2011年6月6日月曜日

国内最年長記録を更新 金沢競馬・山中騎手


 金沢競馬所属の騎手山中利夫さん(61)が5日、同競馬場で開催の第10レースにトワイニングイモン号に騎乗し、中央、地方歴代で国内の最年長騎乗記録となる61歳10カ月25日を樹立した。節目のレースは通算1万7千回騎乗目。レース後、同僚騎手らから偉業達成をたたえられた鉄人は「前人未到の記録をまだまだ積み重ねたい」と、泥だらけの顔に笑みを浮かべ決意を新たにした。

 中央競馬の歴代最年長は2005(平成17)年に引退した岡部幸雄騎手の56歳。地方競馬では、地方競馬全国協会(NAR)が確認している範囲では、1996年に引退した福山競馬(広島県)の津曲(つまがり)照男騎手の61歳10カ月21日だった。

 10頭が出走した第10レースで、山中さん騎乗のトワイニングイモンは9番人気。後方からの追い込み及ばず9位で入線した。最後の直線で歯を食いしばってむちを振るった山中さんの姿に、30年以上の競馬ファンである白山市内の男性(66)は「諦めないのが山中さんらしさ。同年代として胸が熱くなる」とエールを送った。

 山中さんは大阪府岸和田市出身。67年に地元の春木競馬場でデビュー後、80年に金沢競馬に移り、85年にはリーディングジョッキーに輝いた。

 今も貪欲に勝ちを狙う姿は、10年度に5年連続5度目のリーディングジョッキーに輝いた吉原寛人騎手(27)をはじめ、若い騎手たちが範とする。吉原騎手は「あの年齢まで騎乗できることが信じられない。息の長い騎手も目指す自分にとって尊敬できる大先輩」と、精神的、体力的に過酷なレースに挑み続ける姿に驚く。

 レースを終え、検量所で山中さんを待っていたのは、記念の花輪を持った職員と祝福する同僚騎手だった。「おめでとう」と声を掛けられた山中さんは、馬券に絡むことができなかったレースを反省し、照れくさそうに花輪を首に掛けた。「今日も無事走り切れた。これからも一日一日積み重ねていくだけや」と、いつも通りの勝負師の表情を浮かべた。

 石川県競馬事業局は、山中さんの記録を記念し、12日に金沢競馬場で記念セレモニーを開く。時間は未定。(富山新聞)
【写真】第10レースに騎乗した山中さん=金沢競馬場