2010年12月29日水曜日

金沢競馬厳しい再出発

 金沢競馬の当面2年間の存続が決まった。税金を投入しないとの条件付きで、基金を取り崩しながらの綱渡りの経営が続く。来年度からは総額9億円の 大規模な施設改修も始まる。厳しい条件下の“再出発”で、関係者に喜びの声はなく、県の経営に対する不安や不満も渦巻いている。

 「まるでお荷物扱い。競馬がどれだけ県財政に貢献してきたと思っているんだ」。金沢競馬の調教師の1人は、存続決定の知らせにも厳しい表情を崩さなかった。

 地方競馬は地方財政を潤す「打ち出の小づち」だった。金沢競馬も記録が残る1973年度以降、計約620億円を県と金沢市の一般会計に繰り入れてきた。

 しかし、バブル崩壊後に経営が悪化、99年からは積み立て基金を取り崩し、赤字補填(ほてん)が続く。その基金も24億円にまで減った。経営評価委員会は、基金が枯渇する前に事業廃止すべきと結論づけたが、現場関係者には「切り捨て」と映る。

 経営逼迫(ひっぱく)の中、県競馬事務局は2011年度から7年かけて、耐用年数を大幅に過ぎた着順表示盤や空調設備などの改修を計画。総額9億 円で毎年の負担は1億2900万円だ。調教師は「基金の底が見えてからやるのは自殺行為。なぜ、余裕がある時に改修しなかったのか」と憤る。

 事務局の経営に対する現場の不信は大きい。事務局は07〜09年度、広告会社と共同で、初心者に馬券の買い方を教える窓口の設置や婚活イベントなど64項目の新規プロジェクトを実施。しかし、芸能人の招致など安直な施策も多く来場者や収益は増えなかった。

 明るい話題もあった。中央競馬から金沢競馬に“降格”したジャングルスマイルと、高崎競馬の廃止で金沢に移籍した調教師がタッグを組んで12連勝 し、今秋、G1出場を果たした。関係者は「ダブルでリストラの星だ」と金沢競馬の人気復活に期待を寄せたが、事務局はPRの機会を逃してしまった。

 事務局の運営はすべて県職員。在勤15年のベテランもいるが、競馬関係者の間には「経営も競馬も素人では、ファンや潜在的愛好者の心をつかめない」との意見もあり、調教師と騎手で作る県調騎会は、専門職員の養成や経営プロの外部採用を求めている。

 金沢競馬には調教師32人、騎手23人、きゅう務員121人が所属。相次ぎ廃止される地方競馬からの雇用の受け皿としての役割も大きい。

 県調騎会副会長の佐藤茂調教師(51)も、03年に廃止された山形県上山競馬場からの移籍組だ。佐藤調教師は、全国の地方競馬17場の半数が経営 不振に陥っていることから、金沢競馬が廃止となると、調教師の9割は廃業に追い込まれると予測。「我々もいいレースを見せるのに全力を尽くすが、県も周囲 にレストランやレジャー施設を誘致するなど、経営感覚を磨いて事業を再生させてほしい」と注文を付けている。(読売新聞)

存廃で揺れる笠松競馬、手作りイルミで明るく年越し


◆地元NPOがイベント

 羽島郡笠松町の笠松競馬場一帯で28日、地元のNPO法人「元気きそがわ」による手作りのイルミネーションと竹キャンドルが点灯した。町民有志ら による衣料品や野菜、正月飾りの即売会、ライブもあり、存廃問題に揺れたことしの笠松競馬の締めくくりを温かなイベントで盛り上げた。

 この日は、年末・年始特別シリーズ(1月1日まで)の初日。場内に4体の光る馬のオブジェを置き、正門や鉄塔を電飾で飾った。同町本町通りの商店街でも、竹筒に入れたろうそく1200本をともした。

 場内特設ステージでは、午後4時の点灯に合わせて、地元の松枝小学校児童がハンドベルを演奏したり、岐阜市などで活動するアマチュアグループがラ イブを披露。来年3月に同競馬場で開催される子どもたちによるポニーレース「じゃじゃ馬ホースショー」のエキシビションレースもあり、ちびっ子ジョッキー がポニーの競走で来場者を楽しませた。

 同NPOの青井克樹理事は「来場者が増えるよう、これからも定期的にイベントを企画したい」と話している。イルミネーションの一部は、来年1月いっぱいまでレース開催日に点灯する。(岐阜新聞)
【写真】年末の競馬場を温かな光で包んだイルミネーションと竹キャンドル=羽島郡笠松町若葉町、笠松競馬場

2010年12月28日火曜日

金沢競馬、税投入せず継続 経営評価委、存廃判断先送り

 金沢競馬の経営状況を検証する経営評価委員会(委員長=丸山利輔・元県立大学長)が27日、県庁で開かれ、存続に向けた最終報告をまとめた。赤字の拡大が予想されるが、経営改善の余地は残っていると結論付け、2012年度の収支均衡を目標に設定。ただし、今後も厳しい収支状況が続けば「将来、廃止の判断もあり得る」とした。近く谷本正憲知事や山野之義・金沢市長に提出され、最終的に存廃が判断される。

 最終報告では、廃止時に必要な経費約6億〜12億円は確保しつつ、これまで積み立てた約25億円の基金を活用し、税金は投入せず事業を継続するのが適当と判断した。収支については、売り上げ下落が続いた場合、13年度には赤字が約6億円となって基金が底をつくと予測。12年度までの収支均衡を目標に経費を節減する努力が必要とした。

 同競馬をめぐっては06年12月、存廃を議論した検討委が『3年間で黒字化のめどが立たなければ廃止を検討すべきだ』と結論付けたが、09年度は赤字。1年先送りした今年度も赤字の見通しだが、今回の最終報告でも存廃の判断は先送りに。丸山委員長は「税金投入をしないという基準は決めた。県民に迷惑が掛からないよう、今後も収支状況を見ながら判断していきたい」と述べた。(朝日新聞)

荒尾競馬、09年度4500万円赤字 12年連続

 荒尾競馬組合議会の定例会が27日あり、約4500万円の赤字となる2009年度決算が可決された。08年度の赤字額(8500万円)から改善されたものの12年連続の単年度赤字で、累積の赤字額は約14億円にのぼる。

 一方、今年度は全国的に売り上げが落ち込んでいる中で、荒尾競馬は11月現在で28億9100万円を売り上げるなど好調なことも報告された。(朝日新聞)

川崎競馬のナイター開催売上が5.8%減、景気の落ち込み響く/神奈川

 県川崎競馬組合は、2010年のナイター開催(3~12月)の開催実績を公表した。前年と同じ50日間の開催で、総入場者数は26万7548人(前年比20・2%減)、総売り上げは333億2879万7600円(同5・8%減)だった。

 1日当たりの入場者数は5351人、売り上げは6億6657万5952円。同組合は「景気の落ち込みに加え、猛暑やサッカーのワールドカップ(W杯)開 催などもあって入場者、売り上げともに減少した」と分析。今月には横浜市中区に会員制の場外発売所「ジョイホース横浜」もオープンしており、「効果に期待 するとともに今後もファンサービスを充実させていきたい」と話している。(カナコロ)

2010年12月23日木曜日

佐賀競馬の廃品活用 馬ふん肥料 好評


 鳥栖市の住民グループ「ベネッセの会」(永友恵子代表)が、佐賀競馬場(同市江島町)の厩舎(きゅうしゃ)から出る馬ふんを原料にした肥料づくりに取り組んでいる。栄養を付けてコースを駆け回る競走馬たちだけに健康状態は申し分なし。利用者の評判も上々で、肥料づくりは“快走中”だ。

 県競馬組合によると、同競馬場には現在539頭の競走馬がおり、出るふんは年間4トントラック約1400台分。JAを通じて処理を委託しているという。

 肥料づくりは、同会が県の地球温暖化防止の取り組み「緑のカーテン」に参加し、環境に関心を持ったのがきっかけ。永友さんの夫が同競馬場で働いていたこともあり、馬ふんを利用した肥料づくりを思い付いたという。競馬場厩舎が、無料でふんを提供してくれることになり、厩舎の一角で2年前から取り組み始めた。

 集めたふんは、9月末からシートをかぶせ自然乾燥。時折、重機などを使ってかき混ぜながら約3カ月間置き「におわなくなってきたら完成の目安」という。

 これまで年間約6トンを製造。現在は、出来た肥料を競馬場周辺の約35の個人や団体に無料で配っているが、「馬ふんに含まれたわらで土がふっくらになった」「雑草が生えにくく、ミミズがよく繁殖して作物の育ちがいい」と好評。

 評判を聞き付けた周辺の人たちからも配布の依頼があり、今年は製造量を約10トンに増やす。間もなく完成予定だ。永友さんは「鍛えられた馬たちだけに肥料として予想外に適していた。環境改善にもつながる上に、皆さんに喜んでもらえてやりがいがある」と話す。(西日本新聞朝刊)
【写真】馬ふんにシートをかぶせ肥料づくりに取り組む「ベネッセの会」のメンバーたち

競馬場視察し 増収策を協議 経営検討会議

 岩手県などが設置した有識者会議「岩手競馬経営の将来方向検討会議」は22日、奥州市の水沢競馬場を視察し、市江刺総合支所でファン拡大策などを話し合った。
 会議のメンバーは藤井克己座長(岩手大学長)ら10人。2012年度をめどに日本中央競馬会(JRA)の電話投票システムで地方競馬の馬券が購入できるようになるため、会合では「JRAとの連携を密にしたレース時間の設定が好ましい」「薄暮レースの拡大やナイターレースの開催に取り組むべきだ」などの意見が出た。
 会議は来年5月まで計8回の会合を持ち、提言をまとめる。
 岩手競馬の開幕から今月20日まで114日間の売上額は170億9600万円で、売り上げの減少に伴い9月に修正した計画を1億5100万円(0.9%)下回っている。(河北新報)

2010年12月17日金曜日

全国女性ジョッキー戦、荒尾競馬所属の岩永騎手初V


 全国の中央、地方競馬の女性騎手が覇を競うレディースジョッキーシリーズ2010の最終ラウンドが16日、荒尾市の荒尾競馬場で行われ、荒尾競馬所属の岩永千明騎手(28)が逆転で初の総合優勝を飾った。

 競馬人気の盛り上げと女性騎手育成を目的に始まり、5年目。女性騎手9人が11月6日の金沢競馬場から名古屋、荒尾と転戦し、最終日のこの日は2戦して総合ポイントを争った。

 岩永騎手は名古屋が終わった時点で総合6位だったが、荒尾競馬場で2戦続けて1位になった。「地元なので落ち着いて乗れたのが良かった。荒尾のファン、調教師の先生のおかげです」と涙ながらに喜びを語った。

 競馬場によると、荒尾競馬のこの日の売り上げは1億円強と、いつもの約1・5倍に上り、存廃の危機もこの日だけは遠のいたかのように、関係者の表情は明るかった。(読売新聞)
【写真】初の総合優勝を喜ぶ岩永騎手(荒尾競馬場で)

笠松競馬存続へ役立てて 賞金基金100万円寄付


 今月設立が決定した笠松競馬の賞金基金に、笠松町商工会の2人が16日、計100万円を贈った。基金は、経営難のため削減されるレース賞金を補うのが目的で、今回が寄付第1号。

 寄付をしたのは松原登士弘名誉会長(83)と山下定良会長(67)。松原名誉会長から70万円、山下会長から30万円が笠松町の広江正明町長に手渡され、町長からは感謝状が贈られた。

 松原さんは「競馬場は小さいころから見に行った思い出の場所。新聞で基金の存在を知り、存続のために役立ててほしいと思った」と話し、広江町長は「大変ありがたい。他の方にもご賛同いただければ」と感謝していた。

 基金設立は6日の県地方競馬組合議会で決まり、本年度の目標は100万円としていた。(中日新聞)

2010年12月16日木曜日

笠松競馬のてい鉄でリースやしめ縄 ご利益あり?


 【岐阜】笠松競馬(笠松町)で働く調教師の家族らで作る「愛馬会」(後藤美千代代表)が、てい鉄を使ったクリスマス用リースや正月のしめ縄を作り、レース開催日に競馬場内の売店で販売している。

 てい鉄はいずれも実際にレースに使われたもので、一つ一つすり減り方などが違う。これらを使って、愛馬会の会員が手作業でオリジナルグッズに仕立てた。グッズの収益は、レースの協賛金として賞金の一部に充てられる。

 馬車が走っていた時代には、馬が落としたてい鉄を拾って玄関に飾る風習があったらしい。欧米でも魔よけや幸運を呼ぶお守りとされたといい、後藤代表は「ぜひ一度手にとって見てほしい。レース前に買うと『御利益』があるかも」と話している。(毎日新聞)
【写真】てい鉄を飾り付けたオリジナルグッズ

2010年12月12日日曜日

名古屋競馬、6年ぶり赤字転落へ 廃止論、再浮上の恐れ

 名古屋競馬(名古屋市港区)が今年度、6年ぶりに赤字に転落する見通しになった。馬券収入で地方財政に貢献したのは昔の姿。近年は経営難にあえぐ。日本中央競馬会(JRA)との馬券相互販売や親子向けイベントで「すそ野拡大」を目指す。

■不況直撃 入場者数も減少

 名古屋競馬を運営する県競馬組合によると、今年度の入場者数は10月末までに52万1212人(前年度同期比94.1%)、馬券販売額は74億4957万円(同84.2%)。わずか200万円の黒字だった2009年度の収入を下回るのは避けられない状況だ。

 名古屋競馬は1948年に公営競馬として始まり、これまでに600億円以上を県や名古屋市などに「献上」してきた。しかし、バブル崩壊後の92年度に赤字になり、04年度には累積赤字が40億円超にふくらみ、一時は廃止も取りざたされた。

 人件費を抑えたり、駐車場用地を売却したりした結果、05年度に単年度黒字に転換した。馬券売り場の設置基準を緩和する構造改革特区を国に申請し、名古屋市中区の繁華街に「ミニ場外馬券売り場」を設置。売り上げが伸びた。同年度からわずかながら黒字が続き、累積赤字は約37億円まで縮んでいた。

 再び赤字に転落する危機に、組合の担当者は「リーマンショックによる不況が一番の要因だ」と話す。入場者も、1人当たりの売上金も減った。過去最低だった09年度の1日1万6600円を、今年度はさらに1割以上下回り、同1万4600円にとどまっているという。

 東海地方では笠松競馬(岐阜県笠松町)が赤字で存廃の岐路に立つ。名古屋競馬も赤字転落で廃止論が再び浮上する可能性がある。

■集客へ、子ども乗馬体験も

 経営改善に向け、関係者が期待を寄せるのが、JRAと地方競馬全国協会の馬券相互販売だ。現在はネット上の別々のサイトからしか馬券を買えないが、JRAのサイトから地方競馬の馬券も購入できるようにする。

 名古屋競馬は02年に馬券のネット販売を開始。販売額の割合は、06年度の11%から10年度(10月末現在)の25%へと急伸した。JRAとの連携で馬券の販売チャネルが広がり、売り上げに貢献しそうだ。ただ、システム整備の都合で、相互販売が実現するのは早くても12年からという。

 何とか競馬ファンを増やせないかと、今年度は新たな試みも続けている。今月1日には女性騎手の日本一を決める「レディースジョッキーシリーズ」を開催。レースがない日には、子どもが誘導馬やミニチュアホースに体験乗馬できるイベントも開いている。担当者は「理想を言えば、競馬場に直接、足を運んでほしい。『古い』『年寄りばかり』といったイメージを根本的に変えたい」と話している。(朝日新聞)

2010年12月11日土曜日

蹄鉄グッズ、県庁で販売 笠松競馬、調教師の妻ら


 財政難にあえぐ笠松競馬(羽島郡笠松町)の盛り上げに一役買おうと、調教師の妻らでつくる「愛馬会」のメンバーらが10日、競走馬の蹄鉄を使って手作りした正月飾りやクリスマスリースを県庁で販売した。

 蹄鉄グッズは、レース開催日に競馬場内の愛馬会売店で販売しているが、競馬場のPRを兼ねて、昨年に続いて出張販売を企画した。収益は、レースの協賛金に役立てる。

 販売したのは、競走馬がレースや調教で使用した蹄鉄や、花もちなどをあしらったしめ飾りや熊手、クリスマスリースなど約60個。調教師の妻が一つ一つ手作りし、蹄鉄は、馬頭観音をまつる山県市の甘南美寺で厄よけの祈とうも受けた。

 笠松競馬は当面の存続が決まったものの、経営をめぐる環境は厳しさを増している。この日は、愛馬会のメンバー4人と県地方競馬組合、県笠松競馬支援室の職員らがチラシを配り「競馬場に足を運んで」と呼び掛けた。愛馬会の柳江さつきさん(49)は「一人でも多くの人に競馬場に関心を持ってもらいたい」と話した。(岐阜新聞)
【写真】蹄鉄を使って手作りした正月飾りをPRする愛馬会のメンバー=県庁

2010年12月7日火曜日

騎手や調教師の給与削減

 福山市は6日、福山競馬の調教師や騎手たちの給与に当たる賞典奨励費を2011年3月までに約2千万円削減すると発表した。市は既に10年度下半期の賞典奨励費を約1100万円減らしており、今回の削減で通年の収支が黒字化する見通しという。

 11日〜11年3月28日の開催28日間で、(1)1着賞金を約1200万円(2)出走奨励金を約350万円(3)馬主会への奨励金を約400万円—それぞれ削減する。

 福山競馬の10年度上半期収支は、市施設整備等基金からの繰り入れを含め1864万円の赤字。今回の減額に加え、下半期に前年度並みの収入を確保できれば、赤字は全額相殺できる見通しという。

 ただし、市営競馬検討委員会は9月、基金からの繰り入れを除いた「実質収支の黒字」を継続条件として答申している。(中国新聞)

競馬で5重賞単勝式馬券を発売

 JRAは6日、5重賞単勝式発売に関する詳細を発表した。あらかじめ指定された5レースの1着馬すべてを当てる馬券で、名称は「WIN5」(ウインファイブ)。11年4月24日の開催(発売は23日)からスタートする。発売単位は1口100円からで、最高払戻金は100円につき2億円となる。インターネット投票のみの購入可能で、購入者が予想する「完全セレクト」、コンピューターが選ぶ「ランダム」、この2方式を利用する「一部セレクト」の3種類で、発売票数を合算して払戻金を算出する。(デイリースポーツ)

福山競馬 今年度黒字

 約20億円の累積赤字を抱えて存廃の岐路に立たされている福山市営競馬について、羽田皓市長は6日の市議会代表質疑で、施設整備などのために設けた基金からの繰り入れで2010年度収支は黒字を確保できるとの見通しを明らかにした。しかし、有識者らの検討委が11年度以降に事業を継続する条件とした、基金繰り入れを除く実質収支での黒字確保には至っておらず、羽田市長は今後の運営方針については明言せず、存廃の結論は年明けに持ち越される見通しとなった。

 市は経費削減のために10月、騎手や調教師、馬主らの収入となる賞典奨励費のうち、騎乗手当や調教師奨励費を5〜10%減らすなど合理化を図った。今月11日以降は、一部のレースを除いて1着の賞金を一律3万円減額するなど、賞金、出走奨励費を中心に見直しを行う。節減額は10年度末までに計約3100万円となる。羽田市長は「基金繰り入れが前提となるものの、これらの対策で、単年度収支の均衡が図れると思う」と述べた。

 ただ、存続の条件となる実質収支での黒字確保は、厳しい状況が続く。10年度上半期(4〜9月)の赤字額は6448万円に上った。4〜11月の馬券収入は前年度比約5%減で推移しており、11年度予算編成の段階で検討委の示した継続の条件を満たすためには、さらなる経費削減が避けられない。

 市は、実質収支での黒字確保のために、どんな対策が必要か、競馬関係者と協議を重ねているという。羽田市長は、競馬の運営方針について「実質収支の黒字確保が客観的に可能か、諸条件を検討、検証して総合的に判断したい」と述べるにとどめた。

 市営競馬の調教師や騎手でつくる県調騎会の渡辺貞夫会長は「私たちにも生活があり、削減額に限りはあるが、競馬の存続は関係者の一致した思い。市にも事務的な経費削減などで痛みを分かち合ってもらい、振興策を話し合いたい」と語った。(読売新聞)

笠松競馬、賞金確保へ「基金」創設 ファンの寄付金募る

 笠松競馬(羽島郡笠松町)の存廃問題で、本年度の赤字補てん策として賞金・手当総額の15%カットを決めた県地方競馬組合は6日、レースの魅力確保のために賞金・手当向けの寄付金を積み立てる「賞金基金」を創設した。本年度の寄付目標額は100万円。全国の競馬ファンや企業、地域住民らの協力を期待しており、近く募金を始める。

 地方競馬全国協会(東京)によると、全国に16ある地方競馬の主催者のうち、高知競馬(高知県)を運営する同県競馬組合が2007(平成19)年に重賞レースの賞金に充てる支援金を募った例はあるが、基金を設けて継続的に募金活動を行うのは笠松が初めて。

 同日の組合議会で賞金基金を新設する条例改正案が可決された。組合の朝倉芳夫管理者代行は「ファンや県民の募金で少しでも増額したい」と説明。寄付者名をホームページで公表したり、入場招待券を配る特典を検討する。

 賞金・手当総額は03年度は19億2000万円あったが、05年度は10億8000万円に減少、その後も回復していない。本年度は当初予算に10億7000万円を計上していたが、組合議会で15%カットを盛り込んだ補正を正式決定した。(岐阜新聞)

2010年12月3日金曜日

蹄鉄クッキー 笠松売り込め


 地方競馬の大井競馬場(東京都品川区)で2日、笠松競馬の厩務(きゅうむ)員6人が、笠松町にちなんだ「蹄鉄(ていてつ)クッキー」800個を配る。

 「蹄鉄クッキー」は、笠松中学校の生徒のアイデアを元にして作られたお菓子。蹄鉄の形をしており、町内の菓子店が製造し販売している。

 笠松競馬の厩務員十数人でつくる「厩務員クラブ」が、大井競馬の厩務員と交流している縁で企画した。大井競馬ファンへのサービスと笠松競馬のPRのほか、笠松町の地元企業からクッキーを購入することで地元への貢献と「一石二鳥」ならぬ「三鳥」を狙うという。 (朝日新聞)
【写真】蹄鉄クッキー

馬券の相互発売、2年後めどに拡大 中央・地方競馬

 日本中央競馬会(JRA)、地方競馬全国協会(NAR)、全国公営競馬主催者協議会は2日、東京都内で記者会見を開き、2年後をめどに中央・地方で馬券の相互発売を拡大させると発表した。

 パソコンなどを使って投票するJRAのPAT会員が、地方競馬のダートグレードレース(地方・中央の交流戦)を中心にした主要レースの馬券を買えるようになる一方、地方の競馬場ではJRAのレースの馬券を現金で購入する場が増える。

 JRAのPAT会員は約300万人おり、売り上げが低迷する地方競馬にとっては人気回復の起爆剤になる可能性を秘める。

 これまで地方競馬の各主催者は個別に馬券の発売システムをつくっていたが、地方競馬側が同一の共同システムを導入するため相互発売が拡大できるようになった。どのレースを発売するか、どの地方競馬場がJRAの馬券を発売するかなどの細部はこれから決めていく。(朝日新聞)

中央・地方競馬 相互発売を拡大へ

 全国公営競馬主催者協議会、JRA、NARは2日、都内で会見を開き、中央・地方競馬相互発売の拡大策を発表した。双方の売り上げ増加、地方競馬の収益改善、競馬界全体の活性化などが目的。

 JRAは電話投票会員を対象に地方開催のダートグレードや主要重賞などを発売。地方が新たに予定している共同トータリゼータシステムに接続するためのシステム改修が必要で、12年度内の発売開始を目標としている。発売日、発売競走などは年度ごとの委託契約によって決定される。

 一方、地方は競馬場や場外の発売施設を活用。現在はJRAが地方施設7カ所の一部に発売機器を設置、職員を出張させ発売しているが、今後はJRAと地方競馬各主催者が委託契約を結び、両者のシステムを接続しての発売が可能となる。地方主催者は今後、個別にJRAと折衝するため現段階では発売内容などは白紙。また、施設ごとに地元調整や映像などのインフラ整備、農水相の承認が必要。11年度内をメドに個別契約や諸条件をクリアしたいと考えている。 (スポニチ)

2010年12月1日水曜日

県地方競馬組合:賞金・出走手当、15%削減で大筋合意 笠松競馬、当面存続

 笠松競馬(笠松町)を運営する県地方競馬組合は30日、収支均衡策について馬主や調教師ら現場関係者と協議し、賞金・出走手当の削減幅を当初示していた40%から15%に抑えることで大筋で合意した。馬券の売り上げ減少による財政難で存廃が再び議論されていたが、これで当面の存続が決まった。

 同競馬は今年度、3億1500万円の単年度赤字を出す恐れがある。収支改善のため組合は今年度残り4カ月の賞金と手当の4割、約1億4600万円を削る案を示したが、関係者が反発していた。

 そこで、組合は現在6600万円ある財政調整基金を全額取り崩すのに加え、施設整備の借金返済などのため別に積み立てた基金も一部取り崩し、賞金と手当からの削減額を5400万円にまで抑えることにした。

 この合意内容を基に組合は12月、組合の議会に補正予算案を提出する。各賞金・手当の削減幅については今後、馬主や調教師、騎手らが協議し、実際の削減は来年1月から始まる見込み。

 組合管理者の広江正明・笠松町長は「競馬を続けるという大義の下、受け入れてもらった。これでファンが安心して、笠松競馬を応援してくれるとありがたい」と話した。

  ◇  ◇

 当面存続が決まった笠松競馬だが、環境は厳しい。11月末時点の1日当たりの売り上げは前年同期比92%の1億1100万円。05~09年度の5年間猶予されていた地方競馬全国協会への交付金支払いも今年度から再開し、今年度の支払額は6000万円と見込まれる。猶予額3億1800万円も13年度から10年間で払わないといけない。組合の最大構成団体の県の担当者は「良いレースを他の競馬場での開催が少ない曜日に開くなど、売り上げ増加のため工夫していきたい」と話している。(毎日新聞)

笠松競馬:当面の存続決まる…騎手ら賞金15%減で合意

 笠松競馬(岐阜県笠松町)を運営する岐阜県地方競馬組合は1日、騎手や馬主、調教師ら現場関係者や地元関係者、識者を集めた運営推進協議会を開き、レースの賞金・出走手当の削減幅を当初提案していた40%から15%に抑えた収支均衡案を示した。現場関係者は事前協議でこの案を受け入れており、笠松競馬の当面の存続が決まった。

 組合によると、笠松競馬は今年度、最悪で3億1500万円の単年度赤字を出す恐れがある。このため賞金と出走手当を今年度残り4カ月で約5400万円削減する一方、自由に使える財政調整基金の6600万円と、施設整備の借金返済などのため別に積み立てた基金を約7000万円取り崩す。

 出席した騎手や馬主、調教師からは「不満だが、存続のために受け入れた」「組合は削減だけでなく、売り上げ改善に取り組んでほしい」との意見が出た。(毎日新聞)

笠松競馬、当面は存続 組合と馬主ら賞金15%減で合意

 岐阜県笠松町の笠松競馬存廃問題で、赤字補填(ほてん)のため本年度の賞金・手当の40%削減を提示していた主催者の県地方競馬組合は30日、同競馬場で馬主ら競馬関係者と会合を開き、削減率を約15%に引き下げ、基金も取り崩す再建案で合意した。これにより、同競馬場の当面の存続が確実になった。

 合意を受け組合は再建案を基に補正予算案を編成。12月1日の笠松競馬運営推進協議会に提示する。予算案が6日の同組合議会で可決されれば、正式に存続が決まる。

 再建案では、本年度の賞金・手当の14・8%に当たる5400万円を削減。残りの不足分は赤字補填に使える財政調整基金6600万円をすべて投入、場外馬券売り場「シアター恵那」(同県恵那市)の借金返済のための基金なども一部取り崩す。

 本年度の売り上げを108億円と想定し、それ以上の売り上げが出れば、競馬関係者に還元する方針。笠松競馬は急激な売り上げ減を受け、本年度1億円を超える赤字の見通し。組合は賞金・手当を40%削減する案を提示したが、関係者は基金の取り崩しを求め調整が続いていた。

 組合は財政調整基金の全額投入を前提に、シアター恵那の資産価値を算出。新たな税金投入にならない範囲で基金の取り崩しを認めた。組合管理者の広江正明笠松町長は「競馬関係者の『血を流しても存続する』という決意を感じた」と話した。(中日新聞)