2011年6月18日土曜日

岐南に場外舟券売り場


誘致計画再浮上 隣接市町が懸念

 岐南町上印食(かみいんじき)に競艇の場外舟券売り場(ボートピア)を誘致する計画が再浮上し、岐南町と隣接する笠松町や岐阜市を巻き込んだ議論となっている。笠松競馬場を運営する県地方競馬組合は16日に県庁で開かれた臨時議会で、「事業に影響が出る」として設置反対の決議を採択。岐阜市議会でも岐阜競輪場への影響について、市幹部が「競輪ファンの一部が流れる」と答弁するなど、競馬や競輪事業の収益悪化を懸念する声が出ている。
 ボートピアを巡っては、2009年にも今回と同じ場所で計画が持ち上がり、町内の企業が建設を目指したが、同年7月の自治会投票で反対が多数を占め、頓挫した経緯がある。現在は、今年2月に地元の一部住民から「地域活性化を目指す」として町議会に誘致を求める請願書が提出され、議会は特別委員会を設置、誘致の賛否を審議している。
 建設は昨年12月に設立された事業会社「アクアフォルテ」(岐南町)が、笠松競馬場から北約2・5キロの岐南インターチェンジ北東付近で行う予定。計画によると、施設は2000~3000平方メートルの敷地に約15の発売窓口を想定している。
 1日平均1500人の利用客と年間約70億円の売り上げを見込み、同社は「売り上げの1%を環境整備の協力金として町に提供する。防犯対策などでも地域と協議したい」としている。だが、町によると、具体的な設置時期や詳細な建設場所は未定。予定地には廃業したパチンコ施設や畑などがあり、誘致を呼び掛ける看板なども見当たらない。
 町議会では特別委員会が開かれ、「防犯や教育の点から住環境が悪化する」とする反対意見も出ている。広江正明・笠松町長も近隣にボートピアがある全国の4競馬場で、売り上げが平均4・5%減ったとして「競馬関係者は一丸となって笠松競馬の経営再建に取り組んでいる。建設は認められない」と強調する。
 16日開かれた岐阜市議会でも、大見富美雄・行政部長が「競輪ファンの約17%は競艇との重複ファンという調査結果もある。競輪事業に影響が出ることは避けられない」と懸念した。
 一方、地元の松原秀安・岐南町長は賛否を明らかにしていない。県地方競馬組合の臨時議会に出席した3人の岐南町議も異議を唱えなかった。町議会は22日に6回目の特別委員会を開き、誘致の是非を検討する。(読売新聞)
【写真】建設予定地とされる岐南町上印食地区の一角