2013年3月25日月曜日

広島・福山競馬、大観衆とラストラン 涙とともに幕




 24日で廃止となった福山市営競馬(同市千代田町1丁目)。大観衆が見守る中、惜しまれながら最後の1日が終わった。
 最終の第12レースは、ファン投票選出の10頭が走った。2頭のデッドヒートになったが、最終直線でビーボタンダッシュが逆転した。三村展久騎手(29)は「歴史に残るレースに勝たせてもらい、馬に感謝している」。今後は大井競馬(東京)に移籍して騎手を続ける。
 レース終了後にはセレモニーが開かれ、羽田皓(あきら)市長が「福山市営競馬には、これまで市の発展に多大な貢献をしてもらった。福山、全国の競馬ファンに支えてもらった」と礼を述べた。
 騎手も全員があいさつし、上着や勝負服を脱いで観客に向かって次々と投げた。モナクカバキチが地方競馬最多の55勝目を挙げたレースで騎乗した岡崎準騎手(52)は引退を決め、「福山競馬を忘れないでください」と述べた。下村瑠衣騎手(19)は「ここが大好きでした」と涙ぐんだ。
 この日は、朝から大勢のファンが来場。開門が予定の午前9時45分より10分早まり、第1レースからスタンドが埋まった。開設当初から通っているという神石高原町の無職、池田米雄さん(85)は「昔のような大観衆で懐かしかった。盛大なお別れ会」と感慨深げ。
 廃止と共に閉店する食堂にも多くのファンが訪れた。親子2代で店を守ってきた坂本食堂の店長、坂本万千子さん(60)は、「この日が来るなんて信じられない。今まで多くの人が食べに来てくれて、ありがたかった」と話した。
 全レースとイベント終了後の午後5時半からは約30分間、馬場が開放された。ファンらは騎手と記念撮影をしたり、サインを求めたりしながら、その土を踏みしめた。(朝日新聞)