2011年9月30日金曜日

荒尾市:競馬廃止 協力見舞金を提示 市長「年内の支給を目標」

 12月で競馬事業を廃止する方針を決めた荒尾市は30日、廃止に伴い関係者に支払う協力見舞金について、職種ごとに交渉を始めたことを明らかにした。前畑淳治市長は「できるだけ早く交渉を終え、年内に支給することが目標」と話した。

 市によると、22日と24日、馬主会の会長ら各職の代表者と個別に会い、協力見舞金の額を提示した。いずれも過去に廃止された地方競馬場の例を参考にしたという。

 前畑市長は見舞金の総額について「すべての交渉が妥結したら、予算計上して議会の承認をいただく。公金を使うのだから、その際金額を市民にも明らかにしたい」と話した。

 市は並行して再就職支援も始めている。専門職の102人にアンケートを送付し、70人から回収。現時点で「引き続き競馬関係の仕事に就きたい」と答えたのは▽調教師86%▽騎手33%▽厩務(きゅうむ)員71%--に上るという。

 市は24日、前畑市長名で全国16の地方競馬の主催者に、荒尾競馬関係者の再就職に協力を求める依頼文書を送った。受け入れ可能性の有無などを尋ねており、10月中の返答を待っているという。(毎日新聞)

2011年9月27日火曜日

皇成元師匠・河野師、暴力団交際で追放

 GIシーズン開幕直前に、競馬界に衝撃が走った。JRAは26日午後、東京都港区の六本木事務所で緊急会見を開き、茨城県美浦トレーニングセンター所属の河野通文調教師が、暴力団関係者と交際があったとして、同日付で調教師免許を取り消したことを発表した。

 冒頭、緊急に会見を開いた内容を説明すると、出席した小林善一郎審判担当理事、尾関道春審判部長、菊田淳審判部公正課長が「今回の件で世間をお騒がせしたことについて、ファンの皆様、関係者の皆様に深くお詫びいたします」と深々と頭を下げた。

 JRAによると、今年3月31日の報道(別項)などで河野調教師が指定暴力団山口組系組幹部から1000万円をだまし取られた事件を知り、公判の傍聴、調教師への事情聴取などを重ねてきた。その結果、菊田公正課長は「暴力団関係者と浅からぬつきあいがあったと認めざるを得ない」として裁定委員会、公正審査会議を経て処分を決定したことを明らかにした。

 さらに、小林理事は「河野調教師は暴力団員と認識しながら交際を途絶することはなかった。調教師は少なくとも公正確保の重い責任があり、(暴力団関係者を)排除すべき立場の者で、JRAとして容認できることではない」と話した。

 JRAの調査では、河野調教師が暴力団関係者と知り合ったのは2006年頃。遅くとも09年頃には知人を介して暴力団関係者であることは認識していた。そして、10年7月30日に暴力団関係者から1000万円の借金の申し入れがあり、大阪・伊丹空港まで持参したという。菊田公正課長は「交際の深さを判断するのは難しいですが、即日、大阪まで持参するのは尋常ではない。2人の交際が形式的なものではなく、公正かつ安全な競馬の施行に支障を生じるということで、免許取り消しが相当と判断した」と厳正な処分を科した理由を説明した。

 河野調教師は1991年に厩舎を開業し、05年のGI安田記念をアサクサデンエンで制覇するなどJRA重賞11勝、通算493勝を挙げている名調教師。それと同時に、タレントほしのあきさんと25日に結婚したばかりの三浦皇成騎手の元師匠としても知られている。

 折しも10月1日から暴力団排除条例が東京都で施行する。タレントの島田紳助さんが山口組系組幹部と交際していたことが明るみに出て芸能界を引退するなど、全国的に暴力団との交際に対する目が厳しくなる中での今回の発表だが、条例との関連性について、小林理事は「JRAとしては以前から反社会的分子を排除する努力をしてきたものであり、条例の施行とは関係ない」と否定している。(サンケイスポーツ)

福山競馬存続依然厳しく 上半期売上高4.2%増だが

 福山市営競馬は26日、2011年度上半期(4~9月、48日間)の開催を終えた。1日平均の売上高は8701万円で、10年度上半期(42日間)の8355万円と比べて4・2%増えたものの、第2四半期(7~9月)だけで比べると前年同期より悪化。入場客数は落ち込みが続き、単年度収支の黒字確保が条件となる競馬事業の存続に向けて、下半期も依然として予断を許さない情勢だ。

 市のまとめによると、第2四半期に1日平均の売上高は、前年同期(8537万円)比6・1%減の8016万円。第1四半期(4~6月)が同16・4%増の9512万円と好調だったことから上半期全体では10年度を上回ったが、陰りが鮮明となった。

 3月の東日本大震災で東北や関東の競馬、競輪が休止された影響で、インターネットの馬券販売で市営競馬に利用客が集まっていたが、他場が再開したのが苦戦の原因とみられる。

 ネット販売が勢いを失う一方で、深刻な課題として浮上してきたのが入場客数の減少だ。売上高を前年同期より伸ばした第1四半期でさえ、1日平均の入場客数は1655人で同15・2%も減少。第2四半期はさらに落ち込んで1535人で同17・2%減、上半期全体では1590人で同16・4%減となった。

 市営競馬は4月から、ネット上の顧客を狙い、日本中央競馬会(JRA)が終わった時間帯にレースを行うため開門時間を繰り下げたが、競馬場にはナイター設備がなく、入場客離れに拍車を掛けた可能性がある。日没が早まる10月以降、現在は午前11時としている開門時間を30分~1時間繰り上げる。

 市競馬事務局は、「(収益性の高い競馬場本場の)入場客数が下げ止まらないなど、競馬事業は厳しい状況が続いている」としている。(読売新聞)

2011年9月25日日曜日

「荒尾」本年度限り廃止 佐賀競馬影響を懸念

 荒尾競馬(熊本県荒尾市)が本年度限りで廃止されることになり、佐賀競馬(佐賀県鳥栖市)への余波が懸念されている。荒尾競馬とは交流競走開催や場外馬券発売など経営資源の共有化を進めており、売り上げ減などマイナスの影響は避けられない見通し。佐賀競馬を運営する県競馬組合(管理者・坂井浩毅副知事)は、荒尾廃止後の来年4月以降も場外馬券発売の継続を荒尾市に要請する方針だが実現は不透明で、早急な対応が求められている。
 「荒尾競馬は本当に廃止されるのか」「佐賀競馬にはどのような影響が出るのか」-。8月29日、佐賀競馬で開かれた県競馬組合の定例議会。4日前に本紙が報じた「荒尾競馬廃止へ」を受け、出席者から質問が相次いだ。
 佐賀と荒尾は10年ほど前から、双方のレースを対象とした場外馬券の発売を開始。2010年度、荒尾で発売された佐賀のレースの売り上げは約12億7千万円で、10年度の佐賀競馬全体の売上高(約104億円)の1割超を占めた。
 「荒尾廃止」に動揺を隠せない佐賀の関係者たち。定例議会で、組合事務局の担当者はこう認めるしかなかった。「場外馬券の売り上げがなくなると、影響はかなり出てくる」
 72年に開設された佐賀競馬の売上高は91年度の約359億円がピーク。レジャー多様化や景気低迷を背景に、その後は減少の一途をたどっている。
 減収を受け、県競馬組合は馬主に払う出走手当のカットなどコスト削減を進めてきたが、収益の改善には至らず、過去10年間で黒字運営は02年度と08年度だけ。貯金に当たる「財政調整積立金」は06年に底をつき、累積赤字は約2億4千万円(10年度末)に膨らんだ。
 荒尾での場外馬券発売は貴重な収入源。だが、荒尾市は12月中にレースを終了し、場外販売は来年3月まで続けることを示すにとどまる。同組合の渕上忠博管理課長は「荒尾市には存続を強く働き掛ける」と語る。
   ◇   ◇
 佐賀と荒尾は昨年10月から、互いの競走馬を行き来させる「交流競走」を始めた。「バラエティーに富んだレースに加え、東京や大阪向けの広報活動の強化」(同組合)が奏功し、本年度の佐賀の売り上げ(今月11日まで)は前年同期比6・6%増と好調。とりわけ、インターネット販売が30%近く伸びているという。
 交流競走の成果が目に見える形で出てきた直後に浮上した荒尾の廃止決定。渕上課長も「非常に残念」と頭を抱えるが、荒尾廃止後、さらなる経営改善に加え、佐賀が九州唯一の地方競馬として“脚光”を浴びる可能性に期待したいという。
 「中央競馬、地方競馬との交流競走を充実させて、競馬場で直接レースを見るファンを増やしたい」(西日本新聞朝刊)

「鉄の馬」通算200戦目へ 福山競馬・モナクカバキチ


 地方競馬(平地競走)で歴代最多タイの54勝を挙げている福山市営競馬(同市千代田町)の最年長競走馬モナクカバキチ(アラブ系、牡12歳)が、26日のレースで通算200戦目を迎える。10月にはデビュー10周年となるベテラン馬が走り続ける姿は、まさに鉄人ならぬ「アイアンホース(鉄の馬)」。大きな節目のレースを勝利で飾り、最多勝の記録更新を狙っている。

 モナクカバキチは2001年10月に市営競馬でデビューした。名古屋競馬(名古屋市)や荒尾競馬(熊本県荒尾市)で活躍し、08年に再び古巣に戻った。10歳を超えてから出走数が増え、09年には22回、10年はモナクカバキチにとって過去最多の29回を走った。

 今年も、人間なら40代後半の“中年”にもかかわらず月に1〜4回走り、これまで23回のレースに出走している。デビューから約10年で19人の騎手がまたがり、走行距離は300キロを超える。勝率は27・1%、2着以内の連対率は38・2%。

 26日は第6レース(1250メートル、10頭立て)に登録し、2戦ぶりに松井伸也騎手(26)とコンビを組む。7月24日に54勝目を挙げて以降も、疲れを見せず元気に出走しているが、5戦連続で敗れ、最多勝の記録更新は持ち越されており、ファンもやきもきしている。(山陽新聞)
【写真】通算200戦目の節目を迎えるモナクカバキチ

2011年9月24日土曜日

「目に焼き付けたい」 荒尾競馬休日開催にぎわう


 年内閉鎖が決まった荒尾市の荒尾競馬は23日、最終開催日を除いて“最後”の休日開催となり、大勢の競馬ファンでにぎわった。家族連れや県外からの来場者も多く、「海を臨む荒尾のレースを目に焼き付けたい」と盛んに声援を送っていた。

 荒尾競馬は木、金曜日開催が主流。廃止表明後の休日開催は、最終レース予定日の12月23日を除くとこの日だけ。ポニーの体験乗馬やあか牛試食会などもあり、普段の倍の約1900人が来場した。場内の売り上げは大型連休期間の5月1日に次ぐ2135万円に上った。

 東京都日野市から来た公務員野尻裕一さん(42)は「昭和の雰囲気を醸し出す大好きな競馬場だった。廃止しか方法がなかったのかと残念で仕方がない」。場内で食堂「大吉」を営む女性(70)も「常連さんからは『寂しか』の声ばかりです」と惜しんだ。(熊本日日新聞)
【写真】最終開催予定日を除き〝最後〟の休日開催となり、観客席は家族連れや県外からのファンでにぎわった=荒尾市の荒尾競馬場

2011年9月14日水曜日

荒尾競馬:廃止方針 市議会「反対」の声出ず 跡地の活用策など問う

 荒尾市議会の一般質問が12日あり、前畑淳治市長が12月限りでの廃止方針を表明した競馬事業に質疑が集中した。3市議が競馬関係者の再就職に向け早急な対応を求めたり、競馬場跡地の活用策をただしたりしたが、廃止方針自体に反対の声は出なかった。

 市議らは廃止方針について「予想はしていたが、あっけない幕切れとなり残念だ」「市民からの不要論を払拭(ふっしょく)できない状況だと思う」などと述べ、廃止を前提に今後の展望を問うた。市は跡地活用策や事業の清算費用について「今のところ具体的には言えない」と答えた。

 前畑市長は「跡地利用は県などと協議しながら、市民の要望も聞きたい」と述べた。競馬場の敷地約26ヘクタールの約9ヘクタールを占める民有地に触れ「借地契約を更新しない場合、原状回復した上で返すもの」と述べ、地権者住民との調整が必要になるとの考えを示した。

 清算費用の質問に、市は「試算できていない」と答えたが、財源として財政調整基金の投入のほか「国が13年度までの時限措置で認めた地方債の三セク債(第三セクター等改革推進債)も使える」との見通しを示した。

 市は清算費用の県負担を求める市議の意見に対し「蒲島(郁夫)知事が明確に否定している。これを県と議論するより、離職者対策や地域振興での支援を求めていきたい」と述べた。(毎日新聞)

荒尾市が新規事業一部中止も、競馬廃止の費用確保で

 荒尾競馬の廃止に伴う清算について、荒尾市の山崎史郎総務部長は13日の市議会一般質問で、「市民への行政サービスを制限することになるかもしれない」と述べ、財源確保のため来年度に予定される土木・建築関係の新規事業を一部中止する考えを示唆した。

 市は、これまで、債務返済のため第3セクター等改革推進債(3セク債)を活用することを表明した。しかし、競馬場関係者への協力見舞金は3セク債で賄うことはできず、一般財源や財政調整基金などを充当することになる。その分、市の財政が圧迫されることになる。

 山崎部長は「できるだけ市民に負担をかけたくない。市税増税は考えておらず、補助金や市職員給与カットも極力避けたい」とし、事業の一部中止で対応する姿勢を見せた。

 また、山崎部長は、荒尾競馬場で発売している他競馬場の場外馬券(2010年度実績は約29億4000万円)や、荒尾競馬場に現在48頭が所属する九州産馬の生産者への影響を懸念し、地方競馬全国協会などと調整する意向を明らかにした。(読売新聞)

2011年9月13日火曜日

荒尾競馬清算財源に3セク債検討 市公営企業会計導入で発行可能

 荒尾競馬の廃止問題で数十億円が必要とされる清算費用の財源について、荒尾市は12日の市議会一般質問で、第3セクター等改革推進債(3セク債)の発行を検討していることを明らかにした。今年2月、荒尾競馬に公営企業会計を導入したことで発行が可能になっており、当時から廃止を念頭に置いていたことも認めた。

 3セク債は、公営企業を廃止する際に必要な経費を捻出する手段として地方財政法で認められた2013年度までの特例措置。利息の2分の1を国が特別交付税で負担する。

 同市の山崎史郎総務部長は答弁で、「市民に競馬運営の財政事情を知ってもらうのを目的に企業会計を導入し、その際、(廃止の清算に)3セク債は使えるとの認識はあった」と説明。その上で清算財源について、「(競馬)組合財産、一般財源、財政調整基金のほか3セク債も考えられる」と述べた。

 清算には、累積赤字や運営のための一時借入金の解消、競馬関係者への協力見舞金の支払いなどが必要とみられる。

 このほか、市側は、▽離職者対策として労働局、県なども加わった関係者連絡会議の設置▽在籍馬に対する協力見舞金の支払い――を検討していることも明らかにした。(読売新聞)

2011年9月10日土曜日

荒尾市:競馬対策課を設置 離職者の就労支援など担当

 荒尾市は8日、前畑淳治市長が12月限りで競馬事業を廃止する方針を市議会で表明したことを受け、専任職員1人態勢だった競馬対策室に替わり、専任4人を置く競馬対策課を設置した。廃止で職を失う関係者への就労支援などを担う。
 他に▽関係者への協力見舞金の算定▽競馬場跡地の活用策の検討▽事業清算手続きなどに伴う国など関係団体との連絡、調整--を業務に想定。別の課との兼務職員3人を加えた7人で対応する。
 また、近く荒尾競馬組合内に再就職などの相談窓口を設置予定。競馬対策課とは別に、市職員の派遣を検討している。(毎日新聞)

2011年9月8日木曜日

荒尾競馬の地元市長 年内廃止を佐賀県に説明

 約13億6千万円(2010年度末)の累積赤字を抱える荒尾競馬の年内廃止を正式表明した熊本県荒尾市の前畑淳治市長は8日、佐賀県庁を訪れ、同県の坂井浩毅副知事と会談し、経緯などを説明した。
 佐賀県などが管理する佐賀競馬(同県鳥栖市)は荒尾競馬と交流レースを共催するなど交流が深く、前畑市長は「大変申し訳ない」と陳謝した。
 坂井副知事は「いろいろ検討された上での決断で、われわれが申し上げることはありません」と応じた。
 会談後、前畑市長は荒尾競馬の所属騎手らの再雇用先について「今後検討していきたい」と述べた。(スポニチ)

2011年9月6日火曜日

荒尾競馬の年度内廃止を正式表明 荒尾市長


 荒尾競馬組合管理者の前畑淳治荒尾市長は5日、累積赤字13億6千万円を抱える荒尾競馬を本年度限りで廃止すると正式表明した。レース開催は年内で終える方針。清算費用には、2013年度が発行期限の「第三セクター等改革推進債」(三セク債)などを充てる考えだ。地方競馬の廃止は、2005年の宇都宮競馬(栃木)以来となる。

 前畑市長は同日開会した定例市議会の冒頭、「競馬事業の将来見通しや市財政への影響、市民や競馬関係者の意見・実態などから、断腸の思いではあるが廃止の決断をした」と表明した。

 荒尾競馬の現状については「存続させたいと経営改善に努力してきたが、売り上げ減に歯止めがかからず、市の貸付金で資金繰りしている。今後回復基調に転じて財政貢献を果たすことは困難」と説明。今後のレース開催に関しては「競馬関係者の新しい環境への準備期間などを考慮し、12月をもって閉鎖。離職者対策に全力で取り組みたい」と述べた。

 荒尾競馬は1928年2月に開設。55年からは市と県による一部事務組合が運営している。75~98年度には売得[ばいとく]金が毎年100億円を超え、市と県に累計約91億3200万円を繰り入れたが、三池炭鉱閉山後の98年度以降は12年連続赤字だった。

 10年度決算は13年ぶりに約4300万円の黒字となったが、市は「赤字構造から脱却できず、将来の展望が見えない」として廃止方針を固めていた。

 前畑市長は同日朝、蒲島郁夫知事に電話で廃止の方針を伝えた。市は今後、廃止に伴う予算案などを作成し、組合解散や財産処分についての議案とともに市議会へ提出する。騎手、調教師、厩務[きゅうむ]員らの見舞金や再就職などについての協議にも着手する。(熊日新聞)
【写真】荒尾競馬の廃止を正式表明する前畑淳治市長(中央)=5日午前、荒尾市議会議場

荒尾競馬12月終了 場外馬券は年度末まで 離職者に見舞金 市長正式表明

 熊本県荒尾市の前畑淳治市長は5日開会した定例市議会で、荒尾競馬の本年度限りでの廃止を正式表明した。レースは12月中に終了する。累積赤字は2010年度末現在約13億6千万円。地方競馬の廃止は05年の宇都宮競馬(栃木県)以来。九州では01年に中津競馬(大分県中津市)が廃止され、残るは佐賀競馬(佐賀県鳥栖市)だけとなる。

 前畑市長は市議会で地方競馬について「レジャーの多様化などを背景に、今後、財政に貢献することは困難」との見方を示し「事業の将来見通し、市財政への影響、市民の意見、競馬関係者の意見を総合的に判断した。断腸の思い」と述べた。

 前畑市長は同日早朝、市と競馬組合を構成する県の蒲島郁夫知事に方針を伝達。県にも清算費用の一部負担を求める意向だが、知事は記者団に「考えていない」と述べた。市長は議会後、競馬関係者に経緯を説明し、見舞金を支払う方針を明らかにした。今月中に額などの素案を示す。場外馬券の発売は来年3月まで続けるという。

 荒尾競馬は1928年開設、現存する地方競馬では最も古い。売り上げは92年度には約158億円に上ったが、97年の三池炭鉱閉山などで10年度は約48億5千万円に落ち込んだ。有識者でつくる「荒尾競馬あり方検討会」は09年、11年度までの収支で存廃を判断するよう提言した。(西日本新聞朝刊)

荒尾競馬の廃止正式表明、再就職先の確保は難航必至


 荒尾市の前畑淳治市長が5日、荒尾競馬の廃止を正式表明したことで、約180人の雇用が失われることになった。調教師、騎手、厩務(きゅうむ)員……。市は再就職先を確保する対策チームを設置する方針だが、他の地方競馬も経営は厳しく難航は必至。廃止への最大の障壁となりそうだ。

 競馬組合(主催団体)管理者である前畑市長は、この日開会した市議会の冒頭、経営の悪化と、改善が困難視されることを理由に今年度限りでの廃止を表明。さらに、「競馬関係者の新しい環境への準備期間などを考慮し、今年12月をもって閉鎖する」とし、レースは年内で終了させる考えを明らかにした。

 市長は市議会後、同競馬場の会議室で、馬主、調教師、騎手や厩務員ら競馬関係者に改めて決断の理由を説明した。

 これに対し、出席者からは「存続のため必死に頑張ってきた。絶対、廃止なのか」「馬の行き先、人の再雇用先を確保するのに時間がかかる。レースは来年3月まで続けるべき」「廃止が決まると、馬は急速に他場に流出する。12月までレースはできるのか」などと反発の声が上がった。

 前畑市長ら市側は、再就職などへの対策チームの設置と、5日付の在籍者を対象に「協力見舞金」の支給を検討していくことなどを説明して理解を求めた。

 市長の決断について、渡辺賢一厩務員会長(47)は「私は馬と接する仕事であればどこにでも行くが、妻子は荒尾市を離れたくないという。これからどうするか迷っている」と困惑気味。林田三男・県馬主会副会長は「12月までレースが成立するかどうかも分からない。役員会などで早急に話し合う」と話していた。

 廃止には13億6000万円にのぼる累積赤字の処理、見舞金の準備、借入金の処理などで数十億円の財源が必要とみられる。前畑市長は「5日早朝、蒲島知事に状況を説明して廃止への理解を得た。財源確保についても県の支援を求めていく」と述べた。

 一方、蒲島知事は5日、記者団に対し、「(管理者である)市長が熟慮されたうえでの判断。尊重したい。今後、競馬場関係者の雇用問題などに協力していく」と述べた。ただ、廃止に伴う費用負担については、「(まだ)考えていない」とした。(読売新聞)
【写真】荒尾市側(手前)への反発の声が相次いだ競馬関係者への説明会

2011年9月2日金曜日

苦境続く九州地方競馬、頼みの綱はネット馬券!?~荒尾競馬が廃止へ

 8月24日、荒尾市長は、13億6,000万円の累積赤字を抱える荒尾競馬(熊本県荒尾市)を本年度で廃止する方針を固めた。現存する地方競馬のなかでは最も古い荒尾競馬(1928年2月開設)の廃止に、競馬ファンから惜しむ声も...。今、九州の地方競馬はどのような状況におかれているのか―。
 九州における地方競馬は、荒尾競馬のほかに現存する佐賀競馬(佐賀県鳥栖市)と、2001年に廃止された中津競馬(大分県中津市)があった。地方自治体の貴重な収入源であったのはバブル崩壊前までの話。現在は、バブル崩壊後にともなう不況により、ほとんどが厳しい経営状況にある。
 2000年、荒尾、佐賀、中津の3地方競馬は、生き残りをかけて『九州競馬』として日程を調整し、「九州グレード(KG)」開催のための格付けの統一や人馬交流戦、場外馬券発売などで相互連携を行なった。しかし、01年、中津競馬が21億円以上の累積赤字を理由に廃止。その後は、荒尾と佐賀のみで連携を続け、02年からはインターネットによる馬券の発売を開始。07年からは馬券の購入システムを統合し、システム開発運用経費を削減。馬券の購入・払い戻しを相互に可能とするなどの対策を講じてきた。
 農林水産省HPに掲載されている「地方競馬の概況」によると、1991年度の売上9,862億円、入場者数1,466万人をピークに、全国16の地方競馬は、売上、入場者ともに減少が続いている。2008年度の売上は、1991年度の約40%の3,804億円。入場者数は、同約30%の485万人であった。
 荒尾競馬組合によると、荒尾競馬場への入場者数は2008年度・約11万人、09年度・約11万人弱、10年度・約9万人と減少傾向にあるという。また、単年度収支は、08年度が約8,500万円の赤字、09年度が約4,500万円の赤字、10年度が約4,300万円の黒字を計上。累積赤字は08年度から10年度までで、約13億5,700万円、約14億300万円、約13億6,000万円と推移している。
 一方、佐賀競馬を運営する佐賀県競馬組合によると、佐賀競馬場への入場者数は08年度・約42万人、09年度・約39万人、10年度・約36万人と同じく減少。単年度収支差は08年度が約7,200万円の黒字、09年度が約4,900万円の赤字、10年度は約1億8,000万円の赤字となっている。08年度から10年度までの累積赤字はそれぞれ、約1,900万円、約6,700万円、約2億4,800万円と、ここ数年で大きくふくらんでいる。
 来場者が減少傾向にあるなか、売上を伸ばしているのは、自宅からネットバンクを通じて馬券の購入、払い戻しができる「オッズパーク」、「楽天」などのインターネットによる馬券(以下、ネット馬券)の売上だ。佐賀競馬は、11年度7月開催の第8回競馬までの集計で、ネット馬券の売上は前年度比で約127%と好調であるという。本年度で廃止される荒尾競馬も、11年度1四半期のネット馬券の売上は、前年度同期比約132%であった。
 人馬交流のある荒尾競馬の廃止が、佐賀競馬に影響をもたらすことは必至であるが、その打開策のひとつがネット馬券であることを数値が示していると言える。(NetIBnews)