2008年9月4日木曜日

社保庁ヤミ専従で41人を懲戒処分 関与者は140人に

 社会保険庁は3日、給与をもらいながら組合活動に専念するヤミ専従問題に何らかの責任のある職員が、平成9~19年の10年間で黙認した管理職などを含め140人で、不正受給した給与総額が約8億3000万円に上ると発表した。このうち現役職員41人を同日付で減給(2割)2~3カ月の懲戒処分とした。
 退職者99人には減給相当額の自主返納を要請するほか、ヤミ専従の実行者30人には不正受給した給与の返納を求めることを決めた。社保庁によると、国家公務員法に基づきヤミ専従職員を懲戒処分にするのは今回が初めて。
 処分を受けた41人は、社保庁の年金部門を引き継ぐ日本年金機構には採用されない。政府管掌健康保険部門を引き継ぐ全国健康保険協会の内定者はいなかった。
 140人の内訳は、(1)東京、大阪、京都の3社会保険事務局の実行者30人(うち退職者2人)(2)ヤミ専従に誘った職員2人(同1人)(3)ヤミ専従を見逃してきた直属の管理職69人(同59人)(4)監督責任を問われた社保庁長官や本庁の職員課長ら41人(同39人)。うち、(3)と(4)で退職者2人が重複。
 不正給与が最も多額なケースは7年3カ月分の約6500万円。最少は1年3カ月分の約900万円だった。
 社保庁は、勤務評定や給与支給事務を担当した職員の責任の有無についても調査する予定。厚労相直属の「服務違反調査委員会」は全職員を対象に再調査を進めており、懲戒処分者は今後増える可能性もある。
 最大労組で連合傘下の全国社会保険職員労働組合(旧自治労国費評議会)は3月に組合員27人分の全額返納を表明。残る3人が所属する全労連系の全厚生労働組合は「社保庁の説明を受けてから対応を決める」としているが、1人が事実関係を認めておらず、訴訟に発展する可能性もある。(産経新聞)