2008年12月3日水曜日

景気に不安も 連合、ベア要求決定

 連合は2日、都内で中央委員会を開き、2009年春闘の闘争方針を正式に決定した。デフレから脱したとの認識のもと、物価上昇率に見合う1%台半ばのベースアップ(ベア)を8年ぶりに要求するほか、定期昇給の維持や業績に応じた成果配分の実現などを求める。 高木剛会長は冒頭のあいさつで、1997年からの10年間のうち9年間は賃金が減少しており、07年度水準は97年比で6.4%も低下したと述べ、賃上げの必要性を強調。「09年春闘に労働者の生活と権利、日本の景気回復がかかっている」と、傘下労組に強い姿勢で交渉に臨むよう訴えた。闘争方針では、格差是正に向け、非正規労働者などの賃金水準引き上げや処遇改善に向けた取り組みを強化する方針も明記した。 だが、景気後退により賃上げ余力は乏しい。トヨタ自動車が通期業績予想で営業利益を約1兆円下方修正し、期間従業員を3000人に半減させるほか、日産自動車も派遣社員を4分の1に削減。電機メーカーでもシャープや東芝が非正規従業員の削減を打ち出すなど、有力企業でも業績悪化や雇用調整が進んでおり、産業界からは「賃上げはおろか、雇用維持すらままならない」との声が強い。 こうした状況に対し、同日の会合では労組側からも「経験したことのない非常に厳しい交渉になる」(電機連合)、「月例賃金の引き上げは困難を極めると思う」(私鉄総連)との声もあがった。 09年春闘の賃上げについては麻生太郎首相が1日、日本経団連の御手洗冨士夫会長、日本商工会議所の岡村正会頭ら財界首脳に対し、「雇用と賃金は生活に直結している」と異例の賃上げ要請を行っている。(Fuji-sannkei )