2012年7月16日月曜日

最年長、63歳の山中騎手 45年の現役生活に別れ


 国内最年長ジョッキーの金沢競馬の山中利夫騎手(63)が15日、金沢競馬場(金沢市八田町西)で行われた引退レースに出走し、45年に及ぶ現役生活に幕を下ろした。
山中騎手は大阪府岸和田市出身。1967年、17歳で同市の旧春木競馬場でデビューし、79年に金沢競馬に移籍、翌年から数々の名騎乗を見せた。通算成績は1万7116戦2812勝で、今年5月には、62歳9か月で国内最年長勝利記録を達成している。
この日は第1レースに出走し、4番人気のブライアンズメテオ(牡4歳)に騎乗した。序盤は先頭グループに位置していたが引き離され、最後のレースは10着だった。
引退セレモニーで、山中騎手は「金沢競馬場のファンの皆様、長い間、ありがとうございました」と、感極まったように、震える声であいさつ。深々と頭を下げると、集まったファンからは「ご苦労さん」「ありがとう」などと声をかけられ、盛大な拍手に包まれた。
その後、山中騎手は報道陣の取材に応じて、「3、4年前からもう体力の限界だった。思い残すことはない。この年までくれば、潮時」と振り返った。ブライアンズメテオは、5月に国内最年長勝利記録を達成した際にも騎乗しており、「いつもかわいがっていた。最後に思い出深い馬で出走できてよかった。なんにも悔いはないね」と爽やかに話した。今後は、一ファンとして、競馬を楽しむという。
引退セレモニーでファン代表として花束を手渡した、金沢市畝田東、会社員冨田千秋さん(48)は「歯を食いしばって、必死の表情で追い上げて行く姿が印象的だった」と話していた。(読売新聞)
【写真】長年の活躍をたたえて引退セレモニーで花を贈られた山中騎手(中央)