2009年7月31日金曜日

馬券ネット販売が好調 岩手競馬の売り上げ1.5倍


 岩手競馬の勝馬投票券(馬券)をインターネットで購入するネット販売が好調だ。自宅のパソコンや携帯電話から手軽に購入できるため、利用者が年々増加。今季も開幕から7月末までで前年同期の約1・5倍に上る9億9600万円を売り上げた。一方、全体の売り上げは86億2788万円と前年同期と比べ2・3%減少。盛岡、水沢両競馬場の売り上げ減少が影響しており、来場者をいかに増やすかが課題となっている。


 「自宅に居ながら全国の競馬が楽しめる」。仙台市の会社員久我宙志(ひろし)さん(28)はネットで馬券を買う常連だ。本当は競馬場に行きたいが、時間的な余裕もない。こうしたネット志向の若者が全国で増えている。

 ネット上で出走馬情報、オッズ、レース映像などが生中継で視聴できるほか、ネットバンク決済で馬券購入や払戻金の受け取りも簡単。地方競馬全国協会によると、2008年度は4人に1人が自宅で馬券を購入する在宅投票を利用している。

 岩手競馬は06年度からソフトバンクグループ、楽天と業務提携しネット販売を始めた。

 発売額は06年度が9億円(構成比3・1%)、07年度が12億5800万円(同5・3%)、08年度が18億6500万円(同8・4%)。ネット販売は2年で2倍に伸びた。

 県競馬組合もネット販売に力を入れる。スポーツ紙への馬柱掲載や日本中央競馬会(JRA)との競合を避けるためにレース時間を遅らせる薄暮開催を増やすなど全国に岩手競馬を売り込む。

 課題は収益性だ。競馬事業は馬券の的中者に発売収入の75%を払い戻すため、残る25%で開催経費を賄う。しかし、ネット販売は業務提携するネット事業者に12%程度を支払うため、競馬組合の取り分は約半分の13%程度に減る。

 競馬場の今季の売り上げは開幕から7月末までで、自場発売が56億1337万円(前年同期比9・2%減)、他場での広域委託発売が20億1849万円(同2・4%増)と盛岡、水沢両競馬場での発売が伸び悩んでいる。

 競馬組合の宮一夫事務局長は「ネットと自場の両にらみで取り組むが、県内のファンはできるだけ収益率の高い競馬場で買ってほしい」と呼び掛ける。<岩手日報>


【写真=厳しい経営が続く岩手競馬。インターネットで馬券を購入する「ネット販売」は好調だ=盛岡市・盛岡競馬場】