2010年11月11日木曜日

金沢競馬 存続へ “本命”の振興策なし


止まらぬ入場者減 評価委 『長い目で判断』

 二〇一一年度以降も存続される見通しが濃厚となった金沢競馬。しかし、このまま売り上げの減少が続けば、競馬事業の赤字に補てんできる基金が枯渇するなど問題は山積している。金沢競馬の関係者は、具体的な振興策がないまま事業が継続できるのかと、不安をのぞかせた。

 県庁で十日開かれた第四回金沢競馬経営評価委員会。県競馬事業局は、一〇年度現在で県と金沢市合わせて約二十四億円の基金があることを報告した。一方、毎年7%の収益減が続いている現状で、事業を廃止した場合に競馬関係者に支払う補償金六億〜十二億円を見込めば、三年後の一三年度に基金が枯渇することも明らかにした。

 委員会ではまた、同競馬の関係者らに対する意見聴取も行われた。席上、調教師や騎手でつくる「県調騎会」は、県に対して競馬専門の職員を養成することや、競馬開催を現在の四月から三月に早めるなどの振興策を提案した。
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 委員会に出席した同会の田嶋弘幸会長は存続の可能性が見えたことに「具体的な振興策が何もない。素直には喜べない」と複雑な心境をのぞかせた。

 県競馬事業局は、経営改善計画期間だった〇七〜〇九年度の三カ年で人件費や経費の削減などに取り組み、最初の二年間は黒字化とした。一方で、自場での馬券発売額の落ち込みには歯止めがかからず、入場者も年々減少している。

 新たな振興策として、現在開発が進んでいる日本中央競馬会(JRA)との共同馬券新システムや南関東地区の在宅投票システム「SPAT4」へ参入する計画もあるが、実現は早くて二年後。こういった取り組みを含め、委員会は「経営改善の余地はある」とし、今後は「(存廃判断は)五〜六年の長い期間で見た方が良いのでは」といった声もあった。(中日新聞)