2009年4月25日土曜日

全地主での和解難航 笠松競馬場の土地明け渡し請求訴訟

 笠松競馬場(岐阜県笠松町)の土地明け渡しを求めた訴訟の控訴審で、原告地主側が求めていた、訴訟に参加していない地主も含めた和解が難しくなっていることが24日、分かった。和解協議が決裂し、1審同様に土地明け渡しを命じる判決が出された場合、競馬場は廃止される可能性が高い。

 原告地主側は、24日を期限に訴訟に参加していない地主ら65人に訴訟参加を求めていた。しかし、約30人が参加の意思を示さず、約20人は和解の意思を表明したが、訴訟外での和解を求めているという。

 原告側代理人の異相武憲弁護士は「多くの地主の訴訟参加を目標にしていた。これほど反応が悪くては無理して和解することはできない」と厳しい見通しを語った。新たに訴訟への参加を決めた一部地主は、参加を表明していない地主全員に期限を過ぎても参加を呼び掛ける予定という。

 次回の和解協議は、5月18日。

 2月の和解協議で、原告側は土地賃料の値上げ幅の縮小を了承。一方で、競馬場が廃止された場合に土地の境界画定を円滑に行うため、訴訟に参加していない地主の訴訟参加を求め、地主全体での和解を目指していた。

 <笠松競馬場土地明け渡し請求訴訟> 岐阜県笠松町の笠松競馬場を主催する県地方競馬組合に2006年、一部の地主86人が土地の明け渡しや賃料の値上げを求めて提訴。1審岐阜地裁は原告地主らの請求をほぼ認めて組合側に土地の賃料値上げと明け渡しを命じた。控訴審では、名古屋高裁が和解を勧告。原告地主が歩み寄りの姿勢を見せ、和解協議を重ねていた。競馬場が廃止されると、賃料収入が得られず、市街化調整区域のため返還後の土地再利用も難しいなど、地主にとって不利との指摘もある。(中日新聞)