2009年12月21日月曜日

福山競馬 赤字脱却疾走できるか


 1949年9月に開設された福山市営競馬場(福山市千代田町)は今年、60周年を迎えた。戦後復興期から現在に至るまで、多くのファンに親しまれてきたが、約20億円の累積赤字を抱えるなど、経営を取り巻く環境は厳しい。今年は先行きに不透明感が増した1年となった。
 1月2~4日、1年で最も馬券が売れる正月競馬が行われたが、景気悪化の影響などで、売り上げは前年同期比のおよそ1割減となり、厳しいスタートとなった。2008年度の収支は、基金の取り崩しなどで677万円の黒字をなんとか確保したが、09年度上半期(4~9月)は3834万円の赤字となった。9月には、国内で唯一続いていたアラブ馬の単独レースが、ファンらに惜しまれながら幕を閉じた。
 厳しい状況を打開しようと、県馬主会は2月、専門家やファンを交えたシンポジウム「福山競馬再生会議」を初めて開催。福山市の景勝地、鞆の浦にゆかりのある幕末の志士・坂本龍馬が生まれた高知市の高知競馬との交流レース「海援隊シリーズ」が5月に開催されるなど、関係者一丸となって活性化に力を入れてきたが、光明はまだ見えない。
 市は12月、事業の存廃も含めて議論する、外部の有識者や専門家による「福山市営競馬検討委員会」を10年1月以降に設置する方針を示した。正念場を迎えている福山市営競馬場。来年以降も、疾走を続けることは出来るのだろうか。(読売新聞)