2009年12月16日水曜日

崖っぷちホッカイドウ競馬 札幌開催撤退でも厳しい存続「条件」 前編


すでに経費削減は限界、売り上げ増を達成できなければ、来年度で廃止。
 かつては札幌、旭川、帯広、岩見沢の道内4市を転戦、"ジプシー競馬"と揶揄されることもあったホッカイドウ競馬。
 道がそのホッカイドウ競馬の存廃を決める来年度からは、"ジプシー競馬"が解消され、日高管内日高町の「門別競馬場」で集中開催させることが確定的だ。
 道は昨年3月、08年度以降の3年間で赤字体質を脱却するため「北海道競馬改革ビジョン」を策定した。改革ビジョンには、08年度の赤字額を5億5000万円、09年度は3億円に縮減、10年度にゼロとする数値目標を掲げ、10年度に収支均衡化が図れなかった場合は競馬事業を廃止すると明記した。
 道は施設使用料や輸送費などの経費を削減するため、旭川開催を昨年度で終了させた。今年度は札幌(6日間)と門別(全ナイトレース76日間)の2カ所で開催することで、さらに数億円の経費を削減した。また、今年度限りで札幌競馬場の場外発売を終え、来年度からはJRA(日本中央競馬会)に支払っていた賃料や人件費、清掃費など約1億円を削減する。
 今月15日には、ホッカイドウ競馬のあり方を考える「北海道地方競馬運営委員会」(委員長・佐藤郁夫札幌大学教授)が開かれ、札幌開催を「現状の深刻さを考えた場合、来年度の休止はやむを得ない」と結論付けた。
 ホッカイドウ競馬は1948年、帯広開催を皮切りにスタート。道営競馬として、戦後復興期とともに発展し、53年度には札幌開催が始まった。その後、旭川・岩見沢開催も組み込まれ、ピークの91年度に454億円を売り上げた。初年度から91年度までは、一般会計に総額290億円を繰り入れ、道財政に貢献した。ところが、92年度以降はバブル崩壊による長引く不況やレジャーの多様化などを要因に単年度赤字に転落、08年度の累積赤字は239億円に達した。
 累積赤字が100億円を超えた99年度に存廃議論が浮上、前述したように来年度に存続の是非が決まる。以下、中編に続く。(北海道365)
<写真>門別競馬場のナイトレース(写真提供:北海道軽種馬振興公社)