2012年5月27日日曜日

新人女性騎手、佐賀競馬で夢紡ぐ 廃止の荒尾から移籍


 佐賀競馬で15年ぶりとなる新人女性騎手がレース場を駆けている。熊本市出身の小山紗知伽騎手(18)。荒尾競馬が廃止となり、地元で果たせなかった夢の続きを描こうと、先輩たちにもまれながらたづなを握っている。
幼い頃から、獣医師や盲導犬の訓練士を夢見るなど動物が好きだった小山騎手。中学3年の秋、「馬に乗って自由に走り回りたい」という思いが高じてジョッキーの道を選択した。中学卒業後は地方競馬教養センター(栃木県)に入り、荒尾競馬で実習も経験。いずれは愛着のある競馬場に行くはずだった。
しかし、地方競馬が軒並み不況にあえぐ中、80年以上の歴史があった荒尾競馬も累積赤字を抱え、昨年12月で廃止。「見えかけていた目標がシャットアウトされ、どん底の気持ちになった。先が見えなくて不安だった」と小山騎手。そんな折、荒尾競馬で所属する予定だった厩舎が佐賀競馬へ移籍したことに伴い、自身も佐賀の地に身を置くことが決まった。
4月7日にデビュー。翌日に初勝利を飾った。これまで41戦に臨み、3勝を挙げた。「パドックで『がんばれ』と声をかけてもらったり、いいレースをした時は『また逃げ切れ』と言ってくれる。お客さんとの距離が近い」。もっと成長して、佐賀競馬を盛り上げたい。「地方競馬がなくなる苦しさは、もう誰にも味わってほしくないから」。(佐賀新聞)