2013年12月5日木曜日

乗馬楽しい、障害児に笑顔 横浜のNPOが取り組み

   乗馬を通じて、障害児が「非日常」を楽しみ、社会性を養っていく。そんな取り組みが県内で続いている。

 「顔上げて、顔だよ」。横浜市神奈川区、三ツ沢公園の馬場で、東京都大田区特別支援学校中等部3年、長島ひかる君(15)にボランティアが声をかけた。長島くんが頭を持ち上げると、「そうだよ、周りがよく見えていいね」と歓声を上げた。
 NPO法人RDA横浜が行う障害者のための乗馬レッスンだ。両脇から長島君の体を支えるなど計4人でサポート。後ろに寝転がったり、腕を後ろに回して背中を反らせたり、馬上でストレッチもする。
 長島君は、脳性マヒのため、会話や歩行が難しい。通い始めた小学部2年のころは乗っかっているだけだったというが、今では前に進むときは「すー」と声が出るようになった。発進の合図「進め、ポン」の最初の言葉だ。
 「重度の障害だと、学校と家の往復だけで、経験値が低くなりがち。乗馬に通い、『特別なことやってるんだ』という自信が育ってきた」と母の直子さん(49)は言う。
 RDA横浜のレッスンには、知的や身体、発達障害など様々な個性をもつ56人の子どもたちが通う。乗馬には独特の揺れや姿勢により、筋肉をほぐす、股関節を開くといった作用があると言われるが、理学的な効果は強調しない。「障害の有無にかかわらず乗馬を楽しみ、その中で社会性を育むことが最大の目標」とインストラクターの野口陽さん(41)。
 あいさつする、順番を待つ、馬が驚くので大声や急な動作をやめる、といった決まりを大切にする。
 軽度の知的障害がある門川音男(ねお)君(6)は2年半通ううち、母の景子さん(37)がそばを離れてもパニックを起こさなくなった。怖がりながらも馬にブラシをかけたり、馬具に油を塗ったりできるように。「好きなことを通して少しずつ成長できるのがうれしい」と景子さん。
 レッスンを通じ、ほとんどしゃべらなかったのに「気をつけ、礼!」と号令をかけるようになった。他の子どもの車いすを押すようになった子もいるという。
 大学馬術部出身で獣医師の資格も持つ野口さんは「一口に障害児と言ってもキャラクターは様々。その子に合わせたレッスンを考え、一人ひとりの成長を応援していきたい」と話す。
 RDA横浜の問い合わせはHP(http://www.rda-yokohama.jp/)へ。ボランティアも募集している。(朝日新聞)
【写真】クッションをあてがい上半身を起こすなど、重度の障害でもれるよう工夫している=横浜市神奈川区の三ツ園馬術練習場