水費など販売・管理費800万円▽ファン優待バス一部廃止など営業販売費700万円−など。見直し後の収支計画は発売額191億6千万円(第1期見直し計画比2億9700万円減)、事業運営費34億5400万円(同2700万円減)。

 運営協議会では「賞典費削減で馬主離れが心配される。売り上げを増やすために手を尽くしてほしい」などの意見が出た。

 同組合の高前田寿幸副管理者は「厳しい経営状況だが、最近のレースの発売額は好調傾向にある。今後も関係者の理解を得ながら岩手競馬を存続させたい」と話す。(岩手日報)

2010年9月12日日曜日

「見えない障害」理解求め 岬町出身の元騎手・常石勝義さん講演


 6年前のレース中に落馬し、高次脳機能障害を負った日本中央競馬会(JRA)の元騎手で、岬町出身の常石勝義さん(33)(滋賀県草津市)が、障害への理解を深めてもらおうと、各地で講演活動を続けている。今月3日には、生まれ故郷の同町に招待され、200人を前に「症状がわかりにくいので『見えない障害』と言われるが、ちょっと変だなと感じたら、脳に届く言葉で声をかけて」と呼びかけた。(渡辺彩香)

 常石さんは少し足を引きずりながらも自信にあふれた表情で登壇。障害G1レースで優勝した時と同じピンク色の勝負服を身につけていた。しかし、一つ足りないものがあった。横から母・由美子さん(60)が説明した。「晴れ姿なので決めたつもりが、肝心のブーツを忘れてきました。これでは馬に乗れません。一番大事なものを忘れる。これが今の彼なんです」

 常石さんは同町立岬中を卒業後、1996年に18歳で騎手デビュー。G1レースでレコードタイムを記録するなど活躍したが、2004年、小倉競馬場のレースで落馬。一命はとりとめたものの、左半身まひと、高次脳機能障害が残り、07年引退した。

 この日の講演会は、4月に発足した町人権協会が、記念イベントとして開催。同町は常石さんにとっても15年間を過ごした思い出の場所。会場には、教育・福祉関係者のほか、幼稚園や小中学校時代の恩師も駆けつけた。



 常石さんは語り出した。「馬の上はジェットコースターに乗ったみたい。馬との出会いは僕の宝物です」。その『宝物』から落ちた事故。高次脳機能障害による記憶障害などの症状で、今も調子の悪い日がある。日常生活での失敗も隠さず話した。

 自宅マンションに設けられた共同の大浴場で、間違えて他人の着替えを持って帰ってしまった。「ポケットにはカギも入っていて大騒ぎになりました。とても迷惑をかけました」

 兄が経営する居酒屋を手伝っていて、客に「けんか売ってんのか」とどなられた。障害の影響で左の視野が狭く、上目遣いになるのだ。「ホンマに不便です。不自由なことがいっぱいあります」

 でも、負けない。馬と並走して騎手にインタビューする「馬上インタビュアー」を目指し、週1回乗馬クラブに通う。体力をつけるためのマラソンも続けている。

 「外で風に吹かれたり、花を摘んだり、人と出会ったり。すべてが僕にパワーをくれます」。今、生きていることへの感謝と喜びの気持ちを忘れないという。



 最前列で聞いていた中学時代のバスケットボール部顧問の宮井恒典教諭は「夢を持って頑張っている姿に感心した。後輩たちにもぜひ伝えたい」と話した。由美子さんは「特別な障害ではなく、誰にでも起こりうる後遺症。人と人とのかかわりがリハビリにつながることを知ってほしい」と期待を込めた。

 講演の最後で常石さんは、こう呼びかけた。「リハビリに励むことができるのは、母を泣かせたくないからです。皆さんもこれからの人生、母親を泣かせないよう頑張って下さい」。会場からは惜しみない拍手が送られた。

■高次脳機能障害 交通事故や脳卒中など脳が損傷されることによって起きる。記憶障害や失語のほか、感情のコントロールが難しくなって、おこりっぽくなるなどの症状がある。(読売新聞)
【写真】講演の冒頭、作業所で覚えた手話で自己紹介する常石さん(3日、岬町文化センターで)

賞典費中心に削減へ 県競馬組合がコスト調整

 県競馬組合(管理者・達増知事)は、岩手競馬の2期(4月3日〜8月16日)までの発売額が計画を下回ったことを受け、賞典費の削減など今季2度目のコスト調整を検討していることが11日、分かった。1期終了後に続くコスト調整で、今季初めて賞金や出走手当に当たる賞典費を対象とする方向。約8千万円の調整となる見込みで、14日の県競馬組合運営協議会で提案する。
 県競馬組合によると、2期までの発売額は計画比1億3200万円減(1・4%減)の93億4100万円。存続条件である赤字を出さない「収支均衡」のため、コスト調整が必要となった。現在最終調整中だが、発売額と計画値の差額から約8千万円に上るとみられる。(岩手日報)

2010年9月9日木曜日

道営競馬 存続の方向 本年度収支、均衡見通し 知事、来月にも決定

 道は8日、存廃の岐路にある道営ホッカイドウ競馬について、来年度以降も存続させる方向で調整に入った。同日の道地方競馬運営委員会(委員長・佐藤郁夫札大教授)で、存続の条件となる本年度の収支均衡について、11月18日までの残りの日程で可能とする見通しを示した。高橋はるみ知事が10月中にも最終決定する。
 道営競馬59件は8月半ばまでの前半日程で、馬券発売額が計画比の9割にとどまっている。ただ、11月18日までの後半日程で前半より5%多い売上高を見込めるほか、大井(東京)など道外競馬場での道営競馬の馬券発売レース数の増加などから、道は今季の収支均衡は可能とする試算を示した。
 これに対し、学識経験者や軽種馬生産者ら10人の委員からも「一時は28億円もあった単年度赤字をゼロに近づけた」などと評価する声が相次ぎ、道に対し存続を要望することで一致した。
 運営委は道の意思決定機関ではないものの、これまでも札幌競馬場での開催休止を提言するなど道営競馬の運営への影響力は強く、道側も「事業として成立しており、まだまだ発展できる。赤字構造ではなくなった」(東修二農政部長)と前向きな姿勢を示した。
 10月半ばには来シーズンの道営競馬59件で走る馬の取引市場が日高管内新ひだか町で開かれる予定で、馬産地からは「早く存続を表明してほしい」との声が強まっていた。高橋知事はこの時期までに全体状況を見極め、最終決定を下すとみられる。(北海道新聞)

笠松競馬の女性専用席、本年度利用者500人突破


 笠松競馬(羽島郡笠松町)が平日の一部の競馬開催日に設置している「レディース専用席(ドリームルーム)」の本年度利用者が8日、500人を突破した。特別席で観戦できる上、地元料亭の弁当も付きながら500円(入場料込み)という割安感でリピーターも多い人気席。同日、同競馬場で記念セレモニーが開かれた。

 同ルームは3年前に開設。特別席でレースを観戦でき、多くの日に初心者向けの競馬教室が開かれる。さらに地元料亭の弁当が付いて500円で利用できるため、本年度の利用者は前年同期比50%増と好調なペースで推移している。
 500人目となったのは、名古屋市の長谷川幸美さん(50)。前後賞の各務原市、春日井香代さん(39)と同市、肥後葉子さん(45)と合わせて3人に、騎手のサインや蹄鉄(ていてつ)グッズなどが贈られた。
 長谷川さんは、月1回のペースで利用しているといい、「競馬場は男性の来る場所というイメージがあったが、気軽に楽しめる。ゴール前の特等席で観戦できるのが楽しい」と魅力を話した。
 利用には事前予約が必要。予約、問い合わせは同競馬場、電話058(387)9079。(岐阜新聞)
【写真】写真:笠松競馬の女性専用席、本年度利用者500人突破ドリームルーム利用者が500人を突破し、関係者と喜ぶ女性ら=羽島郡笠松町若葉町、笠松競馬場

2010年9月8日水曜日

オグリのたてがみ笠松に 競馬場に「形見」記念碑


 7月に死んだ笠松競馬出身の名馬オグリキャップのたてがみを展示する記念碑が、羽島郡笠松町の同競馬場内に完成し7日、記念セレモニーが開かれた。

 たてがみは、オグリキャップが引退後、余生を送っていた北海道新冠町の優駿スタリオンステーションから、同競馬場に形見として贈られた。記念碑は、オグリキャップ像前に設置され、赤御影石製で高さ59センチ、幅46センチ。透明なアクリル板がはめてあり、たてがみを見ることができる。「オグリキャップよ永遠に」のメッセージも刻まれている。

 式典では、県地方競馬組合の広江正明管理者が「笠松競馬は厳しい経営状況にあるが、オグリキャップに勇気づけられている。永遠にたたえていきたい」とあいさつ。松原秀安副管理者、初代馬主の小栗孝一さんとともに、記念碑を除幕し、全国のファンから寄せられた記帳簿(915人分)と追悼の言葉(368通)を記念碑に収納した。

 集まったファンらが、早速記念碑を前に記念撮影するなど雄姿をしのび、小栗さんは「うれしい。オグリキャップは幸せな馬です」と話していた。(岐阜新聞)
【写真】オグリキャップをたたえて設置されたたてがみの展示記念碑=7日午後1時45分、羽島郡笠松町若葉町、笠松競馬場

笠松競馬:事業廃止も視野に 古田知事「赤字で基金尽きれば」

 10年度の収支が約1億1700万円の赤字見通しとなった笠松競馬(笠松町)について、古田肇知事は7日の定例会見で「トレンドとして赤字経営となり、補う基金が無ければ(事業を)やめざるをえない。ありとあらゆる議論をしてもらう」と述べ、事業廃止も視野に対応を検討する考えを示した。

 古田知事は「9月末に出る上半期の数字を基に、どういう条件なら存続できるのか、突っ込んだ議論をしたい。私自身はかなり深刻に考えている」と、危機感を示した。

 県費による赤字補てんについては「財政や収支への直接的なてこ入れは考えていない」と否定。条例を改正し、施設整備の借金返済に充てる基金で赤字を補てんすることについても「収支が復活しなかったら設備費を県費で返済しないといけない。どこまで基金を崩すのかは、見極めないといけない」と慎重だった。

 笠松競馬は、売り上げの落ち込みにより、今年度の実質赤字が2億8500万円に上るとの見通しを6日に発表した。09年度末の基金残高は5億1585万円で、現時点で使途が自由な財政調整基金は6570万円。(毎日新聞)

2010年9月7日火曜日

笠松競馬、馬券発売額8.9%減 本年度見通し

 経営難による存廃問題に揺れる笠松競馬(羽島郡笠松町)の本年度の馬券発売額が、8回の開催(8月20日まで)時点で、1日平均で前年同期比8.9%減と大幅に減少し、このまま推移すると、1970(昭和45)年の県地方競馬組合設立以来、過去最低の109億円(前年度比10億円減)にとどまる見通しであることが6日、分かった。
 同日開かれた笠松競馬運営推進協議会で、同組合が報告した。馬券発売額が109億円にとどまった場合は、本年度の収支は1億1700万円の赤字となる見込み。財政調整基金では補てんしきれず、特定目的基金を取り崩す必要があるが、その基金も2年後には底を突くという。
 馬券発売額の低迷は、1人当たりの購買単価が落ち込んでいることや、インターネット発売などに比べ、収益率の高い本場の売り上げが減少しているため。売り上げの落ち込みを受け、組合側は本年度、約5000万円の経費削減を行う方針で、広江正明管理者は「危機的状況だが、なんとか存続できるよう努力する」と話していた。(岐阜新聞)

2010年9月5日日曜日

日高産馬よ中国駆けろ 牧場主ら輸出促進へ協議会 24日から上海でPR

 【浦河】日高管内の牧場経営者ら16人が、中国などへの軽種馬輸出の促進を目指す任意団体「軽種馬貿易協議会」(藤沢澄雄会長)を設立した。不景気などで国内需要が低迷する中、海外に活路を見いだすためで、24日から上海で開かれる中国国際馬博覧会に参加し、日本の軽種馬をPRする。

 協議会は、中国に軽種馬を輸出した実績を持つ日高管内浦河町の牧場経営小田隆範さん(59)の呼びかけで、8月30日に設立された。将来的に商業競馬57件の解禁が見込まれる中国への輸出を重視。会員に中国の購入希望者を無料で紹介するほか、輸出の際の検疫条件の緩和などを行政に働きかける。博覧会では、管内産馬をPRするブースを出すなどして、日本の強い馬づくりを紹介する。

 協議会は法人化を目指しており、年内にも商社などを加えた全国組織にする予定。小田さんは「輸出の経験を生かしながら、販路開拓に取り組みたい」と話している。(北海道新聞)

荒尾競馬で働く人たち

荒尾競馬で働く人たち

 荒尾競馬には約190人の馬主がおり、この馬主から競走馬を預かり、管理やトレーニングを行うのが15人の調教師。それぞれの調教師の下には従業員として、騎手(14人)と、馬の世話をする厩務員(69人)がいる。競馬組合側は事務員が37人おり、競馬開催日は警備や発売窓口の担当者なども加わる。

「荒尾競馬」出走手当3割カット 馬主側 反発と動/九州

 熊本県荒尾市の荒尾競馬が、レースに出るたびに馬主に支払われる「出走手当」をめぐって揺れている。“震源”は競馬事業を運営する荒尾競馬組合(管理者・前畑淳治荒尾市長)が7月、経営改善策として打ち出した手当の約3割カット。事前協議なしの大幅減額に、馬主や調教師、厩務員などの関係者に反発や動揺が広がる。今月8日には減額された手当が初めて支払われるが、馬主側は減額前との差額分の支払いを求める構えだ。
 
 「1走あたり一律1万5000円の削減の実施に踏み切ることといたしました」。組合は7月23日、馬主会の全会員186人に方針を伝える文書を郵送した。
 
 荒尾競馬は旧三池炭鉱閉山やレジャーの多様化などの影響で入場者が減り続け、累積赤字は約14億円に上る。昨年末には隣町に競艇の場外舟券売り場ができ、売り上げの減少に拍車がかかった。
 
 「競馬存続のための苦肉の策」。前畑市長は出走手当の減額に踏み切った胸の内を明かす。

 ◆全国最低レベル
 
 そもそも出走手当とは何か。組合から馬主に支払われるのは、1―5着に入った場合の賞金と、出走馬すべてが対象となる出走手当の2つが柱。競馬では、売り上げの75%が馬券を買った人たちに払い戻され、残りが競馬場の収入となる。荒尾の場合、賞金と出走手当には収入の半分程度が充てられている。
 
 「馬主から見れば、勝敗に関係のない出走手当は基本給、成功報酬の賞金は歩合給のような性格がある」(地方競馬全国協会)という。
 全国に17ある地方競馬場でみると、1着賞金の最低額は、各競馬場の経営状況などによって9万―80万円と格段の差がある。対して、出走手当は1回につき5万―7万円が相場で、それほど大きな開きはない。
 
 荒尾の1着賞金の最低額は10万円。出走手当は今回の引き下げで3万5000―4万5000円となり、いずれも高知競馬(高知市)に次ぐ全国2番目の低さとなった。九州ではほかに佐賀競馬(佐賀県鳥栖市)があるが、同競馬場の賞金最低額は15万円、出走手当は7万―7万5000円という。

 ◆対立長期化か
 
 「8月だけで4頭も馬がいなくなった」。競馬場に隣接する厩舎団地で11頭を飼う調教師(57)は、出走手当の減額が決まり馬を手放す馬主が増えたと話す。
 
 荒尾競馬全体では、6月末に約350頭いた競走馬は、今は約290頭に減った。ほかの競馬場の厩舎への移籍や殺処分が進んでいるという。
 
 馬主は調教師に預託料を支払って馬を預ける。荒尾では、この預託料を出走手当でまかなっている馬主が多く、手当減額が馬の減少につながっているのだ。
 
 馬主会は8日の手当振込額を確認した上で、組合側に再度減額見直しの交渉を求める方針だが、「荒尾競馬存続にはこれしかない」という組合側には譲歩の気配はなく、双方の対立は膠着状態が続く見通しだ。
 
 手当減額は、馬主からの預託料が主な収入源の調教師と厩務員にとっても、まさに死活問題。それでもある厩務員はこう訴える。「競馬関係者同士が対立していても事態は乗り越えられない。減額分を馬主や調教師、厩務員が痛み分けで負担するなど、荒尾競馬を絶やさないための建設的な話し合いがしたい」 (西日本新聞)

2010年9月2日木曜日

アラブ馬の怪物のゼッケンなど50点 福山競馬が大放出


 福山市営競馬は12日、所属頭数の減少を受けて昨年9月で終了したアラブ馬専用レースで、数々の名馬が着用したゼッケンなど、入手困難なグッズをファンに抽選でプレゼントする。同市千代田町の競馬場総合案内所で、希望する品を受け付ける。

 市営競馬の開設61周年を記念し、「激レア!アラブ・グッズ大放出」と題して実施。「最後のアラブの怪物」と呼ばれ、8月に引退したバクシンオーや、現役の重賞レース勝利馬のホワイトモンスターなどの名が記された紺色のゼッケンのほか、2007年が最後となったアラブ馬の全国交流競走「第7回タマツバキ記念」の際につくられたファン向けの記念の帽子など約50点をプレゼントする予定。

 当日午後3時までに、発売締め切り前の500円以上の馬券を総合案内所に提示し、希望する品を申し込む。その後、抽選を行い、第10レース終了後にグッズを手渡すという。市営競馬事務局は「掘り出しものの貴重なグッズをぜひ手に入れて、往年のアラブ馬たちの活躍を思い起こしてほしい」と話している。(朝日新聞)
【写真】アラブの名馬が重賞レースで着用したゼッケンや記念の帽子などのレアグッズ=福山市千代田町

2010年8月31日火曜日

経営改善、猛暑で苦戦 金沢競馬、売上6%減

 経営改善4年目の金沢競馬が苦戦を強いられている。今年度前期の売得額(実質的な売上額)は前年同期比6・2%減の50億7500万円にとどまった。連日の猛暑で馬が出走を取りやめ、レースの回数が減少したことが不振の一因とみられ、入場者数も同4・8%減の13万6658人と伸び悩んでいる。

 石川県競馬事業局によると、金沢競馬は通常1日11レース開催し、今年度は前期の第11回(8月15〜24日)終了時点で484レースを消化する計画だった。

 しかし、連日の暑さで体調を崩して出走を回避する馬が続出。出走馬の編成を見直した結果、7月9日開幕の第8回以降は1日10レースが続き、前期終了時点の実績は計画を13レース下回る471レースとなった。

 客足も鈍く、入場者の減少に加え、インターネットによる馬券販売も前年同期比8・6%減の約8億7千万円に。1人当たりの馬券購入単価は前年同期比5・6%減の1万9200円と振るわず、全体的に厳しい状態が続いている。

 県競馬事業局は暑さが和らぐ秋以降、1日当たりのレース回数を12回に増やし、年間の計画レース数を達成したい考えで、「魅力あるレース編成で出遅れを取り戻したい」(総務課)としている。(富山新聞)

口蹄疫:がんばろう宮崎 騎手ズボンに応援広告--園田競馬場県騎手会

◇賛同企業を募集

 口蹄疫(こうていえき)被害を受けた宮崎県を応援しようと、園田競馬場(尼崎市)で走る騎手が、「がんばろう宮崎」と書かれたズボンをはいてレースに出場している。趣旨に賛同して寄付する企業を募集しており、応援メッセージとともに企業広告をプリントする。騎手服に企業広告を掲載するのは、全国で初めての取り組みだ。

 同競馬場と県立西脇馬事公苑(西脇市)で働く騎手からなる、県騎手会が始めた。

 同会は今月10日から、苦しい地方競馬の現状を変えようと、騎手ズボンに企業広告をプリント。ホテルや不動産会社など13社から応募があった。

 それを見た宮崎県出身の父を持つ、田中学騎手(36)が「口蹄疫で気を落としている故郷を応援したい」と、応援メッセージの書かれたズボンを提案。同会が寄付を募ってズボンを作り、今月25日から、九州出身の騎手5人が着用している。

 今後は、メッセージとともに広告を出す企業を募集し、騎手ズボンとプリント代を除いた全額を宮崎県などに寄付する。料金は3万円。受け付けは9月23日まで。問い合わせは、県騎手会へメール(h-kisyukai@sonoda-himeji.jp)で。(毎日新聞)

荒尾競馬出走手当削減通告から1ヶ月 在厩馬じわじわ減少


◆ここ2ヶ月で60頭離れ290頭に 厩舎関係者に広がる不安

 荒尾競馬組合が県馬主会に出走手当削減を通告して1カ月。同競馬では、厩舎の所属馬がじわじわと減り始めている。現在の在席馬は約290頭。6月末に比べ60頭近く少なくなった。「次は人がいなくなるのでは」。厩舎関孫者に不安が広がっている。
 荒尾競馬では21日から、第7回主催レースが開かれている。九州産馬による高額レース「霧島賞」があった26日には、1日の売り上げが本年度初めて1億円を突破り関係者の表情も明るかった。
 しかしその背後で、馬の減少は加速している。在厩馬は、1999年の610頭をピークに漸減しているが、ここ数年は350頭前後で推移していた。それが7月末に326頭、今月20日には291頭になり、300頭を割り込んだ。
 「手当の高い競馬場へ移したり、処分したりする馬主が増えたのだろう。馬が減るのは馬主の気持ちが荒尾から離れ始めた証拠」。ある馬主は説明する。 手当削減を伝えて以降、組合と馬主会は対立したまま。「競馬存続のために不可欠な措置」として協力を求める組合に対し、馬主会は「現行通りの支払いを求めていく」と強硬姿勢を崩していない。
  ◇   ◇
 在席馬の減少は、厩舎関係者の生活に直結する。調騎会会長を務める調教師・平山良一さん(62)は「一度離れた馬は二度と戻ってこない。オーナーにお願いはしているが、賃金も手当も低い荒尾に引き留めるのは難しい」とため息をつく。
 平山さんの厩舎でも、既に6頭が姿を消した。
 「これからも馬が減り続けたら、現場はどこまで持ちこたえられるか。真綿で首を絞められているようだ」。
 調教師の下で働く厩務員はさらに深刻だ。69人でつくる厩務員会の渡辺賢一会長(47)は「馬に続いて仲間が減り、いずれ職場がなくなってしまうのではないか。将来への希望が見えない」と話す。
 厩務員には、担当する馬の頭数に応じて手当が支払われる。これまで出走手当引き下げの際には、連動して厩務員手当も削減されてきた。馬が減れば、さらに雇用の不安ものしかかる。
 「ここで耐えれば将来は明るいのか、それとも競馬廃止を見据えての規模縮小なのか。私たちが何よりも願っているのは競馬の存続。組合には強い意欲を見せてほしい」。
 馬主や厩舎関係者が組合に求めているのは、競馬存続へつながる明るい”青写
真”。しかし、競馬業界全の売り上げが落ち込む中での現状打開は容易ではない。 
 同組合は現在、起死回生策としてファンの目線に立ったレース編成を模索中。
 「当たりやすい少数頭から高配当が狙える多数頭まで、荒尾ならではの幅広い番組をそろえたい」と同組合。馬主に対しては、出走機会を増やすことで理解を求める方針だ。
 しかし、馬主の協力が得られなければ、さらなる馬の減少も危惧される。さまざまな懸案を抱えながら、荒尾競馬は正念場の秋を迎える。(熊本日日新聞)
【写真】第7回レースが開催されている荒尾競馬のパドック。馬の減少は、競馬の現場にも影響を与える=荒尾市

2010年8月29日日曜日

写真で振り返る「福山競馬」


 福山競馬場で1980〜90年代にあったレースなどを撮った写真展が28日、福山市千代田町の同競馬場多目的広場「にこにこホール」で始まった。9月26日まで。

 A4判で60枚。ゴール直前の攻防や勝利後の記念撮影などの写真を、開催年とレース名、優勝馬の説明と一緒に並べた。1991年に武豊騎手が騎乗した写真もある。

 市競馬事務局が、競馬場の歴史を振り返ってもらおうと企画した。1973年から通う同市沖野上町の多々隈輝男さん(62)は「80年代の名馬ローゼンホーマなど直接見てきた馬ばかりです」と懐かしんでいた。入場料100円。(中国新聞)

【写真説明】福山競馬の懐かしい写真を見る親子連れ

2010年8月27日金曜日

場外馬券所開設 一宮市長が同意

●定例会見で公表

 一宮市の谷一夫市長は26日の定例記者会見で、県競馬組合(管理者・神田真秋知事)が同市篭屋2丁目に計画している場外馬券発売所開設に同意したことを明らかにした。
 市によると、25日付で組合側に渡した同意書に「周辺の市民生活に影響を及ぼさないように努めること」「問題が生じた場合や地域として必要な場合は協議に応じること」などを条件に盛り込んだ。
 昨年12月以降、関係する複数の町内会の同意が取り付けられる中、直近の町内会の住民有志が「ちゃんとした話し合いがされていない」として反対運動を展開し、約600人の署名を市長に出すなどしていた。
 「促進」「反対」の双方の請願を審議した6月定例市議会は、関係町内会の代表者らの同意書が整っていることなどを理由に、「促進」の請願を採択していた。 (朝日新聞)

2010年8月24日火曜日

計画比1.4%マイナス 岩手競馬2期

 県競馬組合(管理者・達増知事)は岩手競馬の2期(4月3日〜8月16日)までの発売額をまとめた。発売額は計画比1億3200万円減(1・4%減)の93億4100万円。今季の岩手競馬は第1期に収支計画を見直したが、その後も売り上げの減少に歯止めがかからず、再び収支計画の見直しが迫られる厳しい経営が続いている。

 岩手競馬の第2期は16日で終了。発売額の内訳は自場54億5700万円(計画比1・9%減)、広域委託24億3千万円(同2%減)、インターネット14億5400万円(同1・6%増)だった。

 昨年は好調だった6、7月の売り上げが振るわず、8月も猛暑の影響などでファンの出足が鈍く自場発売が伸び悩んだ。一方、マーキュリーカップ(JpnⅢ)とクラスターカップ(同)の重賞レース日は、計画並みの売り上げを確保しており復調の兆しもみられる。

 岩手競馬は、赤字を出さない「収支均衡」が存続条件。年間を5期に分け発売額などから計画を検証し、収支計画を調整している。今季は、第1期(4月3日〜6月7日)終了後に3億1千万円のコスト調整を実施。しかし、第2期でも見直したばかりの計画を下回る状況で、厳しい調整が予想される。

 県競馬組合は経費削減などコスト調整を検討し、9月中旬の県競馬組合運営協議会で、収支計画を協議する。(岩手日報)

福山市営競馬 存続か廃止か最終局面へ

 約20億円の累積赤字を抱える広島県福山市営競馬の存廃を審議してきた市競馬検討委員会(吉原龍介委員長)が、25日にも結論を出す見通しだ。廃止なら、約700人にのぼるとされる騎手、調教師ら関係者の再雇用や補償など、さらに難しい問題が待ち構える。存続したとしても、経費削減などのあおりで関係者が大幅な減収を強いられるのは必至で、存廃問題は厳しい選択を迫られている。
 お盆の15日、福山競馬場は大勢のファンでにぎわった。この日の入場者は2358人。今年度ではかなり多かったが、ほとんどが中高年の男性客で、女性や若者は数えるほど。ファンの高齢化は顕著だ。
 市によると、入場者は昭和49年度、収入は平成3年度をピークに年々減少しており、20年度はそれぞれピーク時の18%、23%にまで落ち込んでいる。
 このため、市はさまざまな振興策を講じてきた。最近では連携先の高知競馬所属の騎手・競走馬によるレースを全国初の試みとして実施。お盆には家族連れをターゲットにしたイベントを開いた。
 一方で、賞金や出走手当など「賞典奨励費」の引き下げなど経費削減策にも取り組んできた。それでも減少に歯止めがかからず、今年度第1四半期(4~6月)の収支は基金約2600万円を繰り入れても500万円近い赤字だ。
 存廃を審議する検討委は、競馬法に定める「地方財政への寄与」を事業運営の基本とし、「これ以上、赤字が続くなら継続すべきでない」というスタンス。つまり、基金からの繰り入れをせずに、収支が赤字とならない「実質単年度収支の均衡」を存続の前提として論議を交わしてきた。
 この結果、今年度末で廃止するか、賞典奨励費を中心に経費を削減し単年度黒字が見込めなくなったら廃止する-を軸に最終協議に臨む。
 現場関係者らは「この仕事しかない」「絶対にやめたくない」と一貫して訴える。県調騎会、県厩務員会、県馬主会など関係8団体は存続に向けて要望書を提出する一方、検討委の会合でも各団体の代表が決意を述べた。
 各団体とも厳しい現状を認識し、現場代表の委員は収入源の賞典奨励費の引き下げも「覚悟している」と陳述。市の試算でも、来年度は騎手の年収が最大90万円の削減となる。
 検討委の委員も務める渡辺貞夫・県調騎会会長は「削減はやむを得ないが、他にもカットできるものがあるはず。現場だけに押しつけるのではなく、もっと現場の実態を知って具体的な議論を」と苦言を呈する。
 福山競馬の存廃問題は有効な打開策を見いだせないまま、最終局面を迎えようとしている。(産経新聞)

馬券発売額1割減 岩手競馬 4~8月

 単年度の収支黒字が存続条件となっている岩手競馬の今年度第1~2期(4月3日~8月16日)の馬券発売額が前年同期比で1割減少したことが、盛岡市議会全員協議会で報告された。中でも、利益率が高い「自場発売」が2割近く減っており、収支達成に向けて厳しい状況が続いている。

 岩手競馬は年間5期制で、今年度2期までの総発売額は93億4100万円(前年同期比90.5%)だった。水沢、盛岡両競馬場と県内外12場外発売所での自場発売は54億5700万円(同82.2%)と、同約12億円減った。

 広域委託発売は前年同期比で97.8%、インターネット発売は同121.1%と健闘。ただ、両競馬場の入場者数数は同9割前後にとどまり、県競馬組合は「猛暑がマイナスに作用したのでは」と分析している。(読売新聞)

福山競馬条件付き継続案追加

 福山市営競馬検討委員会の事務局である市が、全体会議で示す答申案を練り直していることが23日分かった。答申案策定部会の結果を踏まえ、条件付きで事業を継続する選択肢を答申案に増やす。25日予定していた全体会議を急きょ延期して、策定部会を再度開いて話し合う。

 市は答申案に盛り込む選択肢は(1)本年度末に廃止(2)各年度上半期の運営状況から事業継続は困難とみた場合、その年度末で廃止(3)賞典奨励費を削減して1年間に限り継続(4)賞典奨励費で赤字を相殺できる限り継続―の4案。表現を最終調整している。

 18日の策定部会では、「一定期間とりあえず事業を継続」との案は選ばれなかった。一方、本年度末に廃止と条件付き継続で意見が分かれ、折衷案を求める声もあった。答申案の案文作成を一任された市は、部会の結果を基に答申案を検討していた。

 25日は策定部会を再度開き、新案の表現内容を確認。全体会議は9月に開く予定である。(中国新聞)

2010年8月21日土曜日

岩手競馬、応援組織設立へ 県内ファン、団体や企業

 岩手競馬ファン組織と地元マスコミ、県競馬組合構成団体は22日、「岩手競馬・みんなで応援ネットワーク」を設立する。厳しい経営が続く岩手競馬を盛り上げるため、イベントや特別レースの創設などを企画しファン拡大を目指す。個人ファンや企業にも参加を呼び掛けている。
 22日は、設立記念イベントとして、水沢競馬場と盛岡競馬場でイベントを開催。レースが開催される水沢が主会場で、県産牛焼き肉のサービスやりんごジュース、特製クッキーのプレゼントなどを企画。当たり馬券による抽選会では、前沢牛や奥州市産米などが当たる。
 イベントのほかに、第9、10レースを協賛レースとし、第10レース「ムーンライトカップ」には応援ネットワークから副賞が出る。盛岡競馬場でも飲食店の出店やアイスのプレゼントがある。
 応援ネットワークの発起人は、県内のファン組織6団体と地元マスコミ1団体・12社、県、奥州市、盛岡市。(岩手日報)

今年度も赤字の場合は事業廃止 崖っぷちの「ホッカイドウ競馬」 第2回


■存続の正念場、日程の半分を終えて売り上げは目標の90%

 昨年度までの累積赤字が242億円となった道営ホッカイドウ競馬は、今年度の収支を均衡させなければ、事業の廃止を余儀なくされる。

 ホッカイドウ競馬は、かつて約290億円の黒字を道財政に繰り入れた"優良事業"だったが、1992年度以降は単年度赤字が続いている。赤字転落後は、岩見沢、帯広、旭川開催を中止、札幌開催も昨年度で休止するなど経費削減によって赤字額を縮減させているが、昨年度も3億円を計上した。

 今年度は、3カ年で赤字の解消を目指す「北海道競馬改革ビジョン」(08年3月策定)の最終年。レースは11月18日までの80日開催。8月19日で41日間の開催を消化した。この時点の発売計画(目標)は62億6095万円。実績は目標の90.38%となる56億5866万6100円だった。

 ホッカイドウ競馬は今年度の開催を日高町の「門別競馬場」に集約、4月には場外馬券場「Aiba釧路」をオープンさせた。また売り上げの多くを占めるインターネットでの馬券購入を増やすため、道外のスポーツ紙にも競馬情報を掲載した。

 今年度の発売目標は前年度比4億円増の119億5000万円。開催日程を約半分消化した段階で、目標を約6億円を下回っているだけに、後半の巻き返しが不可欠だ。

 道の競馬事業室は、「(8月19日までの発売金額は)厳しい数字という認識だが、後半には重賞競争があり、目標達成に向けて努力をしたい」と話す。(北海道365)

2010年8月20日金曜日

荒尾競馬の出走手当引き下げ 厩務員会 市長に抗議文

 荒尾競馬組合が県馬主会に出走手当の引き下げを通告した問題で、同競馬の厩務員会(渡辺賢一会長、69人)は18日、組合管理者の前畑淳治・荒尾市長に抗議文を提出した。
 抗議文は、出走手当引き下げ時に厩務員の手当も減額されてきた過去の経緯から「これ以上の減額は生活困窮を余儀なくされる」と指摘。組合が16日まで同会に説明しなかったことにも触れ、「厳しい現状は理解できるが、これまでの措置はすペて現場の厩務員に直結する」としている。
 同会は18日に臨時総会を開き、厩務員手当の減額は受け入れられないことを全会一致で確認した。渡辺会長は「出走手当の引き下げに厩務員ば大きな不安を感じている。馬主会や調騎会にも、影響が厩務員に波及しないようお願いしていきたい」と話した。(熊本日日新聞)

2010年8月19日木曜日

福山競馬 が、太っ腹キャンペーンを実施!


その名も……
馬主気分でガン馬(ば)りましょう!
福山市千代田町にある福山競馬。
毎月第 11日曜日はレディースデーで、
入場料が無料になるのですが、今度の
レディースデーは、ちょっと違う!
9月5日に開催予定の
馬主気分でガン馬(ば)りましょう!では、
メインレース出走馬の1日馬主を募集しているそうです。
もしもその馬が優勝又は入賞した場合、デパートの商品券
ホテルお食事券などをプレゼントするというもの(参加賞もあり)。
福山競馬で普通、馬主になる為の条件にはまず、
個人馬主→500万円以上の年間所得がある人
組合馬主→300万円以上の年間所得がある組合員
法人馬主という条件があり、複数の人で馬主になる制度はあるものの
馬主になるというのは敷居が高いもの。
9月5日のレディースデー特別企画では
馬主《気分》を味わえるという企画で来賓室からレースを観戦できて
豪華賞品ももらえる…!なんともリッチなものなのだ。
応募資格は20歳以上の女性で、当日ペアを組む人(20歳以上で性別不問)と
一緒に福山競馬場へ行くことができる人。
私達が取材に行った時には女性客が少なかっただけに
こういった企画でより多くの女性が福山競馬に興味を持つ
キッカケになればいいですね。

世界初 馬VS人VS自転車 金沢競馬でダートレース


 馬と人間と自転車がダート(砂)コース上で、スピードを競うレースが十七日、金沢市八田町の金沢競馬場で行われた。(瀬川剛司)
 存続問題で揺れる金沢競馬を盛り上げようと、競馬関係者でつくる「金沢ちびうま団」が企画。主宰の辻修さん(40)によれば「世界初のレース」という。
 馬はポニーで小学生が騎乗しハンディとして四百メートル後ろからスタート。人間は三百メートルを一人で走るきゅう務員と、騎手二人がリレーでつないだ。自転車は競輪選手がマウンテンバイクに乗って人間と同じ距離をこいだ。
 ゲートが開くと、自転車が砂にタイヤをとられてもたつき、その間に騎手が飛び出して、バトン代わりのムチを第二走者に渡してリード。しかし自転車はスピードに乗ると一気に追い上げ騎手をかわした。ポニーはハンディが響いて3着。
 勝った競輪選手の辻力さん(36)は「スタートで駄目かと思ったけど勝てて良かった」。金沢ちびうま団は「もっと競馬場に来てもらえるよう面白い企画を考えたい」と話している。

2010年8月11日水曜日

今年度も赤字の場合は事業廃止 崖っぷちの「ホッカイドウ競馬」 第1回


■かつては道財政に貢献したが、累積赤字は242億円

 存続か、廃止かーー昨年度までの累積赤字が242億円に達した道営ホッカイドウ競馬は、今年度の赤字を解消し、収支を均衡させなければ、廃止を余儀なくされる。

 道はこれまでホッカイドウ競馬の赤字分を一般会計から補填(借り入れ)してきた。だが、道財政はすでに危機的状況に陥っており、今後も多額の収支不足が見込まれている。高橋はるみ知事は9月にも存廃の判断をするとみられている。

 [道営競馬の歴史]

 1948年度 帯広で競馬開始
 50年度 この年から55年、83年から85年まで赤字決算
 53年度 札幌開催がスタート
 85年度 ベースキャンプとして門別にトレーニングセンターを開設
 91年度 過去最高の454億円を売り上げ
 92年度 赤字に転落(現在まで)
 94年度 旭川でナイターを開始
 97年度 トレーニングセンターを整備し、門別競馬場を新設。岩見沢、帯広開催を廃止
 2000年度 冬期間に南関東地方競馬を場外発売
 01年度 初めてのミニ場外発売所を新設(静内) 単年赤字が過去最大の28億4000万円
 03年度 「三連単」「三連複」「馬単」の新型馬券導入。売り上げが12年ぶりに増加
 08年度 旭川開催を廃止
 09年度 札幌開催を休止 開催業務を北海道軽種馬振興公社に委託
 10年度 門別競馬場1カ所で開催

 ホッカイドウ競馬は、91年度まで事業の黒字計290億円を一般会計に繰り入れ、道財政に貢献した。同時に馬産地振興、雇用や地域経済にも寄与してきた。
 しかし、景気の低迷による発売額の減少やレジャーの多様化を要因に92年以降は赤字決算が続いている。過去最大28億4000万円の赤字を計上した01年度以降は、ミニ場外の拡充、経費削減などの運営改善、インターネット発売の充実などで年々赤字額を縮減しているが、前述のように累積赤字は242億円に膨らんだ。
 道が08年3月に策定した「北海道競馬改革ビジョン」には、今年度までに単年度収支の均衡化が図れなかった場合は競馬事業を廃止することが明記された。
 今年度は、11月18日までの全日程(計80日間)を門別開催(全ナイトレース)に集約、発売目標は前年度比4億円増の119億5000万円。目標達成と赤字解消は容易でない。(北海道365)

荒尾競馬:出走手当カット 県馬主会、裁判闘争辞さぬ構え

 経営難の荒尾競馬組合(管理者、前畑淳治荒尾市長)の出走手当の引き下げ問題で、県馬主会(末藤惇会長、184人)の対策委員会(委員長、奈良崎孝一郎・奈良崎獣医科病院会長)は10日、「一方的なカット通告は承服できない」と、騎手会など関係者と協議した。その結果、裁判闘争も辞さない構えで、現場従業員と歩調を合わせることを決めた。

 引き下げは、馬の年齢などで2ランクに格付けされる出走手当を21日の第7回開催から一律1万5000円下げ、4万5000円と3万5000円にするもの。約14億円の累積赤字を抱え、単年度黒字化が至上命令の競馬組合としては本年度の最終合理化策だった。

 馬主会は8日の総会で、第7回開催のレースに出走するかどうかは馬主個人の判断に委ねるが、手当引き下げ問題は対策委員会(7人)を設置して対応することを決めた。

 10日の出走受け付けには、250頭の出走申し込みがあり、レースは成立する見通しとなった。だが、手当引き下げ問題は馬主会や調騎会、厩務員会がそろって反対しており、競馬組合側が対応を誤れば、泥沼に入り込む恐れが十分にある。(毎日新聞)

福山競馬が493万円の赤字

 福山市は10日の市議会競馬事業特別委員会で、福山競馬の2010年度第1四半期(4~6月)の収支が493万円の赤字となったことを報告した。同時期比では2年連続のマイナス収支となった。収支には市の施設整備等基金からの繰入金2671万円が含まれ、市財政局は「実質は3164万円の赤字」と説明している。

 市によると、レースは4月10日~6月28日に前年度同時期より1日多い21日開催。費用19億6195万円に対し、収入は19億5702万円にとどまった。

 JR福山駅前など中国地方6カ所の場外馬券発売所の売り上げは好調だったが、同市千代田町の本場が1億1455万円の赤字で、全体を押し下げたという。1日当たりの入場者数は1951人で、前年同時期を7・9%下回った。

 福山競馬の存廃をめぐっては現在、羽田皓市長の諮問機関である市営競馬検討委員会が議論している。(中国新聞)

福山競馬、実質赤字は3千万円超

 福山市営競馬の今年度第1四半期(4月10日~6月28日の21日間開催)決算収支は、基金からの繰り入れを除く実質赤字が3164万円にのぼることが10日、明らかになった。同日の市議会競馬事業特別委員会で市側が報告した。
 歳入は19億5702万円(馬券発売収入17億1807万円▽他場発売の受託収入1億8611万円▽入場料867万円など)で、歳出は19億6195万円(勝馬払戻金12億9328万円▽運営費3億4533万円▽賞典奨励費2億1670万円など)。差し引き493万円の赤字だが、歳入への基金繰入額2671万円を差し引くと、実質赤字は3164万円となる。
 受託分を含む全体の馬券発売収入はほぼ前年度並みだったが、入場者が同8%減。賞典奨励費など開催経費を見直したものの、福山競馬分の発売収入の減少が響いた。(産経ニュース)

2010年7月28日水曜日

荒尾競馬 出走手当減額方針

 深刻な赤字に悩む荒尾市の荒尾競馬組合(管理者・前畑淳治市長)は、第7回開催の8月21日から出走ごとに馬主に支払う「出走手当」を、1頭あたり1万5千円引き下げることを県馬主会(末藤惇会長、約180人)に提示した。馬主会は「受け入れられない」と反発。近く総会を開いて対応を協議するという。
  同組合によると、出走手当は勝敗に関係なく2~3歳馬は6万円、3歳の古馬登録馬と4歳以上馬には5万円が支払われている。同競馬には約350頭が在籍。各馬平均で月2回程度出走しており、「手当」の年間総額は約3億円に上るという。
  同組合では、今年度も約1億円の赤字が見込まれるとして出走手当の減額に踏み切った。減額が決まれば、年度末までに約5800万円の削減が見込まれるという。
  荒尾競馬は1928年、県と荒尾市の一部事務組合として設立。売り上げ好調時には一般会計に繰り入れるほどだったが、98年度から赤字に転落し、累積赤字は2008年度決算で13億5700万円に上る。
  昨年10月には学識者らでつくる荒尾競馬あり方検討会が、「事業の存続は単年度収支の均衡が至上命題。09年度から11年度の期限までに(存廃を)判断することが妥当」とする提言書を市長に提出している。前畑市長は「事業存続のためにあらゆる努力をしている。協力をお願いしたい」と話している。(朝日新聞)

「牧場で働こうフェアin東京競馬場」に約600名

 牧場就業促進事務局では「強い馬づくりは、優秀な人づくり」を基本理念に、今日28日(水)に東京競馬場で業界として初めての試みとして「牧場で働こうin東京競馬場」を開催した。
 会場となった東京競馬場では、乗馬体験、厩舎見学などが行われたほか、社台ファーム代表吉田照哉氏、ビックレッドファームマネージャー蛯名聡氏、下河辺牧場マネージャー下河辺行雄氏、ハッピーネモファーム代表取締役根本明彦氏などの講演も行われ、16の牧場が、通常の企業説明会同様、牧場ごとに就職相談ブースを設け面接なども行った。

 会場には約600人が来場した。

 主催した牧場就業促進事務局を代表して事務局長の玉村泰宏さんは「このたび、競馬産業として初めて行いました牧場就職フェアに、多くの若者に参加していただき、心より感謝申し上げます。これまで強い馬づくりは、優秀な人づくりから!を合言葉に、牧場の方々と事務局とで共同し取り組んできた成果が現れたものと思います。この就職フェアをきっかけに、ひとりでも多くの若者が、馬をつくり育てる仕事に関心をもち、職業選択肢のひとつとして検討いただければ幸いです。今後も、世界に通用する強い馬づくりの素晴らしさを、若い世代に伝えるため、更に努力したいと思います」とコメントしている。(ラジオNIKKEI)

2010年7月27日火曜日

岩手競馬 今年も経費削減 4年連続に関係者「もう限界」


 岩手競馬の売り上げの減少に歯止めが掛からない。予想を超える収入の落ち込みで、岩手県競馬組合は7月上旬、本年度3億1000万円の赤字になる見通しを表明した。存続条件である「収支均衡」のためとはいえ、コスト削減は今年で4年連続となり、関係者からは「もう限界」との声が漏れ始めている。(盛岡総局・遠藤正秀)

<危機感あらわに>
 「経費節減だけでは限界だ。魅力がなくなれば、収入も減り続ける。いい馬を確保するため、もっと思い切った賞金を出すレースが必要だ」。今月6日に行われた県競馬組合の運営協議会。経費節減の方針を受け、委員の1人は危機感をあらわにした。
 組合は、かつて看板レースだった「ダービーグランプリ」を今年11月に復活させることを決めていた。地方競馬としては破格の1着800万円の賞金を設定。借金などできる状況ではないが、収支のやりくりで何とか開催にこぎつけるめどが立った。
 ダービーグランプリの復活だけでは不足とみる委員の発言に、岩手競馬の危機的状況が浮かび上がった。協議会後に、ある委員は「こつこつと増収策を考えていくしか道は残されていない」とため息交じりに語った。

<地道な努力を>
 現場も気をもむ。「先が全く見通せない状況。せめて子どもが社会人になるまでは存続してほしい」と語るのは、岩手競馬の厩舎(きゅうしゃ)で働く40代の男性厩務員。
 男性は2人の10代の子どもを持つ。基本給は月18万円。4年前と比べて2万5000円下がり、面倒を見る馬がレースで手にする賞金や出走による手当などを合わせても、手取りは月25万円に満たない。
 一方で、仕事は厳しさを増すばかりだ。厩舎の従業員はこの4年で100人減り、半分となった。馬の数はほとんど変わらない分、仕事は増えた。
 「馬が好きだし、いいレースをしたいという思いで必死で働いている。経営状況が好転するのを待つばかりだ」と遠くを見つめた。
 暗いトンネルに入った岩手競馬の活路。関係者は「だからこそ、普段からレースの醍醐味(だいごみ)を伝える地道な努力が必要だ」と力説する。
 14日夜には水沢競馬場のクラブハウスを開放し、パブリックビューイングを開催した。「ジャパンダートダービー」(東京・大井競馬場)に出走した岩手競馬所属のロックハンドスターを応援するため、平日にもかかわらず約80人のファンが集まり、声援を送った。残念ながら9位に終わったが、売り上げは好調だった。
 会を発案した地元競馬専門誌「テシオ」の松尾康司編集長は「魅力あるレースには、必ずファンが集まる。経営状況に萎縮(いしゅく)することなく、いいレースをすることが重要だ」と手応えをつかんだ。
 盛岡競馬場を含めた2場開催から1場開催への転換や、2008年に模索した運営の民間委託を封印した岩手競馬。限られた予算の中で、増収に向けた活路を見いだす暗中模索が続いている。

[岩手競馬の売り上げ]盛岡競馬場建設費など約330億円の累積債務を抱え、岩手県などから融資を受ける条件として、赤字を出さないための「単年度収支の均衡」を求められている。売り上げは1991年の689億円をピークに減少の一途で、本年度は200億円を割り込む見通し。存続のために2007年から4年間で計8回、17億円以上を削減したことになり、今季は2億4700万円を削る。(河北新報)
【写真】水沢競馬場で開かれたパブリックビューイング。有効な増収策が求められている。

出走手当減額 荒尾競馬が提示、馬主側は反発

 荒尾競馬組合(管理者・前畑淳治荒尾市長)は、出走馬の馬主に払う「出走手当」を8月21日から1頭当たり1万5000円引き下げることを県馬主会(末藤惇会長、約180人)に提示した。赤字脱却のための最終的な経費削減策としているが、馬主側は「受け入れられない」と反発している。

 競馬組合によると、前畑市長が17日、馬主会に示した。出走1回の手当について、3、4歳馬は現行6万円から4万5000円に、5歳以上馬は同5万円を3万5000円にする。これにより、今年度約5800万円の削減効果が見込まれるという。

 荒尾競馬は1998年度以降、赤字続きで、累積赤字は2009年度で14億円に上った。昨年10月、荒尾競馬のあり方を考える検討会が単年度収支の黒字化を求め、「状況によっては11年度の結果を待たず存続断念を視野に入れるべき」と提言。だが、今年度も赤字が確実な見通しで、出走手当の減額に踏み切った。(読売新聞)