2010年11月9日火曜日

笠松競馬「賞金・手当4割削減」 廃止回避へ県組合提案


◆本年度赤字は想定の3倍、3億円前後見込む

 県地方競馬組合は8日、笠松競馬(羽島郡笠松町)の上半期の収支実績に基づく本年度の決算見通しは、これまでの想定の3倍近い3億円前後の赤字で、競馬廃止を回避するにはレースの賞金と馬主や騎手らへの手当の総額を12月から来年3月までの4カ月間、40%削減することが必要だ、と関係者に提案した。
 同日の笠松競馬運営推進協議会で示した。古田肇知事は赤字の補てんに税金を投入しない考えを表明しており、組合は補てんに使える財政調整基金6600万円の範囲内で収支を保つには大幅な経費削減が必要と判断した。
 協議会に出席した古田知事は「急速に馬券販売が落ち込む中、競馬を守るために最悪のシナリオを考えてどう乗り越えるか、ぎりぎりのシナリオを検討する必要がある」と理解を求め、関係者と調整できれば今月末にも開く組合議会に提出する補正予算案に反映する考えを明らかにした。
 これまでは馬券発売額をもとに、本年度収支を1億円〜1億1700万円の赤字と見込んでいたが、ほかの競馬場の馬券を発売することで入る受託収入が予算より7900万円(13%)落ち込む見通しであるなど、ほかの要素も加味して試算。
 その結果、馬券発売額が10月末までの1日当たり前年同期比8.3%減のまま推移すると赤字は2億8500万円に、最悪のケースの同10%減だと赤字は3億1500万円に膨らむと見通した。
 賞金・手当の総額は本年度予算で10億7000万円を占め、開催経費の中では馬券の払戻金に次ぐ規模。4カ月間、40%削減することで1億4600万円をねん出できるという。
 組合は、馬券発売額が本年度を下回ると想定した場合、来年度も収支は3億500万円〜4億6600万円の赤字が見込まれるとして、賞金・手当は12〜28%のカットを続けることが必要と指摘。経費削減のためレース数は維持しつつ、競馬の開催日数を本年度の101日から来年度は95日に減らすことも提案した。
 賞金・手当の総額(決算ベース)は、2003(平成15)年度は19億2000万円あったが、存廃論議が浮上したことで05年度は10億8000万円に減少するなど、すでに4割以上削っていた。その後も回復していない。
 県は同日、笠松競馬の地域貢献度として10月時点で、952人の雇用と年間99億4300万円の経済波及効果がある、とする試算も示した。(岐阜新聞)
写真:笠松競馬運営推進協議会の冒頭、あいさつする古田肇知事=8日午後、羽島郡笠松町役場