2011年2月25日金曜日

何が変わった:「存続も廃止も地獄だ」

 盛岡競馬場内の福田厩舎で、腹をすかせたサラブレッドが頭を上下に振る。「馬の頭は意外と固いんだ」。ベテラン厩務員の工藤裕孝(ゆうこう)さん(47)は牧草を与えながら昨秋の「事故」を思い出した。

 調教中に暴れた馬の頭が右脇腹に当たり、骨にひびが入った。しばらく前に20代の同僚が斜陽の岩手競馬を見限り帰郷したため、痛みをこらえて1人で働き続けた。多い時で9頭の世話をした。「限界を超えた」と感じる。

 工藤さんが栃木県の厩舎から盛岡へ戻った1993年ごろ、年間収益400億円超の岩手競馬は「地方競馬の優等生」だった。その後、景気低迷や放漫経営で00年度から赤字に転落した。前知事の廃止方針は撤回されたが、収支均衡が存続の条件となった。以来、人件費や賞典費などを削減する帳尻合わせで薄氷の黒字が続く。

 厩務員には賞典費の5%が給与として支払われる。削減は懐具合に響くが、2人分働いているため手取りは変わらない。07年度に208人いた厩務員は10年度に158人に激減した。いずれ給与は下がるかもしれない。それでも強く言えない。工藤さんは「痛しかゆしで生殺しみたいなもんだ」と苦笑する。

 地方競馬は軒並み経営難だ。01年の大分・中津から05年までに7団体が撤退した。最近も「廃止ドミノ」の第2波が懸念されている。以前のように廃止後の移籍先はない。

 県競馬組合はあの手この手で増収を図るものの、馬券発売額は9年連続で減る見通しだ。有識者の検討会議も将来像を示せない。それでも組合管理者の達増拓也知事は「一定のめどをつけた」と4年連続の収支均衡という成果を強調する。

 競馬の存続意義として、組合の高前田寿幸副管理者は関係者1300人の雇用を第一に挙げる。年間200億~300億円の経済波及効果と馬事文化の継承にも言及する。だが、ある競馬関係者は「存続も地獄、廃止も地獄で、もうお手上げだ」と本音を明かす。

 日本中央競馬会(JRA)との相互馬券発売が12年度にも始まる。地方の一部レースをJRAの電話投票で購入でき、地方で買えるJRA馬券も増える。工藤さんはわずかな希望を託す。「来年度を乗り切れるか。正念場だ」。ため息をつき馬の元へ戻った。(毎日新聞)

プロ野球呼べる球場も 大貞総合運動公園


 中津市は24日、中津競馬場跡地を大貞総合運動公園として整備するための基本設計をまとめ、発表した。中津競馬場厩舎(きゅうしゃ)団地跡約10・7ヘクタールに、野球場、グラウンドゴルフ場、多目的広場などを整備する。

 事業年度は2010年度から14年度まで。総事業費は29億3千万円。内訳は用地取得費13億5千万円、野球場8億7千万円、周辺整備6億3千万円、調査設計8千万円。
 財源は国からの補助金11億2千万円、合併特例債17億円、一般財源1億1千万円。ただし、合併特例債は7割が国から補填(ほてん)されるため、市の実質的な負担は一般財源と合わせて、6億2千万円となる。
 設計の目玉となる野球場は、両翼100メートル、中堅122メートル、収容人数5千人で、プロ野球の試合も開催可能。方位や広さ、老朽化の問題を抱える近隣の永添球場の代わりになる施設として期待され、13、14年度にかけて建設する予定。(大分合同新聞)
【写真】中津競馬場の厩舎団地跡に、硬式野球場、多目的広場などを整備する計画

4月デビューへ特訓中 ホッカイドウ競馬に新誘導馬


 出走馬の案内役になるホッカイドウ競馬の新しい誘導馬に、白毛にぶちのアパルーサ種が決まった。北海道馬主会が道軽種馬振興公社に寄贈した。4月デビューへ向け、浦河町乗馬公園で特訓中だ。

 これまで岩見沢市の乗馬クラブからレンタルされていた誘導馬は高齢となり、バトンタッチする。新ひだか町の牧場で育った。2010年12月に浦河町乗馬公園に到着、1日1日1時間の訓練に励んでいる。

 乗馬公園を管理し、訓練も担当している浦河町教委の上妻智主幹によると、「負けん気が強く元気のいい馬」。「経験を積ませればいい誘導馬になる」とも。24日には振興公社の井村勝昭専務理事が町乗馬公園を訪れ、「2カ月順調に進んでいるようだ。かわいい顔をしており、5年間の継続が決まったホッカイドウ競馬の新しい誘導馬にぴったり」と仕上がりに満足そう。(苫小牧民報)

 誘導馬は、出走馬をパドックから本馬場まで先導するのが役目。ホッカイドウ競馬開幕の4月29日にデビューする。

2011年2月23日水曜日

福山市新年度予算案 レース数増加で黒字確保を図る 市営競馬、経費節減も

 経営悪化の中、実質黒字の確保を条件に11年度の開催が決まった福山市営競馬。この事業の特別会計の予算案も発表された。予算総額は前年度当初比0・6%増の88億円。歳入の柱の馬券売上額は、レース開催日数を前年度より11日増やすなどして同3・6%増の80億円を見込んだ。
 一方、歳出は、騎手や調教師らに支払われる賞金や手当などの賞典奨励費を同6・6%減の8億円に抑えた。馬券の販売窓口の従事員の賃金やバス・駐車場の借り上げ料などの運営費も圧縮した。
 市は過去3年間の売上額の減り方から、11年度も前年度当初比で4%程度減ると想定。レースを増やし、出走時間を30分遅らせて日本中央競馬会(JRA)のレースとの競合を避ける「薄暮開催」などで増収を図り、経費も全面的に減らして実質黒字を確保する構えだ。レース数が増えれば、騎手ら競馬関係者が賞金や手当を得る回数も増えるため、賞典奨励費の削減による収入減を補う目的もある。
 22日の会見で羽田皓(あきら)市長は「実質黒字確保へ、経費節減に最大限努めた。収入増へ強力に取り組む」と述べた。(朝日新聞)

笠松競馬:賞金・手当削減継続 知事「厳しい状況」 今年度売上過去最低に

 現在実施している賞金・手当の15%削減を来年度も継続すると決めた笠松競馬(笠松町)の経営状態について、古田肇知事は22日の定例会見で「厳しい状況が続いている」との認識を示した。また、今年度の馬券の年間売上額が、過去最低の108億円以下になる可能性があるとの見通しを明らかにした。

 笠松競馬を運営する県地方競馬組合は今年度当初、119億円の年間売り上げを見込んだが、実際には猛暑などで不振が続き、昨年末に109億円に下方修正。その後に大雪で開催を中止した影響などで、108億円を切る恐れもあるという。

 来年度は年間売上額を106億円と見込み、組合予算を編成中。古田知事は「甘い見込みで予算を組むわけにはいかない。身を削る努力は続行してもらわざるを得ない」と話した。(毎日新聞)

経費1.3億円削減 福山競馬

 福山市は2011年度、福山競馬の経営再建に向けて、調教師や騎手たちに支払う賞典奨励費と競馬場運営費を削り、年間経費を前年度より計1億3300万円削減する。羽田皓市長が22日の記者会見で明らかにした。

 経費は前年度の15億6600万円から8・5%減の14億3300万円とする。賞典奨励費は、1レース当たり15%カット。替わりに開催日数は年間85日から96日へと11日増やす。地方競馬全国協会(東京)から1億5800万円の補助も受け、減額幅を抑える。

 競馬場運営費は、市競馬事務局職員の人件費や馬券の場外発売所の借り上げ料などを見直し、計7100万円(11・2%)減の5億7200万円とする。

 市の試算では、11年度の売り上げは前年度比で1日当たり約8%落ち込む。経費を切り詰め、開催日数増で売上総額を伸ばし、収支の均衡を図る。(中国新聞)

外国人騎手の南関騎乗 11年度から制限へ

 11年度南関東期間限定騎乗騎手が関東地方公営競馬協議会から発表された。
 通算1000勝(冬季休催場800勝)以上の実績枠は、大井が服部茂史(北海道)、吉原寛人(金沢)、川崎が村上忍(岩手)、吉田稔(名古屋)、船橋が小国博行(北海道)、米倉知(金沢)、浦和が内田利雄(旧宇都宮)、山口竜一(北海道)。技術研鑽(けんさん)枠は川崎で持原大志(名古屋)。若手騎手枠は申請がなかった。

 また、取り決めがなかった外国人騎手の南関期間限定騎乗は11年度から南関各場で年度内1人まで、期間は3カ月以内と制限されることになった。(スポニチ)

2011年2月22日火曜日

競走馬、軽やかに疾走 岩手競馬で「調教始め」

 春からの岩手競馬の新シーズンに向け、盛岡、水沢競馬場で21日、競走馬の調教が始まった。

 盛岡競馬場では、凍ったところもある土のコースを競走馬が軽やかに疾走した。県厩務(きゅうむ)員会の工藤裕孝会長は「これから徐々に調子を上げていく。今年は、岩手競馬そのものを立て直せるように頑張りたい」と気持ちを新たにしていた。

 2011年度の岩手競馬は4月2日に水沢競馬場で始まる。3月にも19〜21日と26〜28日に水沢競馬場で春の特別競馬が開催される。

     ◇

 厳しい運営が続く岩手競馬の将来を考える検討委員会が21日、盛岡市内で開かれた。4回目の今回は情報発信やファン拡大などについて、外部の有識者たちが議論した。

 会議では、県外のファン獲得について模索した。東北唯一の競馬場であることを強調して、県外の広報誌にPR記事を載せることや、各種団体の研修会などで競馬場を利用してもらうことなどが提案された。また、委員からは「賞金にメリハリをつけて、質の高い、馬券が売れるレース作りをしなければいけない」との意見が出された。次回は3月18日に行われる。(朝日新聞)

岩手競馬、1場開催で再試算へ 県、4パターンの収支検討

 岩手県などが設置した有識者会議「岩手競馬経営の将来方向検討会議」は21日、盛岡市で4回目の会合を開き、現在の盛岡競馬場(盛岡市)と水沢競馬場(奥州市)の2場から1場体制に移行した場合の収支について、県が試算することを決めた。3月18日の会合で試算に基づき議論する。
 それぞれの競馬場で、両競馬場の厩舎(きゅうしゃ)を現状のまま利用した場合と一方だけ残した場合を計算し、計4パターンを示す。2場を維持しながら盛岡、水沢両競馬場のどちらかで長期間、レースを開催した場合も試算する。
 1場開催については2008年6月、県競馬組合の構成団体で組織する「持続可能な岩手競馬を考えるプロジェクト・チーム」が試算結果を示し、「いずれの場合でも大幅な収支改善効果は期待できない」と結論づけた。
 今回の試算は検討会議の委員から提案を受け、県があらためて実施する。県競馬改革推進室は「08年当時より売り上げが減少していることを踏まえ、より詳細な試算をしたい」と話している。(河北新報)

2011年2月21日月曜日

佐賀競馬の2騎手、地方競馬全国表彰の喜び語る

佐賀競馬の2騎手、地方競馬全国表彰の喜び語る

 地方競馬全国協会が成績優秀な競走馬や騎手に贈る「NARグランプリ」で表彰を受けた佐賀競馬の山口勲騎手(40)と清水裕一騎手(23)が表彰式に臨み、受賞の喜びを語った。2騎手とも「昨年以上の成績を残したい」と今季の目標も口にした。

 

 特に顕著な成績を収めたジョッキーに贈られる「殊勲騎手賞」に輝いた山口騎手。昨年、地方競馬では最多となる年間294勝を挙げ、「全国リーディングジョッキー」になった。「大きなけがもなく、年間を通して乗ることができた結果。今年は賞に恥じないレースをしていきたい」と抱負を語った。同賞は佐賀競馬として初の受賞となった。(佐賀新聞)

 

 清水騎手は、デビュー2年目までで最多勝利を挙げた騎手1人に贈られる「優秀新人騎手賞」を受賞。昨季は年間41勝を挙げる活躍ぶりだったが、「冷静にレース展開を考えられるようになったのが大きい。今年は100勝を目指したい」と話した。清水騎手は日本プロスポーツ大賞新人賞も獲得している。

 

 2騎手は東京都内のホテルで開かれた表彰式に出席した。

2011年2月18日金曜日

11年度の予算案可決 県競馬組合議会

 県競馬組合議会(議長・渡辺幸貫県議)は17日、盛岡市の盛岡競馬場で開かれ、179億円の発売額を計上した2011年度一般会計予算案など3議案を可決した。議会の調査特別委員会(千葉伝委員長)の報告書も同日まとまり、組合に対してコスト調整の手法を限界と指摘し、中長期の経営見通しの策定を求めた。

 11年度収支計画では、発売額179億4700万円(10年度最終見込み比5・8%減)。内訳は自場101億7400万円(同9・0%減)、インターネット発売28億9500万円(同3・1%減)、広域委託48億7800万円(10年度最終見込みと同額)。

 売り上げ減により、場外施設や用地の賃料削減や赤字の福島場外発売所を閉鎖するなど運営費縮減を図る。

 一方で、賞金や手当の賞典費は減額した10年度の水準を維持。11年度に創設される地方競馬全国協会からの補助制度を約1億円活用する見通し。

 議員は厳しい予算編成となった背景や施設整備の見込みなどを質問。全国の地方競馬や日本中央競馬会(JRA)との連携強化を求める意見もあった。

 調査特別委員会の報告書では、JRAとの発売連携などを再生のラストチャンスとし、持続的な経営に向け、4、5年ほどの経営見通しの策定を求めた。

 管理者の達増知事は「11年度は着実に継続発展するための足固めをしていく重要な年。地域に根差した産業として発展できるように取り組む」と述べた。(岩手日報)

2011年2月10日木曜日

ギャンブル依存  発達障害がある場合も


 「ギャンブルにのめり込んでいる人の中には、発達障害の人がかなりいる」。こんな見方が、ギャンブル依存者の回復を支援する専門家の間で認識され始めた。入所型の回復施設「NPO法人ワンデーポート」(横浜市瀬谷区)は、発達障害がある人に合わせた回復プログラムを実施し、成果を上げている。 (白井康彦)

 「発達障害の知識を持たずに運営したのは間違いだった」。ワンデーポート施設長の中村努さんは、一月中旬、広島市で開いたシンポジウム「依存問題を発達障害から考える」で率直に反省の言葉を述べた。

 ワンデーポートの設立は二〇〇〇年。開設後四年ほどは、入所者全員を「依存症」として支援してきた。その後、「発達障害がある人がギャンブルにはまっている場合、依存症という概念で考えない方がいいと分かってきた」という。

 病的なギャンブル依存者の多くは、パチンコや競馬などのギャンブルに金をつぎこみ、家族が借金を肩代わりしても、またギャンブルにのめり込んで借金を膨らませる。やめたくてもやめられず、本人が犯罪に走ったり、家族が崩壊したりする例も少なくない。

 アルコール、薬物などの依存症の人の回復に向けては、当事者たちによる定期的なミーティングがよく実践される。仲間の体験談を聞く中で、自らの行動を反省し、ブレーキを利かせる試みだ。ギャンブル依存にも、定期的なミーティングに取り組む「GA」と呼ばれる団体が各地にあり、ワンデーポートも、ミーティングを回復プログラムの柱に据えてきた。

 そうした中、中村さんが気づいたのが、想定外の反応を示すギャンブル依存者の存在。「通常のミーティングに繰り返し参加しても変化がなく、のほほんとした印象の人たちがいる」

 神奈川県の三十代男性Aさんもこのタイプだ。小学生のときから一つのことにこだわる傾向が強く、同じものばかり食べたり、ゲームに異常に熱中したり。忘れ物が多く、整理整頓も苦手だった。高校二年のとき、パチンコに熱中。大学卒業後、就職したものの、スロットにはまって借金をつくり、退社した。

 その後は仕事をせず、スロットで勝つことに集中。それなりの収入になる時期もあったが、結局、借金が膨らみ、病院で「広汎性発達障害」と診断された。〇八年六月から約一年間、ワンデーポートに入所。発達障害の人を対象にしたミーティングに参加した。

 ワンデーポートは、社会性やコミュニケーション能力が乏しい発達障害の人も回復できるようにと、〇八年から、従来のミーティングのほかに、発達障害の人向けのミーティングを定期的に開いている。発達障害の人だけが集まり、その人なりのペースで自分と向き合える。Aさんはその後も、ミーティングに通い、今は平穏な生活だ。

 さいたま市の浦和まはろ相談室代表で、精神保健福祉士の高沢和彦さんは「発達障害があって、自立した社会生活を営みにくい人が、ゲームに熱中するような感じで、パチンコやスロットにはまるケースが多いのではないか」と推測。その上で、一般的なミーティングに参加しても「他者の話を聞いて共感するといった力がないので効果が出にくい。他の参加者から『やる気がない』などとみられやすい」と説明する。

 中村さんや高沢さんは、発達障害があるギャンブル依存者には、独自の回復プログラムが必要だとして、「自分たちが気づいたことを少しでも伝えていきたい」としている。
◆各地でシンポ 

 ワンデーポートは、13日午前10時15分〜午後4時、横浜市瀬谷区二ツ橋町の瀬谷公会堂で10周年フォーラムを開く。無料。20日午前10時〜午後4時には、富山市安住町のサンシップとやまで、発達障害とギャンブル依存をテーマにしたシンポジウムを開く。参加費2000円。問い合わせはワンデーポート=電045(303)2621=へ。(中日新聞)
【写真】発達障害がある人のギャンブル依存について話すワンデーポート施設長の中村努さん=広島市で

2011年2月9日水曜日

福山市営競馬場 レース続行予断許さず

 JR福山駅から南に約2・5キロ。通称・駅前大通りが緩やかにカーブする辺り、福山市千代田町に市営競馬場はある。そばには広い河川敷を持つ芦田川が流れ、のどかな雰囲気が漂う。戦後間もない1949年に開設されて以来、62年。これまで数多くのドラマを生み、市の財政にも寄与しながら、競馬ファンの夢に応えて来た。

 しかし、公営ギャンブルの不振などで売り上げは伸びず、今は20億円を超える累積赤字に苦しむ。羽田皓市長の決断で、取りあえずは2011年度の事業継続が決まったが、単年度実質赤字になれば年度途中での“打ち切り宣言”もあり得るだけに、予断を許さない。

 市街地の一角とは思えないほどの広大な面積(15万2400平方メートル)を誇り、レースは1周1000メートルのダートコースで年間約90日、行われる。692の馬房があるが、2月初めの在籍頭数は「魅力あるレースを組むにはぎりぎり」(市競馬事務局)という341頭。実に半分以上はあるじ不在の状態だ。

 事業継続に向け、市競馬事務局は、広島市内のバス会社と協力して観戦ツアーを組んだり、競馬場の来賓席を若者の婚活パーティーの会場にしたりと知恵を絞る。11年度は利用しやすいよう、開催時間の繰り下げも計画している。

 渡辺貞夫・県調騎会長も「ファンあっての競馬場ということを念頭に、他の競馬場との交流レースや厩舎(きゅうしゃ)見学など、少しでも魅力を伝えられるよう、市と協力していきたい」と力を込める。

 11年度を“最終レース”としないためにも、官民一体となった総力戦が求められる。(読売新聞)

2011年2月5日土曜日

福山競馬 赤字3940万円

 福山市は4日、市営競馬の2010年度第3四半期(10〜12月)の収支が1457万円の赤字となったことを、市議会競馬事業特別委員会で明らかにした。施設整備などのために設けている基金からの繰り入れを除いた実質的な赤字は3940万円で、年度当初からでは、1億388万円に膨らんだ。

 市によると、第3四半期は、前年同期比で1日平均の入場者数が9・3%、売り上げが8・2%落ち込み、大幅な収益不足となったという。第4四半期(1〜3月)は、例年、売り上げが最も大きくなり、赤字幅の拡大が抑えられることから、市は約1億円を基金から繰り入れれば、「10年度の収支均衡は確保できる」との見通しを示した。

 この日の委員会では、事業継続の決まった11年度の競馬振興策も説明。魅力あるレース編成になるよう番組編成のやり方を見直すとともに、利用しやすいように開催時間を1時間繰り下げるとした。市は単年度の赤字が見込まれる場合は、11年度の途中にでも事業廃止を決断する方針を明らかにしている。(読売新聞)

福山競馬、実質1億円の赤字

 福山市は4日の市議会競馬事業特別委員会で、福山競馬の2010年度第1〜3四半期(4〜12月)の収支が3300万円の赤字だったと報告した。収入には市施設整備等基金からの繰入金7千万円が含まれており、実質の赤字は1億300万円に上る。

 市によると、4月10日から12月26日までの開催63日間で、収入59億700万円に対し、費用が59億4千万円かかった。1日当たりの売り上げは8160万円で、前年同期より372万円減った。入場者数は11万7622人で、1日当たり212人減った。

 市は同日、10年10月以降に調教師や騎手たち競馬関係者の給与に当たる賞典奨励費を2260万円カットしたことを報告。11年度の振興策の一つとして、年間を通じて日本中央競馬会(JRA)とレース開催を1時間ずらし、インターネット販売の増収を図ることなども説明した。(中国新聞)

2011年2月3日木曜日

県競馬組合運営協:2200万円経費削減へ 販売低迷、基金残高底をつく /岩手

 県競馬組合(管理者・達増拓也知事)の運営協議会が2日、盛岡市の盛岡競馬場で開かれ、収支計画を修正し、2200万円の経費削減を決めた。年末の大雪で自場発売額が伸び悩むなどしたためで、経費削減による収支見直しは今年度3回目。同時に施設整備基金から4400万円を切り崩し計6600万円を捻出する。基金残高は底をつき、厳しい台所事情が露呈した。競馬存続の条件となっている単年度黒字は達成できるという。

 第4期(10月30日~1月10日)の収入総額は自場、広域委託、インターネットの各販売が低迷し、計画を2億6500万円下回った。その一方で経費も膨らみ、4期の収支は4400万円の赤字(計画比5500万円減)となった。

 第5期(1月11日~3月31日)は発売額を下方修正する一方、地方競馬全国協会からの補助金などで売り上げの総利益を計画比2100万円増の5憶7100万とした。だが、発売機器の修理で支出も増えるため、黒字額は計画より1100万円少ない600万円に減る。年間収支は500万円の黒字を見込む。

 また、女性騎手限定のレースを新たに実施する11年度の運営計画案を示した。開催日程は、システム整備のため12年3月の1特別競馬を実施できず、前年度比で1開催減る見込み。(毎日新聞)

県競馬、今年度6000万円不足見通し 基金崩し黒字化

 県競馬組合運営協議会が2日、盛岡市の盛岡競馬場であり、今年度の年間収支が計画額より6600万円不足する見込みであることが明らかになった。

 組合によると、第4期(昨年10月31日〜1月10日)の経常損益が計画より5500万円少なかった。3月末までの第5期も計画を下回るとみられ、今年度トータルでは6600万円が計画額よりも足りなくなるという。

 これを受け、組合は業務委託料や人件費など計2200万円の経費削減を行う。そのほか、施設設備のために積み立てている基金を4400万円切り崩してあてる。これで基金の残高はゼロになるという。この結果、今年度も最終的に単年度黒字が保てる見込みだ。今年度に行った経費削減額は3億2300万円にのぼった。

 協議会では来年度の事業計画案も発表になった。開催は124日で、短距離競走の新設やレディースジョッキーシリーズなどを行う予定。(朝日新聞)

荒尾競馬、債務超過は免れる 年度末に剰余金500万円

 荒尾競馬組合は、2月からの公営企業会計導入に伴い、新たに作成した貸借対照表を先月29日の臨時組合議会で公表した。同組合は財政の透明化を図るため、会計方式を従来の官庁会計から公営企業会計に切り替えることを総務省に申請し、1日認可された。

 それによると、現時点での土地・建物などの評価額や売り上げなどを合わせた総資産額は約20億4500万円、累積赤字約14億円を含む負債額は約20億650万円で資産が負債を上回った。

 公営企業会計が適用される2、3月分の競馬事業会計予算も提案、可決された。年度末に約500万円の剰余金が計上でき、債務超過は免れる見込みという。(朝日新聞)